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140508 中央アジアの非核兵器地帯条約、核保有5カ国が署名 [朝日]

 米国、ロシア、英国、フランス、中国の核兵器を保有する5カ国は6日、中央アジア非核兵器地帯条約の議定書に署名した。議定書は、核兵器国がカザフスタンなど中央アジア5カ国に対し、核兵器の使用や核による威嚇をしないよう義務づける。潘基文(パンギムン)・国連事務総長は同日、署名を歓迎する声明を発表し、米ロ英仏中に早期批准を求めた。

 同条約は、中央アジアのカザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの5カ国の非核化を目指し、2009年3月に発効。これら5カ国による核兵器の研究、開発、製造、貯蔵などを禁止する。核兵器国を対象にした同条約議定書では、核兵器国が締約国に対し核兵器の使用や核による威嚇を行うのを禁止し、条約違反につながる行為もしてはならないとする。

 米ロ英仏中は、国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会に合わせて署名。米国務省は署名後、「条約は国際的な核兵器拡散防止体制を強化する」とする声明を出した。

131014 政府、核不使用声明に初署名へ 従来方針を転換 [東京]

 政府は10日、核兵器の非人道性と不使用を訴えるため、有志国が国連の場で調整を進めている共同声明に賛同して署名する方針を固めた。同趣旨の声明はこれまで3度まとめられているが、日本が同調するのは初めて。米国の「核の傘」に依存する日本の安全保障政策と相いれないとして署名を拒んできたが、声明に拘束力はないと解釈することで有志国側との調整にめどが立ったことから方針転換した。政府筋が明らかにした。
 被爆地・広島出身の岸田外相は核軍縮推進へ強い意欲を表明している。14年には広島で関連の国際会議が予定されていることも踏まえ、反対姿勢を続けるのは望ましくないと判断した。
(共同)

131010 平和賞は化学兵器禁止機関 シリアで全廃に向け活動 [東京]

 【オスロ共同】ノルウェーのノーベル賞委員会は11日、2013年のノーベル平和賞を、内戦下のシリアで化学兵器の廃棄作業に着手した化学兵器禁止機関(OPCW、本部オランダ・ハーグ)に授与すると発表した。
 同委員会は「授賞を通じ、化学兵器廃絶に貢献したい」と表明。「シリアでの最近の出来事は、廃絶に向けた努力を強化する必要性を示した」と指摘した。また、決められた期限までの化学兵器廃棄を順守していないとして、米国とロシアを名指しで批判した。
 授与決定を通じてシリアでの化学兵器の全廃を後押しし、アサド政権と反体制派に協力を求めた形。

130921 52年前、米で水爆落下 NYなどあわや死の灰 [朝日]

 【ロンドン=伊東和貴】米ノースカロライナ州ゴールズボロ上空で1961年、広島に投下された原子爆弾の260倍の威力をもつ水素爆弾が米軍機から落下し、爆発寸前の事態になっていたことが分かった。英紙ガーディアンが21日、情報公開請求で開示された米公文書をもとに報じた。

 同紙によると、61年1月23日、飛行中のB52爆撃機がきりもみ状態になり、2発の水爆が機体から外れて牧草地などに落下。うち1発は、起爆を防ぐ四つの安全装置のうち三つがうまく作動せず、最後のスイッチが作動して爆発を免れた。もし爆発すれば、首都ワシントン、ボルティモア、フィラデルフィア、ニューヨークなどの大都市に死の灰が降り注ぎ、何百万人もの命が危険にさらされた可能性があったという。

 文書は、米エネルギー省傘下のサンディア国立研究所の専門家が69年に作成。米ジャーナリストのエリック・シュローサー氏が、核軍備競争に関する新著のために調査する中で入手した。

121022 日本、「核非合法化」賛同せず 30カ国以上が国連で合同声明 [東京]

 【ニューヨーク共同】核兵器使用の非人道性を訴え、国際法上非合法とする努力を各国に求めたスイスやノルウェーなど30カ国以上の合同声明が22日、国連総会第1委員会(軍縮)で発表された。日本は加わらなかった。
 声明は「全ての国は、核兵器を非合法化し、核兵器のない世界に到達する努力を強めねばならない」と訴えた。当初16カ国が準備していたが、参加国が増えた。
 今回の対応について、外務省は「核廃絶を目指す日本政府の立場と矛盾しない」(幹部)と説明するが、反核団体や被爆者団体からの批判も予想される。

120922 スイス製手投げ弾、シリア反体制派へ 永世中立国に波紋 [朝日]

 スイス政府は21日、スイス製の手投げ弾が、内戦状態にあるシリアの反体制派の手に渡っていたとする調査結果を発表した。永世中立国のスイスは、市民弾圧を続けるアサド政権への金融制裁は強めているが、内戦では特定の立場をとっていない。
 この問題は、スイス紙が7月、シリア反体制派がスイス製手投げ弾を持っている写真を掲載したことで発覚。永世中立の伝統を持つスイス国内で波紋を呼び、政府は一部の武器の輸出許可を保留していた。
 21日のスイス政府の声明によると、手投げ弾は2003~04年にアラブ首長国連邦(UAE)に正規に輸出された約22万5千発の一部。UAEは04年、「対テロ戦支援」名目でヨルダンに譲渡し、その後、シリアに流れたが、詳細は説明していない。
 スイスは武器の輸出先の国に、別の国への再輸出などをしないと確約することを輸出の前提としている。だが、このルールが導入されたのは06年のため、今回の事態になったという。UAEはこれ以外の再輸出はないと説明しており、スイスはUAEへの輸出を再開する方針。ほかの国への輸出も、紛争国へ流れていないか調べるとしている。
 スイスは昨年、68カ国に約8億7千万スイスフラン(約728億円)の武器を「防衛目的」で輸出した、世界で13番目の武器輸出国。09年には、武器禁輸の是非についての国民投票を反対多数で否決している。(カイロ=前川浩之)

110523 米国の新核実験、広島・長崎市長が批判 「容認できぬ」 [朝日]

 米国の新たな未臨界核実験について、松井一実・広島市長は22日、報道陣の取材に「実験が後になってわかること自体、不信感を生む話。米国には我々の核廃絶への切なる思いを理解してもらいたい。誤解を生むような対応は厳に慎んで頂きたい」と米国を批判。この日、広島市が断念を表明している2020年夏季五輪構想を考える招致検討委員会の会合に出席していた田上富久・長崎市長は、「実験の意味合いが十分わからないが、新しい核兵器開発につながるのであれば、被爆地として容認できない」と語った。

110523 米、新式の未臨界核実験成功 地下実験場使わず、X線で [朝日]

 米エネルギー省は、強力なエックス線を使う新しい形の未臨界核実験に成功したことを明らかにした。通常の未臨界実験は、ネバダ州の砂漠にある地下核実験場で火薬を爆発させて核兵器の性能などを調べるが、今回はニューメキシコ州の研究所で発生させたエックス線による超高温・超高圧状態を使った。

 同省によると、実験は昨年11月と今年3月、サンディア国立研究所とロスアラモス国立研究所のチームが実施。「Zマシン」と呼ばれる装置が発生させる強力なエックス線をプルトニウムに照射し、データを収集した。

 同省国家核安全保障局(NNSA)のクック副局長は「実験の成功は、地下実験をしなくても保管中の核兵器の安全性や有効性を調べられることを意味し、オバマ大統領の核安全保障の考えの実現を支援するものだ」と述べた。

101112 クラスター爆弾全廃へ66の行動計画採択 締約国会議 [朝日]

 【ビエンチャン=前川浩之】ラオスの首都ビエンチャンで開かれていたクラスター爆弾を禁止する条約の第1回締約国会議は12日、「クラスター爆弾なき世界」に向けた具体的な手順を示す最終文書を全会一致で採択し、閉幕した。全締約国が全廃へ取り組む仕組みを整えたことで、保有国で条約に署名していない米ロ中などへの国際的な圧力の強化を図った。

 採択されたビエンチャン宣言は、国際社会として全廃実現へ向けた努力を約束。さらに66項目のビエンチャン行動計画で、締約国は発効後1年以内に保有弾の廃棄計画を作り、廃棄開始のため努力するよう求めるなど「理念から行動へ」の手続きを明文化した。

 市民の被害が絶えない不発弾の除去のほか、犠牲者支援の促進や人権尊重を盛り込んだ。また、保有弾の種類や数を原則共通の書式で条約事務局に毎年報告する制度や期限も決めた。

 こうした具体的な手続きを一致して積み重ねることで、世界の7~9割を保有する米ロ中など保有国に対し働きかけを強める。様々な国際会議を利用して未締約国へも参加を呼びかけ、来年9月、同じく被害国のレバノンで次回の締約国会議を開き、計画の進み具合を確認することも決めた。今年8月1日に発効し現在108カ国が署名、46カ国が批准した条約の締約国拡大への取り組みも続ける。

 条約作りを主導したNGO「クラスター爆弾連合(CMC)」によると、今回の会議を通じて、日本やベルギーなど7カ国がラオスなどの被害国に1年換算で約1400万ドル(約11億5千万円)の資金援助を表明。国連も受け皿となる新たな基金を設立した。ラオスが必要だと訴えた年間3千万ドルには届かないが、「全会一致文書で国際支援義務を促した意義は大きい」(国連筋)という。

 会議に参加した米国NGO「レガシーズ・オブ・ワー(戦争の遺産)」のブレット・デイキン代表(34)は「クラスター爆弾禁止の国際標準が強化された。米国などにも圧力をかけ続け、クラスター爆弾を使わせないことが大切だ」と語った。

101112 ドイツとスウェーデンが徴兵制廃止 背景に財政難 [朝日]

 欧州の経済危機が、安全保障のあり方も変えようとしている。ドイツが長年維持してきた徴兵制を廃止する見通しとなった。スウェーデンはこれに先立ち、7月に廃止した。冷戦後、欧州の多くの国々が志願兵制へと変更してきた中、なお徴兵制を維持してきた両国が撤廃に動いた最大の理由は、財政難だった。 

 ドイツの政権与党キリスト教民主同盟(CDU)と同社会同盟(CSU)は9月、幹部会を開き、徴兵制廃止を含むグッテンベルク国防相の連邦軍改革案を了承した。

 正式な決定ではないが、連立を組む自由民主党が廃止を求めたのに対し、CDUとCSUが難色を示してきた経緯から、廃止は確実。野党も基本的に賛同しており、近く開かれるCDU党大会で正式に承認された後、政府内で作業が始まり、早ければ来年7月にも廃止される。

 志願兵制を導入するとともに、連邦軍の兵士数を現在の約25万人から16万~19万人まで減らす計画だ。ただ、基本法(憲法)の兵役義務条項は削除せず、将来、安全保障環境の変化があれば再導入する余地を残す。与党内の保守派をなだめる意図もあって、国防相は「廃止ではなく中止」と説明している。

 ドイツは冷戦中、旧共産圏のワルシャワ条約機構軍の侵攻に備え、国内に大規模軍を置いていた。だが、冷戦終結後、欧州統合も進展して周囲は友好国ばかりとなり、軍の役割は国防から海外派遣へと大きく転換。カンボジアやコソボで活動を広げてきた。アフガニスタン駐留も続き、戦死者が増えている。

 一般の若者が短期間兵役を務める徴兵制より、専門性の高い職業軍人を求める意見は、軍内部でも強まった。

 さらに、金融危機対応で悪化した財政事情から、戦後最大の歳出削減策が決まり、国防省は2014年までに83億ユーロ(約9千億円)の国防支出削減を求められた。「少数のプロの軍隊」に切り替えることで、人件費や国内の兵舎の維持費を削減する。

 ドイツの徴兵制は長い歴史と伝統を持つ。しかし、制度は事実上、空洞化していた。

 ナポレオンの支配に対抗するために始まったドイツの徴兵制は、第1次世界大戦の敗戦によってベルサイユ条約で禁止された。だが、ナチス政権下で復活。第2次大戦でドイツ国防軍が壊滅した後は、東西対立を背景に再軍備を認められた西独が1957年、また徴兵制を敷いた。

 旧軍の経験から徴兵制がタブーとなった日本に対し、ドイツでは、軍が市民社会から隔絶して「国家内の国家」のように振る舞うより、「制服を着た市民が兵役を務める徴兵制」こそが、軍と民主社会を緊密につなげる、という考え方をとった。

 ドイツ連邦軍は、人間の尊厳を冒す命令や違法な命令への不服従の権利を認める「民主的な軍隊」を目指した。兵士の権利を保障するオンブズマンが議会に置かれ、兵士の組合も存在する。

 しかし、良心的兵役拒否が認められる中、安全保障情勢の変化も受け、現実に兵役に就く人数は対象者の一部にとどまり、公平性が問題になってきた。国防省によると、09年の兵役対象者約45万人のうち、実際に兵役に就いたのは約7万6千人で、2割を切っていた。以前は、徴兵検査による5段階の適格等級が「3」でも招集されたが、現在は最適の「1」でも招集されない場合があるという。

 かつて18カ月だった兵役期間も段階的に短縮され、今年7月の対象者からは6カ月となっていた。海外派遣が軍の主任務になったのに、十分な訓練期間をとれずにいた。

    ◇

 スウェーデンは今年7月、1901年から続いてきた徴兵制を廃止、志願兵制に移行した。

 同国は、ロシアと西欧諸国の影響のはざまで、長く非同盟を国是としてきた。二つの世界大戦で各国から批判を浴びても中立を維持した。冷戦下で西にも東にも属さず「自分の国は自分で守る」姿勢を支えたのが徴兵制だ。18歳になると、平均で11カ月の兵役を課した。人口約900万に対し、冷戦時には最大約80万人の兵力を確保していた。

 だが冷戦崩壊で、ロシアの脅威は減少。95年に欧州連合(EU)に加盟すると、中立の意味は空洞化した。数よりも専門性などの質が重視されるようになり、近年は徴集兵は約7万人に減っていた。

 常備軍でないため起きる不都合も目につくようになった。アフガニスタンに派兵するために半年間の特別訓練を実施しなければならない。しかも装備が最新になるたび再訓練が必要になった。「時代遅れで非効率」(地元紙ダーゲンス・ニュヘテル)と、不要論も高まっていた。

 最終的には金融危機が廃止を決定づけた。財政再建策の一環として、兵員維持経費を、30億クローナ(約360億円)から、3分の1に減らす必要性に迫られた。(松井健=ベルリン、土佐茂生)

    ◇

 〈世界の徴兵制度〉 英・国際戦略研究所の「ミリタリー・バランス」2010年版などによると、徴兵制を採用しているのは、韓国、北朝鮮、ベトナム、イスラエル、イラン、スイス、ロシア、キューバ、ブラジルなど世界50カ国以上に上るとみられる。国家にとっては長期にわたり安定的に兵士を確保できるメリットがある。一方、強制的な措置で個人の自由との兼ね合いが問題になりやすい。そのため欧州では、宗教的信条などを理由に「良心的兵役拒否」を認める国も多い。主要国では、米国はベトナム戦争を終えた73年に徴兵制を停止、全員志願制をとっている。

100806 核なき世界へ米大使・国連総長ら集う 広島「原爆の日」 [朝日]

 広島は6日、被爆から65年の「原爆の日」を迎えた。広島市中区の平和記念公園では午前、「原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」(平和記念式)があり、原爆を投下した米国や核兵器を保有する英仏両国の代表が初めて参列した。潘基文(パン・ギムン)・国連事務総長も初参列。核保有国のロシアも含め過去最多となる74カ国の代表が集い、核廃絶に向けた国際機運の高まりを象徴する式典となった。

 式典は午前8時に始まった。市発表の参列者は5万5千人。米国からはルース駐日大使、英仏両国からは臨時代理大使が参列した。前日までの1年間に死亡が確認された5501人の名前を記した名簿を、秋葉忠利市長と2人の遺族代表が原爆死没者慰霊碑に納めた。死没者の累計は26万9446人になった。菅直人首相、潘氏、天野之弥(ゆきや)・国際原子力機関(IAEA)事務局長、9カ国の代表らが慰霊碑に次々と献花。原爆が投下された午前8時15分に「平和の鐘」が鳴らされ、全員が1分間の黙祷(もくとう)をささげた。

 秋葉市長は平和宣言で、米英仏の代表や国連事務総長の初参列について、「核兵器廃絶の緊急性は世界に浸透し始めている」と評価。「こがあな いびせえ(こんな恐ろしい)こたあ、ほかの誰にもあっちゃあいけん」と、被爆者の声を広島の方言で紹介し、核廃絶のためには、「被爆者の本願」を世界に伝えることが必要だと指摘した。

 被爆国として「核廃絶に向けて先頭に立つ」と表明している日本政府に対しては、米国の「核の傘」からの離脱と非核三原則の法制化を要求。5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議の最終文書で言及された核兵器禁止条約実現のために、日本が主導的役割を果たすよう訴えた。

 菅首相はあいさつで非核三原則の堅持を誓い、「具体的な核軍縮・不拡散の措置を積極的に提案していく」と表明。潘氏も「核兵器が存在する限り、私たちは核の影におびえて暮らすことになる」と訴え、「核兵器のない世界という夢を実現しましょう」と呼びかけた。

 今年3月末現在、被爆者健康手帳を持つのは22万7565人で、前年同期に比べ8004人減った。平均年齢は76.73歳で、前年より0.81歳上がった。

100801 クラスター爆弾禁止条約が発効 米ロ中は未加盟のまま [朝日]

 【ニューヨーク=丹内敦子】不発の子爆弾が深刻な被害を生むクラスター(集束)爆弾の使用や製造を禁じる条約が1日、発効した。条約発効を受けて加盟国は、原則8年以内に保有する爆弾を廃棄するのと同時に、被害者支援などの義務を負う。

 条約はクラスター爆弾の開発、移転(輸出入)なども禁止する。これまでに日本をはじめ、108カ国が署名、38カ国が締結した。ただ、不発弾率が極めて低い厳しい規格に合った新型爆弾は規制から外れたほか、大量のクラスター爆弾を保有する米国、ロシア、中国は未加盟のままで、加盟国の拡大が当面の大きな課題となる。

 同条約は、2007年にNGOの協力を受けてノルウェー政府が提案。有志国による「オスロ・プロセス」と呼ばれる方式で交渉開始から3年半での発効にこぎ着けた。この手法は、1999年に発効した対人地雷禁止条約(オタワ条約)が手本になった。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は、クラスター爆弾禁止条約発効について「軍縮や人道的な課題にとって大きな前進」と歓迎する声明を出した。

 米中ロなどクラスター爆弾の主要保有国が加盟する見通しは今のところないが、オタワ条約では多くの国が参加したことで形成された国際世論が保有国への圧力となり、現実としては地雷使用に歯止めがかかった。クラスター爆弾禁止条約にもこうした効果が期待されている。

 同条約の第1回締約国会議は、11月にラオスで開かれる。同国にはベトナム戦争時に米軍が使用したクラスター爆弾の不発弾が今も大量に残されている。

100529 核禁止条約構想に言及 NPT再検討会議が最終文書採択 [朝日]

 【ニューヨーク=丹内敦子】国連本部で開かれていた核不拡散条約(NPT)の再検討会議は28日、核廃絶への具体的措置を含む64項目の行動計画を盛り込んだ最終文書を全会一致で採択、閉幕した。再検討会議での文書採択は10年ぶり。期限は示せなかったが、「核なき世界」の実現を目的に掲げ、「核兵器禁止条約」構想にも言及した。

 NPT体制は、前回2005年の再検討会議が文書を出せずに決裂。06年、09年の北朝鮮の核実験などもあり、深刻なひずみが指摘されていた。だが今回は、オバマ米大統領の核軍縮路線も手伝って最終文書の採択にこぎつけたことで、深刻な危機は回避された形だ。今後は核保有国側がきちんと核軍縮を進めるかなど、行動計画の実施状況が課題になる。

 最終文書では、行動計画に盛り込む形で、核保有国が核弾頭数を減らすなどの核軍縮の成果を、14年に開催されるNPT再検討会議の準備会合で報告すると決めた。非核保有国側は、核廃絶に向けた行程表をつくるための国際会議を、この年に開くよう求めていたが、米ロ英仏中の核保有国が反対し、後退した表現になった。

 一方で、NGOなどが働きかけてきた「核兵器禁止条約」構想も初めて言及された。具体案には踏み込んでいないが、核問題専門家や外交官らからは「今後の核軍縮の議論に影響する」との評価が出ている。

 平和利用を装った核開発を防ぐ有効策として期待される国際原子力機関(IAEA)の抜き打ち査察を可能にする「追加議定書」については、途上国からの反対が強く、義務化は見送られた。

 地域ごとの問題では、中東の非核化地帯創設などをうたった95年の再検討会議での「中東決議」の有効性を再確認。その実現策を話し合う国際会議を12年に米英ロと国連の共催で開くよう提言した。中東諸国の中でも、NPT未加盟で、核保有が公然の秘密化しているイスラエルの取り扱いが、会議終盤に最大の争点になっていた。

 一方、北朝鮮については、同国の核開発は核兵器を持つ国を増やさない体制への重大な挑戦だと確認し、6者協議で約束した非核化の義務を完全に果たすよう求めた。

 今回の会議でも、核を持つ国と、持たない国との意見の隔たりは残った。しかし、最終盤で「失敗の汚名を負わされたくない」(外交筋)との思いが各国を後押しして全会一致になった。

 NPT加盟の非保有国でありながら、平和目的の原子力研究をかくれみのに核開発を進めている疑いが持たれているイランは、会期中、国連安全保障理事会に追加制裁の草案が提示されたため、全会一致による最終文書採択に協力するかどうか心配された。だが、最終文書中で名指しの批判が回避されたこともあり、結局は賛成した。

100506 核保有5カ国「核なき世界目指す」 NPT会議で声明 [朝日]

 【ニューヨーク=玉川透、丹内敦子】国連で開催中の核不拡散条約(NPT)再検討会議で5日、米ロ英仏中の核保有5カ国が、オバマ米大統領が唱える「核なき世界」の実現に向け積極的にかかわる決意を示した共同声明を発表した。米国主導のNPT体制強化に他の核保有国も協力する姿勢を示すことで、今後の非核国との交渉に弾みをつける狙いがある。

 声明は、核廃絶への「明確な約束」を盛り込んだ2000年の最終文書などを再確認し、核軍縮に積極的に取り組む姿勢を強調。「核なき世界というゴールに向かって揺るぎない関与をする」とした。

 前回05年の会議では、核軍縮に消極的なブッシュ米政権の下で核保有国の足並みがそろわず、声明を出せなかった。その失敗を教訓にオバマ氏は、昨年9月の国連安全保障理事会首脳会合で「核なき世界」を目指す決議を全会一致で採択、3月のG8外相会合でも核軍縮への「現実的な努力を倍増させる」とする共同声明を採択するなど、着々と下準備を進めていた。

 再検討会議は今後、成功の目安となる最終文書の採択を目指し実質協議に入る。専門家は「グループごとの討論になる国際会議で、核保有国が共通の態度を示すことは成功の第一条件だ」と評価する。

 しかし、声明に賛同した核保有国の結束も万全ではない。特に、核兵器の近代化を図る中国は核弾頭や戦略を含め核計画の透明性が低いとされ、動向が焦点となる。

0409 米ロ、新核軍縮条約に署名 オバマ氏「長い旅の一歩」 [朝日]

2010年4月9日3時6分
 【プラハ=望月洋嗣、副島英樹】オバマ米大統領とロシアのメドベージェフ大統領は8日、チェコの首都プラハで両国の戦略核をそれぞれ1550発以下に削減する新たな核軍縮条約に署名した。発効すれば、米ロは配備する核弾頭数を、現状から約3分の1減らす義務を負う。両国は新たな核軍縮や核不拡散体制の強化で世界を先導する姿勢を鮮明に打ち出した。

 署名式はオバマ大統領が昨年4月に「核なき世界」をめざす方針を示す演説を行った広場を望むプラハ城で行われた。オバマ大統領は署名後「新条約は重要な前進だが、より長い旅路のほんの一歩にすぎない。この条約はさらなる削減へのおぜん立てにすぎない」と述べ、戦術核や保管中の核兵器を含めた削減を進める考えを示した。メドベージェフ大統領は「数カ月前には不可能と思われたが最終的に署名できた」と強調した。

 新条約は1991年に署名し、昨年12月に失効した第1次戦略兵器削減条約(START1)を継ぐ形で、新STARTと呼ばれる。

 双方が配備する戦略核弾頭の上限を各1550発、大陸間弾道ミサイルなどの運搬手段については配備を各700、未配備も含めた総計は各800までと定めた。削減の相互検証や査察も義務づけた。発効後10年有効で、発効から7年以内に削減を達成する義務がある。

 米国は「この20年ほどで最も包括的な核軍縮条約」(オバマ大統領)への調印を、新たな目標としての核テロ防止や国際的な核不拡散体制の再強化につなげたい考えだ。

 ただ、合意を優先したあまり、今回の条約は実質的な削減効果は少ないとされる。米国のミサイル防衛(MD)システムをめぐる対立は解消されず、ロシアはMDの脅威が高まった場合、一方的に条約から撤退する権利を持つとする特別声明を出した。

0217 クラスター爆弾禁止条約、8月発効 米・ロは不参加 [朝日]

 【ニューヨーク=丹内敦子】国連は16日、不発弾による民間人の被害が深刻なクラスター(集束)爆弾の使用や製造を全面的に禁止する条約の締結国が発効に必要な30カ国に達し、8月に発効すると発表した。

 ブルキナファソとモルドバが同日、条約締結の報告をした。潘基文(パン・ギムン)事務総長は「世界的な軍縮に向けて大きな前進」と歓迎するコメントを出した。

 日本は昨年に条約を締結。自衛隊は条約発効後、原則8年以内に保有するクラスター爆弾4種をすべて廃棄しなければならない。一方、米国やロシア、イスラエルなど大量に保有、製造している国は条約を締結しておらず、今後はそうした国の参加をどう促進していくかが焦点になる。

0208 「核の傘から脱却、非核地帯設立を」地球市民集会が採択 [朝日]

 国内外のNGO関係者や被爆者、学者らが集まって長崎市で開いていた「第4回核兵器廃絶 地球市民集会ナガサキ」は8日、核兵器を禁止する条約の制定や、日本などが「核の傘」を捨てることを求める「長崎アピール」を採択し、閉会した。5月に米ニューヨークで開かれる核不拡散条約(NPT)再検討会議に向け、政府や国連、核兵器保有国に被爆地からの声として届ける。

 アピールは集会の3日間の議論を踏まえて起草された。「核兵器の使用は人道に対する罪だ。政府が市民社会と協力して廃絶のプロセスを目に見える形で始めるよう要求する」と主張。核兵器を廃絶する条約を国と市民の代表者が協議するプロセスをつくる▽「核の傘」に依存せず、新たな非核兵器地帯の設立をめざす▽オバマ米大統領をはじめ世界の政治指導者に被爆地の広島、長崎訪問を求める、といった訴えを盛り込んだ。

 実行委員長の土山秀夫・元長崎大学長は「オバマ政権の誕生で核廃絶に向けた明るさは増しており、実りのある集会になった」と語った。

 集会には国内だけでなく、米英やインド、ドイツなどから延べ約3800人が参加。閉会後、長崎原爆資料館から爆心地まで花一輪を持って歩き、平和を祈った。
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