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私の「自治体プロ職員」への道&私のネットワーク・交流シリーズ
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匿名ユーザー
私の「自治体プロ職員」への道&私のネットワーク・交流シリーズ
2004年02月12日
【私の「自治体プロ職員」への道 1(はじめまして)】
はじめまして。福岡市の秋吉誠さんの「ある非・真面目公務員の仕事史(80回)、高知県の夕部雅丈さんの「コンピテンシー誕生秘話(15回)に続いて全国の自治体職員のみなさんから注目されている「自治体職員有志の会」のホームページの日記を担当させていただくことになった三重県の山路栄一です。
現在の所属と役職は、教育委員会事務局人材政策チーム法令・採用グループの主幹(課長補佐級)で、指定管理職(非組合員)となって教職員の勤務条件(勤務時間、休日の制度の制定・改廃、解釈や労働組合との交渉を担当しています。
これまでは農林水産部林政課、熊野保健所、鈴鹿県税事務所、総務部学事文書課法令担当、知事公室広報課、三重県大阪事務所、農林水産商工部新産業創造課、総合企画局企画課政策システム策定グループといったセクションを経験していますが、自分では外向きの企画的な仕事が性にあっていると思っています。しかし、古い言い方ですが、宮仕えの身ですので与えられた職場で全力を尽くすのみです。
年齢は不詳としたい年頃ですが、前のお二人が明かされたこともあり、また、この会の新聞報道でも出てしまいましたので正確に言うと45歳です。苦労が足りないせいか、年より若く見られ勝ちです。家族は妻と長女(高1)、長男(小6)で、趣味はテニスと読書です。テニスの実績はローカルトーナメント(津テニス選手権で準優勝が最高ですが、実力の割にメンタル面が弱いと指摘されており、試合では良い成績が残せていませんし、最近は脚力の衰えもあって専らダブルスプレーヤーとして生き残っていこうかと思っています。
読書は、月に単行本を最低10冊(日記の元執筆者の秋吉さんや前執筆者の夕部さんに遠く及びません)読み、分野は経営、改革、キャリアデザイン、顧客満足といったジャンルが最近は多くなっています。気に入った本はやはり買いたいので書籍代の捻出が悩みの種です。単純比較できませんが、飲み代に比べたら有益で安いものだと思い、投資しています。
信条は「力及ばずして敗れることは辞さないが、力尽くさずして挫けることは拒否する」で、「考えて正しいと思ったことは勇気を持って発言し、実行する」ようにしています。
夢は「お役所仕事」という言葉を死語に、あるいは最も効率がいい仕事を意味する言葉
に変えることであり、そのためにも「ルールドライブ型」の仕事から「ミッションドライブ型」の仕事への転換が必要だと考えています。
好きな言葉を順不同に列挙すると「公私融合」「結合改善」「高位平準化」「北京の蝶々」「カナリア職員」「Be Professional」「リアクティブからプロアクティブへ」などです。引用や造語が入っていて意味不明のものもあるとは思いますが、これからの連載でたびたび登場しますのであえて注釈はつけません。文脈の中でご理解ください。
前置きはこれくらいにして次回から、中身に入っていきますのでどうぞご愛読をよろしくお願いします。
(人気がないとオトボケを装っていますが、実は厳しい管理人さんから連載中止を申し渡されますのでみなさん読んでね。目標―連載の完結!)
楽天日記の中でエースを狙います!
個人のホームページも開設していますのでこちらの方もよろしくお願いします。
http://plaza.rakuten.co.jp/prosyokuyamaji/
(アクセス数 410)
2004年02月13日
【私の「自治体プロ職員」への道 2(プロという言葉にかける思い)】
みなさんが一般的に「プロ」という言葉を聞いて、真っ先に思い浮かべる職業としては、スポーツ選手、芸術家などでしょうか。
しかし、組織に属する企業の社員や国、自治体の職員もそれぞれ企業の発展、国の成長、地域の活性化という仕事に携わる以上は一流のプロでなければならないというのが、私の信念です。
つまり、担当している仕事に関してはオンリー・ワンの能力を持ち、置き換えのできない人材、余人をもって代えがたい存在つまり、他の誰によっても取って換わることができない人材にならなければ自分がその仕事を担当している価値がないと考えています。
いま、このページを見ていただいている方はおそらく自治体職員の方が多いと思います。私も三重県という自治体に勤務する職員です。その私がこのホームページの日記を書くきっかけは、HPの管理人である神戸市の大島さんからの依頼によるものです。
きっかけは、大島さんからの依頼によるいわば、リアクティブ(受け身)のことですが、個人的には自分の自治体職員としての考え、仕事のスタイルについてホームページを通して広く伝えたいというプロアクティブ(積極的)な希望はずっと持っていました。そのため、自分自身でも「(自治体)三重県プロ職員山路栄一の知的交流広場」http://plaza.rakuten.co.jp/prosyokuyamaji/ という大層なタイトルのページを開設しています。このページと日記リンクしていますので、よろしかったらのぞいてください。
日記を書くにあたってどういうテーマにしようかと考えた結果、私の持論であり、自称して名刺の裏にも刷っている「自治体プロ職員」のことについての考えとそれに基づく具体的な仕事の方法を書いて、読んでいただく方の参考にしていただけたらと思い、タイトルも『自治体プロ職員への道』としました。
私は、自治体職員としてプロをめざす中で考えて正しいと思ったことは勇気をもって発言し、実行することを自らのポリシーにしています。
その信念に基づき、志をもって、惰性にながされないように、現場や細部にこだわりを持ち、仕事をしていることをお伝えすることで、少しでも志を同じくするみなさまの参考になれば幸いです。
住民という顧客にベストのサービスを提供することをめざして自治体に働くプロの職員としての誇りある仕事をしましょう。
“Be Professional“を合言葉にこだわりをもって顔のみえる、代替がきかない仕事をしていく中でプロ職員への道をいっしょに歩みましょう!
自称プロ職員、実力はまだまだアマチュア職員からの呼びかけです。(アクセス数 258)
2004年02月14日
【私の「自治体プロ職員」への道 3(プロフェッショナルとスペシャリストの違い)】
仕事のプロフェッショナルとは、自分の専門能力を駆使して、顧客のために高い負荷価値を生み出し、企業(組織)の業績に貢献する人で、いわゆる「頼りになる人」をさします。
これに対してスペシャリストとは、狭い範囲の専門能力を要求されたときに提供することによって、企業などの組織に貢献する人で、専門性の探求それ自体が目的になりやすいという傾向があると言えます。
プロフェッショナルは、複数の専門性を結びつけて、また、社外のリソースも取り込んで、結果、成果、利益の出せる人とも言えるでしょう。
<いわゆるプロフェッショナル>には、一匹狼タイプの人が多く、その卓越したスキルで一人でどこでも生きていける人で、プロ野球のかつての落合選手(現中日ドラゴンズ監督)のような方をイメージしていただければわかりやすいのではないでしょうか。
かつて落合選手が三冠王を2回も取ったようにいわゆるプロフェッショナルと称される人は、その能力やスキルは申し分ないのですが、企業などの組織で働くには極めて非効率で、大きな仕事はできないと言われています。
これに対して<真のプロフェッショナル>とは、人間的な魅力、ヒューマンスキル、コミュニケーション能力、状況判断能力、信頼感を備えているが故に周囲からサポートが得られる人のことで、私がここでイメージしているのも真のプロフェッショナルのことです。
アサヒビール相談役の樋口廣太郎さんによれば、「時と場合に応じて、玄人にも素人にもなれるのが真のプロフェッショナル」ということになります。
プロフェッショナルの語源は、プリースト(牧師)と言われ、クライアントへの価値提供がアイデンティティです。(「ビジネスマンプロ化宣言」淡輪敬三著 かんき出版)
自治体プロ職員のアイデンティティとは、顧客である住民が満足していただける価値あるサービスをいかにして提供するかということになるのではないかと考えます。
(アクセス数 175)
2004年02月16日
【私の「自治体プロ職員」への道 4(サラリーマン職員からプロの職員へ①)】
サラリーマン職員ということばから連想されるのは、上司の指示に従い、仕事をするだけの指示待ちの職員です。
地方自治体がかつてのように国という政策官庁が考えた事業を執行するだけの事業執行官庁であった時代は、通達などの行政指導を的確に解釈し、上級官庁や上司の指示を待ってミスなく仕事する職員こそが優秀とされ、重宝されました。
しかし、現在のように自治体も自主自律を旨として政策官庁へと脱皮し、前例踏襲によらず、国にお伺いを立てず、他の自治体との横並びを気にするということがなくなった状況では、指示待ちの職員では迫り来る前例のない喫緊の課題に対応することは不可能です。
ましてや税金という負担金(先銭)を住民から前もっていただいている、地域における独占的な経営体(競争の原理が働かず、受け手に選択肢がない)である地方自治体では住民を顧客ととらえ、その満足度の向上を最高のミッション(使命)としなければなりません。
三重県庁は、平成7年の北川正恭氏(前知事)の知事就任(「黒船襲来」と言われた)により、かつてのルート23号の県(何ごとも47都道府県の中ぐらいの位置を持って尊しとしていたので、県内の中心を走る国道23号になぞらえてそう呼ばれていました)が、一躍、マスコミへの露出度が飛躍的に上がり、改革先進県としてマスコミやシンポジウム、講演会などで取り上げられ、全国の自治体や学識者、マスコミからのベンチマーキングや視察、取材が相次ぐようになり、通常の業務にも支障をきたすほどになりました。
実際にそこで働く職員としては、それほど改革が進んでいるとは思わないのですが、他県からの出向の方からお話を聞いたり、他府県にベンチマーキングに行って比較するとやはり違いを感じます。
たとえば、同じような改革先進例とされているある自治体にベンチマーキングに行ったとき、職場で職員がたばこを吸い、業務補助と思われる女性職員がお茶の後かたづけをしているのを見て唖然としました。
三重県庁は喫煙ルームでしかたばこは吸えませんし、お茶なども個人で入れ、片づけるのが当たり前になっているからです。
上記のような職場の慣習的なこと以外に何が一番違うかと言うと、目に見えることでは、生活部で実施されている「ワンフロア化」や同じく生活部や東京事務所の「フリーアドレス」さらには、「カジュアルウェアデー」などでしょうが、私が感じる違いは議論、ディスカッションのできる風土とその中身です。
(アクセス数 321)
2004年02月17日
【私の「自治体プロ職員」への道 5(サラリーマン職員からプロの職員へ②)】
私の前の職場である総合企画局企画課の政策システム策定グループで「三重のくにづくり宣言」(県の長期総合計画)の第二次実施計画の策定と「政策推進システム」の策定を担当していたときに、和歌山県からの出向職員として来ていただいていた方に聞いたところでは、「何を話しているのか、レベルが高すぎてさっぱりわからなかった。お願いだから日本語を話して欲しいと思った」と正直な感想を語ってくれました。
当時、三重県庁では管理から経営へ(From administration to management)ということで、海外や民間企業で使われる経営用語を頻繁に交えて議論していたので、そう感じたのでしょう。
それはさておき、議論が煮詰まったり、行き詰まったりして結論が出ないときは、読者のみなさんの職場ではどうなさるでしょうか。かつては三重県もそうだったので推察させていただくに、おそらく国の担当省庁に伺いを立てようとか他府県や他の市町村の状況を調べたらどうか。また、前例はないかといったことが検討されるのではないでしょうか。
ところが、三重県庁ではこのことに関しては、はっきり変わりました。議論に行き詰まり、原則に戻って判断するときの基準には次の二つがあります。
すなわち、【これは生活者起点の県政といえるかということ】と、【これで県民に対してアカウンタビリティ(説明責任)を果たせるのかということ】です。このことは特に三重県庁が誇りにして良いことだと思います。(現在、前者は「県民が主役の県政といえるかどうか」に代わりましたが、その意味するところの本質は変わっていません)
ところでみなさんはディスカッションの語源をご存じでしょうか。ディスカスのカスは恨みということなので、否定のディスを付けることによって恨みっこなしという意味になるのです。
つまり、ディスカッションとは、サードバリュー(第三の価値)を見つけるために行うもので、私の意見やあなたの意見、メンツにこだわっていてはいけないのです。
別のことばで言えば「ディスカッションとは双方の意見とは別のところにあるベストウェイを見いだすために行うもの」(元日本マクドナルド藤田 田氏)ということになります。
この点でも三重県庁では、職制や年齢、性別にかかわらず、たとえ知事の前でも平の職員が堂々と自分の意見を言える風土ができています。かつての官僚出身の元知事のときは、知事のレクチャーに一般職員が同席することはあっても知事はじめ三役とやりとりするのは部長、次長が主で、細かいことについてもせいぜい課長までが意見を言うだけでした。
ところが、北川前知事になってから「一番詳しいのは担当者であるから担当者に直接聞く」という前知事の方針もあってレクチャーのときなど後ろに控えていてもいつ意見を求められるかわからないので、緊張しました。
幹部職員によっては前知事との直接のやりとりがあるレクチャーをいやがる方もみえましたが、私などは時間をとって意見を聞いていただけるのでむしろ楽しみにしていました。
日頃の勉強の成果をトップに認めてもらう格好の機会ですので、大いに活用させていただき、ちゃっかり名前を覚えていただきました。
話が少し、横道にそれましたが、このような組織の体質ができあがっているので、指示待ちの姿勢では務まらないのです。失敗を恐れずプロアクティブに挑戦するプロ意識を持った職員こそが求められるのです。(アクセス数 92)
2004年02月18日
【私の「自治体プロ職員」への道 6(プロ職員に求められる条件①)】
「アマチュアは問題を複雑にし、プロは明晰さと簡潔さを求める」というのは、日産の社長兼CEOカルロス・ゴーンさんが学校に通っていたときにラグロヴォールという神父さんに教わった教訓だそうです(「ルネッサンス」カルロス・ゴーン著ダイヤモンド社)が、プロの職員に求められる条件とは何でしょうか。
キーワードとしては、①個人②自律③積極性(失敗を恐れず挑戦すること)④成果や⑤キャリアといったことが挙げられそうです。
まず、最初の「個人」というキーワードですが、これまでは日本の社会では、自治体や国といった官公庁だけでなく、民間企業も個人よりも組織を重視してきたように思います。
右肩上がりの経済成長が続いていて、ほとんどの企業で終身雇用が保証され、賃金は年功序列になっていましたから、一旦安定した大きな組織に入りさえすればその後、定年までの人生は、面倒をみてもらえる仕組みになっていたので、敢えて個性を表に出し、打たれる杭になる必要がなかったとも言えます。 つまり、大きな組織に勤めること自体がローリスクの選択だったわけです。
しかし、これからはたとえ、ベンチャーの起業やヘッドハンティングなどで脱サラして組織の外に出なくても、つまり組織に属したままでも個人が主役になる時代になると思います。
また、大企業もかつてのようにその存在が保証されているわけではありませんので、小回りのきかない大企業に勤めることがハイリスクになる可能性さえあります。
つまり“Big eats small”(大は小を飲む)から“Fast eats slow”(早い者が勝つ)へと変わっているという時代認識を持たなければなりません。
組織として欲しい人材は、会社にしがみつく人ではなく、市場価値が高く、たとえ、その会社をやめても他で通用する人です。プロ野球のフリーエージェントを思い浮かべていただくとわかりやすいかもしれません。
組織にはそれぞれその名前やスタイルに違いはあるとしてもビジョンというものがあるはずです。組織に属する個人はそのビジョンを共有し、その達成のために貢献することが求められるわけですが、これからはそれだけでは十分とは言えなくなります。
個人もビジョンを持つ必要があるのです。個人としてのビジョン、つまりパーソナル・ビジョンを一人ひとりが持つことによって、組織と個人との関係が、主従関係から対等の関係に近づき、Win-Winの関係になっていくように思います。
余談ですが、ビジョンというものはわかりやすいものでなくては共有できません。そのわかりやすさを図る目安としては5分で説明できるか、どうかだということも一つの基準になると思います。
http://plaza.rakuten.co.jp/prosyokuyamaji/ で私の日記も公開しています。よろしければこちらも訪問ください。(アクセス数 586)
2004年02月19日
【私の「自治体プロ職員」への道 7(プロ職員に求められる条件②)】
二番目のキーワードの「自律」ですが、これには同音同義語として「自立」という言葉がありますが、微妙に違います。
自立した人間とは、組織や集団の中でも臆することなく、自分の立場を主張できる人のことであり、自律した人間とは、自立の域を超え、自己主張しつつ、相手の存在を認め、全体の調和の中でエゴをコントロールできる人のことです。
自律した人間は、自分も相手も双方が勝者になり、Win-Winの関係をつくることができます。
個人が自身のキャリアについて自分で責任を持つことが自律することになるのだと思います。つまり、所属する組織に面倒を見てもらうという意識を捨てることが、自律したプロ職員への道です。
三番目のキーワードの「積極性」ですが、これこそが大半の自治体職員に欠けていることではないでしょうか。
日米の企業開業率の差、つまりベンチャーが起業する数が米国に比べて日本が格段に低い理由の一つとして、「日本は失敗が許されない風土だ」ということが指摘されます。 私は文献で読んだだけで、実際に日米両国で起業したこともなければ、ましてや失敗したこともないので、本当のところはわかりませんが、日本では経営に失敗すると個人の人格まで否定された上に個人の資産まで手放さなければならなくなくことが多いようです。
また、今はさすがに少なくなったかもしれませんが、よく退職のときのあいさつで聞かされたことは「みなさまのお陰で大過なく・・・」ということばでした。
大した過ちをしなかったということは、リスクがある仕事に挑戦しなかったということです。新しいことや未知のことには失敗は付き物で、失敗から学んでいくのですが、失敗しそうな危ないことはやらなければ、100%失敗しない代わり何も改革できません。
北川前知事就任直後のエピソードですが、幹部職員が前知事に対して「これこれ、こういう理由でこの事業はできません」と理路整然と得意げに説明したことに対して、めったに職員をほめない前知事が感心して「君たちは、できない理由を探したり、論理的に説明したりすることにかけてはプロだな」と皮肉ったそうです。
米国の行政学者ストーン博士は「日本の自治体に失敗の自由(freedom of mistake)はあるか」と問うたそうですが、失敗を恐れて積極的に新しいことにチャレンジしてこなかったのがこれまでの自治体職員だったのではないでしょうか。
これからは、前例を踏襲したり、国の担当省庁にお伺いを立てたり、近隣や全国の自治体の横並びを気にして失敗しないようにするのではなく、住民の利益につながることであれば失敗を恐れず、リアクティブ(受動)ではなく、プロアクティブ(能動)な姿勢で仕事に取り組むことがプロの職員に求められます。
自称カナリア知事だった北川さん(三重県庁では役職で呼ばない「さん付け運動」を展開していますが、前知事は「自分のことも北川さんでいい」と言っていました)ではないですが、最初に炭鉱に入っていくときに持っていくカナリアのような役目を誰かがやれば、後からみんながついてきてそれが、大きな流れになるという、北京の蝶々の効果も期待できます。
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(アクセス数 511)
2004年02月20日
【私の「自治体プロ職員」への道 8(プロ職員に求められる条件③)】
四番目の「成果」(主義)に関しては、ある職場の勤務状況を聞いたときに驚いたことがあります。そこは、内部管理事務を行うセクションで県庁内でも残業時間が多いことで有名なところでした。
基本的に残業をしない主義の私の耳に入ってきたのは、そこに在籍する職員が昨年度の超勤時間の長さを競い合うような会話でした。聞くところによると超勤時間が年間1,000時間を超える職員がざらにいるらしいのです。
しかも、当人はそれを恥じるどころか、どうやら誇りや自慢にしているらしいのです。
私の意識としては、仕事の価値を測るのは質であって量ではないと思うのですが、とにかく長く仕事をしていればいい、もっと言えば、長く職場におりさえすればいいという意識です。いくら長時間働こうが、成果が上がらなければ、何の価値もありません。超過勤務手当を受給していればむしろマイナスです。
たとえ成果はあったとしても同じ内容を時間内に仕上げるのと比べれば、格段に価値は低くなります。第三セクターのしなの鉄道を黒字にした杉野正さんが「俺が黒字にしてみせる!」かんき出版で「社員の仕事に対する考え方は残業時間には比例しない。むしろ早朝勤務時間に比例するんだ」と言ってみえることに共感します。
この事例ほどではなくても、これまでは机で書類を広げておりさえすれば、今ではパソコンとにらめっこをしていさえすれば、仕事をしていると見なされました。
これからは、いかに短時間で成果を上げるか、いかに効率よく仕事をするかがプロの職員の条件になります。仕事をしているポーズで時間を浪費してもその分に手当ては支払われないと覚悟する必要があります。
管理職に表面的な管理(机に座っているかどうか。資料を多く作っているかどうか)をされなくても、自主的に自己管理し、成果を出してこそプロの職員と呼べるのではないでしょうか。
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2004年02月21日
【私の「自治体プロ職員」への道 9(プロ職員に求められる条件④)】
五番目の「キャリア」というキーワードに関しては、サンマイクロシステムズCEOのスコット・マクナリー氏の言葉を最初に紹介しておきましょう。
「同じ仕事を2年以上、続けるな。キャリアが陳腐化する」
2年未満の短い期間ではスキルが蓄積されないのではと思われますが、それに対しては「スキルが蓄積されるころには陳腐化するだけ。スキルは蓄積するものではなく、更新するもの」と言っています。
かつては、どこの職場にもその道何十年のベテラン職員がいて、その方がいないと仕事が回っていかなかったということですが、ITの進歩により、情報などが共有化され、いわゆる庶務の仕事も個人単位で行うようになりました。
ドッグイヤー(犬と人間の寿命を比較して1年が7年に相当するということ)どころかキャットイヤー(同じく1年が10年に相当するということ)といわれるほど、スピードが求められる社会では、自治体の組織や仕事も流動化は避けられず、職員の異動の時期や期間も、在職3年間で4月が異動時期ということに決めず、もっとフレキシブルにしないと迅速に対応できないのではないでしょうか。
また、キャリアのデザインは働く者としての個人の責務として、職員の自主的、主体的な研修のサポートなどキャリアデザインの支援のために人事部門は注力するべきではないでしょうか。
個人で自主的に問題意識を持ち、課題や業務に必要なキャリアを身につけることができる職員がプロ職員なのだと思います。
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2004年02月23日
【私の「自治体プロ職員」への道 10(チャンスには前髪しかない)】
チャンスは誰にでも平等に訪れると思いますが、そのチャンスをつかむアンテナをもっていなくては、自分にチャンスが訪れていることさえわかりません。
また、「チャンスの女神には前髪しかない」と言いますから、確実にものにしようと思えば逡巡していないでタイミングよく捕まえることです。
チャンスの女神に後ろ髪はないのですから目の前を通り過ぎてからでは、捕まえることはできません。
チャンスというと何か大きなことばかり連想しますが、ここで申し上げているのはビジネスチャンスなどといった、大きなことばかりではありません。むしろ日常の仕事の中に逃してはならないチャンスがいっぱいころがっているのです。
たとえば、私は毎朝、始業時間の最低1時間前に出勤して新聞(全国紙、ブロック紙、地方紙、専門紙)をチェックしています(仕事ではないので時間外手当の対象にしないのは当然です。また、土日などの休日もこの作業は欠かしません)。
さらに、昼休み等を利用して議会図書室で「日経ビジネス」「週刊東洋経済」といったビジネス誌もチェックし、自宅では「THE21」(PHP)や「ガバナンス」(ぎょうせい)を購読しています。
しかし、これらの記事をストックして読んでもその中で本当に参考になり、使えるのは10分の1にも満たないかもわかりません。さらにその記事をヒントにその関連をたどっていくといったところまでいく端緒になる確率はさらに下がるでしょう。極めて効率の悪い作業と思えるかもしれません。
しかし、大事なことはその確率は決してゼロではないということです。確率が低いからといってチェックをしなければゼロです。この違いは積み重なってくると大きいと思います。
また、みなさんのところにも講演会や講座、セミナーといったことからオフサイトミーティング、飲食を伴う各種交流会といった案内やお誘いがたくさんあると思いますが、私は単なる飲み会は別として興味があるものについては、可能な限り都合をつけ参加することにしています。仕事が忙しくても自分で後で取り返せるものならば対外的なことを優先するようにしています。
参加の形態は様々で、仕事に関係ないときは有給休暇を取っての参加になります。幸い三重県庁は、職員にキャリア・デザインを奨励しているので職場により差はありますが、職務との関連が広く解釈されているので助かります。
その代わり職務として参加した以上は、情報を共有するための報告といった成果はきっちり出す必要があります。
結果はあまり参考にならないケースもあったりしますが、少なくともそれは参加してみてわかったことで、逆にいえば参加してみなければわかりません。
こういった日常自分の回りにあふれている機会に積極的な態度で望み、ちょっとした手間を惜しまないことが次なる大きなチャンスへと結びついていくことになるのです。
「神は細部に宿る」という言葉を忘れないようにしたいものです。
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(アクセス数 324)
2004年02月24日
【私の「自治体プロ職員」への道 11(ヘッドワーク+フットワーク=ネットワーク1)】
人脈という言葉がなにか人を利用したり、また、自分が利用されたりする関係をイメージするようであまり好きではないので、「人的ネットワーク」という言葉を使いますが、ネットワークには、インターネットに代表される「クールなネットワーク」とフェイス・ツー・フェイスの「ホットなネットワーク」があるのではないかと思います。
その両方にそれぞれ良いところがあると思いますが、どちらか片方では完全に機能しないのではないでしょうか。別の区分として「公」と「私」、「ON」と「OFF」のネットワークがありますが、これを明確に区別することは難しく、あまり意味がないと思います。逮捕されたどこかの県の知事のように公私混同は論外ですが、公私融合の精神でいいのではないでしょうか。
かつてヘッドワークにあたる知識を得るために企画課に在籍していたとき、改革、キャリア、顧客満足、リーダーシップ、マネジメントなどに関して書籍を100冊読み、その要約と感想を書いた冊子(「知恵へのステップアップ」をつくりました。(続編もつくりかけましたが、途中から昨年4月に開設したホームページにアップするようにしました)
その目的は、自分の知識の確認になるとともに、それを庁内外の方にも提供することによってナレッジの共有を図ることが目的でした。
私の場合、新聞、雑誌、単行本などのオープンな情報で、自分の気になる、自分のセンスに合う記事などを見つけると、何とかその著者やそこで紹介された人と連絡が取れないかと考えます。単行本の場合は、著者のメールアドレスが入っている場合もありますが、大抵はそこまでの連絡先は入れていただいてないので、出版社や所属先に連絡し、電話やFAXを教えてもらい、「お会いしてお話したい」とお願いするのです。
また、講演会やシンポジウムで話を聞きたい方が登場するときは、事前にその方の本など書いたものを読んでおき、会場で蛮勇を奮って質問するようにします。なんとか印象を持ってもらったら会場の外などで待っていて名刺交換してもらい、メールアドレスなどの連絡先を教えていただくようにします。
いわばヘッドワークで仕入れた知識をフットワークを使って知恵にするのです。こういった方は本や記事を書いているぐらいですから、著名な方が多いのですが、私の厚かましいお願いに対してこれまで断られたことはあまりありません。その方の姿勢がオープンで、垣根が低いということが一番大きいのですが、やはり自分が書いたものに共感してくれるというのは誰でも嬉しいことなのではないでしょうか。
出会いには、セブンアップの法則というのがあるようでして、会いたいと思っている人には自分の知り合いを7人辿れば行き着くというのです。
つまり、その人本人は知らなくても、その人の会社と同じ会社の人を知っているとか、取引先の方を知っているとかいう人を辿っていくと目的の人に逢えるということらしいのです。そんなにうまくいくかどうかはわかりませんが、少なくともそれぐらいのマメさがあればなんとかなるでしょう。
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2004年02月25日
【私の「自治体プロ職員」への道 12(ヘッドワーク+フットワーク=ネットワーク2)】
さて、組織に属していますと組織内のネットワークも重要ですが、私はどちらかというと、組織の外の方との交流を活発にするべきだという主義です。「他流試合こそが社員を鍛える。社内で仕事をしているだけでは人は育たない」と富士ゼロックス総合教育研究所の方が書いているのを読んだことがありますが、そのとおりだと思います。
一旦、ネットワークを構築してもそれで安心していてはいけません。「人脈や情報網は一度構築すると、大きな武器になるが、逆にそれが陳腐化するとキャリアそのものが陳腐化する可能性もある」からです。(「キャリアショック」高橋俊介著 東洋経済新報社)
私がネットワークが陳腐化しないように心がけていることは簡単です。新聞などをチェックしていて自分には興味のない記事でも、「そういえばあの方はこのことに興味を持っていたなあ」と思ったら、それをメールでお知らせしたり、記事そのものをファックスしたりすることと、出張の際にネットワークの方の近くに行くことがあり、時間があれば声をかけてお会いするようにしていることです。その方を利用するのではなく、大切にしているということを示すわけです。そして訪問の際は生の情報というお土産は持っていくようにします。
クールなネットワークの代表的な手段にしているメールでこころがけていることは、クイックレスポンスです。メールをいただいたらとにかくすぐに返信するようにしています。忙しかったり、中には検討を要することもあって即答できないものもありますが、その場合でも「受け取りました。ありがとう」の返信ぐらいはすぐできます。難しいことを書こうとか、スマートに返信したいと思っていると中々できなくなります。
メールには開封済みメッセージの要求などの便利な機能があり、また、「返事をください」と書く手もありますが、受け取った相手は強要されているようでいい気はしない(「eメールの達人になる」村上龍著 集英社新書)ので、こうした方法はとりたくない以上、受け取った方としては届いたかどうかとそのお礼は送り手に教えてあげた方がいいと思います。
米国では、メールに対して3日間返信がない相手とは取引できないといいますし、名刺にメールアドレスが入ってないだけで商談できないといいますから、たかがメールぐらいとバカにできません。
迅速な対応が大事であるということに関して、IBMを蘇らせたルー・ガースナーは「スピードこそがカギ。集めた情報を分析し、検討を重ねることに時間をかけるよりも速やかに実行に移す方がはるかに良い結果をもたらす」と言っています。
つまり、「拙速は巧遅に勝る」という考えです。
ただし、メールのファックスや手紙に比べての「返信の簡便さゆえに時として陥穽(かんせい)になることも認識しておく必要がある。すなわち、表現が直接法になって、思いがけず相手を傷つける可能性もある。ITが進歩し、情報のやり取りや意見交換の速度が進めば進むほど、相手の立場に対する思いやりの心がますます重要になる」という米沢富美子慶大教授の指摘は忘れてはならないと思います。
あまりスマートとは言えない、私のネットワークの心がけと考えを書きましたが要は、アサヒビールの樋口廣太郎さんがおっしゃっているように「琵琶湖が水を満々と湛えていられるのは周囲よりも低い位置にあるからだ」ということを忘れないことではないでしょうか。オープンな心で、多様性を認め、垣根を低くしていれば情報は自然に入ってきてネットワークができると思います。
信頼を得て、仕事のことなどで何かを頼めるようになるには日々それなりのこまめな努力が必要です。いざという時に、電話1本、メール1通で何かを頼めるのが本当のネットワークなのではないでしょうか。
“A Supporter in Need is A Supporter Indeed.”(大変な時のサポーターこそ真のサポーター)とは、配信を受けている「浅野史郎メールマガジン」での宮城県の浅野知事の言葉です。
ネットワークを構築し、陳腐化しないように活用して仕事に役立てる要諦は3マメ(足マメ、口マメ、筆マメ)を忘れないことだと思います。
<お知らせ>
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2004年02月26日
【私の「自治体プロ職員」への道 13(主権在現(現場第一主義))】
「現場に、神宿る」(「金ではなく鉄として」中坊公平著 岩波書店)と言いますが、自治体の仕事においても現場の大切さは変わりません。
日本の企業が総じて不振を極める中でも業績の良いところ、いわゆる勝ち組の企業は、例外なく現場を重視しているようです。
例えば、ホンダの企業フィランソロフィーの一つが「三現主義」と呼ばれる、「現場、現物、現実に素直であろうという主義」だそうです。
また、12期連続増収増益を果した常勝企業である「ドン・キホーテ」にその強さを読み解く「10の社内用語」があるそうですが、その一つに「主権在現」があります。仕入れや値づけの権限が現場にあることを示していることばで、エンパワーメントの訳語として使われる「権限委譲」は本部の強さを連想させるので使わないそうです。
改革派の知事として知られる岩手県の増田寛也知事が、「霞ヶ関の官庁に対して自治体の強みは現場というフィールドを持っていることだ」と言っていますが、市町村に比べて中二階的な存在である都道府県は、特に本庁の職場においては現場からややもすると遠ざかってしまう傾向があります。
せっかく地域という現場をもっているのですから、そこに根ざした活動をしないのはもったいないことです。
我々行政マンは地域の政策を担当するものとして机上で理論を組み立てるのではなく、現場から発想するべきです。そしてその際に大事なのは、住民の方々の「こんなことをして欲しい」という、陳情なり要望をお聞きし、その実現に向けて努力するのではなく、住民の方々の「こんなことで困っている」という声を聞き、それを解決するにはどうしたらよいかを考えることがより大事だと考えます。
いわば「ニーズに応えるのではなく、潜在ニーズに対しての政策を考える」という一歩先の発想が事業官庁ではなく、政策官庁には求められているのだと思います。
商売の世界ではお客さんから「こんなものが欲しい」と具体的に求められても、その段階(ニーズ)ではもう遅く、高付加価値商品ではないということです。こんなことで困っているという(潜在ニーズ)をつかむことが大切だということです。
我々は、地域政策のプロとして日頃から現場を重視し、Reactive government(受身の行政)ではなく、Proactive government(積極的な行政)を心がけていく必要があります。
それには例えば、パスポートの有効期限がきている県民に対して、事前にそのことをお知らせし、なおかつご希望とあれば発行や郵送などのサービスをするのが「気がついたらパスポートが切れていて困った」という県民の潜在ニーズに応じた、顧客志向に立った、真に県民が満足する県政なのではないでしょうか。
新潟大学経済学部の大住荘四郎教授にインタビューしたとき、「日本には本当の意味で政策科学がない。つまり理論があって現場があり、また理論ということがない」と教えられたことがあります。
県庁でパソコンの画面だけ見て政策を立案するミニ官庁にならないように現場感覚を忘れないでいたいものです。
「最高のアイデアは常に現場から生まれる」20世紀最高の経営者とも評される、GE前CEOのジャック・ウェルチ氏の言葉です。(アクセス数 234)
2004年02月27日
【私の「自治体プロ職員」への道 14(こだわりと問題意識を常に忘れずに)】
自治体の仕事というのは、非常に幅が広く、地域の総合産業のようなものです。例えば、自動車メーカーや銀行などに比べて説明することが難しいということをインターンシップ制度で三重県庁で働いてみることを希望している学生に県の仕事を説明するときに感じました。
県庁の仕事は多岐にわたり、それこそ、思いつくだけで税金、健康福祉、農林水産業、道路や河川、港湾などの土木から教育に至るまでハードもソフトも、権力行政も補助金行政も含めて種々あります。
その中には、いわゆる内部管理事務のルーティーン・ワーク的な仕事もありますが、どんな仕事をやる場合でも創意・工夫といったこだわりをもって取り組みたいものです。
例えば、実際に私が担当した事例では、毎年恒例のイベントや講演会でも会場やゲスト、パネリストの選択を工夫することによってまるで違ったものになり、効果が格段に上がります。講演を誰にしてもらうかは、普段からの人的ネットワークが活用される場面と言えます。
ところで問題と課題は違います。問題は静的な状態で理想との差であり、課題は動的な方向性で問題を解決に近づける努力のことです。
ここではアカデミックな学問研究をするわけではないので、言葉の定義に厳密になる必要はありませんが、漫然と仕事をするのではなく、地域の現状を見ながら常に問題意識を頭に抱いて、何か改革できることはないかを思考しながら仕事をするのがプロの職員といえるのではないでしょうか。
「トヨタ生産方式では、問題を顕在化させる「自働化」以外にも、現場の人間が「困らざるを得ない仕組み」があらゆるところに組み込まれているそうです。トヨタ生産方式の生みの親と言われる大野耐一さんは、『「人間の脳は困らないと知恵を出さないよ』とよく言われていたそうです。
社員一人ひとりが困らざるを得ない、考えざるを得ない仕組みを自らがつくり上げ、それによって問題感度の高い主役となる社員が育ってきたことが、世界のトヨタになるまでの躍進につながっているわけです」
(「『ここがおかしい!』と言えるサラリーマンになる!」柴田昌治著 中経出版)
食品会社などの一連の不正の発覚では、組織の中で社員の問題感度や意識が欠如していたり、不十分であったことが原因の一つと考えられます。
自治体でも不正を防ぐというマイナス面の対策の意味からだけではなく、エクセレント・ガバメントをめざす意味からも、トヨタマンのように問題感度の高い職員(モノを言う職員)の意見を尊重する必要があります。
また、職員は日頃から問題感度を磨くため、知識、知恵の習得に務める必要がますます高まってきていると言えます。
(アクセス数 231)
2004年02月28日
【私の「自治体プロ職員」への道 15(失敗はチャレンジした証)】
樋口廣太郎さんは、「敗者は失敗から自分の力で立ち直って再び勝負を挑むガッツをもった人で、弱者は他人に依存して保護を受けなければ生きていけない人だ」と言っています。弱者に未来はありませんが、敗者には必ず次のチャンスがあります。
米国は失敗を評価する国と言われますが、井村屋製菓の井村正勝さんに伺ったところでは、実際に失敗した者は列の後ろに並んで再挑戦するのですが、その際どんなことで失敗したかをみんなに教えて情報を共有するのだそうです。
失敗した本人のチャレンジ精神を評価するとともに、その失敗の教訓までみんなで利用するとはたくましい限りです。
自分で挑戦して失敗した経験から学んだことと、本を読んで他人の失敗の話から学んだことが一番身につくと言います。
失敗の回数が多ければ多いほど挑戦した回数も多く、そこから学ぶことも多いということになります。要は失敗は学ぶチャンスととらえることです。
自分自身が経験した失敗から学ぶのが一番ですが、あらゆることにチャレンジして失敗するわけにはいきませんから、話を聞いたり、書籍を読んだりして他人の失敗から学ぶことも肝要です。
自分の失敗から学ぶのには、その失敗を受け入れる受容体をつくることが必要です。
他人の失敗から学ぶには、その失敗が情報として的確に伝えられていることが必要であり、そこから学ぶには、疑似体験といったことも必要になるでしょう。
日本ではよく失敗した本人を責めますが、これもそこからは何も生まれないという意味で有益ではありません。失敗した人ではなく、その事に対して原因等を冷静に分析して、今後に活かすことが大事だと思います。
政策は国に任せ、事業の執行だけをやっていれば良かった時代とは異なり、事業官庁から政策官庁へと脱皮する自治体は、新しいこと、未知のこと、リスクを伴うことにも果敢に挑戦する必要があるわけですから、失敗はつきものです。
失敗の自由があれば、「カナリア知事」(行政にも、雲行きを察知し身をもって周りに知らせるカナリアに倣った感覚を、三重県の北川知事が行く先々でけしかけている 01/7/7朝日新聞夕刊「窓」)ならぬカナリア職員として高い志をもって先進的な政策にチャレンジしていくことができるのではないでしょうか。
「人間の目は失敗したときに初めて開く」(ロシアの作家 チェーホフ)のです。
2004年03月01日
【私の「自治体プロ職員」への道 16(情報の主体的な発信による結合改善)】/アクセス数過去最高727
情報の受発信に限らず、人間同士の関係は一方通行の片務的なものは良好な関係とは言えず、長続きしません。よくギブ&テイクということが言われますが、田坂広志さんによれば「知的プロフェッショナルの世界はギブ&ギブン」だそうです。「まず、自分から与えて、そのときなぜか相手からも与えられる」ということです。
要は、決してテイクが先にくることはなく、また、見返りを期待してもいけないということです。ギブを3回くらい繰り返していたらそのうち、テイクがあるというくらいに思っていたらいいのではないでしょうか。
まず、利他の精神が必要でテイクを期待せず、ギブを繰り返す姿勢が求められます。それには、自分自身が与えるものを多く持っている必要があり、そのためには自己研鑽が必要になってきます。
また、アレックス.F.オズボーンのブレーン・ストーミング法の4つの基本ルール
である1批判厳禁、2自由奔放、3質より量、4結合改善の精神は、情報の受発信を活発にする場合にも応用できると思います。
一昨年の5月から私は、プライベートのメールマガジン「山路栄一ON&OFFメールマガジン」を毎週1回県庁内外に配信しています。
その内容は、地方自治や企業経営をめぐる課題、顧客満足、リーダーシップ、キャリアデザインに関する情報と私見や好きなことば、用語の解説、本の紹介などですが、このメルマガについても返信は期待しないようにし、ブレーンストーミングの精神で取り組んでいます。
最初のころは、やはり返信の数を気にしたりもしましたが、読んでいただく方にも都合があり、テーマによって興味があるときとそうでないときがあるでしょうから、受け取って読んでいただくだけでありがたいことだと思うようにしています。
この日記連載シリーズのトップを務めていただいた福岡市の秋吉さんに教えていただいた「沈黙への耐性」が必要です。
その代わり返信をいただいたときは、速やかにお礼とご意見・感想に対して感じたことをお返しするようにしています。
余談ですが、人から情報をいただいた時は、たとえそのことは既に知っていることであったり、あまり参考にならないことでも「そんなことはもう知っている」などと決して言わないことが、次からも情報をいただく秘訣だと思います。
「松下幸之助さんは、話を聞かせてくれた人に対して必ずしも役に立つ話でなくても、感心して褒めていたそうです。自分に話をしてくれた、その誠意に対する感謝の表現だったのではないかということです」。(「きっと芽が出る人の法則」江口克彦著PHP)(アクセス数 727)
2004年03月02日
【私の「自治体プロ職員」への道 17(「情報提供」から「情報共有」さらには「情報共鳴」へ】
米国のことばに「情報は自治の通貨である」というのがありますが、人的ネットワークを活用することにより、ひとりの能力ではできない高いレベルの仕事をする場合にもそのツールとして情報は最も大事な武器になります。
情報公開には、言われて仕方なく公開する「情報開示」やお知らせ広報的なイメージの「情報提供」のレベルから公開するだけではなく、その情報を住民と行政が共有して議論の土台にする「情報共有」さらには、共有するだけに止まらず、協働のレベルまで引き上げる「情報共鳴」までの段階があると言われます。
職員個人単位では、いかに優秀でも能力には限界があります。人間である以上、得手不得手があって当然です。そこは業務の外部委託であるアウトソーシングではありませんが、ネットワークを活用することで、総合的な力を発揮することが可能になります。
受発信する情報も最初から質を求めるのは無理なので、ブレーンストーミングの要領でまずは「質より量」でも構わないのでできるだけたくさん発信し、それを受けた方は「批判厳禁」を旨とし、「自由奔放」にその情報や見解にプラスして意見を重ねる「結合改善」の要領で繰り返していけば、結果的にみんなで意見や情報を共有することになり、共鳴の動きにつながるのではないでしょうか。(アクセス数 704)
2004年03月03日
【私の「自治体プロ職員」への道 18(何のために自治体職員を志したのか】
この日記を読んでいただいている方の中にも自治体職員の方がみえると思いますが、みなさんは、何のために自治体の職員になられたのでしょうか。
言い換えれば、職業として地方公務員を選択された理由は何でしょうか。
私の場合は、長男であり、卒業した大学のある東京で就職するわけにはいかず、地元に帰らなければならないという事情もありましたが、一番の理由は、「地域の発展に貢献したい」「企業のように営利を追求するのではなく、地域住民の福祉や生活の向上に寄与したい」といったことを夢として持っていたので自治体職員になりました。
みなさんもそれぞれ、夢や目標をもって厳しい競争試験を突破して自治体の職員になられたと思いますが、時が経つにつれて初心を忘れて日々の仕事に流されてはいないでしょうか。
自治体の職場にまだまだ成果主義の評価が導入されておらず、年功序列の賃金や昇任体系が維持されていたことも影響しているかもしれません。やってもやらなくても給与などの待遇が変わらなければあまりやる気が出てこないでしょう。
しかし、勤務評価制度にも徐々に成果主義の要素が導入されてくるでしょうから、職員の方でも採用されたときの純粋な気持ちを忘れないで自己研鑽したいものです。
「市役所」という言葉が文字通り「市民の役に立つ所」を意味するようになり、「お役所仕事」という言葉が非効率な仕事を意味するのでなく、効率の良い仕事の代名詞になるためには、職員一人ひとりが自治体職員をめざしたときの純粋な気持ちを忘れず、地域の発展に貢献する仕事をするという高い志に向かって進むことが求められると思います。(アクセス数 427)
2004年03月04日
【私の「自治体プロ職員」への道 19(住民が自治体を選ぶ時代)】
自治体は市町村にしろ、都道府県にせよ、地域におけるいわば独占企業のようなものです。好むと好まざるに関わらず、その地域では「競争相手のない会社」なのです。
三重県の北川前知事は、初当選してしばらくしたあと、職員に競争意識を持たせようとして、「向かいの吉田山(旧制三高の寮歌に出てくる吉田山ではなく、道路を挟んで三重県庁の向かい側にある丘のこと)にもう一つ県庁ができたと考えてみろ」と職員に言いました。
このことが何を意味するのかは明らかです。顧客である住民に供給者を選択する余地はなく、しかもその供給するサービスは嫌でも受ける必要のあるものばかりの状況では、生活していく上で、自分の自治体のサービスを要らないとは言えないのです。
英国ヴァージン・グループの創始者であるブランソン氏が「独占企業が支配しているマーケットほど参入しやすいものはない。なぜならそこでのお客は不満だらけだからだ」と言っているように、住民は自治体のサービスに不満