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★階級と国家の成立

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20世紀の半ば、イラク北部のジャルモで、紀元前8000年~6000年頃のものと推定される集落の遺跡から、打製石器・磨製石器,動物や人物を表現した土偶とともに、小麦・大麦などの穀物や山羊・豚・犬などの骨が出土した。西アジアにおける農業・牧畜の開始を明らかにする重要な遺跡の一つである。

ティグリス・ユーフラテス両河流域のメソポタミアから地中海沿岸のシリアにかけて細長く発達した緑地帯を、「肥沃な三日月」Fertile Crescent)と呼ぶが、この地帯が、最古の農耕文化の発生地と考えられている。

動物を求めて移動を余儀なくされる狩猟から農耕の移った人間は、定住生活を始め、家族の小集団より大きな血縁的な集団(氏族)を構成単位とする本格的な集落を営み始める。
土地は氏族の共有で、生産活動も多くは共同で行われたと見られている。ただし、このような原始的共同体の姿は、近現代未開社会の研究をもとにして推定されたもので、近年の研究では修正が求められている。

余剰生産力が生まれると、それは氏族の有力者に帰するようになった。彼らは、広い土地をあわせて多くの家畜を私有し、富と権力を高めた。やがてそれは世襲的に固定し貴族階級が生まれた。一方、生存競争に敗れた者や、集落間の抗争に敗れ捕虜となった者はまったく経済的にも身分的にも拘束される奴隷となって支配を受けた。

同時に、人口が増加し、交易が発達したことにより、氏族間の融合が促された結果、血縁的な繋がりは薄くなり、より大きな単位の社会が形成された。これを部族社会と呼ぶ。部族は、一定の地域に中心となる集落や城塞をつくり、そこには、部族の神を祀る神殿があり、神官・貴族・軍事指導者などの支配階級が集住して、周辺の住民を統治する機構を作り上げる。富はここに集まり、大きな経済組織も生まれる。これが都市国家である。農耕文化の発祥地である「肥沃な三日月」地帯から最古の都市国家も生まれた。
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