careerdesign @Wiki 自治体職員のキャリアデザインを考える日記(41-50)


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2005年02月28日
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自治体職員のキャリア・デザインを考える日記(41)


■ユニバーサル・キャリア・デザイン8

おはようございます。こんにちは。

 これまで「ユニバーサル・デザインの7原則」に沿ってキャリアデザインを考えてきました。では、どのようなキャリアデザインが考えられるのでしょうか。

 その一つとしては「レゴ型キャリア」というものが考えられます。これは、『フリーエージェント社会の到来』の著者、ダニエル・ピンク氏がその著書の中で提唱しているものです。
 まるで「レゴ」のブロックを積み上げるように、個々のスキルを積み上げることで、自らのキャリアを形成して行くというものです。これは、産業界における「モジュール化」をキャリアデザインにも適用したものと言えます。
 大雑把なイメージとしては、パソコンのインターフェイスの規格に「USB: Universal Serial Bus」というものがありますが、これの考え方を人間のスキルに当てはめたようなものと、イメージしてもらえばいいのでしょうか。

戸崎将宏
tozakimasahiro@yahoo.co.jp

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2005年03月07日

自治体職員のキャリアデザインを考える日記(42)


■「レゴ型キャリア」って何さ? その1

おはようございます。こんにちは。

 先週の日記で「レゴ型キャリア」という考え方のご紹介をしたのですが、なかなか伝わりにくいかと思いますので補足します。
 まず参考に、コンピュータの発達と「アンバンドリング」についてお話します。

・昔のコンピュータは、ハードとソフトがセットでした。ある使用目的(例えばロケットの軌道計算)に合わせてハードが組まれ、ソフトが書かれていたのです。つまり、使用目的に対する完全カスタムメイドだったわけです。
・使用目的とコンピュータを分離したのが「汎用機」と呼ばれるコンピュータです。汎用機であるIBMの「システム360」というコンピュータは、銀行業務から大学の研究目的まで様々な目的で使われるようになります。ちなみに「360」っていうのは全方位360度対応可能、という意味だそうです。
・その後、IBMはまずアプリケーションソフトと周辺機器を分離し、外部の企業によるソフトや周辺機器の開発が進みます。そして、パーソナルコンピュータの開発に当たっては、オペレーションソフトを分離します。これが皆さんおなじみの「MS-DOS」です。(若い人にはおなじみで無いかもしれない。ちなみにわが家にはMS-DOS(DOS/V用、98用)、DR-DOSなどのフロッピーがごろごろしています。)
・更に、IBMはPCパーツの仕様を公開しました。これによって、ハードディスクもキーボードもマザーボードも電源もメモリも外部のサプライヤーから標準化された製品が供給可能になりました。そして、それぞれの専業メーカーは、各パーツごとに激しい競争を重ね、その性能は飛躍的に伸びました。半導体の性能が指数関数的に向上するという「ムーアの法則」は有名ですが、ハードディスクの性能向上はムーアの法則をはるかにしのぐスピードです。

 以上のように、コンピュータの世界では、「フルセットのカスタムメイド」から「標準化されたパーツの組合せ」へ、という「アンバンドリング」によって、飛躍的に性能が伸びました。そして、これがキャリアデザインと何の関係があるのか、ということですが、「レゴ型キャリア」というのは、コンピュータと同じように「スキルのアンバンドリング」が起こることを想定しているものです。

 「職業人の技能が切り売りされるのか?」ということに抵抗がある方がいるかもしれません。また、「標準化されて画一的な仕事人生になるのではないか?」と思われる方もいるかもしれません。次回はこの点についてお話したいと思います。


戸崎将宏
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2005年03月14日

自治体職員のキャリアデザインを考える日記(43)


■レゴ型キャリア」ってなにさ? 2

 この「自治体職員有志の会」では、自治体職員の将来のあり方の一つとして、「プロフェッショナル職員」や「カリスマ職員」というコンセプトを打ち出しています。
 ところが、プロフェッショナル化にはポジティブな面ばかりがあるわけではありません。社会情勢の変化を敏感に捉えた自律的な職員、というと聞こえがいいですが、組織の側の都合からも「職員のプロフェッショナル化」というのは要請されているのです。

 孫引きになってしまいますが、西脇(2004)によれば、キャペリは、組織が直面している課題として、下記の点を指摘しています。
 ・組織はさらなる生産性と効率性の向上という課題に直面している。
 ・これまで以上に能力の高い社員が求められるが、そのための教育コストと引き留めコストに堪えられなくなっている。
 ・社員の組織コミットメントは低下し、特に能力の高い社員ほど引き留めと活用にコストがかかる。
 ・教育訓練に対する投資が将来の収益に結びつきにくくなり、経営を圧迫し始めている。
 そして、「プロフェッショナル」という言葉が組織にとっても都合がよいものになるのです。キャペリは下記の点を指摘しています。
 ・教育訓練に対する投資の負担を組織から個人にシフトし始めている。
 ・自前で育成する代わりに、組織コミットメントが低くても構わないので必要な高いスキルを持った即戦力を適宜採用する。

 つまり、「プロフェッショナル職員」という概念は、職員に自律を促す励ましのエールであると同時に、組織にとっても使いやすい非常に便利な言葉でもあるわけです。

 では、「プロフェッショナル職員」と「レゴ型キャリア」の間にはどのような関係があるのでしょうか。
 レゴ型キャリアは、緩い連続性を持ったスキルや経験の「モジュール」を積み上げていくものです。「緩い連続性」には、同じ組織内で働き続けることや、同じ業界で経験を積むことなど、キャリアの文脈的な要素が含まれます。この「緩い連続性」がないと、高く積み上げても隙間だらけで安定しません。まるで、「レゴ」と「ダイヤブロック」をごちゃ混ぜに使って高い城を造るようなものです。
 医師や弁護士などの本当の「プロフェッショナル」とは異なり、「プロフェッショナル職員」の依って立つものはまだ脆弱です。初めから一人立ちして仕事をしていくことはできません。一方で、組織に言われた仕事をただ無批判にこなしているだけでは、スキルや経験は仕事の文脈の中に埋もれてしまいます。組織の中で仕事をしながら、自分の「モジュール」を一つ一つ積み上げて行く必要があるように思います。

西脇暢子「組織とプロフェッショナル――組織と個人の新しい関係」、二村敏子編『現代ミクロ組織論』(有斐閣, 2004)


戸崎将宏
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2005年03月21日

自治体職員のキャリアデザインを考える日記(44)


■レゴ型キャリアってなにさ 3

 おはようございます。こんにちは。

 前回までで、自分のキャリアをレゴのブロックのように「モジュール化」する、という話をしてきましたが、この「モジュール化」というコンセプトによって、自治体職員のキャリアはどのような形になりうるのでしょうか。
 思いつきベースですが、以下のようなことが考えられると思います。 
 ・仕事に対する満足度が高まる。
 ・子供を持つ女性や障害者が自分の強みを活かせる。
 ・人材の流動性が高まる。
 以下では、それぞれについて考えてみます。

■仕事に対する満足度が高まる。
 これまでの自治体職員のキャリア形成は、人事異動の流れに身を任せ、気がつけば何となく「○○畑」のような色が付き始め、「エリート/ノンエリート」の序列に組み込まれていく、という中で、気がつけば公務員生活30年、俺は何をやってきたんだろうか、というようなケースが多かったのではないかと思います。もちろん、その間を彩る様々なエピソードや乗り越えてきた危機はあるでしょうが、それらの間に何の脈絡も見出せないことが多いのではないかと思います。
 レゴ型のキャリア形成のために自分のキャリアをモジュール化するということは、過去に対しては、常に節目節目で振り返り、自分のやってきた仕事や身につけたスキルを棚卸ししてパッケージにすることであり、未来に対しては、不足している商品(経験・スキル)を補充し、新しい商品の開拓をしていくことです。
 このように、自分自身を振り返り、過去と未来の間での自分の仕事の位置づけを知ることで、現在の自分の仕事に対する満足度は確実に高まり、同時に自分に欠けているものをイメージすることが出来ます。

■子供を持つ女性や障害者が自分の強みを活かせる。
 これまで自治体におけるキャリアは、新卒から定年まで一様に続くことを前提にした、間に分断の無いキャリアがイメージされているように思われます。いわば、文脈的な経験や技術が重視されていたのです。そのため、子育てをしている女性や障害者は補助的な業務に追いやられていたという傾向があるのではないでしょうか。
 レゴ型キャリアが主流になり、個々人の経験やスキルがモジュール化されると、文脈的なキャリア観に納まりきらない経験やスキルも最大限に生かすチャンスが出来ます。PCに喩えると、ほとんどのパーツやソフトを自社用に開発・生産しているメーカーにおいては、個々の技術がどんなに優れていても、全てのパーツがフルセットで揃っていないと活かすことが出来ないのに対し、個々のパーツがモジュール化されたメーカーにおいては、全ての技術に通じていなくても、ハードディスクやメモリー等の個々のパーツにおいて競争力があれば、その技術を活かすことが出来ることに共通するように思われます。

■人材の流動性が高まる。
 レゴ型キャリアを構築することで、一つの自治体のためのカスタムメイドのキャリアではなく、より汎用性のある経験や技術をモジュールとして身につけることが出来ます。例えば「インディペンデント・コントラクター」という人々は、民間企業における特定の経験とスキル、例えば商品企画や財務処理など、を売り物にして、特定の企業から独立し、複数の企業に対して自分のスキルを提供しています。同じように、自治体職員も自らの経験・スキルをモジュール化することで、他の自治体や民間企業への転職やインディペンデント・コントラクターとしての契約が可能になります。
 このことは逆に言うと、他の自治体や民間企業からのキャリア半ばでの転職も容易になるということです。このようにして、人材が流動化することが出来れば、社会情勢の変化による行政需要の波にも対応が可能になります。


 以上、レゴ型キャリアに関するプラス面を述べてきました。しかし、プラスの面ばかりがあるわけではありません。次回は、レゴ型キャリアのマイナス面についても述べたいと思います。


 最後に、今回の玄界灘の地震で亡くなられた方のご冥福と、被災地の一刻も早い復興をお祈りいたします。
 ちょうど前日まで福岡・佐賀にお伺いしたばかりなので、再びあの温かい人柄と魚の美味しい平和な九州を訪れることができる日を楽しみにしています。


戸崎将宏
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2005年03月28日

自治体職員のキャリアデザインを考える日記(45)


■レゴ型キャリアってなにさ 4

 おはようございます。こんにちは。

 前回はレゴ型キャリアのプラス面を紹介しましたが、今回はマイナス面についても考えたいと思います。

 一つは、自分の選んだ「レゴ」をものにするための努力は多くが個人の負担になる点です。もちろん、カフェテリア方式の研修制度や部分休業制度などによる組織からの支援は考えられますが、ほとんど組織任せだったOJT中心のこれまでの文脈的キャリアと比較して個人の負担が大きくなる点は否めません。

 もう一つは、キャリア選択の責任が個人の責任になる点です。それまでの文脈的なキャリアの中では「人事はヒトゴト」とうそぶいて、「俺が選んだ仕事じゃない。俺の仕事のやり方に文句があるなら配置した人事に言ってくれ」と文句だけ言っていれば責任を問われることはありませんでしたが、レゴ型キャリアを選択することは、自分の身の振り方に自分が責任を負わなければならなくなるということです。そして、転職を伴うことになれば、転職先が見つからない場合も考えられます。また、転職を伴わない場合でも、キャリアの選択を誤った場合、それまで投資してきた努力が全く役に立たなくなることもあります。

 しかし、本来どちらのコストも個人が元々負担する姿が当たり前だったのではないでしょうか。例えば、防衛大学校や税務大学校などを除けば、高校や大学で教育を受けるコストは個人の負担です(親御さんが出してくれたからコストを負担しているという意識は無い人が多いのかもしれませんが・・・。)。また、誰もが就職時には、数多くの選択肢の中から自分の責任でキャリアを選んでいるのです(これまた、就職先を決めるのも親御さんの言いなり、という方も多数いるのでしょうが。特に地方公務員には多いことでしょう。)。
 もしかしたら、我々は二十歳前後の頃よりも自分のキャリアに対する責任を持つ、という部分では退化しているのでしょうか。それとも、親の代わりに組織がコストを負担して何もかも決めてくれることを望んでいるのでしょうか。


戸崎将宏
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2005年04月04日

自治体職員のキャリアデザインを考える日記(46)


■人事異動と説明責任

 多くの自治体では4月1日に定期人事異動があったようですが、なかなか納得できない人も多いようです。
 もちろん、全ての人が希望どおりの仕事につけるはずが無いことには納得できても、どうして自分がこの業務に異動になったのか、また、どうして自分が異動できなかったのか、ということに対して雇用する側の説明責任が必要だ、という意見が有志の会のMLに多く出ています。

 一例としては、山路さんの日記から、
「モチベーションを高める説明により 」
> 人事当局としては職員の希望をかなえるのは物理的に無理としても、モチベー
> ションを高める説明の努力をして欲しいし、それを受けた職員は、与えられた
> 職場、仕事でやりがいを見出し、全力を尽くしたいものだ。

 しかし一方で、職員の側は人事異動に対する説明責任を果たしているでしょうか。
誰もが採用試験を受けるときには、自分がその役所に入ったらどんな仕事をしたいか、自分がどんな職員に成長しようとしているか、ということを面接で一生懸命アピールしているはずです。
 自分がいかに公務に対する熱意があり、どうしてもこの地域の住民のお役に立ちたい、ということを熱弁してきたはずです。
 いわば、志望動機についての自分の説明責任を果たしてきたはずなのです。

 しかし、一度採用されてしまうと、この説明責任はきちんと果たされていないのではないでしょうか。
 多くの自治体では、異動希望についての調査を行っていると思いますが、単に希望する仕事や職場を記載するだけの調査が多いのではないでしょうか。
異動希望の提出に際して上司との面談を行っている自治体も多いですが、直属の上司にとっての関心事はその職員を異動させるか残すかということであって、建前では育成の責任を持っていても、どんな仕事をしたいか、ということは他人事に過ぎないのではないでしょうか。そもそも上司といえども役所内の全ての仕事に関する適性など判断のしようがありません。このような状況では、自分の熱意をアピールする機会がないことになります。

 また、職員の側も、採用面接の時には、あれほど積極的に自分のやりたい仕事に対する熱意を表明していたのにもかかわらず、一度採用されてしまうと、自分のやりたい仕事や夢を口に出すのをはばかるようになります。
ちょっとでも熱意のあるところを見せると、きつい仕事を担当させられると考えてのことなのか、今の職場に対する「気遣い」なのか、
「好きでやっている仕事ではない。」
「人事異動で仕方なく今の仕事をやっている。」
「早く異動したい。」
ということを口にする職員が多くいることも事実です。

 いつもマンガの話ばかりで辟易する方もいるかもしれませんが、『いいひと。』14巻に出てくる新入社員の木田くんが同期に言う台詞に、
「…ここにいる人みんなさ……入社試験の時とか受かりたくて、ペコペコ頭下げたんでしょ。(中略)……なのに…入社したとたんに突然、会社キライになっちゃうの?」
「だったら会社入んなきゃいいのに。」
というものがあります。
 木田くんに「だったら公務員なんかにならなきゃいいのに。」と言われたらなんて答えたらいいんでしょうか。


 人事異動に対する説明責任を雇用する側とされる側の双方が果たすためには、自分がどんな仕事をやりたいか、ということを、採用面接と同じくらいの真剣さで説明する必要があると思います。これに対する説明責任を雇用する側が果たすべき、という理屈であれば説得力がありますが、組織図を眺めながら適当に書いたような異動希望や今の仕事が嫌だからもっと楽な仕事に変えてくれ、というような異動希望に対する説明責任などはないのではないでしょうか。

 ではどうすれば、ガチンコで自分の思いをぶつけられるような人事異動の仕組みが作れるでしょうか。
(つづく)


戸崎将宏
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2005年04月11日

自治体職員のキャリアデザインを考える日記(47)


■人事異動と説明責任2

 今週は先週の続きで、人事異動に関して職員の側の説明責任を果たす仕組みを考えてみたいと思います。
 庁内の「人材いちばづくり」のためには、「求人側」と「求職者側」のそれぞれにイニシアティブをとる方法が考えられます。
 一つは庁内公募制度です。これは「求人側」のイニシアティブで進められるものではあり、業務内容や求める人材の能力などが提示されますが、職員の側からも自分の過去の経験や持っている能力、そして業務内容に対する熱意を積極的にプレゼンすることが求められます。
 もう一つはFA制度及びそれに類するものです。FA制度自体は既にいくつかの自治体で導入されていますが、プロ野球選手の喩えが使われているせいか、今いる職場に拘束されている職員が新しい活躍の場を求めてFA宣言をする、というイメージが付きまとい、現在の職場への不満が強調されすぎているきらいがあります。しかし、「人材いちば」に対する「商品広告」と考えると、何も今の職場に三行半を突きつけるようなやり方でなくても、「求職者側の商品情報」を市場にPRする方法はいくつも考えられます。
 一例としては、札幌市役所の「ウェブ☆スターきらりちゃんとひかるくん」のような人材情報バンクのような方法があります。このやり方ならばFA宣言よりも現在の職場の理解が得られやすいと思います。
 また、人材情報に特化せずに、研修所などが発行する自主研究の発表の場を多く設ける方法や、業務改善や政策提案の場を設けるという方法もあります。「社内報」を進化させた「庁内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」を立ち上げる、という方法も考えられます。これらの場を積極的に活用すれば、職員の側から、自分の考えや意見を積極的に披瀝し、庁内からの評価にさらされることで説明責任の一部を果たすことができると思います。


戸崎将宏
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2005年04月18日

自治体職員のキャリアデザインを考える日記(48)


■現代の「足高の制」?

おはようございます。こんにちは。
(更新が遅くなって申し訳ありません・・・。)

 最近、自治体では、「任期付き職員」という形で3年や4年の任期を定めて、民間企業で高度の専門的な能力を身につけた人を採用するケースが増えています。特に有名な例では長野県の任期付き幹部職員の公募の例があります。
 しかし、民間企業という環境では能力を発揮できても、環境が変わると必ずしも持てる能力を発揮できないケースもありえます。何千人の中に数人を放り込んでも組織が持っている「慣性」のほうが大きくて動かしようがない場合もあるからです。
 対応策として考えられるのが、受け入れる組織の側も能力をベースにした配置を行うことですが、一口に「能力」と言っても、ロールプレイングゲームのポイントのように単純な数値で表せるものではありませんので、簡単な話ではありません。
 そこで一つのアイデアとして、あるポストに対して庁内と外部の両方から公募する、という方法があります。もちろん、庁内からの応募要件を狭い年齢層に限定してしまうとそれだけ選択肢が狭まってしまうわけですから、応募の年齢要件は広く取ります。こうすることによって、単なる外部人材の公募、単なる庁内公募だけではできないような、役所の組織風土も十分理解した人材も比較の対象に加えることができるのです。
 この場合、庁内から応募する人の中には、ポストに対して現在の肩書きが大きく下がる場合が出てきてしまいますが、そのときには、任期の期間中だけ下駄を履かせて、任期が終われば元くらいに戻す、という方式を取ることで、ギャップを解消することができます。吉宗の行った享保の改革の「足高の制」の現代版ということです。ポストに見合った庁内の候補者の中から探そうとするから無理が出るわけで、外部にプラスして庁内を広く探せば適任者が見つかる可能性が高くなります。
 さらに進めると、庁内に限らず他の自治体や国も公募の対象にすることが考えられます。現在でも自治体間、自治体と省庁の間で人事交流が行われているのですから、これも公募で行う、ということは不可能ではないと思われます。つまり、A市役所の情報化を担当する新しいCIOの公募に対して、民間からはもちろん、B市役所やC省、D県庁からも応募できるようにするのです。もちろん、将来の姿としては、完全に労働市場の中で動かすことが理想かもしれませんが、現状の突破口としては、Jリーガーのレンタル制度のように、現在の組織に戻って来れる条件で公募でレンタルされるという方法は有効ではないかと思います。

戸崎将宏
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2005年04月25日

自治体職員のキャリアデザインを考える日記(49)


■役所のオシゴト案内

 この週末は、関東近県の若手職員(2~3年目)が行っている自主勉強会に参加してきました。
 参加者の皆さんが、自分たちの組織の人事、予算、主要事業などについて調べてきて、お互いに発表しあうというもので、自分が同じくらいの年齢の頃は、休みの日には、職場の野球部やお祭り・スキーなどのイベントのことばかりだったのに比べると、今の若い人は勉強熱心だと感じました。
 私はキャリアデザインの話をする、という担当だったので、参加者の皆さんに「シャインの3つの質問」を少し加工したものに答えてもらいました。通常ならば、「何が得意か(能力・才能)」、「何がしたいか(動機・欲求)」、「何をしている自分に意味を感じるか(意味・価値)」を質問するのですが、3年目くらいの人だと「まだよくわからない」という回答が多くなると思ったので、


今後、どんな業務を担当すれば自分の能力を発揮できると思いますか。

公務員になろうとした動機は何ですか。また、入庁前にイメージしていたものと現在との間にギャップはありますか。

40歳になった自分を想像したときに、どんな仕事をしている自分になっていて欲しいと思いますか。


という質問に加工しました。

 参加者の皆さんの回答は、それぞれに一生懸命なものでしたが、話をしていて感じたことは、まだ役所の仕事についての具体的なイメージを持てていないのではないか、ということです。もちろん、いろいろと勉強していて、行政の仕組みについての理解はきちんとしていましたが、まだ1箇所目の職場の人が多かったせいか、役所の仕事についての具体的なイメージは、まだそれほど豊かではないようでした。

 そこで思ったのは、役所の中での「就活」も必要になるのではないか、ということです。どこに行くのも人事課にお任せのキャリアを積んでいくのであれば必要ありませんが、シャインの2つの質問に答えられるようになるためには、自分が選択しうる進路についての情報を十分に入手している必要があります。
 「就活」の方法の一つとしては、会社説明会への参加やOB訪問があります。もちろん現実には説明会は開催される可能性は低いですが、職場として良い人材を獲得しようとするならば、庁内向けの広報は重要になります。仕事の内容や求める人材像を公表するという方法もありますし、他の職場の職員も参加できる勉強会を開催するという方法もあります。
 また、「就活」の方法として一般的になったインターンシップ制度を、庁内にも導入するという方法も考えられます。既に一部の自治体で実施しているところもありますが、繁忙期やイベントで人手が必要なときなどに、その業務に関心のある庁内の職員に短期間手伝いに来てもらうという方法です。受け入れ側としても人手が集まって助かりますし、参加する側としても、将来の自分の職場を選ぶ上での大きな情報源になると思います。

 自己申告制度や庁内公募などの制度も、これらの事前活動的な情報収集と組み合わせることで、よりミスマッチを減らすことができるようになるのではないかと考えます。

戸崎将宏
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2005年05月02日

自治体職員のキャリアデザインを考える日記(50) [ カテゴリ未分類 ]  
■楽して、儲ける!

 「楽して儲けるスタイル!」と言えば、「無責任一代男」の有名な歌詞ですが、当時は高度成長期のモーレツ社員へのアンチテーゼとして「無責任男」が描かれていたとは言え、やはりコツコツ働くことは美徳だったんだと思います。「コツコツやる奴ぁご苦労さん!」というのも、コツコツやる人ばかりだからこそギャグになったんですね。

 では、40年後の現代では「楽して儲ける」のは当たり前なのでしょうか。楽することに関しては抜け目のない役所でも、タテマエ上「楽するのはよろしくない」ということになっているようです。「儲ける」という基準がないのでインプットで見るしかないためか、長時間働く職員ほど「働き者」ということになっています。仕事を効率化すればするほど「楽をしている」「余力がある」とみなされて仕事を押し付けられ、「働き者」の職員は「てにをは」レベルの書類チェックや、神経質なまでの書式・体裁の微調整を行い、深夜までかかってオーバースペックな書類を作成します。「自分に与えられた仕事に全力を尽くす」と言えば聞こえは良いですが、自分に割り当てられた仕事だけに深夜残業や休日出勤まで含めた「時間という資源」を全て投入しておけば、追加の仕事は押し付けられず、ミス(=減点要因)も少なくなります。

 これは役所の体質である「予算使いきり体質」を個人レベルで体現していることに他ならなりません。「予算使いきり」とは、ある事業にかかる予算を効率化や競争によって節減することができても、その翌年からは節減した分が基準になり予算が削られてしまうので、効率化のインセンティブが働かない問題です。
 同様に、個人が持っている「時間」を効率的に使う改善をしたとしても、その分を自分のために使うことができず、仕事の方を増やされてしまう(または課の人数を減らされる)ので、効率化のインセンティブが働きません。とにかく持ち時間いっぱいを自分の割り当ての仕事に使い切ることで「自分の仕事の砦」を防衛しているのです。

 経済学の言葉では、これを「ラチェット効果」と呼びます(家計消費の分野で違う意味の使われ方をするときもあります。)。旧ソ連などの社会主義経済の国営工場で、ある期に努力してノルマを超える生産をしてしまうと、次期からはその数字がノルマとして課せられ、自分の首を絞めてしまうことになるので、できるだけノルマをぎりぎり達成しないくらいの生産に抑え、天災などの言い訳になる理由があれば積極的に生産量を落とす、という行動を指します。
 日本の役所の内部は、未だに「社会主義経済」のままですから、旧ソ連で観察された社会主義経済の悪弊が未だに温存されているというわけです。

戸崎将宏
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