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◎生命倫理06Ⅰ

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◎科学と倫理 ラインナップ

0607 ハーバード大、ヒトES細胞の作製承認…資金独自調達 [読売]

 【ワシントン=増満浩志】米ハーバード大は6日、人間のクローン胚(はい)を使った胚性幹細胞(ES細胞)の作製を承認したと発表した。

 ES細胞は卵を壊して作るため、ブッシュ政権は倫理的に問題があるとして政府の研究助成を禁じている。同大は民間資金を独自調達して作製、様々な病気の治療に生かすための研究を推進する。

 承認されたのは、糖尿病や神経難病などの患者から採取した遺伝子を持つES細胞の作製。患者の皮膚細胞から取り出した核を、あらかじめ核を除去した卵に移植する。ES細胞には様々な組織に分化する能力があるので、膵臓(すいぞう)や神経の組織を作り出せれば、拒絶反応の心配がない移植も可能になる。

 クローン技術を応用したES細胞の作製は、韓国のチームによる成功の報告がねつ造と判明、まだ実現していない。

 今回の研究は、同大のダグラス・メルトン教授らが2003年に申請したが、韓国の研究不正で倫理上の様々な問題が発覚したこともあり、学内外の13もの委員会で時間をかけて厳密に審査していた。

(2006年6月7日14時11分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060607i104.htm

0608 ヒトES細胞作製、成育医療センター倫理審査委が了承 [読売]

 人体のさまざまな臓器や組織に分化する可能性を秘め、再生医療の切り札とされる、ヒト胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の作製計画について、国立成育医療センター(東京)の倫理審査委員会が8日開かれ、ヒトES細胞の作製計画を了承した。

 今後、文部科学省の了承が得られれば、京都大再生医科学研究所(京都)に続く、国内2番目のヒトES細胞作製機関となる。

(2006年6月8日23時5分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060608ik21.htm

0608 同性婚禁止の憲法修正案、米上院が否決…事実上廃案に [読売]

 【ワシントン=五十嵐文】米上院は7日、同性間の結婚を禁じる憲法修正案を採決にかける動議を否決した。

 これにより、修正案は上院で事実上、廃案となった。

 動議の可決には60票必要だったが、与党・共和党からも反対票が続出したため賛成票は49票にとどまり、採決に至らなかった。

 ブッシュ大統領や共和党保守派は、11月の中間選挙に向け、キリスト教右派などの支持拡大をねらって憲法修正案の必要性を強調していたが、可決の可能性は低いとみられていた。

(2006年6月8日10時17分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060608i403.htm

0608 フィリピン、死刑再廃止へ 上下両院が法案可決 [共同]

 【マニラ7日共同】フィリピン国会上下両院は7日の合同委員会で、両院が6日までに可決した死刑廃止法案を調整、一本化して可決した。アロヨ大統領は法案に署名する方針で、発効は確実。約1000人の死刑囚が執行を免れる。仮釈放のない終身刑が最高刑になる。
 大統領は4月に死刑囚を終身刑に減刑すると発表した。しかし、誘拐犯罪の被害者らは「人気低迷の大統領が、死刑制度に反対するキリスト教会の支持を得るための策略」などと批判している。
 キリスト教会は、死刑は犯罪を抑止しないとして反対している。
 フィリピンでは1987年に死刑が廃止されたが、誘拐多発などを受けて90年代前半に復活した。2001年1月に発足したアロヨ政権下では執行例がない。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2006060701004925

0606 人クローンES細胞指針固まる 卵子提供条件など [朝日]

2006年06月06日
 クローン胚(はい)からさまざまな組織になり得る胚性幹細胞(ES細胞)をつくる研究について、文部科学省の作業部会は6日、大もとになる卵子の提供条件などを盛り込んだ指針案を固めた。韓国ソウル大チームの論文捏造(ねつぞう)による教訓を反映した内容で、報告書として、今秋にも政府の総合科学技術会議(議長=小泉首相)に諮問する。

 クローン胚は卵子(未受精卵)から核を抜き、皮膚など体細胞の核を移植するもの。指針案では、病気のために摘出した卵巣や、不妊治療で必要がなくなった卵子の無償での提供を認めた。ボランティアによる提供は当面認めないが、実施条件の検討を続けることにした。

 卵子の提供を受ける機関に提供者の相談に応じるコーディネーター(調整役)の配置を義務づけた。提供を強いる不正な圧力がかからないよう、女性研究者やその親族、将来治療の対象となり得る難病患者からの卵子提供は禁じた。

 また、韓国ソウル大チームによるクローンES細胞研究の捏造が発覚して、人クローンES細胞が実現可能かはっきりしなくなったため、研究機関にサルなど霊長類での十分な研究実績を積むことも求めた。

 今回の指針案は、クローン人間の作製を禁じたクローン技術規制法の特定胚指針を改定して、反映される予定だ。
URL:http://www.asahi.com/science/news/TKY200606060513.html

0606 同性の結婚禁じる憲法修正案を支持 米大統領 [朝日]

2006年06月06日18時30分
 ブッシュ米大統領は5日の演説で、同性の結婚を禁ずるための憲法修正案を支持すると表明した。しかし、実際に修正が実現する可能性は低く、圧倒的な動員力を誇る保守的な宗教右派にアピールすることで、11月の中間選挙に向けて保守層の支持を固める狙いと受け止められている。

 ブッシュ氏は演説で「結婚は文明の最も基本的な制度であり、活動家の裁判官に再定義されるべきではない」と主張。マサチューセッツ州最高裁が03年に出した判決などを念頭に、同性婚を容認する一部の司法の動きを強く批判した。

 この日は上院で修正案が審議入りしたが、上下両院でそれぞれ3分の2の賛成と、全米50州の4分の3にあたる38州の議会での採択が必要になるため、実現は困難と見られている。

 むしろ、支持率が30%前後を低迷するなか、保守層の「ブッシュ離れ」を止める方策との見方が有力だ。特に、男女の伝統的な結婚の崩壊を危ぶむ宗教右派は、ブッシュ氏の再選の原動力だったと見られている。

 04年の大統領選の前にもブッシュ氏は同様の修正案を提案し、保守とリベラルの争点を鮮明にした。今年5月のギャラップ社の世論調査によると、同性婚を禁ずる憲法修正に賛成50%、反対47%で、世論を二分する問題となっている。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0606/010.html

0606 ヒトES細胞:羊膜使い神経細胞に パーキンソン治療に道 [毎日]

 動物由来の培養成分を使わずに、ヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から高い効率で神経細胞を作り出すことに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)と京都府立医科大の研究グループが世界で初めて成功した。従来の動物成分を使った培養は感染症などの危険性が指摘され、人への臨床応用のために解決が求められていた。パーキンソン病患者への神経細胞移植など再生医療に道を開く成果。6日の米科学誌「米国科学アカデミー紀要」(電子版)で発表される。

 京都大再生医科学研究所が国内で初めてヒトES細胞を作成しており、そのヒトES細胞を使った研究論文の第1号となる。

 ES細胞の培養には増殖や分化を助ける何らかの成分が必要で、研究グループは既に、マウスの骨髄由来細胞を使い、サルのES細胞から神経細胞を作ることに成功。ヒトES細胞から神経細胞を作るため、胎児を包む「羊膜」を活用し、従来は不可能とされていた動物成分を使わない培養に成功した。羊膜は得やすく、外科などでの臨床応用で安全性は確かめられているという。

 羊膜を薬剤処理して、ヒトES細胞を培養したところ、2週間で全体の9割以上が神経細胞になる前の神経前駆細胞に変化。さらに、約4週間の培養で、神経前駆細胞の約4割が成熟した神経細胞になり、うち3割がドーパミンを放出する神経細胞に分化した。また、運動神経細胞や水晶体細胞などを作ることにも成功したという。

 パーキンソン病は、ドーパミンを作る脳の神経細胞が機能を失い運動障害が起こる難病。国内の患者は約10万人とされ、ES細胞からドーパミン神経細胞を作り移植する治療法が期待されている。治療法の確立には、サルを使った前臨床試験の後に、人の臨床試験が必要となる。同研究センターの笹井芳樹グループディレクターは「京大との共同研究で、前臨床試験は始まった。臨床試験は京大で行う予定」と話している。【根本毅】


0603 「脳死」の乳児、判定6日後呼吸戻る [朝日]

2006年06月03日00時03分
 近畿大病院救命救急センター(大阪府大阪狭山市)で、厚生労働省研究班の小児脳死判定基準で脳死と診断された5カ月の男児が、診断6日後に自発呼吸が一時的に戻り、その後4年3カ月間生存していたことがわかった。回復力の強い乳児では、正確な脳死判定が難しく、「現在の基準では不十分」との声も出ていた。この基準見直しの動きや、子どもの脳死移植を実現しようと国会に提案された臓器移植法改正案にも影響を与えそうだ。富山市で開催中の日本脳死・脳蘇生学会で3日、発表される。

 同センターの植嶋利文講師によると、男児は98年秋、心肺停止の状態で搬送された。厚労省研究班が98年に作った6歳未満の小児の脳死判定用の仮基準に従い、搬送20日目と24日目に診断を実施。その結果、自発呼吸や脳幹反射など五つの検査項目すべてで反応がなく脳死と診断した。

 しかし、脳死患者では調節能力が失われる血圧や尿量、体温などが安定した状態が続き、30日目ごろからは、一時的に弱い自発呼吸が戻ることもあった。ただ、人工呼吸器をはずせるほどの呼吸は戻らず4年3カ月後に肺炎などで死亡した。

 植嶋講師は「脳の血流検査など、新たな判定項目の追加検討が必要」と指摘している。
URL:http://www.asahi.com/life/update/0602/013.html

0528 受精卵診断、届けずに11例実施 根津医師が公表 [朝日]

2006年05月28日22時25分
 諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘(やひろ)院長は28日、日本産科婦人科学会(日産婦)に届け出ないまま11例の受精卵診断を実施したと明らかにした。2人が昨年末と今年の初めに出産、3人が妊娠中だという。診断当時、日産婦はまだ流産予防の受精卵診断を認めていなかったが、根津院長は「患者の年齢を考えると待っていられない」と判断、実施に踏み切ったとしている。

 日産婦は今年4月、会告(指針)を改め、転座の受精卵診断を容認し、実施する際には届け出が義務づけられている。

 根津院長によると、11人は30代を中心とした、3回以上流産を繰り返した習慣流産の女性。受精卵診断で、流産の原因と考えられる相互転座という染色体異常を調べ、その中の転座のない受精卵を子宮に戻した。

 根津院長は98年に非配偶者間の体外受精をしたとして日産婦から除名された。だが、04年に学会ルールの順守を誓約し、再入会していた。根津院長は「日産婦は患者のために活動せず、待っていられない」と話した。
URL:http://www.asahi.com/life/update/0528/007.html

0414 クローン胚研究:卵子ボランティアを認める 文科省部会 [毎日]

 難病治療などにつながるヒトクローン胚(はい)研究に利用する卵子について、研究指針作りをしている文部科学省科学技術・学術審議会の作業部会(主査、豊島久真男・理化学研究所研究顧問)は14日、研究レベルが上がってヒトクローン胚研究が具体化した段階では、例外的に患者の家族らボランティアからの提供を認める方針を固めた。

 政府の総合科学技術会議の専門調査会は04年、ヒトクローン胚研究を解禁する基本方針をまとめたが、関係者の女性に過大な期待がかかる懸念や人間の道具化につながる恐れがあるため、ボランティアによる提供を「原則、認めるべきでない」としていた。

 しかし、この日の作業部会では、ボランティアからの提供について「全面的に禁止にする必要はない」とすることで意見がまとまった。研究がどのレベルに達した時に容認するのかや、提供を認めるボランティアの範囲などについては、今後検討することにした。

 これまでは、不妊治療などで余った卵子を使うことで検討を進めていた。しかし、研究者からは、健康なボランティアの卵子に比べて質が劣り、研究の成功率が下がるなどの不満も出ていた。

 作業部会では、難病患者の家族らが「研究の発展のためぜひ協力したい」と言っていると説明する委員もいた。

 韓国ソウル大の黄禹錫(ファンウソク)教授(当時)が、ヒトクローン胚から胚性幹細胞(ES細胞)を作ったとした論文ねつ造事件では、ボランティアの難病患者の家族や研究員らから大量の卵子が提供されていた。

 作業部会の豊島主査は「ぜひ提供したいという人たちの思いをどう受け止めるかという問題だ。総合科学技術会議の方針を緩めるものではない」と話している。【永山悦子】

 ◇女性だけに特定奉仕を強いるもの

 生命科学に詳しいノンフィクション作家、最相葉月さん 卵子提供を認めることになれば、総合科学技術会議の基本方針の大きな方向転換であり、一審議会レベルで決定すべきことではない。卵子提供は、女性だけに特定の医療分野への奉仕を要求することだ。患者の近親者にも、提供せざるを得ないような圧力がかかることにもなりうる。

毎日新聞 2006年4月14日 20時54分 (最終更新時間 4月14日 22時48分)
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20060415k0000m040084000c.html

0414 尊厳死:登録急増--富山・射水の呼吸器外し受け [毎日]

 ◇不治で死期迫る場合の延命お断り/苦痛やわらげる処置は最大限に

 富山県射水(いみず)市の射水市民病院であった人工呼吸器外し問題を受け、「日本尊厳死協会」(東京都文京区)が作成した「尊厳死の宣言書(リビング・ウイル)」に署名・登録する人が急増している。4月に入り新規登録者は1日100人を超え、昨年と比べ約2・7倍ものハイペース。今回、取り外しの責任者だったと認めた外科部長(50)=自宅待機中=は「家族との信頼関係の中で外した」とするが、宣言書や同意書はなく、同協会は「射水市民病院のケースが全国で終末医療に対する関心を呼び起こしたようだ」と分析している。

 「宣言書」は本人の生前の意思表明を前提とした「尊厳死」法制化の運動を進める同協会が、延命治療中止の意思表明のひな型として作成。登録者数は全国で約11万人。

 A4判1枚で、「私の傷病が不治で死期が迫っている場合、延命措置はお断りします」「苦痛をやわらげる処置は最大限に実施してください」などと記され、署名・なつ印して協会に送ると、登録番号を付けて保存され、本人と近親者用にコピー2通が返送される。医師が延命措置の中止に同意しない場合は、協会も医師に働きかける。

 射水市民病院の問題が表面化した3月25日以降、昨年は1日平均88件だった発送依頼が連日300件以上に急増。新規登録も今月に入り1日平均105人で、昨年の39人を上回っている。

 射水市民病院では、末期患者7人が人工呼吸器を外されて死亡した。病院側は「1人は家族の話で本人の意思が確認された」とするが、本人の生前の意思を示す文書はなかった。一方、外科部長は「患者や家族との気持ちのつながりで、自然に行為に及んだ。同意書にサインしてくださいとは申し訳なくて言えなかった。ルールを外し、不用意だった」としている。同協会の高井正文・事務局長は「高齢社会を背景に終末医療への関心が高まっているようだ」と話している。登録(入会)は年会費3000円(夫婦2人で4000円)。問い合わせは同会(03・3818・6563)。

毎日新聞 2006年4月14日 東京夕刊
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060414dde041040030000c.html

0331 尊厳死:法制化求め団体が要望書、川崎厚労相に提出 [毎日]

 日本尊厳死協会(井形昭弘理事長)は31日、尊厳死の法制化を求める要望書を、川崎二郎厚生労働相あてに提出した。富山県射水(いみず)市の病院で、末期患者が医師によって人工呼吸器を外され死亡した問題を受けた。「延命の責務と患者の苦しみの間で第一線の医師は悩む」として、延命治療のあり方について具体的な基準を法制化するよう求めている。


0329 超党派の議員連盟、「尊厳死」の早期法制化を強調 [読売]

 射水市民病院で入院患者7人が延命措置を中止され、死亡した問題について、超党派の国会議員で構成する「尊厳死法制化を考える議員連盟」の渡辺秀央幹事長は29日の総会後、記者団に対し「法が整備されていなかったから起きた問題」と話し、議員立法による早期法制化の必要性を強調した。

 だが、今国会中に法案を提出するかどうかは明言しなかった。

(2006年3月29日22時51分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060329ic23.htm

0327 中国が臓器売買を禁止へ 7月に移植規定を施行 [朝日]

2006年03月27日20時36分
 中国の衛生省は27日、急増している臓器移植の管理を強化するための「臓器移植技術臨床応用管理暫定規定」を発表した。臓器の売買を禁じ、医療機関に倫理委員会の設置などを義務づけている。施行は7月1日から。中国での移植を希望する日本人にも影響を与えそうだ。

 死刑囚から摘出した臓器の移植が実施されている中国は、米国に次ぐ「移植大国」だが、法整備が遅れて犯罪の温床になっている。暫定規定は、こうした状況に歯止めをかけるのが狙いとみられる。医療機関が臓器の提供者から書面の同意を取りつけること、専門医の配置、患者に対する説明の徹底、などを義務づけた。

 一方、死刑囚からの臓器摘出が人権、倫理面で国際社会から批判されている問題には触れず、論議を先送りした。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0327/006.html

0325 患者7人安楽死の疑い、医師が呼吸器外す…富山の病院 [読売]

富山県射水(いみず)市の同市民病院(麻野井英次院長)で、外科医師(50)が入院患者7人の人工呼吸器を取り外し、全員が死亡していたことが25日わかった。

 医師による安楽死の疑いがあるとして同病院が県警に通報。県警は、殺人の疑いもあるとみて、外科医師らから人工呼吸器を取り外した経緯などを詳しく聞いている。

 病院側によると、亡くなった7人はいずれも高齢で、終末期医療を受けていた。人工呼吸器の取り外しについては、「病院としては家族の同意を得ていると認識している」としている。

 一方、射水市の分家静男市長は同日午前、会見したが「詳しい状況はわからない」と繰り返した。

 同市によると、この外科医師は95年4月から同病院に勤務。昨年10月、受け持っていた70歳代後半の男性患者について、人工呼吸器を外したいと院長に申し出たが拒否されたという。

 このため、同病院が内部調査を始め、それ以前の外科医師による人工呼吸器取り外しと、患者7人の死亡を確認。昨年10月、県警に通報した。外科医師は、自宅待機を命じられた。

 同病院は病床数200の総合病院で、医師は25人おり、うち4人が外科医師。

 安楽死をめぐっては、東海大学医学部付属病院の医師が1991年4月、末期がん患者に塩化カリウムを注射したとして殺人罪に問われ、95年3月に横浜地裁で懲役2年、執行猶予2年の有罪判決を受けた。

 安楽死で医師が有罪判決を受けた初めてのケースだった。

 判決では、医師による合法的な積極的安楽死が認められる要件として、〈1〉患者に耐え難い肉体的苦痛がある〈2〉死が不可避で死期が迫っている〈3〉苦痛を除去、緩和する方法がほかにない〈4〉生命の短縮を承諾する患者の明らかな意思表示がある――を示した。

 一方、刑事責任が問われなかったケースもある。大阪市の病院で95年、入院中の末期がん患者に薬剤を投与し、死亡させたとして、2003年に医師が殺人容疑で書類送検されたが、大阪地検は一昨年、「死因が特定できない」として不起訴処分(嫌疑不十分)にした。

(2006年3月25日14時1分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060325it04.htm

0325 尊厳死:法制化反対の集会 がん患者団体など200人参加 [毎日]

 法律で尊厳死を認めようとする動きに反対する市民集会が25日、東京都内で開かれた。弁護士や哲学者、医師らでつくる市民団体「安楽死・尊厳死法制化を阻止する会」の主催で、難病やがんの患者団体などから約200人が参加。「尊厳死の法制化は治療法のない難病患者らに死を選ばせる暗黙の圧力を生む」などの意見が相次いだ。

 交通犯罪の被害者になった家族の延命治療中止を選択した遺族が「家族を殺したのは自分ではないかという気持ちが強い」と、複雑な心情を明かす場面もあった。

 生命倫理に詳しく、集会に講師として参加した光石忠敬弁護士は、富山県射水市民病院の患者の不審死について「患者の同意なく他者が人工呼吸器を外すような行為を尊厳死とみなすと、患者が生きるに値しないと他人が判断をすることにもつながる。(医師の)ごう慢だ」と話した。【大場あい】


0324 受精卵診断是か非か [朝日]

(要約)
体外受精させた卵子が4~8個の細胞に分裂した団塊で、1~2個の細胞を取り出し、遺伝子や染色体を調べ、「正常」と判断した受精卵だけを子宮に戻す。日産婦は従来は命に関わる重い遺伝病にだけ認めてきたが、大谷産婦人科(神戸市)の大谷院長が、習慣流産や不妊症での実施を続けたので、倫理委員会で検討を行い、習慣流産の一部(転座の場合)にも認めることになった。

吉村泰典(日産婦倫理委員長):転座のケースで受精卵診断に本当の効果があるかまだ疑問だ。社会的合意が得られていないこと、障害者団体からの批判も十分配慮したい。

大谷徹郎(大谷産婦人科院長):転座や数的異常は、受精卵診断で流産率が減るのは明らか。自己責任で選択自由にすべきだ。出生前診断・堕胎が野放しになっていて受精卵診断だけ規制するのはおかしい。

米本昌平(科学技術文明研究所長):生殖技術を規制する法律がない米国、キリスト教倫理を背景に法規制で秩序を保とうとする欧州、「学会方針」のもとで自制する日本。いまのところ日本が最も抑制的だが、学会には強制力がない。いずれ法整備必要だが、当面は学会が統治能力を高めていくしかない。日本では社会全体で生殖医療をめぐる議論が決定的に不足している。


日本移植学会:臓器移植の調査実施を承認 倫理委 [毎日]

 日本移植学会の倫理委員会は5日、国内外で実施された臓器移植の調査実施を承認した。これまで臓器別に分かれた学会などが調査していたが、移植医療普及のため情報の一本化が必要と判断した。今年から情報収集を始め、来年以降同学会の会誌やホームページ上で公開する予定。

 対象は国内での臓器移植と海外での心臓移植。国内の生体肝移植は臓器提供者も対象とする。しかし、最近増えている中国や東南アジアでの臓器移植は「把握が難しい」として対象外にした。

 調査は移植施設を通じ、患者の同意を得たうえで住所、氏名など個人情報を収集。プライバシーに配慮し、匿名化して手術後の臓器の生着状況や健康状態などを報告してもらう。収集した情報はそれぞれの臓器ごとに症例数や生着率、生存率などを年1回公表する。


海外渡航移植の実態調査へ 厚労省研究班 [朝日]

2006年02月04日06時20分
 海外に渡って臓器移植を受ける日本人が相次いでいることを受けて、厚生労働省の研究班と日本移植学会は渡航移植の実態調査に乗り出す。渡航先はかつては欧米が中心だった。最近は中国やフィリピンなどアジア諸国が増えている模様だが、実数や安全性、臓器提供の実態など不明なことばかりで、患者からの相談に医師が戸惑うことも多かった。

 厚労省研究班は、渡航移植を受けた患者の診察経験や、移植された臓器の状態などを移植学会の医師にアンケートする。3月末までに結果をまとめ、患者の感染率や死亡率などから、安全に十分に配慮した移植が行われているか分析する。

 移植学会は4月以降、研究班を引き継ぐ形で調査を始める。

 中国から帰国した腎移植患者9人を診た東京都内の医師は「臓器提供者の正確な情報がなく、患者は免疫抑制剤の使い方をきちんと説明されていなかった」という。4人は手術後2年以内にがんなどで亡くなり、「国内の移植より生存率が悪い印象だ」と指摘する。

 渡航移植では人権侵害や臓器売買の可能性も懸念されている。97年に施行された臓器移植法は、海外での移植についても国内での営利目的の斡旋(あっせん)を禁じているが、多くの患者は「斡旋業者」が海外で開いたウェブサイトや口コミを通じて情報を得ているらしく、金銭授受の実態は不明だ。日本人の流入は、渡航先で移植の公平性を損なっている恐れもある。

 厚労省研究班長の小林英司・自治医科大教授(移植再生医療)は「移植を受けた当事者に十分配慮しながら、まずは移植後の経過を含めて現状を把握したい」という。

 渡航移植の背景には、国内では思うように移植が受けられないことがある。脳死臓器提供は臓器移植法施行後41件にとどまる。特に腎臓では、透析患者が約25万人もいて約1万2000人が移植を希望しているのに、昨年の腎移植は親族が片方の腎臓を提供する生体移植を含めても900件程度にとどまったとみられ、臓器不足が深刻だ。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0204/TKY200602030404.html

凍結保存精子:父子関係の確認、2審も認めず 東京高裁 [毎日]

 凍結保存した男性の精子を使い、男性の死後に行われた体外受精で生まれた女児が、民法上の父子関係の確認(死後認知)を国側に求めた訴訟で、東京高裁は1日、請求を退けた1審・東京地裁判決(05年9月)を支持し、女児側の控訴を棄却した。宮崎公男裁判長は「死亡した者の精子を使用することは、自然な生殖とのかい離が大きく、現時点ではこれを受容する社会的認識があるとは言えない」と述べた。

 判決は、医療機関が精子提供者の意思確認を確実に行ったかどうかを疑問視し「本件のような事態が繰り返されないためには、医療機関の役割も重要」と付言した。

 判決によると、女児の母親と精子提供者の男性に婚姻関係はないが、男性は01年に体外受精を5回できる分の精子を提供。凍結保存され3回受精を試みたが失敗し、男性は病死。その後、4回目で母親が妊娠し、03年に女児を出産した。母親は認知を求めて法定代理人として提訴した。

 民法には、死後の凍結精子を使用した父子関係についての規定はなく、同種の訴訟で04年7月、高松高裁が「父親の同意が存在する」として父子関係を認めて国側が上告中で、最高裁の判断が注目される。【武本光政】


PTSDの調査、中間説明を修正 日本精神神経学会 [朝日]

2006年01月26日
 日本精神神経学会はこのほど、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の診断について、精神科医に実施したアンケートの最終報告書をまとめた。「ショックから1カ月以内に発症していたケースが、臨床例では47%、法的書類では52%を占めた」という。日本産業精神保健学会と共同で、両学会所属の9000人余を対象に02年に実施し、1151人から回答を得た(回収率12%)。

 同調査をめぐっては、04年春の中間まとめ段階で「まだPTSDとは診断できないはずの、ショックから1カ月以内に診断していたケースが、臨床例では47%、法的書類では52%を占めた」と説明され、朝日新聞など複数のメディアが「PTSDと診断された事例のうち、診断時期など国際的診断基準を満たさないものがほぼ半数にのぼる」などと報じた。

 日本精神神経学会は、修正の理由について「アンケートは『発症時期』について質問しているが、『診断時期』については尋ねていないため、診断できないはずの早期にPTSD診断がなされていたかどうかをこの調査で明らかにすることはできなかった。ただ、外傷体験や精神症状のとらえ方などにおいて、国際的診断基準が順守されているかという問題は依然残る」としている。

 国際的な診断基準では、特徴ある症状が1カ月以上続くなどした場合にPTSDと診断することになっている。従ってショックから1カ月以内にPTSDと診断されることはないはずだが、1カ月以内に発症し、いったん急性ストレス障害など他の診断を受けた患者がその後、PTSDに移行することはある。
URL:http://www.asahi.com/science/news/TKY200601250422.html

七海ちゃん募金9000万円突破、腎臓移植で渡米へ [読売]

 生まれつき一つしかない腎臓がほとんど機能せず、米国での移植手術が必要となっている横浜市港南区の会社員中山明さん(35)の長女、七海ちゃん(6か月)を救うため、支援団体「ななみちゃんを救う会」が呼びかけていた募金の総額が、目標の9000万円を突破し、約1億800万円に達した。

 七海ちゃんは30日に渡米する予定。同会によると、七海ちゃんは米マイアミ大学に入院し、血液透析を受けながら、ドナー(臓器提供者)が現れるのを待つ。募金の受け付けは終了した。

(2006年1月20日13時26分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060120i505.htm

世界初ES細胞も捏造 黄教授に作成技術なし [共同]

 【ソウル10日共同】韓国ソウル大の黄禹錫(ファンウソク)教授の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究疑惑を調べていた同大調査委員会は10日、最終調査結果を発表、世界で初めてヒトクローン胚からES細胞作成に成功したとする2004年2月の米科学誌サイエンスの論文を「捏造(ねつぞう)」と断定した。このES細胞と体細胞を提供した患者のDNAが一致せず、クローン技術によるES細胞作成技術自体がないと結論づけた。
 教授のES細胞研究の「業績」は完全な捏造となった。「究極の再生医療」につながると期待された技術自体が虚偽となり、韓国の科学技術に対する国際的な信頼は地に落ちた。教授の研究を全面支援してきた韓国政府の打撃はさらに深まる。
 世界初のクローン犬「スナッピー」を誕生させたとする05年8月の英科学誌ネイチャーの論文については、本物の可能性が高いとした。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=MRO&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2006011001001033

ES細胞ねつ造:規制の寛容さ突出 研究費も潤沢に [毎日]

 輝かしい「成果」は偽りだった。韓国・ソウル大の黄禹錫(ファンウソク)教授をめぐる胚(はい)性幹細胞(ES細胞)の論文不正疑惑は、同大が「9個分はねつ造」と断定したことで深刻な事態に発展した。背景には、自然科学分野で初のノーベル賞を狙う韓国政府の思惑や、論文発表が金や名声に直結する構造的な問題がある。生命科学研究の最先端で起きた今回の不祥事は、ヒトの卵子を使う研究体制の整備を慎重に進めてきた日本や米国など先進各国にも影響を及ぼしそうだ。【元村有希子、下桐実雅子】

 「私と組めば何でもできますよ」。理化学研究所神戸研究所の若山照彦ゲノム・リプログラミング研究室長は、タイで開かれた学会で黄教授に会った時、自信たっぷりにそう言われたという。今回の騒動が発覚する1週間ほど前。若山室長は01年、マウスのクローン胚からES細胞を作ることに成功し、ヒト応用への端緒を作った研究者だ。

 黄教授の研究環境は恵まれたものだった。

 韓国にとって、自然科学分野でのノーベル賞は悲願だ。同じ工業国の隣国・日本からは戦後、9人も受賞していることへの対抗意識もある。それだけに、黄教授の成果は政府にとって千載一遇の受賞の好機と映り、全面支援が始まった。国内の世論も盛り上がった。

 ES細胞の作成には卵子や受精卵が欠かせない。しかし、ヒトの卵子の採取は提供する女性の身体に危険を及ぼす可能性があるため、入手は簡単ではない。日本の場合、不妊治療などで余った受精卵を、所定の手続きを経て研究に使っているが、黄教授は卵子もふんだんに扱っていた。

 ヒトの受精卵からES細胞を作成、配分している京都大再生医科学研究所の中辻憲夫所長は「数百という単位の卵子を使える韓国の環境は、極めて特殊だ」と話す。

 規制の寛容さも韓国は突出している。ヒトクローン胚を研究目的で作成することを法律で認めている主要国は、韓国と英国だけだ。

 米国は禁止ではないものの、研究に連邦予算を拠出することを禁じている。ヒトクローン胚を子宮に戻すとクローン人間の誕生につながることや、ES細胞作成には「生命の萌芽(ほうが)」である受精卵やクローン胚を壊す必要があり、倫理的な問題があるためだ。日本は研究解禁を目指しているが、指針を策定中で、現時点ではまだ研究できない。

 こうした事情から、ヒトクローン胚ES細胞研究では韓国が独走態勢にあった。潤沢な「材料」と研究費を当てにして、共同研究を申し出る外国の研究者も少なくなかった。しかし、現実には「無償提供」とされた卵子の入手は現金の授受があるなど不適切で、研究成果も偽りだった。

 若山室長は「世界のトップを走り続けようとしたのに成功率が上がらず、プレッシャーを感じて不正を働いてしまったとも考えられる」と話す。

 ◇不正とカネと名声

 研究論文の不正には(1)ねつ造(架空データの創作)(2)偽造(データの改ざん)(3)盗用--などがある。今回は、実際には2個だったES細胞を11個作成したように見せかける「部分的なねつ造」が確認された。調査次第では、完全な「ねつ造」の可能性もある。

 有名な不正事件は、米国で乳がん手術の臨床試験データを医師がねつ造した「フィッシャー事件」(94年)▽ドイツで細胞成長研究に関するデータが偽造された「ヘルマン・ブラッハ事件」(97年)▽米国で固体物理学に関する16本の論文にねつ造が指摘された「ショーン事件」(02年)などがある。日本でも今年、大阪大と東京大で、英科学誌「ネイチャー」などに掲載された医学・生命科学分野の論文に不正疑惑が持ち上がり、著者が論文を撤回した(いずれも大学が調査中)。

 不正行為に詳しい山崎茂明・愛知淑徳大教授は「これらは氷山の一角。研究の世界で競争主義と成果主義が強まる一方で、倫理教育など不正を防ぐ取り組みは遅れている」という。

 特に生命科学研究は社会の関心が高い。「人目を引くテーマで、珍しい成果をいち早く論文にすれば利潤も名声も得られるという構造が、不正を生みやすくしている」と山崎教授は指摘する。

 しかし、日本学術会議の調査では、国内の学会の8割が、不正が起きた場合の対処方法を決めていなかった。「ネイチャー」が6月に掲載した米国の調査結果によると、回答した医学・生命科学研究者の33%が、論文の多重投稿や矛盾するデータの隠ぺい、偽造などの「不適切な行為」を3年以内にやったと告白している。

 ◇批判と支援 世論は二分

 「ソウル大教授を辞職する。しかし、ヒトクローン胚のES細胞は、われわれ大韓民国の技術だと、国民の皆さんは再び確認することになる」

 調査委員会の発表から3時間後。報道陣の前に姿を現した黄教授は涙ぐんだ声で、ねつ造については謝罪するが、最先端のクローン技術はウソではないと強調した。

 韓国の学界や世論も「ねつ造論文なら学界から追放すべきだ」「最先端技術が虚偽でないなら支援を続けるべきだ」と真っ二つに割れている。

 黄教授辞任を惜しむ声は根強い。「難病治療の希望! 黄教授のためにロウソク集会を開こう」。卵子提供ボランティアを1000人以上集めた黄教授の後援会サイトが、24日の全国集会開催を呼びかけるとアクセスが殺到。調査委の発表直後の昼すぎ、一時ダウンする事態になった。

 一方、若手研究者で運営するインターネットサイトには「今回の事態を機に韓国学界の文化を変えるべきだ」など成果至上主義を問う意見も相次いだ。主要メディアにも「黄教授は我々の顔」(「中央日報」コラム)、「先を急ぐ韓国文化を見直そう」(YTNテレビ)など、一時の「神話崩壊」ショックとは違う批評が出始めている。【ソウル堀山明子】

 ▽ことば(ヒトクローン胚とES細胞) ヒトクローン胚は、人間の体細胞の核を取り出し、第三者から提供された未受精卵(卵子)の核と置き換えて作る。クローン胚は、理論的には受精卵と同様に成長し、クローン人間になる可能性がある。

 ES細胞は分裂過程の受精卵やクローン胚を壊し、内部から細胞を取り出して作成する。血管や神経、骨、臓器など体を構成するあらゆる細胞に分化する能力を持つ「万能細胞」だ。

 ES細胞は従来、受精卵からしか作れなかった。ヒトクローン胚からES細胞ができれば、核を提供した患者と同じ遺伝情報を持ち、拒絶反応の心配がない臓器・組織を作り出せる。
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051224k0000m030081000c.html

ES細胞:論文は「ねつ造」とソウル大 黄教授、辞職へ [毎日]

 【ソウル堀山明子】韓国の胚(はい)性幹細胞(ES細胞)研究疑惑でソウル大調査委員会は23日、同大の黄禹錫(ファンウソク)教授が米科学誌サイエンスに今年5月(電子版)に掲載した論文について、「単純ミスではなく、意図的なねつ造だった」とする中間調査結果を発表した。黄教授は同日午後、「国民に謝罪する」と述べ、同大教授を辞職する意思を明らかにした。

 論文のねつ造が確認されたことで、黄教授を支援してきた韓国政府の責任も問われそうだ。

 韓国科学技術省は調査結果を受け、黄教授への研究費支援を中止する方針を明らかにした。これまでは日本円換算で年間3億円以上の研究費を助成していた。

 論文ではヒトクローン胚によるES細胞を11個作ったと報告されたが、調査委は、論文を提出した3月15日の時点でES細胞は2個しかなく、このデータを使って11個分のデータをねつ造したと結論付けた。使われた卵子の数も、論文の185個より「はるかに多い」ことを確認した。また、「黄教授の介入がなければ不可能」として、ねつ造に黄教授の関与があったと断定した。

 論文作成時にあったとされる2個のES細胞についても、調査委員会がDNAの分析を進め、本当にクローン胚から作成されたものかどうかを確認するとした。

 調査委は、仮に論文発表後に技術が完成したとしても、論文データのねつ造に関する「黄教授の重大な責任は逃れられない」と述べ、懲戒免職にする可能性を示唆した。

 調査委がDNAを分析する2個のES細胞については、黄教授が22日に提出した捜査申請書の中で、共同研究者が経営する病院で保管されていた受精卵ES細胞だったと明らかにしている。事実とすれば、11個のデータはすべてヒトクローン胚によるES細胞ではなかったことになる。

 調査委は、黄教授が世界で初めてヒトクローン胚からES細胞の作成に成功したと報告した昨年2月のサイエンス誌論文や、世界初のクローン犬を誕生させたとする今年8月の英科学誌ネイチャーの論文についても検証結果を近く発表する。

毎日新聞 2005年12月23日 13時25分 (最終更新時間 12月23日 20時50分)
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20051223k0000e030038000c.html

ヒトES細胞:ソウル大教授「作ったが管理にミス」 韓国 [毎日]

 【ソウル堀信一郎】ソウル大の黄禹錫(ファンウソク)教授は16日、患者の皮膚細胞からクローン技術で胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を作ることに成功したとする自らの研究を巡る疑惑について記者会見した。「ES細胞を確実に作り、その技術を有している」と訴え、成功は虚偽との指摘に反論した。しかし、今年5月に研究成果を発表した米科学誌サイエンスの論文については「掲載した写真にいくつかの問題があった。論文を撤回する」と述べた。

 韓国では、黄教授の研究は自然科学分野で韓国初のノーベル賞に値すると政府、国民を挙げて期待感が広がっていただけに、論文撤回発言は韓国社会に衝撃を与えた。

 黄教授は会見で「ES細胞は作ったが、その後の管理が十分でなく、ミスがあった」と述べた。共同研究していたミズメディ病院が保管していたES細胞が、ソウル大のES細胞と入れ替わった可能性があるという。

 黄教授によると、今年初め、幹細胞研究室で事故が発生し、6個の幹細胞がだめになった。

 しかし、5個のES細胞を凍結保存中で、これを解凍して検査すれば真偽が確認できると主張した。また、真相究明のため、捜査当局に調査を依頼したことを明らかにした。ソウル大調査委員会の調査結果が出た後、捜査が始まるとみられる。

 一方、ミズメディ病院の盧聖一(ノソンイル)理事長も記者会見し「私が、黄教授の部下でありソウル大から米国に派遣されている研究員に、真実を言えとただしたところ、論文は虚偽だと答えた」と述べるなど黄教授を批判した。

 黄教授の研究成果について韓国メディアは15日、論文の共同執筆者の盧理事長が「黄教授が作ったと主張している11個の胚性幹細胞のうち9個が偽物であることが確実で、残りの2個は真偽の区別がつかない」と語ったと報道した。

毎日新聞 2005年12月16日 21時47分 (最終更新時間 12月16日 21時50分)
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20051217k0000m040130000c.html

臓器移植:今年9例目の脳死判定 年間最多に [毎日]

 日本臓器移植ネットワーク(本部・東京都港区)は26日、近畿地方の病院に窒息のため入院していた成人男性が、同日午前1時半過ぎに、臓器移植法に基づき脳死と判定されたと発表した。法的脳死判定は国内で41例目。今年の判定は9人目で、臓器移植法が施行された97年以降、年間最多となった。男性の年齢や病院名は家族の希望を理由に公表されていない。

 心臓は国立循環器病センター(大阪府吹田市)、肺は京都大病院、肝臓は北海道大病院、腎臓の片方と膵臓(すいぞう)は九州大病院、もう片方の腎臓は和歌山医大病院で、それぞれ移植される見通し。【高木昭午】

毎日新聞 2005年11月26日 東京夕刊
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20051126dde041100064000c.html

非配偶者間授精:子どもたちが「父親を知る権利」訴え [毎日]

 夫以外の第三者から提供された精子を使うAID(非配偶者間人工授精)で生まれた人たちが26日、東京都内で一般向けの講演会を開き、「自分のルーツの半分を知らないのは不安だ」などとして、提供者(遺伝上の父親)を知る権利の獲得を訴えた。国内で生まれたAID児は1万人を超すとされるが、現在は匿名を条件に精子の提供がなされており、提供者を知る道は閉ざされている。

 20代の女性は「生まれた人たちの気持ちを調査しないで、AIDに問題がないというのはおかしい」と訴えた。30代女性は「これからAIDで生まれる人には、自分のルーツを知る権利を認めてほしい。提供者が減っても仕方ない」と語った。

 いずれも、今春結成された「DI Offspring Group(非配偶者間人工授精で生まれた子どもの会)」のメンバーで、今後も当事者の連帯を呼び掛ける。同会の連絡先はDOGoffice@hotmail.co.jp。

 厚生労働省の生殖補助医療部会は03年、AIDなどで生まれて来る子どもに「出自を知る権利」を認める報告書をまとめたが、法制化は進んでいない。【下桐実雅子】

毎日新聞 2005年11月26日 19時55分
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20051127k0000m040060000c.html

ソウル大ES細胞、研究者が卵子提供 教授謝罪 [朝日]

2005年11月25日11時36分
 ヒトクローン胚(はい)から世界で初めて胚性幹細胞(ES細胞)をつくることに成功したソウル大の研究チームが、実験用卵子をチーム内の女性研究員2人から得たほか、別の卵子の提供者に金銭を支払っていたことが分かった。研究チームを率いる黄禹錫(ファン・ウソク)教授は記者会見を開いて謝罪するとともに、同大に世界で初めて設立された「ES細胞ハブ」の所長を辞任することを明らかにした。

 韓国保健福祉省が24日、ソウル大倫理委員会の調査結果として発表した。黄教授は「法律や倫理規定に照らし、深い洞察に欠けている部分があった」と非を認めた。「ES細胞ハブ」は、クローン技術による再生医療を難病治療に役立てようと開設されたが、構想はつまずいた形だ。

 調査結果や黄教授によると、研究員2人は自発的に卵子提供を申し出た。黄教授は拒否したが、2人は研究に協力した病院を通じ無断で卵子を提供。黄教授も後に事実を把握したが、プライバシーを考慮し公表しなかったという。

 また、協力病院が卵子提供者16人に補償金名目で1人あたり150万ウォン(約17万円)の現金を渡していたことも確認された。

 韓国では1月に生命倫理法が施行され、卵子提供にともなう金銭や利益提供が禁じられている。ただ研究チームへの卵子提供は施行前だったことから同大倫理委は「法的にも倫理的にも問題はなかった」とした。一方、保健福祉省は卵子提供にかかわる法規制と倫理規則の制定や提供機関の新設、民間病院などへの監督体制強化などの対策を打ち出している。
URL:http://www.asahi.com/international/update/1125/005.html

米で代理出産での出生届、最高裁「不受理」を支持 [読売]

 米国での代理出産で生まれた双子の出生届が、日本で受理されなかったのは不当だとして、関西地方在住の日本人夫婦が不受理処分の取り消しを求めた家事審判で、最高裁第1小法廷(才口千晴裁判長)は24日、夫婦側の請求を退けた大阪高裁決定を支持し、特別抗告を棄却する決定をした。出生届の不受理が確定した。

 日本国内では代理出産が認められていないことから、不妊に悩む夫婦が海外の代理母に依頼して子をもうける例は少なくないが、今回は、こうしたケースに対する最高裁の初判断で、影響を与えそうだ。

 この夫(55)と妻(57)は、国内で不妊治療を試みたが妊娠しなかったため、夫の精子を凍結保存し、2002年4月、アジア系米国人女性から提供された卵子を使って体外受精した。受精卵は「代理母」となる別の米国人女性の子宮に移され、同年10月に双子が生まれた。

 米国では、夫婦を双子の父母とする出生証明書が発行された。夫婦は03年2月に帰国し、出生届を提出したが、居住する自治体が04年2月、不受理としたため、夫婦が家裁に取り消しを求めた。家裁は同年8月にこれを却下し、大阪高裁も今年5月、抗告を棄却した。双子は米国籍として外国人登録されている。

 高裁決定は、〈1〉女性は妊娠し、出産することで母性をはぐくむから、子の福祉の観点からも、出産した女性を母とすることに合理性がある〈2〉代理母による出産は第三者に多大な危険を負わせるうえ、依頼者と代理母の間で子を巡る争いが生じかねず、出生届の受理はこうした医療を容認するのに等しい――と指摘した。第1小法廷も高裁判断を「是認できる」とした。

 今回と同様のケースで生まれた子が、今後、日本国籍を取得するには、夫が代理母との間でもうけた非嫡出子として認知し、帰化させるか、戸籍上実子と同様に扱う特別養子縁組をするなどの手段が必要になる。
(2005年11月25日1時52分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20051124it16.htm

ユネスコ、生命倫理の宣言採択へ 差別禁止など盛り込む [朝日]

2005年10月09日11時28分
 生命倫理の国際的な規範を定めた宣言が、パリで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)総会で、近く討議が始まる。21日の会期末までに採択される見通し。患者の同意に基づく医療や、プライバシー尊重、差別の禁止など、生命倫理全般にわたって各国が守るべき規範が初めて示される。宣言によって医学研究の国際協力などが共通の倫理規範に沿って進むことが期待されている。

 事前の政府間会合で、前文と28条から成る「生命倫理と人権に関する世界宣言案」が合意されている。各国政府が生命倫理全般について包括的に合意して宣言を作るのはこれが最初になる。

 宣言の背景には国境を越えた医学研究の増加がある。近年、根拠にもとづく医療が重視され、何カ国にもまたがる数千人規模の臨床試験で薬の有効性を調べることが珍しくなくなった。世界共通の規範ができれば、協力を進めやすくなる。また、アフリカなどでエイズに苦しむ貧しい人々が高価な薬を買えないことが問題になったように、世界中の人々が医学の恩恵を受けられるようにするという課題も浮上している。

 宣言には、治療や医学研究でのインフォームド・コンセント(十分な説明と同意)やプライバシー尊重など日本の医療現場でも直面している倫理原則のほか、研究の利益が開発途上国にも分配されるべきだという原則も示されている。

 ユネスコの宣言は条約ではないので法的拘束力は持たないが、加盟国に対して宣言の原則を実施すべく適切な措置をとることを求めている。
URL:http://www.asahi.com/international/update/1009/008.html

凍結精子による体外受精、子の認知認めず 東京地裁 [朝日]

2005年09月29日19時56分
 夫の死後、凍結保存していた精子を使って体外受精で妊娠した女性が、出産した女児を夫の子と認知するよう求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。奥田隆文裁判長は「死者の精子を使った生殖補助医療を受け入れる社会的な共通認識が現段階であるとは言えない」などとして法律上の親子関係を認めず、女性の請求を棄却した。

 関東地方に住む女性は内縁の夫が病気だったため01年に夫の精子を採取し、凍結保存。体外受精を始めた。夫は02年、30代で死亡。その後、4回目の体外受精が成功。03年に出産した。

 女性は(1)夫は生前、体外受精による子どもの誕生を望んでいた。死後も体外受精に同意していたといえる(2)認知により子どもが出生を知る権利が保護され、相続権が生じるなど実益がある(3)認知されないと戸籍の父の欄が空白のままになり、就職や結婚などの際に不利益を被る可能性がある――と主張していた。

 判決は(1)4回目の体外受精の時点では夫は死んでいる以上、同意があったとは言えない(2)夫の死亡時点で胎児でもなかった子どもに相続権が生じる余地はない(3)女性が主張する不利益の多くは事実上のもの――と指摘した。「生存している男女の性行為による自然な生殖との乖離(かいり)が著しく、死後生殖を受け入れる社会的な認識ができているとまで認められない」という事情も重視した。

 奥田裁判長は「女児が健やかに成長していくために国や社会として可能な限りの配慮をしていく必要がある。急速に進展する生殖補助医療について早急な法整備が求められる」と付け加えた。

 同様の問題での司法判断は3例目。松山地裁が03年、原告の女性の訴えを退けたのに対し、高松高裁が04年、女性の訴えを認める逆転判決を言い渡した。この訴訟は現在上告中で、最高裁の判断が注目されている。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0929/TKY200509290265.html

65人に1人「体外受精」で誕生、高齢出産増加も影響 [読売]

 新生児65人のうち1人は体外受精児――。精子と卵子を体外で受精させて子宮へ戻す「体外受精」によって国内で生まれた子供が、2003年の1年間で過去最高の1万7400人に達したことが、日本産科婦人科学会(武谷雄二理事長)の調査で13日明らかになった。
 調査したのは、同学会に体外受精の実施登録施設として届け出ている590施設。それによると、03年の体外受精による出生児数は1万7400人と、前年より2177人増加した。全出生数(112万3610人)に占める割合は1・5%で、この年に生まれた65人の赤ちゃんのうち1人が体外受精児になる計算だ。
 世界初の体外受精児は1978年に英国で誕生し、国内では83年に東北大が成功した。以来、体外受精は年々増え続け、同学会が調査を始めた86年以来の累積出生数は計11万7589人となった。
 調査を担当した久保春海・東邦大教授(産婦人科)は、「治療1回あたりの妊娠率はそれほど向上しておらず、不妊患者の数が増えた結果だろう。安全に妊娠・出産できる年齢限界は35歳以下ということを認識してほしい」と述べ、体外受精件数を引き上げている高齢出産の増加に警鐘を鳴らしている。

TITLE:65人に1人「体外受精」で誕生、高齢出産増加も影響 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)DATE:2005/09/14 09:14URL:http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20050914i201.htm
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