careerdesign @Wiki
ミッドナイトレンジャーの自治体パトロール
最終更新:
匿名ユーザー
ミッドナイトレンジャーの自治体パトロール
2005年01月06日
ミッドナイトレンジャーの自治体パトロール(1)
●研修の効果測定 ~まず隗よりはじめよ~
新年、明けましておめでとうございます。今日から木曜日の日記を担当するミッドナイトレンジャーです。主な仕事は職員研修なので人材育成に関する話題を中心に書いていきます。
しばらくの間とは思いますが、どうぞ、よろしくお願いします。
さて、本日のテーマは「研修の効果測定」です。
研修の目的は職員の能力向上(によって行政サービスの充実を図ること)ですが、どこの自治体でもその効果測定は悩みの種で、研修担当者ブロック会議などの議題になることもしばしばです。
最近は、研修終了時の受講者アンケートだけでなく、ある程度の期間を経過した後で「研修で学んだことを実際に仕事で活用したか」を受講者に再度アンケートしたり、更に一歩進んで受講者の上司に確認している自治体もあるようです。
しかし、私は、もう一つの視点があると思っています。それは“研修担当者の能力は向上したか”というものです。
そもそも研修担当者は、自分が講師を務める研修の内容はしっかりと身に付いていなければなりません。また、自分以外の講師の研修を聴講することも多く、他の職員が年に1回研修へ参加すればいいほうなのに比べると、圧倒的に研修への参加機会は恵まれています。
ということは、本当に効果的な研修を実施していると言うのなら、研修担当者こそ、最も能力が向上しているはずなのです。
私は、研修担当者がこの点を自覚し、“日頃の仕事の中で研修内容を実践しているか、実践できていないとしたらその原因は何なのか”を考える習慣を持つことが、職場で役に立つ研修を提供するためには大切だと考えています。
そして、研修担当者自身も、自分の能力を大いに高めることができる部署に配属されたことを感謝し、この機会を有効に活用しようという姿勢を忘れなければ、実り多い数年間を過ごすことができるに違いありません。
これからも、企画する側が実践できないような研修や意識改革の取り組みは自己満足でしかないということを認識し、仕事を進めていきたいと思っています。
平成17年1月6日(木)
2005年01月13日
ミッドナイトレンジャーの自治体パトロール(2)
私は、先週の日記で“日頃の仕事の中で研修内容を実践しているか、実践できていないとしたらその原因は何なのか”を考える習慣を持つことが、職場で役に立つ研修を提供するためには大切だと書きました。
今週からは、このようにして見直した、またはこれから見直そうとしていることをいくつか書いてみたいと思っています。
●なぜ研修で学んだことを実践できないのか(その1) ~忘れられた復習~
人は天才でもない限り、1度学んだだけで全てを記憶しておくことはできません。私も、研修内容を実践できていないと感じたときは研修テキストを読み返しますが、そのたびに自分の記憶力の貧しさを痛感してしまいます。
そんなある時、ふと思いました。中学・高校時代の先生からは「家に帰ったら復習しなさい」と指導されていたのに、なぜ研修では復習に関して何もコメントしないのでしょう。
正式に調査したわけではありませんが、何人かに尋ねた状況や私の経験を踏まえると、おそらくほとんどの人が復習などしていないようです。たぶん、その主な理由は「研修内容を覚えようという意識が低い」からなのでしょうが、人事制度と連携してその問題を抜本的に解決しようとするのは容易ではありません。(検討は必要ですが)
しかし、研修部門の判断だけで実施できることもあります。
それは、研修で学んだことは個人の貴重な財産であること、そして、その財産を維持していくためには復習が必要であることを、あらためて受講者に認識していただくよう工夫することです。(もちろん、その研修が貴重と実感できる内容であることが前提です。)
そこで我が社では、昨年から研修受講後の復習を推奨するために、「学んだことは貴重な財産であること」と「忘れないためには復習が必要なこと」を明記した研修記録シートを配布し、受講した研修の重要ポイントや感想と復習した年月日を記入していただくようにしています。
正直言って今年度の活用率はまだまだ低いと思いますが、来年度から別の新たな取り組みと関連させることによって、このシートの有効活用を積極的に仕掛けていく予定です。
また、効果的な復習方法として、学んだ1時間後・1日後・1週間後・1ヶ月後・半年後にわずかな時間でも復習すれば、半年後に80パーセントの内容を記憶しておくことができるとも言われております。そこで、来年度からは、単に復習しましょうと呼びかけるだけでなく、記憶のメカニズムと効果的な復習方法を受講者に理解していただいたうえで、研修プログラムそのものにもこの復習サイクルを織り込み、かつ研修終了後はシートの活用によって効果的な復習を促していくことを考えています。
人材育成を効果的に進めるためには、研修内容はもちろんですが、これまであまり手が付けられていなかった領域である「研修内容の定着度・実践度を高める仕組みづくり」がこれからの重要課題となるのではないでしょうか。
2005年01月20日
ミッドナイトレンジャーの自治体パトロール(3)
●なぜ研修で学んだことを実践できないのか(その2) ~場を用意する~
研修で学んだことを実践できない理由として、「実践する必要に迫られることがなかった」「何となくきっかけがなかった」「職場の上司や同僚が知らないので使いにくい」というものもあると思います。
そこで、そんな状況を打破するために努めているのが、研修以外の取り組みとの連携によって実践の場を用意することです。具体的には、「政策提案発表会」に参加する職員へ「プレゼンテーション研修」を奨めたり、「事務改善運動」に役立つ研修と銘打って「問題解決技法研修」を実施することなどです。
もちろん、「政策提案発表会」も「事務改善運動」もそれぞれ主たる目的があり、決して研修効果を高めるために実施するわけではありません。しかし、例えば職員のプレゼン能力を高めるにはプレゼンの機会を与えることが効果的なのは間違いなく、かつ、専門的に学ぶ研修をセットできればかなりの相乗効果が期待できるはずです。
また、プレゼン研修を例に取ると、研修に参加できる職員の人数は限られているのが現実です。しかし職場で「発表会」が開催されれば、上司や同僚にパワーポイントを使ったプレゼンテーションとはどのようなものか認識してもらうことができますので、文字ばかりのわかりにくい資料で行っていた説明会などを刷新することにも職場の理解が得やすくなると考えています。
さらにもう一つの効果として、目的意識を持って自主的に研修へ参加しようという職員を増やすことも期待できると思います。少なくとも研修参加に対して余計な負担感が増大することにはならないでしょう。
ただし、このような連携を研修担当課だけで実現するのは限界があるので、他の所属の協力を得ながら少しでも増やしていきたいと考えています。
PS.今回は正直言って特筆すべき内容ではありませんでしたが、「うちではこんなことやってるよ!」という情報やご意見をいただければ幸いです。(日記を書くのって本当に難しいですね。)
2005年01月27日
ミッドナイトレンジャーの自治体パトロール(4)
●研修の実践状況アンケート結果
前回まで研修の実践について書きましたので、今回は「それで現実はどうなの?」という疑問にお答えしたいと思います。
我が社では、研修受講者に対して研修受講から3ヶ月経過後に、研修で学んだことを実践しているかどうかをアンケート調査しています。
平成16年度は、約1400人に依頼し、そのうち650人から回答が寄せられました。(回答は任意。電子メールによる回収のため実質的には記名式)
その結果をトータルで見ると、「研修内容を担当業務で実践している又は実践したことがある」が40%、「将来活かせると思う」が45%、「活かせたかどうか分からない」が12%、「これまでもこれからも活かせない」が1%でした。
なお、業務で実践することを第一の目的としていないキャリアデザイン研修を除くと、「担当業務で実践している又は実践したことがある」は65%になります。
ちなみに、研修直後に実施した受講者アンケートでの評価は平均90点であることから、研修の質が高くても、必ずしも実践度が向上するわけではないことがわかります。
良い研修を受けて満足したというだけでなく、それを実際に業務に活用し、行政サービスの向上へとつなげていくためには、まだまだ工夫の余地があることを再認識したところです。
2005年02月03日
ミッドナイトレンジャーの自治体パトロール(5)
◆人を育てるということ(1)
こんにちは、ミッドナイトレンジャーです。いきなりですが、次の質問にお答えください。
Q1.仕事ができる優秀な職員を何人思い浮かべることができますか?
Q2.部下を育てる能力が優秀な職員を何人思い浮かべることができますか?
たぶん、Q1に比べるとQ2に該当する職員は圧倒的に少ないのではないでしょうか。
教科書的には、優秀な職員が自らの仕事だけに専念して成果を上げること以上に、任された複数の部下を優秀な職員に育てるほうが組織にとっては貢献度が高いはずですが、現実は違うようです。
私は、以前、このことに関して「人材育成が評価項目になっていないこと」を最大の問題だと考えていました。
しかし、最近思うのですが、「人を育てる」ことは本当に可能なのでしょうか。
もちろん「人を育てる」の定義も様々ですが、私が言いたいのは、新人に仕事のやり方を教えるようなレベルではなく、優秀な職員を「育てる」ことは可能なのかということです。
私自身は上司としてのキャリアも浅いうえに、私が「育てる」というのもおこがましいような優秀な職員をお預かりしていることもあって、「人を育てる」ことの難しさなどを実感できないのが正直なところです。
今のところ明確な見解を持っているわけではありませんが、次回以降もこのテーマについて考えてみたいと思います。日記を読んでいただいている皆様、特に上司としてのキャリアを積まれた方からコメントをいただければ幸いです。
2005年02月10日
ミッドナイトレンジャーの自治体パトロール(6)
◆人を育てるということ(2)
こんにちは、ミッドナイトレンジャーです。
前回、人材育成担当者にふさわしくないかもしれませんが「人を育てることは本当に可能なのか」という問題提起をしました。今回もその続きです。
いつの頃からか「人材育成」がブームになっています。書店には関連本があふれかえっていますし、今も続々と新しい本が発売されています。
私も結構目を通してきたつもりですが、優良企業のトップが自分の考えと実践例を紹介したものや、コンサルタントが豊富な経験に基づいて書いているものなど、とても参考になります。しかし、残念なことにほとんどが民間企業をベースにした内容です。
もちろん、それはそれで勉強になるのですが、民間企業とは異なる自治体固有の状況を考えると、少し物足りないような気がしてなりません。たとえ民間企業で有効であっても、そのまま自治体に応用できるとは思えないからです。
そもそも自治体のあり方に関して、公務員制度そのものの抜本的改革が必要だという議論は大事だと思います。しかし、人材育成担当者には、今の状況での効果的な人材育成が求められています。
この問題を解決するためには、自治体における人材育成の現状分析が重要ですが、その際にはあらゆる前提条件を疑ってみることも必要ではないでしょうか。そういう意味で、「(今の自治体において、特にOJTによって)人を育てることは本当に可能なのか」をあらためて考えてみる価値はあると思っています。そして、もし機能していないならば、民間の手法をそのまま導入するのではなく、自治体の実態を踏まえながら、かつ、現実に対応可能な範囲でどのような対策が可能なのかを検討してみたいと思います。
そこで、あらためてお尋ねします。皆さんの自治体では、「OJT」は機能していますか?
2005年02月17日
ミッドナイトレンジャーの自治体パトロール(7)
こんにちは、ミッドナイトレンジャーです。
今日は気楽な雑談です。
皆さんはお昼休みをどのように過ごしていらっしゃいますか?
私の職場では、ほとんど全員が黙々とパソコンを見つめています。もちろん、仕事をしている人もいれば、ホームページを見たり、ゲームをしていたりと人それぞれですが、客観的に見るとちょっと異様な雰囲気です。(決してネクラな人間の集まりというわけではないのですが)
私が就職した昭和の終わり頃は、まだパソコンどころかワープロさえ職場に1台程度でしたから、お昼休みはもっと会話が盛んでにぎやかだったように記憶しています。
ITの発達による恩恵は図りしれませんが、便利で楽しいあまり、身近な人たちとのコミュニケーションが乏しくなっていませんか?
最近は、目の前に座っているのにメールで用件を伝えるような人もいるらしいですが、職場の活性化のためには昼休みのパソコンをoffにする「ノーパソコンデー」を設けるのもいいかもしれませんね。
2005年02月24日
ミッドナイトレンジャーの自治体パトロール(8)
こんにちは、ミッドナイトレンジャーです。
特捜戦隊デカレンジャーが感動の最終回を迎え、新たに魔法戦隊マジレンジャーが始まりましたが、我が家ではデカレンジャーごっこがまだまだ続きそうです。
◆人を育てるということ(3) ~学習本能~
小さなお子さんをお持ちの方にしか分からない話題で始まりましたが、今回は子育てと人材育成がテーマです。
我が家には3才の男の子がいますが、日に日に高まる学習意欲と学習能力には本当に驚かされます。何にでも興味を示して質問攻撃を仕掛けてきますし、いつ覚えたのか分かりませんが、教えたことのない言葉をTPOに合わせて上手に使うことができるようになってきました。
幼い子供のそんな様子を間近で見るにつけ、人は生まれながらに学習本能を持っているんだなあと実感させられます。
ところで、組織がその構成員を育成しようとするとき、学習本能のスイッチをONにする工夫はなされているのでしょうか。
何が学習本能を刺激し、何が学習本能にフタをしてしまうのか?
子供と大人、民間企業と自治体、人材育成が機能している組織とそうでない組織などを比較し、人材育成の3本柱と一般的に言われているOJT・Off-JT・自己啓発の観点から考えてみるのもおもしろいかもしれません。