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“らいす”の研修思うまま日記
最終更新:
匿名ユーザー
“らいす”の研修思うまま日記
2004年08月12日
“らいす”の研修思うまま日記(1)
■本日のテーマ:「まずは自己紹介から」
みなさん、はじめまして! 本日より木曜日の日記を担当します“らいす”と申します。よろしくお願いいたします。
先週まで担当していらっしゃいました池上さん、お疲れ様でした。先日、札幌の地で池上さんよりバトンを受け取ったところです。
(池上さん、北川さん、その節は大変お世話になりました。スープカレーおいしかったですね)
「あんた誰?」そんな声が全国から聞こえてきそうなので、まずは自己紹介から始めたいと思います。
私は、東海地区の某中規模都市に勤めて10年目になる、現在31歳のどこにでもいそうな(たぶん)平凡な職員です。現在は職員研修に関する部署に所属しており、3年目を迎えています。家族は妻ともうすぐ1歳になる娘がいます。趣味といえるほどのものはあまりないのですが、学生時代から続けているバスケットや大学時代にアイスホッケーをやっていましたので、スケートやスキーなどのウィンタースポーツも好きです(最近はさっぱりです)。その他スポーツや歴史ものやクイズ番組などのテレビを見ながら、娘と騒いでおります。
「だから、あんた誰?」そう言われるのも無理もありません。今回日記の執筆を依頼されてから少々悩みました。本当に私でいいのだろうかと。
いろいろと相談させてもらい、みなさんから激励の言葉をいただきました。精一杯がんばりたいと思いますのでよろしくお願いします(もちろん不安もいっぱいです)。
この日記では現在職員研修を担当している一職員として、日頃思っていることなどを書きたいと思っています。あまり難しいことは書きません、というより書けません。そんな浅はかな考えで研修を担当しているのかとお叱りを受けるかもしれません。ただ私は難しい理論から入るよりも、現在の職場の実態や職員との対話といったものから見えてくるものから捉えたほうがいいと考えています。
このHPでは、「現在の人事・組織・給与・研修にモノ申す」という投稿が多いと思いますので、研修に対する素朴な疑問や研修を実施する側としてのお話ができればと思っています。
さて、本日は簡単に研修部門に異動する前の話です。私が市役所に就職してから最初に配属されたのは国保年金課国保係という部署でした。この部署は、毎年のように新人が配属されており、若い職員も多く、非常に活気のあった係でした。市役所に就職するまでは、一番奥に課長が座り、以下年齢順に並んでいるのでは?と徹底された年功序列的なことを冗談半分で考えていましたが、当時は若くて、私から見てとても信頼できる先輩が係長の両脇を固めており、だいぶ印象が違った覚えがあります。そのときの先輩方で今では同じ人事課で仕事をしているかたも多いこともあり、新人時代の記憶は特に強烈に残っています。結局、7年間同じ係に在籍し、その間オンラインシステムの開発や様々な制度改正にも携わることができ、とても勉強になりました。
そして平成14年。この年はいろいろな面で私にとって転機でした。
ますは、初めての異動で人事課へ。プライベートでは結婚をしました。慣れない仕事に加え生活環境も変わり、さらに地元の消防団に入っていたため、その年に開催される大会に出場するため毎朝5時起床で訓練。いきなりピンチを迎えました。それでも何とかしてしまうもので(いきなり離婚の危機も?)、いろいろありながらも現在を迎えております。
新人時代に私は当時お世話になった先輩にこう言われたことがあります。「お前はサメみたいなもんだな」と。
これは決して「凶暴」とか「すぐ噛み付く」ということではありませんよ(たぶん)。サメは動きを止めてしまうと死んでしまうという習性があるらしいので、何か自分が忙しくしていないと満足できない人間に見えたようです。さすがに月日も流れその性格も変わったかもしれませんが、どうせやるなら、何事にも真剣に、そして新しいことを考えていきながら臨んでいきたいと思っています。
次回のテーマは、実際に研修担当となったあと、その事務の内容について思うことです。
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■本日ご紹介する名言
「よしっ、やってみよう!試みのないところに、成功のあったためしは決してないのだ。」(ネルソン)
2004年08月19日
“らいす”の研修思うまま日記(2)
みなさん、こんにちは。“らいす”です。
私も含めて、アテネオリンピックに熱狂しているかたもいらっしゃると思います。寝不足で体調を崩さない程度に応援しましょう!
プライベートな話題で恐縮ですが、今日は娘の1歳の誕生日。こういう日の日記を執筆するというのは何かの縁かもしれませんね。
さて、1週間は早いものです。アクセス数が急増しているという話を聞き、ますます緊張しております。
■本日のテーマ:「研修って、派手な仕事じゃないんです」
実際に異動により研修を担当することになって、最初に一通り引き継ぎを受けました。研修という分野は扱う範囲が非常に広く、いろいろな形態でいろいろなテーマを取り扱っています。少なくとも今年度はどんなことをするのかはもちろん、どういうコンサル会社のなんという講師が担当するのかを覚えなければなりません。こういう業者の名前は似たようなもので(「マネジメント」「教育」「研究」「人材」「人財」とかの組み合わせが多い)、最初の頃はなかなか理解できませんでした。もっとオリジナリティがほしいところですね。
よく、他の職員と話していると、まるで研修担当は企画的で派手な仕事をしているかのように映るようです。みなさんはどう思いますか?
もちろん、1つの研修を企画するためには、職場や職員にどういう問題意識があって、それを解決するために、どういう職員に、どういった方法で、誰に研修をしてもらうかを決めていく必要があるため、そういう意味では企画的な仕事であるかもしれません。講師を決定した後も研修を実施するにあたって、打ち合せを繰り返していきます。考えてみると、ここまでのイメージで終わっている場合が多いのではないでしょうか。
私のような一担当職員には、それだけで終わるわけではありません。テキストなど配布物の印刷、当日の名簿、席表、講師略歴などの作成、外部講師の場合は講師送迎用の、受講生が移動する場合の車両の手配などの他にも、会場の設営のような肉体労働も1人か2人でこなします(研修専用の施設がある自治体がうらやましい)。テキスト1つについても、事前に配布すべきか、研修会場の机上にセットしておくのか、講師が配布するため講師の机にセットしておくのか、講師の進め方によって様々です。研修当日もエアコンやマイクの調整、水差しの用意、ホワイトボードのマーカーのチェック、必要に応じて模造紙などの準備。細かいところではホワイトボードをきれいにしておくといったこともあります(こんな細かいことでも講師の印象が異なるようです)。こういった仕事をやっていると、小学校や中学校のときの学級委員や日直をやっているような感覚に陥ります。これならアウトソーシングしたほうが、と言われそうですが、そこまで議論は深まっていません。都道府県や政令市とは規模が違いますし、しょせん少人数の職場ですから。。。
でも、そのとき考えるのは、あくまで研修の主役は受講生である職員です。そして、その受講生が安心して研修を受講でき、講師が信頼して研修をする、そんな環境づくりをするためにいかに自分が黒子として行動できるか、そのポイントに尽きると思っています。もちろん、その先には市民のみなさまに向けられています。
それからもちろん、受講生や講師へは明るいあいさつと最高の笑顔(?)で。以前、ある講師より「ここの研修担当は、必要以上に元気がいいですね」と受講生の前で笑われてしまいました。
さて、研修の「作業」のなかでもこれは分かりにくいと思ったのは、階層別研修の受講者名簿づくりでした。
研修には、例えば係長昇任者研修とか、昇任3年目の研修とかがありますが、そういった情報は全て人事が管理していて、そこからデータを引き出しながら行うものだと思っていました。おそらく人事はそういったデータは持っているとは思うのですが、研修に活用できていません。それは本市のやり方が遅れていることもありますが、人事と研修の連携ができていないことの1つです。本当に研修が必要な職員ではなく、機械的な指名になってしまうことにつながる1つの要因です。
ではどうやって名簿を作るのかというと、昇任者の場合は、4月1日付けの人事異動一覧表を見て、パソコンで作成するという、とても非合理的なやり方です。
係長昇任者と一口に言っても、その名称はいろいろです。異動表に「係長」(昇任)とあれば間違いないのですが、「□□所長代理」とか「△△長(係長級)」なども並んでおり、一瞬見落としてしまいそうです。それでもまだ表示によって分かるからいいのですが、「この肩書きは係長級なの?」と思ってしまうことも多々あり、たかだか名簿のことですが、ここで間違えてしまうわけにもいかないので、こっちも真剣です。それでも分からないのは、「◇◇長」は「係長級」だと理解していたものが、いつの間にか「◇◇長」が「課長補佐級」になっていたりします。
私「これって、どっちなんですかね?」
上司「人にくっついてくるから、その時々に確認するしかないよ」
分かったような分からないような。。。これだけたくさんの職員がいろんな職場にいるわけで、肩書きも一筋縄ではいかないですね。
いろいろな立場の人たちがまた同じ研修を受けているということ自体も、問題なのでしょう。
話はそれますが、同じ仕事をしているはずなのに、処遇のための昇任が多いために余計に複雑になっています。例えば、市内にはいくつか保育園がありますが、その園長も係長級、課長補佐級、主幹級と様々です。こういう状況なのに、係長研修には「園長(係長級)」を指名して、課長補佐研修には「園長(課長補佐級)」を指名する。こんなやり方の階層別研修も考えものです(これはまた別の機会に)。
まだ昇任者なら一部例外を除けば一覧表で確認できますが、昇任3年目研修の場合は、2年前の名簿を引っ張り出して、異動や氏名の変更がないかを確認して再作成しています。昨年度欠席者は今年も再指名したのち、2年前の名簿と比べて、誰か忘れられている職員がいないかをチェック。。。こんな作業をしばらく何回かの研修で続けていたら、さすがに嫌になってしまったので、研修履歴の管理と昇任年度を管理して一覧できるようなデータベースを作りました。これでだいぶ作業は楽になりましたが、受講者は機械的に抽出するだけではありませんので(いろいろ事情があります)、加工をしております。いずれにしてもまだまだ遅れているのです。こんなことでいいのだろうかと悩む日々です。
次回のテーマは、先ほど少しだけ触れました職場外研修についてです。
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■本日ご紹介する名言
「希望は強い勇気であり、新たな意思である。」(ルター)
いよいよシンポジウム開催まであとわずかになりましたね。私も地元ですし、準備から何でもお手伝いします!
と言いたかったところですが、急な仕事が入ってしまい、急いで駆けつけても懇親会の終了間際。。悲しい限りです。
終了直前に会場前でウロウロしているあやしい人物を見つけたら、私だと思ってください(笑)
2004年08月26日
“らいす”の研修思うまま日記(3)
こんにちは。先日シンポジウムが盛大に開催されました。
先週の日記にも記載しましたが、私はシンポジウムそのものには出席できず、懇親会からの参加となりました。こんな失礼な私に対し、温かいお言葉をかけてくれたみなさん、ありがとうございました!
話は変わりまして、昨日初めて人間ドックに行ってきました。何事も体が資本。定期的なチェックは必要です。まだお腹にバリウムがあるような。。
■本日のテーマ:「職場外研修について考える」
研修をやっていると、多くの要望や苦言、批判などが寄せられます(もちろん、逆もたくさん寄せられます)。
職場を離れ受講生を会場に集める研修、つまり職場外研修(集合研修と言ったりします)に関することが多く、中でも受講生をこちらで強制的に指名する研修は、非常に評判がよくないケースが多いです。前回紹介したような、係長昇任研修や昇任3年目研修というように階層別で実施する研修のことです。
能力開発の3本柱というと、自己啓発・職場研修・職場外研修のことを指し、そのなかで「能力開発の基本は自己啓発である」とものの本には書いてあります。とは言うものの、職員にとっては、研修といえば職場を離れて集団で行うものというイメージがあるため、現状はそのとおりにはいきません。研修を企画する側でも、口では「自己啓発が中心」と言いながら、研修の数、事務量、予算的にもこの職場外研修にかかるウェイトは高いのです。この職場外研修は後で研修内容や研修の数、受講者数という数字で残るため、実績として見えやすく、もっと上の上司や他の自治体はもちろん、議員のみなさんにとっても気になるところのようです。
こういった矛盾がありながら進めているため、私が研修を担当したときに違和感を覚えたことがいくつかありました。
「階層ごとの役割が明確でない」
現在の研修体系においても、このような職場外研修、中でも(評判の悪い)階層別研修に関する研修の数が最も多くなっています。本来、階層別研修を効果的に実施するためには、その階層ごとに求められる能力や役割が明確になっていないといけません。それが明確になってこそ、そのために何が必要かというものが見えてきます。
「組織の実体に合ってない」
職員の年齢別構成が変化することによって、組織のあり方も徐々に変わってきています。係制を廃止して、グループ制にするといったことは全国各地で見られることです。その変化に応じて研修のあり方も変わっていくべきです。
現状がどのような状況であるかを捉え、決して前例踏襲に陥ることなく常に見直していく姿勢は、研修に限らず求められていると感じます。
今後は階層別に画一的な研修を極力簡素化した上で少なくし、本当に必要なもののみにするとともに、より「自ら学ぶ」意識を高めるためにカフェテリア方式の研修を充実させることが考えられます。
カフェテリア方式というのは、研修部門があらかじめ用意したメニューの中で受講したいカリキュラムを選択するものです。考えてみると、採用年度が1年や2年違う者に違う研修を用意する必要はないでしょうし、毎回同じ顔ぶれで研修をやっても刺激もないし交流の幅も広がりません。階層別研修が「通過儀礼的な説明会」だと言われてしまうのはそのためです。本市でも少しずつではありますが取り入れて、問題を抱えつつも進んでいます。しっかりとニーズを把握することと、募集するときのPR能力が問われてしまいます。
この研修で得たものをどう職場に活かしていくのか、研修後の行動を大切にしていかないと研修そのものの意義が問われることになってきます。
こういう職場外研修では職員を拘束するものですから、その効果などは常に問われます。特に研修として誰をターゲットにしていくかは課題の1つです。そして、機会は均等に与えるが、こちらから一方的に指名するものではなく、自己責任のもとに受講できるようするにはどうするべきかを考えることです。人事と研修のリンクがはっきりせず、評価の基準があいまい、さらに研修の効果が図りにくいなど、問題はありますが。。。
また、こういった職場外研修では、研修内容を講師任せにするのではなく、研修担当の立場で聴講しています。研修の様子を見たり、休憩時に受講者と少しでも話をしながら、問題があれば軌道修正します。それ以外にも職員の意外な一面が見ることができ、意識の高い職員を見つけ、今後何かにつなげていければと思っています。
いずれにしても、こういったことは職場外研修だけで語るのではなく、広く人材育成の観点から考えていかなければなりません。
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■本日ご紹介する名言
「人は敗れたゲームから教訓を学びとるものである。私は、勝ったゲームから、まだ何も教えられたことがない。」(B.ジョーンズ)
2004年09月02日
“らいす”の研修思うまま日記(4)
こんにちは。昨日私は市の防災訓練に参加してきました。
強い日差しが照りつける暑い日となりましたが、最近の豪雨や台風の被害を思うと、こういった訓練の積み重ねの重要性を感じる次第です。
■本日のテーマ:「職場研修と自己啓発と派遣研修についても考える」
それでは、これらについて思うところをさらっと書きたいと思います。
● 職場研修(OJT)
他市町村の研修担当のかたと話をすると、今後力を入れていきたい研修は職場研修だという話になります。
たとえ職員個人に能力があったとしても、職場で発揮されてこそ効率的な行政運営につながることになるでしょうし、最も職場にいる時間が長いわけですから、そこで実務に直結し、必要なことを学び、個人として成長することができれば言うことはありません。今後、業務の複雑化や職員数の減少などの面や財政的な面を考えてみても、職場研修に期待する気持ちが強くなっています。また、スペシャリスト志向が強まるにつれてその傾向は続くものと思います。
こういう状況であるにも関わらず職場研修がなかなか活性化しないという話になります。原因として、業務が広範囲に渡りすぎ、担当しか分からないような仕事の仕方、各職場における人材育成への意識の低さ、実施するための制度自体がない、職場や人間関係に左右されるということが考えられ、効果的・継続的に実施できない特質を持つ研修ではないかと考えられます。また、研修担当が外から管理するのは難しいとされています。
で、最近思うのは、研修が管理しようとするからやってないように感じるんじゃないかってことです。実はよくよく聞いてみると、職場にもよりますが、各職場での勉強会は活発に行われています。研修担当が制度を作って、無理にでもやらせて、報告させるように管理することが果たしていいことなのか、それぞれの職場の自主的な動きを阻害しているのは実は私たちではないのだろうかって思うこともあります(誤解を招きそうな表現ですみません)。
そして、限られた予算の中、研修部門としてどんな支援をすることができるのか模索中です。
●自己啓発
現在は、通信教育受講料補助やパソコンなど時間外で行う講座への補助などを行っていますが、最近では組合などからの要望で、資格補助や書籍購入補助などの要望が出てきています。こういったものを奨励することは「自ら学ぶ」意識を高めようとするためのやり方の1つです。でも新しいことにはなかなか踏み込むことができません。例えば、共済会などで行っている補助との整合性はどうなのか、去年まで自費で勉強していたものはどうなるのか、今まで進んでやってきた人間は損するのか、等々。。少しでも勉強しようと思う人が増えればいいじゃないかと単純に思ってしまいますが、そうはいかないんですね。
もう1つ進めたいのは自主研究グループの活性化。他の自治体を見ていると、その充実具合に驚くばかりです。本市では長らく自主研究グループが1つしかなかったのですが、先日、「自主研究グループに登録してくれれば、こんな支援ができますよ!」と薦めたところ、念願の2つ目のグループが誕生し、活動を開始しました。これに続いて次は私だと企んでいます。何事も自分から動いていきたいものです。
●派遣研修
派遣研修は、前例に流されがちな今の仕事のやり方を見直す上で、他市との交流も持つことができ、職員への強烈な刺激にもなり、有効なものだと言えます。しかし実態は必ずしもそうとは言えません。派遣研修をご褒美や表彰であるかのようにとらえるかたも、まだまだ見受けられます。退職間際の海外派遣研修なんて言語道断です。
最近は公募も行っていますが、研修内容を事前によく理解した上で、職場と職員の能力の現状とを判断し、派遣する職員を所属長が決定する。いかに職場の問題解決や職員の能力向上に直結させていくのかを真剣に考えないといけません。
研修は手段であって、目的ではありません。形式にこだわるものでもありません。どのようなやり方であっても、目的意識をもって、効果が継続するように、相互にどう影響させていくのかが重要だと思います。
今、1歳の娘がいますが、一緒に歩行や食事のトレーニングすることは職場研修、1人で積み木などで遊んでいるのは自己啓発、市や地域の子育てサークルに参加するのは集合研修か派遣研修とでも言うべきでしょうか。全く0から教えるのは簡単ですが、それぞれ人生観を持ち、経験や知識のある人に研修をしようとするのは、なかなか難しい。でも、やりがいのある仕事です。
次回のテーマは、この数年で消えていった研修についてお話します。
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■本日ご紹介する名言
「常によい目的を見失わずに努力を続ける限り、最後には必ず報われる。」(ゲーテ)
2004年09月09日
“らいす”の研修思うまま日記(5)
こんにちは。
どーもです。さんも台風のことを書かれていましたが、台風の被害が数多く報告されています。それ以外に地震もこの数日で何回も発生しています。
この状況でありながら、情けない不祥事がありました。ある自治体で災害対策本部勤務中の幹部職員が警戒中であるにも関わらず、飲酒が発覚。
私たちは何をすべきか、誰に貢献すべきかを自らに問い、常に責任ある行動をしたいものです。
■本日のテーマ:「研修スクラップ物語」
(1)クレームされた『クレーム対応力強化研修』
ちょうど今から4年前、現職を破り初当選した市長の公約により、公聴部門の強化が図られました。それに伴ってかどうかは不明ですが、この『クレーム対応力強化研修』を企画・実施し、2年目のことです。次年度の研修計画を考えていたときに、
「市民の声がクレームだとは何事だ!」という“クレーム”が入りました。相手は某市議会議員。
もともと、この研修は2年行い、ある程度の成果はあったとして次年度は見直しを考えており、この声に屈して研修をやめたわけではありませんでした。しかし、まるで市民を言い負かす研修をしているのではないかとでも思い込んだのか、名称だけ見て、研修の目的やクレームの意味を取り違え、表面的にしか判断できない態度に少し苛立ちを覚えました。どこでもそんな態度をしているんじゃないでしょうね。
それにしても、クレーム対応に対するニーズはいつでも高いですね。
(2)『福祉ボランティア体験研修』~名ばかりのボランティア~
これは市内にある福祉施設に行って、実際に介護業務などを体験してもらうものでした。この研修がこの形で始まった経緯はあまりよく知りませんが(また政治的圧力?)、職員が時間中に行う研修がボランティアだなんて明らかにおかしい。しかもそういった分野に興味のある職員を募ったわけでもなく、各部で1名ずつほぼ強制的に参加させる従来どおりのやり方。私自身疑問を持ちながら研修の準備や進行をしていたことが、受講する職員にも伝わったのでしょうか、研修後の意見は散々な内容。こんな言行不一致な研修は早々にスクラップさせてもらいました。
(3)遊びと変わらない『保育業務体験研修』
この研修は当時、高卒で採用された職員のみで採用2年目に実施していたものでした。確かに他職種業務を経験するということは、幅の広い行政を知る1つのきっかけであり、悪いことではないと思います。しかし、です。研修に寄せられた感想は、「楽しかった」「またやってみたい」といった声のオンパレード。研修を通して何を得るのかという視点がまるでありませんでした(実施する側にも問題ありです)。受け入れる園のほうもただ人員が増えたという意識であり、前年の結果を見る限り疑問を持ちました。そのため私が担当になった年に早速廃止させていただきました。
体験研修は視野を広げ、新たな気づきを与えるという点では有効ですが、目的をしっかり持たないとこんな結果になります。
(4)『交通安全研修、倫理研修』~研修はアリバイづくり?~
職員による交通事故などの不祥事はあってはならないことですが、起こってしまうことがあります。こういったことを防止するために、事あるごとに注意を促したり、研修を行ったりしています。しかしこの手の研修に対する職員の意識は極めて低い。当事者意識がないことも原因でしょうが、研修内容もマンネリ化してしまう傾向があります。交通安全であれば、啓発のビデオを見たり、警察署職員の講演を聞いたり。これが午後に行われるため、休憩のために来ると言う職員まで現れる始末です。
こういう現状であるにも関わらず、何か起きたときは「今後、研修を行い、徹底を図っていきます。云々」といったことを決まり文句のように言うのです。こういうアリバイづくり的な研修はいい加減やめたほうがいいんじゃないかと思う次第です。早速、改善させてもらいました。
(5)『リスクマネジメント研修』~誰が担当なの?~
本市は東海地震の強化地域に指定されています。このような事態に備えるとともに、前述のような不祥事によるリスクに備えるためにこの研修を企画しました。職員の関心も高く、よい内容の研修も開催できたと思い、次の年はもっと充実させようと考えていました。
そして2年目。あらかじめ前年度中には研修の日程を決め、講師や会場などの手配も終え、いざ研修を実施という段階になって、防災担当課がよりによって同じ日程で同じ内容(防災関係に限定していましたが)を実施するという連絡がありました。これにはさすがに焦りました。だって、同じ部長の名前で通知して同じような研修をやるなんて、何て効率の悪いことをしているのかってことです。
結局は、研修の対象者や研修名、内容が重なり過ぎないように調整して実施しましたが、これも果たしていかがなものなんでしょう?それぞれの担当課で専門的な分野に関する研修を行うことはありますが、あまりにも乱発しすぎると、一体何のための研修なのか、それが分からなくなってきてしまうのではないでしょうか。
研修は前例をただ繰り返しているかのような印象をお持ちのかたもお見えでしょうが、内容の見直しは常に行われています。これからも職員の能力開発を支援できる研修を企画し続けていきたいものです。
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■本日ご紹介する名言
「成功とは結果で計るべきではなく、それに費やした努力の総計で計るべきである。」(エジソン)
2004年09月16日
“らいす”の研修思うまま日記(終)
「今回を含め近年受講した研修は、各人の取り組み方等から掛かる負担が異なり、違和感を覚えます」
これは、今年度のある研修を受講した職員から寄せられた意見です。
たれぱんださんが前回の日記でコメントしていただいたように、研修の目的は「時代の変化に柔軟に対応できる職員を育成するため」ということが根本にあると思います。そして、仕事上や職場において存在する諸問題の解決を支援することも大切だと感じていますが、上記の意見ではそれとは全く逆のこと、つまり、職場での問題がそのまま研修でも発生していることになります。
また、自治体において、企画や財政、人事などの「改革」がそれぞれ行われており、整合性がないと言われることがありますが、研修部門の中ではどうなのでしょうか。目指すべき職員像などで掲げているものと実際やっている内容にかなり隔たりがあるような気がします。先ほど記載した根本を踏まえ、全ての研修での関わりの中で見直すことが必要です。
自分の今までを振り返ってみて、役に立った研修がどれだけあったかと問われると、そんなことはほとんどないとお答えすると思います。ではどんなことが求められるのでしょうか。
私は昨年、千葉県にある自治体職員の研修機関で研修を受講し、その際、全国の研修担当者と議論や意見交換をすることができました。そして、あるコンサルの交流会に参加し、さらにこの有志の会を知り、今まで自分が前任者からの引継ぎのみで行っていた仕事を、いろいろな方との意見交換を通して、改めて考えることができました。研修っていうのは、こういう自分に対する気づきを得ることや、いろいろな立場の人との交流を通して自分を成長させていけるかってことが大事なんだなって思いました。
今の自分の立場でどれだけのことができるのかは、まだ分かりません。そんな中でも、今の仕事を進める上で自分が納得できないことや違和感を覚えたことを少しずつでも解消していきたいと思います。ただ評論や批判をしているだけでなく、行動として。人事と研修の連携が悪いと言われるのも、まずは研修のあり方を考えないといけないんだろう、と具体的ではありませんが考えています。
庁内イントラネットを活用した情報提供や意見交換、自主勉強会の実施などまずは身近なところから始めていって、徐々に少しでも新たな動きが生まれていけばいいのではないでしょうか。小さなことからコツコツと、です。
そして、「No.1にならなくてもいい もともと特別な Only one」(「世界に1つだけの花」より)という歌詞にもあるように、これからは職員個人にもっと着目して、それを活かしていける組織とは何かを考えていきたいです。これはもちろんいろいろな立場で議論できるかとは思いますが、自分の今の立場でも常に考えていきたいものです。
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■本日ご紹介する名言
「志さえ失わなければ、困難や問題はすべて新たな発展の契機として生かすことができる。」(松下幸之助)
6週にわたってお送りしましたこの日記も今日が最後になりました(最後だというのに、まとまりのないお話ですみません)。
未熟な知識と文章力のなさに、読み返すのも恥ずかしい限りです。この稚拙な文章に対し、最後まで読んでいただき、さらに多くのご意見をお寄せいただき、誠にありがとうございました。また、どこかでみなさんとお会いできる日を楽しみにしております。
ここまでは、“らいす”こと、愛知県岡崎市の杉浦が担当させていただきました。
来週は、西の国から、静かに燃えるあのお方が登場します。どうぞご期待ください!