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[[●靖国問題06Ⅳ]] から [[●戦争と罪責07Ⅰ]] へ #contents - セフしさまさまだなwマジ天国www &br() &br()http://sersai%2ecom/hosakimenma/28458820 -- 大日にょ来 (2009-06-06 00:04:26) #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)   ↑ご自由にコメントをお書き下さい。 #contents (2) *1025 靖国神社の総代に神社本庁総長 宗教性守る狙い [朝日] 2006年10月25日07時01分  靖国神社(南部利昭宮司)の運営方針を決める崇敬者総代(計10人)の1人に11月1日から、全国約7万9000の神社を束ねる神社本庁のトップ、矢田部正巳総長が就任することが分かった。靖国神社は本庁とは協力関係にあるが、その傘下に入らない単独の宗教法人として運営されてきた。今後、矢田部総長が靖国神社の意思決定に関与することで、A級戦犯の分祀(ぶんし)や国家管理による非宗教法人化などの見直し論に対し、神社界全体で靖国神社の宗教性を守る狙いがある。  崇敬者総代はこれまで、経済人や学識者、日本遺族会役員らが務めてきた。年に数回、総代会を開いて神社の予算や決算、運営方針を決めている。任期は3年。関係者によると、11月1日付の一部改選に合わせ、矢田部総長が加わるという。  矢田部総長は三嶋大社(静岡県三島市)の宮司を務め、04年に総長に就任。神社本庁と靖国神社との間には、一般神職の人事交流はあるが、トップの総長が靖国神社の総代になるのは初めて。  A級戦犯の分祀論に対し、靖国神社は「神道の教義上できない」との立場を表明している。麻生外相が8月に提言した国立施設化などについても、(1)神道儀式(2)神社の景観(3)「靖国神社」の名称――の3点を変えないことが受け入れ条件で、「非宗教化」には応じない方針だ。  神社本庁も、小泉首相(当時)の靖国参拝を機に高まりを見せる見直し論議に対し、「(分祀は)神社祭祀(さいし)の本義からあり得ない」「靖国は戦没者慰霊の中心」という見解を昨年表明し、側面から靖国神社を支援してきた。両者とも宗教性の堅持が考え方の基本にあり、今回の人事でこうした路線の強化を図る。  靖国神社は戦後、神道が国家管理から外れた後も、ほかの神社が集った神社本庁の包括下に入らずにきた。「いつか国にお返しする特別の神社」(靖国関係者)であることが理由だった。総長が総代に就任しても、靖国神社が組織として神社本庁に加わるわけではないが、両者の関係は密接になる。 URL:http://www.asahi.com/national/update/1024/TKY200610240397.html *1007 日中首脳会談、実現の裏で 「靖国」探った妥協点 [朝日] 2006年10月07日06時25分  「中国側は、安倍首相が在任中に靖国神社に参拝することはない、と確信するに至った」  6日午前。東京・永田町で開かれた会合で、在京中国大使館の孔鉉佑(コン・シュワンヨウ)公使が、こう宣言した。  一方、安倍首相は6日夜、官邸で記者団に「特定の条件をつけて首脳会談を行うことはしない」と語った。  トゲだった「靖国」でズレを抱えながらも、こぎ着けた首脳会談の再開。日中関係筋は言う。  「ボタンの掛け違いの始まりになる可能性はある。だが、相手を信じるしかない」  道のりは長かった。  9月26日まで東京で4日にわたり断続的に開かれた「総合政策対話」。外務省の谷内正太郎事務次官と中国の戴秉国(タイ・ピンクオ)筆頭外務次官はぎりぎりのやりとりを続けていた。  谷内氏「安倍新首相が靖国神社に行かないとは約束できない。ただ、参拝したかしないかは明言しない。中国への配慮と受け止めて欲しい」。  戴氏「日本の指導者が政治的障害を除くことが必要だ。中国では、首相の参拝で多くの人々が傷ついている」。  同じころ、こんな動きがあった。  関係者によると、公明党支持母体である創価学会の池田大作名誉会長が安倍氏と極秘に会った。日中関係も話題にのぼったとされる。その直後の9月29日、池田氏は中国の王毅(ワン・イー)大使に会った。  創価学会の機関紙「聖教新聞」によると、池田氏は王氏に対して「日中友好の誓いは断じて果たしていく」と伝えた。  交渉が急展開したのはその前日の28日だった。     ◇  9月28日。夜9時近くに、東京・元麻布の中国大使館へ1台の黒塗りの車が入った。乗っていたのは、外務省の谷内事務次官と佐々江賢一郎アジア大洋州局長だった。  迎えたのは、直前に都内のホテルで開かれた中国の国慶節(建国記念日)パーティーで顔を合わせたばかりの王大使。そして前日に帰国したのもつかの間、極秘に再来日した戴次官だった。  戴氏は指導部との調整を経ていた。日本側が提案した10月の安倍首相訪中を基本的には受け入れる意向を示しつつ、なお首相の靖国参拝への姿勢の確認にこだわった。  2日後の30日、中国の北京、上海、天津で急きょ対日関係の専門家が集められ、首脳会談を開くべきか、意見聴取が行われた。訪中受諾の返答が日本側に伝えられたのは、その直後だった。  一方、中国大使館で谷内氏と戴氏が協議に入った後の28日夜10時半。首相官邸では安倍首相が韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と電話で話し、早期に首脳会談を開こうと呼びかけた。この後、間をおかず韓国政府から「中秋の連休明けの10月9日ならありがたい」と伝えられた。  韓国は以前から「日本で新政権が発足したら、すぐに首脳会談を開いて関係を改善したい」と日本側に繰り返し伝えていた。安倍氏は、韓国の積極的な姿勢を中国を牽制(けんせい)する材料にも使った。  「日韓だけで会談をやってみたらどうか」  安倍氏は官房長官だった昨年末、当時の竹中総務相に伝えた。中国・アモイで今年1月に開かれるはずだった日中韓3国情報通信相会合が中国側の「準備の都合」で3月に延期された。竹中氏は1月に韓国の情報通信相とだけ会談。「中国外し」を印象づけた。  「韓国とは価値観を共有する友好国だ。共産党による一党独裁の中国とは違う」。当時、安倍氏は周辺に語った。7月20日の講演でも「自由と民主主義、基本的人権は、まさに中国が直面している課題だ」と、中国をやり玉にあげていた。     ◇  その講演から約10日後、「転機」が訪れた。  中国への反発を隠さない安倍氏が、王大使と会談した。王氏は、中国が対日関係を重視していると繰り返し訴えた。  会談を仲立ちしたのは、自民党森派で兄貴分にあたる中川秀直幹事長(当時は政調会長)だった。中川氏は「私は仲人だから」と会談の最後に顔を出した。日中関係筋は「この会談で互いにつきあっていけるという判断がついた」とみる。  安倍氏は8月3日、東京で開かれた「東京・北京フォーラム」で「政治と経済の二つの車輪が力強く稼働し、日中関係をさらに高度な次元に高める関係を構築していかなければならない」と呼びかけた。同席した王氏は笑顔を浮かべ、安倍氏と握手した。  翌日未明、「安倍氏が4月に靖国神社を参拝していたことがわかった」との報道が流れた。だが、安倍氏は「行くか行かないか、行ったか行かなかったかは言わない」と語るだけだった。  靖国参拝をやめれば支持層の反発を買い、参拝すれば中韓との関係改善は遠のく。安倍氏の周辺はこの矛盾を解決するため「あいまい戦術」をとるよう進言していた。  中国側は、安倍氏が靖国参拝しないと確約しなければ首脳会談には応じられないとの立場は崩していなかった。だが、その前提条件にこだわりすぎれば、改善のタイミングを逃しかねない。安倍首相の訪韓が固まったことも横目でにらみ、会談に応じる決断をした。  首相が北京に入る8日は、中国共産党の年間の最重要行事である中央委員会全体会議の初日。しかも胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席、呉邦国(ウー・パンクオ)全国人民代表大会常務委員長、温家宝(ウェン・チアパオ)首相というトップ3が軒並み会談する破格の厚遇ぶりだ。  党関係者は言う。  「中国側は最高の形で受け入れる。この努力にもし安倍首相が応えず、小泉氏のように靖国に参拝するなら、両国関係を壊したのは日本の方だと言うことができる」  首相は訪中で、胡氏や温氏に来年以降の訪日を招請する予定だ。実現すれば、安倍氏は事実上来年以降も靖国参拝を控えることになる――別の日中関係筋はこうみる。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/1007/001.html *0915 米の戦中派議員、靖国参拝批判 下院公聴会で次々と [朝日] 2006年09月15日11時38分  米下院の外交委員会は14日、日本と中国、韓国など近隣諸国との関係に関して公聴会を開き、戦争体験を持つ長老議員らが、A級戦犯を合祀(ごうし)した靖国神社を日本の首相が参拝することは「モラルの崩壊だ」などと相次いで苦言を呈した。靖国批判は米議会全体の声ではないが、太平洋で日本と戦ったハイド外交委員長(82)=共和党=ら「戦争世代」の議員には批判的な意見が根強い。  ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の生存者のラントス議員(78)=民主党=は「A級戦犯が合祀された靖国神社への(日本の首相の)参拝は、ドイツのヒムラー(ナチスの親衛隊長官)やヘス(ナチス副総統)、ゲーリング(同元帥)の墓に花輪を手向けるのに等しい」と反発。日本の次期首相へのメッセージとして「戦犯に敬意を払うのはモラルの崩壊であり、日本のような偉大な国家にはふさわしくない」と語った。  ハイド氏は同神社にある戦争博物館「遊就館」について「日本がアジアを西欧の帝国主義支配から解放したと若者に教えている。戦争を経験した世代として困惑している」と指摘。「この博物館で教えられている歴史は事実に基づかない。修正されるべきだ」と求めた。  今期限りで引退するハイド氏は昨秋、小泉首相の靖国参拝について「(アジアの)対話が阻害されるとしたら残念だ」と懸念を示す書簡を加藤良三駐米大使に送った。今年4月には、米議会での首相演説の実現には「靖国参拝をしないと自ら表明する必要がある」との書簡をハスタート下院議長に送っている。  一方、戦後世代の議員からは「独裁政権の中国は日米間にくさびを打ち、我々が過去に注目することを望んでいる」との意見も出た。公聴会で証言した知日派のグリーン前米国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長は、同委員会に提出した書面で「日本が歴史を忘れ、戦前のような好戦性に回帰しているという議論は全く的はずれだ」と指摘した。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0915/002.html *0904 靖国争点は「よこしまな人」 安倍氏がむきに [朝日] 2006年09月04日19時35分  安倍官房長官は4日、福岡市での自民党九州ブロック大会で、自らの靖国神社参拝の有無を明らかにしない理由について「外交、政治問題に発展させようという、よこしまな人たちがいるのであれば、何も今宣言する必要はない」と発言。さらに「偏狭なナショナリズムとは、外国の国旗を焼き、破ることだ。こういう国に日本はなってはならない」と語り、反日デモなどの際に群衆が日の丸を焼いた中国や韓国を激しく批判した。 安倍晋三官房長官=4日午後2時15分、福岡市博多区の福岡サンパレスホールで  安倍氏と谷垣財務相、麻生外相の討論の司会を務めた田勢康弘早大大学院教授が、靖国参拝の有無を明らかにしない安倍氏に「首相日程を秘密にするのはまず不可能だ」と指摘。安倍氏は「日本のために戦い、亡くなった方々のために尊崇の念を表する気持ちは持ち続けたいし、持ち続けるべきだ」と応じたうえで、「今宣言する必要はない」と語った。  続いて谷垣氏が、日中・日韓関係の悪化は「やはり靖国問題がきっかけ」と発言。「お互いに寛容でおおらかなナショナリズムに立つべきで、そうでない主張は互いに慎むべきだ」と訴えた。  この発言に安倍氏は「ちょっといいですか」と切り出し、「政治目的を達成するために首脳会談をやらない、との外交に応じると、ほかの問題でもそういうことを挑まれる可能性がある」と持論を展開。「問題を拡大させないためにこそ、首脳会談をやるのではないか。違いがあるからこそ話をするんでしょう」とトーンを上げた。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0904/006.html *0816 政教分離に違反、靖国「国営化」懸念も 高橋東大教授 [朝日] 2006年08月16日02時07分  首相が靖国神社に参拝した15日、「靖国問題」の著書で知られる高橋哲哉・東大教授(哲学)が、日本教育会館など東京都内2カ所で講演し、靖国問題では首相参拝やA級戦犯合祀(ごうし)だけが焦点なのではないと述べた。  高橋教授は小泉首相の参拝について「公約とうたって公用車を使い、内閣総理大臣と記帳した参拝は、私的行為であるはずはなく、憲法の政教分離原則に違反する」と批判。さらに「宮内庁長官メモの報道以来、『昭和天皇ですらA級戦犯が合祀された靖国に行かなかった。小泉首相も行くべきでない』という議論がある。首相の参拝は、まず憲法の政教分離の問題から指摘すべきで、憲法より天皇のことばに権威があるかのような報道は問題だ」と指摘した。  また、A級戦犯を分祀して靖国神社を非宗教法人化して国営化すれば首相の参拝はもちろん天皇参拝も復活できる、などと自民党の有力政治家が発言したことに触れ、「かつて自民党が断念した靖国神社国家護持法案の焼き直しであり、今後自衛隊が新たに海外で戦死者を出した場合の慰霊・顕彰施設としての『国営靖国神社』に再び道を開くものだ」と警鐘を鳴らした。     ◇  日本弁護士連合会の平山正剛会長は15日、小泉首相の靖国神社参拝について、「国政の最高責任者である内閣総理大臣が、一宗教法人である靖国神社に公式参拝することは、国の宗教活動の禁止を定めた憲法20条の精神にもとることは明らか」などとする談話を発表した。「このような憲法違反が問責される行為を、今後繰り返すことのないよう強く要請する」としている。 URL:http://www.asahi.com/national/update/0816/TKY200608150569.html *0816 「残念」「苦々しい」東南アジア・豪も批判 靖国参拝 [朝日] 2006年08月16日01時21分  小泉首相の靖国神社参拝をめぐっては、東南アジア各国からも懸念や批判の声が出た。  シンガポール外務省は15日、「小泉首相の靖国参拝は遺憾だ。靖国問題は日本の内政であると同時に、国際外交上の懸案事項でもある。中韓はじめアジアの国々で反発を呼び起こし、緊密な関係と協力関係を築くという地域共通の利益に役立たない」との報道官声明を発表した。  ジョージ・ヨー外相も同日、自民党の茂木敏充衆院議員と会談し、「参拝を大変残念に思っている。日本にとっても決してよいことではない」と述べた。  戦時中、日本軍による中国系住民の虐殺があったマレーシアでは、中国系団体がクアラルンプールで恒例の追悼式を開いた。約300人が参加。祈りの後、「日本大使館へ抗議に行こう」との声があがり、約20人が大使館へ。「日本とマレーシアや東南アジアの市民の友情と緊密な関係が、少数の人々の行動で損なわれてはならない」などという抗議文を職員に手渡した。  またダウナー豪外相は、記者団に対して2週間前の訪日に触れ、「小泉首相には、豪州はA級戦犯がまつられていることを憂慮しているし、地域の人々の居心地を悪くしていると伝えたのだが……」と話した。豪ABCテレビは「彼ら(日本人)はいまだに後悔していない。誰もが苦々しい思いだ」という退役軍人の声を紹介した。  一方、インドネシアのハッサン外相は「何度も繰り返されてきた問題であり、コメントしたくない。アジア太平洋地域の平和と安定に寄与するような未来志向の解決を望む」と記者団に語った。 URL:http://www.asahi.com/international/update/0816/003.html *0815 野党各党が反発 首相の靖国神社参拝 [朝日] 2006年08月15日14時03分  野党幹部は15日、小泉首相が靖国神社参拝で示した政治姿勢や歴史認識などについて一斉に批判した。  民主党の鳩山由紀夫幹事長は15日朝、自宅前で記者団に対し、「(首相就任後)最初の頃は説明責任を果たすことが厳しい、と躊躇(ちゅうちょ)して違う日に行き、辞める間際になって8月15日に行くのは欺瞞(ぎまん)。その責任は後の内閣に任せるという話で、たつ鳥、後を濁しに濁して行くということで、無責任極まりない愚行だ」と厳しく批判した。  共産党の志位委員長は15日、国会内で記者会見し、「『いつ行っても同じ』だから今日行ったという弁明は最悪の居直り。侵略戦争と植民地支配への反省の日を最後(の参拝の日)に選んだのは、問題をさらに深刻にした。だれが次期首相になろうとも、参拝を中止すべきだと強く求める」と語った。  社民党の福島党首も同日朝、党本部で記者会見し、「強く抗議する。8月15日を、平和の誓いの日から再び国のために死ぬ誓いの日に変えようとしているのではないか。『内閣総理大臣』と記帳するなど、はっきり公式参拝の形をとっており、政教分離に明確に反している」と述べた。  新党日本の田中康夫代表も同日、「公約だと強弁するなら、すべては首相の一存で決定出来る話となり、民主主義もへったくれもない。一時の感情で国運が左右される事態を危惧(きぐ)する」とするコメントを出した。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0815/009.html *0815 飛び交う歓声、外国メディア懸念も 首相参拝の靖国神社 [朝日] 2006年08月15日11時38分  「小泉劇場」の締めくくりの舞台は、靖国神社だった。国内外のメディアを引き寄せ、境内を埋めた参拝者の歓声を背に、小泉首相は終戦記念日の8月15日、言い募ってきた「公約」を果たした。戦没遺族、学生、識者、そしてアジアの人々。首相にとっての「心の問題」が、それぞれのヤスクニとあの戦争への思いをこの日、ひときわ鋭く交錯させた。  上空の警視庁や報道のヘリコプターの音がひときわ大きくなった午前7時40分、霧のような雨が降る中、小泉首相の車列が到着した。  昨年10月は第二鳥居の外側で車を降り、一般の参拝者と同様に拝殿で参拝したが、今回は到着殿に車で乗り付けた。  モーニング姿の首相は到着殿から本殿へ。本殿に上る階段の手前で、一度上を見上げた。うつむき加減に階段を上り、本殿の中へ。その背中に、拝殿の外側から大勢の人たちがいっせいにカメラ付き携帯電話を向けた。  約2分後、首相は本殿から再び姿を現した。神社に着いて約15分。小泉首相は靖国を後にした。  この日は早朝から、参拝を見届けようと多くの人が詰めかけた。「英霊にこたえる会」などが配った日の丸を手にした人たちも。小泉首相が姿を見せると参拝者が押し寄せ、「万歳」の歓声が上がった。神社近くの路上では、靖国に合祀(ごうし)されている台湾の先住民の遺族らが、合祀の取り下げや首相の参拝反対を訴えて座り込みをした。  名古屋市の女子高校生(18)は小泉首相の参拝を見ようと、初めて母親(44)と一緒に靖国に来た。「学校の先生は首相の靖国参拝に反対していたけど、日本を背負って戦死した人たちに失礼と思った。小泉さんが参拝して本当によかった」  しかし、母は少し違う。「参拝はいいが、A級戦犯が合祀されている以上、総理の名ではしてほしくなかった」  奈良県の女性(61)は、地元の遺族会から誘われ、初めて足を運んだ。小泉首相が参拝を終えた後、入れ違いに靖国に着いた。終戦の年に生まれ、沖縄で戦死した兄のことを聞かされて育った。「私たちのような悲しい思いをする人が二度と出ないようにと祈った。小泉首相が同じ日に同じ思いで参拝してくれていたら、やっぱりうれしい」と言った。  韓国、英国、カナダ……。外国メディアも参拝を注視した。韓国のテレビ局KBSのディレクターの朴正用(パク・チョンヨン)さん(46)はクルー3人と小泉首相の姿を追った。神社参拝は日本文化だと思っているが、首相の参拝は政治的問題を起こすと懸念もしている。「5年間の小泉首相の参拝で韓国人が靖国問題を注目するようになった。日本の民族主義の背景に何があるのかを解明したい」と話した。  神社前の雑貨店。明治時代から続く老舗(しにせ)はこの日、シャッターを閉じたまま。3代目店主の小林国利さん(75)は右翼団体と機動隊の小競り合いなどを目の当たりにして、この3年、終戦の日は店を閉じている。  「昔は静かな場所だった。まつられている人とは関係ない人が騒いで、雰囲気が悪くなった」 URL:http://www.asahi.com/national/update/0815/TKY200608150203.html *0815 小泉首相、靖国神社に昇殿して参拝 [朝日] 2006年08月15日07時54分  小泉首相は終戦記念日の15日朝、東京・九段北の靖国神社に参拝した。現職首相による終戦記念日の参拝は85年の中曽根康弘元首相以来21年ぶり。小泉首相は就任前に8月15日の参拝を公約していたが、過去5回は時期をずらしていた。首相は参拝後、「いつ行っても批判する勢力がある。ならば今日は適切な日と判断した」と語った。河野洋平衆院議長が戦争責任の明確化に言及するなど靖国問題をとらえ直す動きが出る一方、中韓両国は抗議声明を発表し、ポスト小泉政権の対応を注視している。9月の自民党総裁選では首相参拝の是非や靖国神社のあり方が争点になり、次期政権の課題となる。  小泉首相の靖国神社参拝は昨年10月以来で、6年連続となった。9月に退陣を控えた首相はこの日、公用車で靖国神社を訪れ、「内閣総理大臣 小泉純一郎」と記帳。モーニング姿で本殿に上がり、「二拝二拍手一拝」の神道形式はとらずに一礼し、玉串料の代わりに献花料3万円を私費で払った。  首相は01年の自民党総裁選で「首相に就任したら8月15日の戦没慰霊祭の日にいかなる批判があろうと必ず参拝する」と公約した。しかし01年は中韓両国への配慮などから8月13日に前倒ししたほか、春季例大祭初日の4月21日(02年)、1月14日(03年)、元日(04年)、秋季例大祭初日の10月17日(05年)と日付を変えて参拝し、8月15日は避けてきた。  参拝で中韓両国との首脳外交は途絶えることになったが、首相は「外国政府が心の問題にまで介入して、外交問題にしようとする姿勢は理解できない」と不快感を表明。今月に入ると「公約は生きている。守るべきものだ」と語っていた。  首相が9月の総裁選を控えて参拝に踏み切ったのは、参拝に慎重姿勢を見せていた福田康夫元官房長官が立候補を見送り、後継と目される安倍官房長官の優位が固まった情勢を受けたとみられる。  靖国問題では、総裁選に立候補を予定している3人の間でも主張が分かれており、党内で具体的な論議が始まっている。4月に参拝した安倍氏はこの日の首相参拝について直接の論評は避け、谷垣財務相は閣僚懇談会でA級戦犯合祀(ごうし)やアジア外交改善を課題に挙げた。麻生外相は靖国神社に非宗教法人化を促す私案を唱えている。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0815/002.html *0812 千鳥ケ淵戦没者墓苑拡充で新慰霊碑建設見送り 自民案  [産経]  自民党は11日、国立「千鳥ケ淵戦没者墓苑」(東京都千代田区)の整備について、手狭となった戦没者の遺骨を安置する納骨堂を拡張する一方、「国立追悼施設」構想と一線を画すため新たな慰霊碑は建立しない方針を固めた。周辺の国有地を利用して付属公園化し、墓苑の敷地を2倍以上に広げる。この方針に沿って同党の「千鳥ケ淵戦没者墓苑の整備に関するプロジェクトチーム」(武見敬三座長)が年内に具体的な整備構想をまとめる。  千鳥ケ淵墓苑は、さきの大戦の戦没者中、身元不明の遺骨35万柱を納める「遺骨安置所」の役割を果たしている。  同墓苑の整備は今年6月、都心の公務員宿舎などの政府資産の圧縮を検討する中で、中川秀直政調会長が墓苑周辺の国有地の有効利用策として小泉純一郎首相に提案し、検討が始まった。しかし、新たな国立追悼施設の建設を唱える山崎拓元副総裁らが、拡充された同墓苑が国立追悼施設の有力候補になるとの認識を示し、党内の議論が混乱していた。  こうした中、「ポスト小泉」レースで、独走状態になっている安倍晋三官房長官が、戦没者追悼施設としての靖国神社を重視する立場をとっていることから、同党では墓苑の拡充と新たな国立追悼施設建設を切り離す方針を固めたとみられる。このため新たな慰霊碑建立は、同墓苑を靖国に代わる国立追悼施設視させる恐れがあることから見送られることになった。  現在の墓苑の敷地は1.6万平方メートル。計画では、飛び地を含む2区画6カ所の公務員宿舎(約1.7万平方メートル)などを加える。  隣接する公務員合同宿舎三番町住宅などは整地し、墓苑につながる道路を拡張。民間マンションを隔てて飛び地となる農林水産省分庁舎などの国有地は公園にする。また、老朽化している九段坂病院(国家公務員共済組合連合会)も移転し、公園用地とすることを検討する。 (08/12 02:46) URL:http://www.sankei.co.jp/news/060812/sei017.htm *0811 鳩山氏「靖国の法人・国営化は国家神道化の恐れ」 [朝日] 2006年08月11日18時40分  民主党の鳩山由紀夫幹事長は11日の記者会見で、麻生外相が靖国神社を非宗教法人化し、最終的に「国立追悼施設靖国社(招魂社)」にする私案を示したことについて「下手をすると、かつての国家神道的な発想が浮かび上がってきてしまう。これは歴史に逆行する話で、考えられない話だ」と批判した。  自民党内では中川秀直政調会長も、靖国神社の「国家護持」を目的に、過去に自民党が提出して廃案になったものと同様の法案を出すこともあり得るとしている。鳩山氏の発言は、こうした動きに懸念を示したものだ。  鳩山氏はさらに、小泉首相が8月15日の参拝に関して「公約は生きている」と述べたことについて「国益を破っても公約を守るという話は、まことに国民から見れば不可思議な話だ」と語った。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0811/003.html *0811 非宗教法人化は困難 靖国参拝支持の若手議員の会 [朝日] 2006年08月11日18時23分  自民党の「平和を願い真の国益を考え靖国参拝を支持する若手国会議員の会」(今津寛会長、約140人)は11日、靖国参拝に関する提言をまとめた。麻生外相らが提案する同神社の非宗教法人化については、宗教色が消えることへの懸念や同神社が望んでいない現状から「困難と言わざるを得ない」としている。  提言では、A級戦犯の分祀(ぶんし)は「検討すべきではないか」との意見もあったと紹介しながら、「現実的でなく得策ではない」という意見が多数を占めたと指摘。千鳥ケ淵戦没者墓苑の拡充は「慎重な検討を要する」、国立追悼施設構想は「意義が乏しい」と否定的だ。  一方、昭和天皇がA級戦犯合祀に不快感を示したとする元宮内庁長官のメモについては「天皇のご真意をどの程度反映しているか明らかでない中で、軽々しく政治的に用いるべきではない」と強調している。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0811/002.html *0811 台湾の戦没者遺族ら、靖国神社に合祀取り消し求め提訴 [読売]  「遺族の同意なしに合祀(ごうし)され、人格権を侵害された」として、日本人や台湾先住民族の戦没者遺族9人が11日、靖国神社(東京・九段北)に合祀の取り消しを求める訴訟を大阪地裁に起こした。  原告らは、国が靖国神社に協力する形で合祀が行われているのは違憲として、両者に1人当たり慰謝料100万円の損害賠償も求めている。合祀取り消しを靖国神社に求める訴訟は初めて。  原告は、浄土真宗僧侶の菅原(すがはら)龍憲さん(66)ら日本人8人と、台湾先住民族男性の楊元煌さん(51)。  訴状によると、原告らの父や兄など11人はいずれも第2次大戦で戦死し、靖国神社に合祀された。原告らは個別に合祀取り消しを神社側に求めたが、拒否された。原告側は「遺族に無断で合祀し続けられたことで、故人をどのように追悼し、心に刻むのかを個人として決める権利を著しく侵害されている」と主張。合祀者の名簿「霊爾簿(れいじぼ)」などから11人の氏名を抹消するよう求めている。  また、国が靖国神社に戦没者の氏名などの情報を提供してきたことについて「政教分離原則に違反するのは明らかで、肉親が合祀されたことに強い違和感と苦痛を感じている」としている。  靖国神社の合祀を巡っては、韓国人戦没者遺族が国に取り消しを求めた訴訟で、東京地裁が今年5月、「合祀の判断、決定は靖国神社が行っていた」として、請求を棄却している。  靖国神社広報課の話「訴状を見ていないので、コメントは差し控える」 (2006年8月11日21時26分 読売新聞) URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060811i213.htm *0810 千鳥ケ淵墓苑を平和記念施設に 社民が提言へ [朝日] 2006年08月10日18時23分  社民党は10日の常任幹事会で、千鳥ケ淵戦没者墓苑を平和祈念施設に整備、拡充する提言をまとめる方針を決めた。福島党首が委員長を務め、学識経験者らでつくる提言委員会を8月中にも立ち上げる。又市征治幹事長は10日の記者会見で「国立ですべての戦没者を慰霊する、平和を祈念して誓いをする場所が日本にはない。提言にまとめて政府に(整備を)求めたい」と語った。  社民党はこれまで、国立で無宗教の追悼施設を建設する必要性を訴えてきた。01年には、土井たか子党首(当時)が千鳥ケ淵墓苑を「ここが日本の国立墓苑だと言えるようにすべきだ」と党首討論で小泉首相に迫った。提言委員会には土井氏も加わる予定だ。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0810/005.html *0309 新宗連が首相の靖国参拝で意見書 政教分離に配慮求める [朝日] 2006年08月09日20時58分  立正佼成会やPL教団など69の宗教団体で構成する新日本宗教団体連合会(新宗連)は9日、小泉首相ら閣僚の靖国神社参拝は「憲法20条の政教分離に反する」とする小泉首相あての意見書を、自民党の谷津義男組織本部長に提出した。  意見書では、麻生外相らが唱えている靖国神社の非宗教法人化についても、「宗教法人として存立する宗教施設のあり方について政府が干渉することは、厳に慎むべき行為」と批判している。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0809/005.html *0808 靖国神社:自主解散し国立追悼施設に改編 麻生外相が私案 [毎日]  麻生太郎外相は8日午前の閣議後の記者会見で、靖国神社の非宗教法人化に関する私案を発表した。宗教法人である靖国神社を自主解散によりいったんは財団法人などに移行し、最終的に特殊法人「国立追悼施設靖国社」(仮称)に改編するよう求めた内容。慰霊対象については特殊法人の設置法に明記し、「国会で議論を尽くし決断すべきだ」として事実上、A級戦犯の分祀(ぶんし)にも道を開いている。自民党総裁選に出馬する麻生氏の私案は靖国問題をめぐる論議の加速を狙ったもので、同問題をめぐる各候補の論戦も本格化する。  麻生氏は靖国神社への首相参拝をめぐる是非論の解決や天皇陛下の参拝を実現するためには非宗教法人化を検討すべきだとかねて主張しており、その見解をまとめた。現職閣僚であることから憲法の定める政教分離原則を考慮し、私見の形とした。  私案は靖国神社について「政治から遠ざけ、静ひつな、祈りの場所として、未来永劫(えいごう)保つ」ためには、同神社が宗教法人を自主的に解散することが必要と提案。「戦死者慰霊は本来、国がなすべき仕事」として(1)自主解散後はいったん財団法人などに移行(2)立法により特殊法人に「国営化」し、それに合わせ、現在の祭式を非宗教的・伝統的なものに改める--との2段階の改編を示した。全国の護国神社も解散し「靖国社」の支部として再出発し、併設の戦史展示館「遊就館」は行政府に移管する。  麻生氏は記者会見で、祭式の宗教色をどこまでなくすかについて「私がとやかく言うことではない。新しい法人が考えるべきだ」と述べた。  さらに、「A級戦犯」との表現を避けながらも、国会で靖国社設置法を審議する際に、慰霊対象についても徹底的に議論することを提案した。靖国神社は教義上の理由で分祀を否定しているが、非宗教法人化で「慰霊対象の特定にあたり、教義は唯一の判断基準でなくなる」と説明している。  また、「靖国社」の財源を安定させるため独立行政法人「平和祈念事業特別基金」への政府出資金約200億円の活用を検討。日本遺族会は公益性を認め、今後も維持する。麻生氏は一連の改編を「政治の責任」と強調。同時に「何年も費やすべきではない」として、靖国神社側の決断も暗に促している。【中田卓二】  ◇麻生太郎外相が8日に発表した靖国神社改編私案の要旨 <1> ・靖国神社はやかましい議論の対象になってはならない。靖国の代替施設は作れない <2> ・靖国神社を可能な限り政治から遠ざけ、静ひつな祈りの場所として未来永劫(えいごう)保っていく <3>現状の問題点 ・靖国神社が宗教法人である限り、政教分離原則との関係が問題であり、政治家が「だれかれを分祀(ぶんし)すべし」と言うことは厳に慎むべきだ ・戦後日本は国家がなすべき戦死者慰霊を一宗教法人に丸投げした。その結果、05年の遺族給付受給者は1982年の10分の1以下になり、年間予算も約20年前の3分の1に減っている <4>解決策 ・靖国神社は宗教法人でなくなるため任意解散し、財団法人などに移行。最終的には設置法を作り、特殊法人「国立追悼施設靖国社」(仮称)とする。祭式は非宗教的、伝統的なものにする ・全国の護国神社も解散し靖国社の支部とする ・独立行政法人「平和祈念事業特別基金」への政府出資金を利用するなど、靖国社の財源を安定させる ・財団法人日本遺族会は公益法人改革後も公益性を認め、安定を図る ・靖国社の慰霊対象は設置法を論じる国会が議論を尽くし、決断する ・「遊就館」は行政府に管理、運営を移す <5> ・政治の責任として以上の手続きを踏み、天皇陛下にお参りしていただく。諸外国首脳も訪問  ◇具体的提起で、論議に一石  麻生太郎外相が8日に発表した靖国神社の非宗教法人化に関する提言は、私案の位置付けとはいえ靖国神社のあり方そのものの見直しを具体的に提起した点で、同神社をめぐる論議に一石を投じたと言える。総裁選に向け「靖国問題」の論議が加速するのは確実だ。ただ、同神社の国家管理はこれまでも何度も挫折した経緯があるだけに、早期実現にはかなりハードルが高いのも事実だ。  麻生氏の主眼は、非宗教法人化により、憲法の政教分離原則にとらわれず政治主導で議論を深め、アジア外交のトゲである「靖国問題」を決着させる点にある。私案は「A級戦犯」の表現を避け、慰霊対象については「国会が決断すべきだ」としているが、最終的にA級戦犯の分祀(ぶんし)を念頭に置いての提言であることは間違いない。  麻生氏の見解に関しては最近では中川秀直自民党政調会長が同神社の国家管理法案に言及し、日本遺族会会長の古賀誠元自民党幹事長も非宗教法人化の検討を提言するなど一定の広がりを見せている。同神社とは別の「国立追悼施設」を建立する案とは一線を画したアプローチ。この時期に発表に踏み切ることで主張の「著作権」を確保、「ポスト小泉」候補としての存在をアピールする狙いも透けて見える。  ただ、靖国神社の国家管理はかつてタカ派的発想から保守勢力が「国家護持」として追求。「靖国神社国家護持法案」が60~70年代に国会に計5回提出され、いずれも廃案になった経緯がある。衆院法制局は74年、法案の合憲性を担保するには「拝礼形式の自由化」「鳥居など施設の名称変更」などが条件との見解を示している。靖国神社の存在意義にかかわる論点だが、麻生氏はこの点については、私案で「祭式を非宗教的・伝統的なものにする」と簡単に触れただけだ。麻生氏は靖国神社側が国家管理案に歩み寄ることを期待するが「宗教色」を払しょくすることに神社側の抵抗感は強いとみられる。【中田卓二】 毎日新聞 2006年8月8日 12時08分 (最終更新時間 8月8日 12時10分) URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20060808k0000e010063000c.html
[[●靖国問題06Ⅳ]] から [[●戦争と罪責07Ⅰ]] へ #contents #comment(vsize=2,nsize=20,size=40)   ↑ご自由にコメントをお書き下さい。 #contents (2) *1025 靖国神社の総代に神社本庁総長 宗教性守る狙い [朝日] 2006年10月25日07時01分  靖国神社(南部利昭宮司)の運営方針を決める崇敬者総代(計10人)の1人に11月1日から、全国約7万9000の神社を束ねる神社本庁のトップ、矢田部正巳総長が就任することが分かった。靖国神社は本庁とは協力関係にあるが、その傘下に入らない単独の宗教法人として運営されてきた。今後、矢田部総長が靖国神社の意思決定に関与することで、A級戦犯の分祀(ぶんし)や国家管理による非宗教法人化などの見直し論に対し、神社界全体で靖国神社の宗教性を守る狙いがある。  崇敬者総代はこれまで、経済人や学識者、日本遺族会役員らが務めてきた。年に数回、総代会を開いて神社の予算や決算、運営方針を決めている。任期は3年。関係者によると、11月1日付の一部改選に合わせ、矢田部総長が加わるという。  矢田部総長は三嶋大社(静岡県三島市)の宮司を務め、04年に総長に就任。神社本庁と靖国神社との間には、一般神職の人事交流はあるが、トップの総長が靖国神社の総代になるのは初めて。  A級戦犯の分祀論に対し、靖国神社は「神道の教義上できない」との立場を表明している。麻生外相が8月に提言した国立施設化などについても、(1)神道儀式(2)神社の景観(3)「靖国神社」の名称――の3点を変えないことが受け入れ条件で、「非宗教化」には応じない方針だ。  神社本庁も、小泉首相(当時)の靖国参拝を機に高まりを見せる見直し論議に対し、「(分祀は)神社祭祀(さいし)の本義からあり得ない」「靖国は戦没者慰霊の中心」という見解を昨年表明し、側面から靖国神社を支援してきた。両者とも宗教性の堅持が考え方の基本にあり、今回の人事でこうした路線の強化を図る。  靖国神社は戦後、神道が国家管理から外れた後も、ほかの神社が集った神社本庁の包括下に入らずにきた。「いつか国にお返しする特別の神社」(靖国関係者)であることが理由だった。総長が総代に就任しても、靖国神社が組織として神社本庁に加わるわけではないが、両者の関係は密接になる。 URL:http://www.asahi.com/national/update/1024/TKY200610240397.html *1007 日中首脳会談、実現の裏で 「靖国」探った妥協点 [朝日] 2006年10月07日06時25分  「中国側は、安倍首相が在任中に靖国神社に参拝することはない、と確信するに至った」  6日午前。東京・永田町で開かれた会合で、在京中国大使館の孔鉉佑(コン・シュワンヨウ)公使が、こう宣言した。  一方、安倍首相は6日夜、官邸で記者団に「特定の条件をつけて首脳会談を行うことはしない」と語った。  トゲだった「靖国」でズレを抱えながらも、こぎ着けた首脳会談の再開。日中関係筋は言う。  「ボタンの掛け違いの始まりになる可能性はある。だが、相手を信じるしかない」  道のりは長かった。  9月26日まで東京で4日にわたり断続的に開かれた「総合政策対話」。外務省の谷内正太郎事務次官と中国の戴秉国(タイ・ピンクオ)筆頭外務次官はぎりぎりのやりとりを続けていた。  谷内氏「安倍新首相が靖国神社に行かないとは約束できない。ただ、参拝したかしないかは明言しない。中国への配慮と受け止めて欲しい」。  戴氏「日本の指導者が政治的障害を除くことが必要だ。中国では、首相の参拝で多くの人々が傷ついている」。  同じころ、こんな動きがあった。  関係者によると、公明党支持母体である創価学会の池田大作名誉会長が安倍氏と極秘に会った。日中関係も話題にのぼったとされる。その直後の9月29日、池田氏は中国の王毅(ワン・イー)大使に会った。  創価学会の機関紙「聖教新聞」によると、池田氏は王氏に対して「日中友好の誓いは断じて果たしていく」と伝えた。  交渉が急展開したのはその前日の28日だった。     ◇  9月28日。夜9時近くに、東京・元麻布の中国大使館へ1台の黒塗りの車が入った。乗っていたのは、外務省の谷内事務次官と佐々江賢一郎アジア大洋州局長だった。  迎えたのは、直前に都内のホテルで開かれた中国の国慶節(建国記念日)パーティーで顔を合わせたばかりの王大使。そして前日に帰国したのもつかの間、極秘に再来日した戴次官だった。  戴氏は指導部との調整を経ていた。日本側が提案した10月の安倍首相訪中を基本的には受け入れる意向を示しつつ、なお首相の靖国参拝への姿勢の確認にこだわった。  2日後の30日、中国の北京、上海、天津で急きょ対日関係の専門家が集められ、首脳会談を開くべきか、意見聴取が行われた。訪中受諾の返答が日本側に伝えられたのは、その直後だった。  一方、中国大使館で谷内氏と戴氏が協議に入った後の28日夜10時半。首相官邸では安倍首相が韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と電話で話し、早期に首脳会談を開こうと呼びかけた。この後、間をおかず韓国政府から「中秋の連休明けの10月9日ならありがたい」と伝えられた。  韓国は以前から「日本で新政権が発足したら、すぐに首脳会談を開いて関係を改善したい」と日本側に繰り返し伝えていた。安倍氏は、韓国の積極的な姿勢を中国を牽制(けんせい)する材料にも使った。  「日韓だけで会談をやってみたらどうか」  安倍氏は官房長官だった昨年末、当時の竹中総務相に伝えた。中国・アモイで今年1月に開かれるはずだった日中韓3国情報通信相会合が中国側の「準備の都合」で3月に延期された。竹中氏は1月に韓国の情報通信相とだけ会談。「中国外し」を印象づけた。  「韓国とは価値観を共有する友好国だ。共産党による一党独裁の中国とは違う」。当時、安倍氏は周辺に語った。7月20日の講演でも「自由と民主主義、基本的人権は、まさに中国が直面している課題だ」と、中国をやり玉にあげていた。     ◇  その講演から約10日後、「転機」が訪れた。  中国への反発を隠さない安倍氏が、王大使と会談した。王氏は、中国が対日関係を重視していると繰り返し訴えた。  会談を仲立ちしたのは、自民党森派で兄貴分にあたる中川秀直幹事長(当時は政調会長)だった。中川氏は「私は仲人だから」と会談の最後に顔を出した。日中関係筋は「この会談で互いにつきあっていけるという判断がついた」とみる。  安倍氏は8月3日、東京で開かれた「東京・北京フォーラム」で「政治と経済の二つの車輪が力強く稼働し、日中関係をさらに高度な次元に高める関係を構築していかなければならない」と呼びかけた。同席した王氏は笑顔を浮かべ、安倍氏と握手した。  翌日未明、「安倍氏が4月に靖国神社を参拝していたことがわかった」との報道が流れた。だが、安倍氏は「行くか行かないか、行ったか行かなかったかは言わない」と語るだけだった。  靖国参拝をやめれば支持層の反発を買い、参拝すれば中韓との関係改善は遠のく。安倍氏の周辺はこの矛盾を解決するため「あいまい戦術」をとるよう進言していた。  中国側は、安倍氏が靖国参拝しないと確約しなければ首脳会談には応じられないとの立場は崩していなかった。だが、その前提条件にこだわりすぎれば、改善のタイミングを逃しかねない。安倍首相の訪韓が固まったことも横目でにらみ、会談に応じる決断をした。  首相が北京に入る8日は、中国共産党の年間の最重要行事である中央委員会全体会議の初日。しかも胡錦涛(フー・チンタオ)国家主席、呉邦国(ウー・パンクオ)全国人民代表大会常務委員長、温家宝(ウェン・チアパオ)首相というトップ3が軒並み会談する破格の厚遇ぶりだ。  党関係者は言う。  「中国側は最高の形で受け入れる。この努力にもし安倍首相が応えず、小泉氏のように靖国に参拝するなら、両国関係を壊したのは日本の方だと言うことができる」  首相は訪中で、胡氏や温氏に来年以降の訪日を招請する予定だ。実現すれば、安倍氏は事実上来年以降も靖国参拝を控えることになる――別の日中関係筋はこうみる。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/1007/001.html *0915 米の戦中派議員、靖国参拝批判 下院公聴会で次々と [朝日] 2006年09月15日11時38分  米下院の外交委員会は14日、日本と中国、韓国など近隣諸国との関係に関して公聴会を開き、戦争体験を持つ長老議員らが、A級戦犯を合祀(ごうし)した靖国神社を日本の首相が参拝することは「モラルの崩壊だ」などと相次いで苦言を呈した。靖国批判は米議会全体の声ではないが、太平洋で日本と戦ったハイド外交委員長(82)=共和党=ら「戦争世代」の議員には批判的な意見が根強い。  ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の生存者のラントス議員(78)=民主党=は「A級戦犯が合祀された靖国神社への(日本の首相の)参拝は、ドイツのヒムラー(ナチスの親衛隊長官)やヘス(ナチス副総統)、ゲーリング(同元帥)の墓に花輪を手向けるのに等しい」と反発。日本の次期首相へのメッセージとして「戦犯に敬意を払うのはモラルの崩壊であり、日本のような偉大な国家にはふさわしくない」と語った。  ハイド氏は同神社にある戦争博物館「遊就館」について「日本がアジアを西欧の帝国主義支配から解放したと若者に教えている。戦争を経験した世代として困惑している」と指摘。「この博物館で教えられている歴史は事実に基づかない。修正されるべきだ」と求めた。  今期限りで引退するハイド氏は昨秋、小泉首相の靖国参拝について「(アジアの)対話が阻害されるとしたら残念だ」と懸念を示す書簡を加藤良三駐米大使に送った。今年4月には、米議会での首相演説の実現には「靖国参拝をしないと自ら表明する必要がある」との書簡をハスタート下院議長に送っている。  一方、戦後世代の議員からは「独裁政権の中国は日米間にくさびを打ち、我々が過去に注目することを望んでいる」との意見も出た。公聴会で証言した知日派のグリーン前米国家安全保障会議(NSC)上級アジア部長は、同委員会に提出した書面で「日本が歴史を忘れ、戦前のような好戦性に回帰しているという議論は全く的はずれだ」と指摘した。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0915/002.html *0904 靖国争点は「よこしまな人」 安倍氏がむきに [朝日] 2006年09月04日19時35分  安倍官房長官は4日、福岡市での自民党九州ブロック大会で、自らの靖国神社参拝の有無を明らかにしない理由について「外交、政治問題に発展させようという、よこしまな人たちがいるのであれば、何も今宣言する必要はない」と発言。さらに「偏狭なナショナリズムとは、外国の国旗を焼き、破ることだ。こういう国に日本はなってはならない」と語り、反日デモなどの際に群衆が日の丸を焼いた中国や韓国を激しく批判した。 安倍晋三官房長官=4日午後2時15分、福岡市博多区の福岡サンパレスホールで  安倍氏と谷垣財務相、麻生外相の討論の司会を務めた田勢康弘早大大学院教授が、靖国参拝の有無を明らかにしない安倍氏に「首相日程を秘密にするのはまず不可能だ」と指摘。安倍氏は「日本のために戦い、亡くなった方々のために尊崇の念を表する気持ちは持ち続けたいし、持ち続けるべきだ」と応じたうえで、「今宣言する必要はない」と語った。  続いて谷垣氏が、日中・日韓関係の悪化は「やはり靖国問題がきっかけ」と発言。「お互いに寛容でおおらかなナショナリズムに立つべきで、そうでない主張は互いに慎むべきだ」と訴えた。  この発言に安倍氏は「ちょっといいですか」と切り出し、「政治目的を達成するために首脳会談をやらない、との外交に応じると、ほかの問題でもそういうことを挑まれる可能性がある」と持論を展開。「問題を拡大させないためにこそ、首脳会談をやるのではないか。違いがあるからこそ話をするんでしょう」とトーンを上げた。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0904/006.html *0816 政教分離に違反、靖国「国営化」懸念も 高橋東大教授 [朝日] 2006年08月16日02時07分  首相が靖国神社に参拝した15日、「靖国問題」の著書で知られる高橋哲哉・東大教授(哲学)が、日本教育会館など東京都内2カ所で講演し、靖国問題では首相参拝やA級戦犯合祀(ごうし)だけが焦点なのではないと述べた。  高橋教授は小泉首相の参拝について「公約とうたって公用車を使い、内閣総理大臣と記帳した参拝は、私的行為であるはずはなく、憲法の政教分離原則に違反する」と批判。さらに「宮内庁長官メモの報道以来、『昭和天皇ですらA級戦犯が合祀された靖国に行かなかった。小泉首相も行くべきでない』という議論がある。首相の参拝は、まず憲法の政教分離の問題から指摘すべきで、憲法より天皇のことばに権威があるかのような報道は問題だ」と指摘した。  また、A級戦犯を分祀して靖国神社を非宗教法人化して国営化すれば首相の参拝はもちろん天皇参拝も復活できる、などと自民党の有力政治家が発言したことに触れ、「かつて自民党が断念した靖国神社国家護持法案の焼き直しであり、今後自衛隊が新たに海外で戦死者を出した場合の慰霊・顕彰施設としての『国営靖国神社』に再び道を開くものだ」と警鐘を鳴らした。     ◇  日本弁護士連合会の平山正剛会長は15日、小泉首相の靖国神社参拝について、「国政の最高責任者である内閣総理大臣が、一宗教法人である靖国神社に公式参拝することは、国の宗教活動の禁止を定めた憲法20条の精神にもとることは明らか」などとする談話を発表した。「このような憲法違反が問責される行為を、今後繰り返すことのないよう強く要請する」としている。 URL:http://www.asahi.com/national/update/0816/TKY200608150569.html *0816 「残念」「苦々しい」東南アジア・豪も批判 靖国参拝 [朝日] 2006年08月16日01時21分  小泉首相の靖国神社参拝をめぐっては、東南アジア各国からも懸念や批判の声が出た。  シンガポール外務省は15日、「小泉首相の靖国参拝は遺憾だ。靖国問題は日本の内政であると同時に、国際外交上の懸案事項でもある。中韓はじめアジアの国々で反発を呼び起こし、緊密な関係と協力関係を築くという地域共通の利益に役立たない」との報道官声明を発表した。  ジョージ・ヨー外相も同日、自民党の茂木敏充衆院議員と会談し、「参拝を大変残念に思っている。日本にとっても決してよいことではない」と述べた。  戦時中、日本軍による中国系住民の虐殺があったマレーシアでは、中国系団体がクアラルンプールで恒例の追悼式を開いた。約300人が参加。祈りの後、「日本大使館へ抗議に行こう」との声があがり、約20人が大使館へ。「日本とマレーシアや東南アジアの市民の友情と緊密な関係が、少数の人々の行動で損なわれてはならない」などという抗議文を職員に手渡した。  またダウナー豪外相は、記者団に対して2週間前の訪日に触れ、「小泉首相には、豪州はA級戦犯がまつられていることを憂慮しているし、地域の人々の居心地を悪くしていると伝えたのだが……」と話した。豪ABCテレビは「彼ら(日本人)はいまだに後悔していない。誰もが苦々しい思いだ」という退役軍人の声を紹介した。  一方、インドネシアのハッサン外相は「何度も繰り返されてきた問題であり、コメントしたくない。アジア太平洋地域の平和と安定に寄与するような未来志向の解決を望む」と記者団に語った。 URL:http://www.asahi.com/international/update/0816/003.html *0815 野党各党が反発 首相の靖国神社参拝 [朝日] 2006年08月15日14時03分  野党幹部は15日、小泉首相が靖国神社参拝で示した政治姿勢や歴史認識などについて一斉に批判した。  民主党の鳩山由紀夫幹事長は15日朝、自宅前で記者団に対し、「(首相就任後)最初の頃は説明責任を果たすことが厳しい、と躊躇(ちゅうちょ)して違う日に行き、辞める間際になって8月15日に行くのは欺瞞(ぎまん)。その責任は後の内閣に任せるという話で、たつ鳥、後を濁しに濁して行くということで、無責任極まりない愚行だ」と厳しく批判した。  共産党の志位委員長は15日、国会内で記者会見し、「『いつ行っても同じ』だから今日行ったという弁明は最悪の居直り。侵略戦争と植民地支配への反省の日を最後(の参拝の日)に選んだのは、問題をさらに深刻にした。だれが次期首相になろうとも、参拝を中止すべきだと強く求める」と語った。  社民党の福島党首も同日朝、党本部で記者会見し、「強く抗議する。8月15日を、平和の誓いの日から再び国のために死ぬ誓いの日に変えようとしているのではないか。『内閣総理大臣』と記帳するなど、はっきり公式参拝の形をとっており、政教分離に明確に反している」と述べた。  新党日本の田中康夫代表も同日、「公約だと強弁するなら、すべては首相の一存で決定出来る話となり、民主主義もへったくれもない。一時の感情で国運が左右される事態を危惧(きぐ)する」とするコメントを出した。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0815/009.html *0815 飛び交う歓声、外国メディア懸念も 首相参拝の靖国神社 [朝日] 2006年08月15日11時38分  「小泉劇場」の締めくくりの舞台は、靖国神社だった。国内外のメディアを引き寄せ、境内を埋めた参拝者の歓声を背に、小泉首相は終戦記念日の8月15日、言い募ってきた「公約」を果たした。戦没遺族、学生、識者、そしてアジアの人々。首相にとっての「心の問題」が、それぞれのヤスクニとあの戦争への思いをこの日、ひときわ鋭く交錯させた。  上空の警視庁や報道のヘリコプターの音がひときわ大きくなった午前7時40分、霧のような雨が降る中、小泉首相の車列が到着した。  昨年10月は第二鳥居の外側で車を降り、一般の参拝者と同様に拝殿で参拝したが、今回は到着殿に車で乗り付けた。  モーニング姿の首相は到着殿から本殿へ。本殿に上る階段の手前で、一度上を見上げた。うつむき加減に階段を上り、本殿の中へ。その背中に、拝殿の外側から大勢の人たちがいっせいにカメラ付き携帯電話を向けた。  約2分後、首相は本殿から再び姿を現した。神社に着いて約15分。小泉首相は靖国を後にした。  この日は早朝から、参拝を見届けようと多くの人が詰めかけた。「英霊にこたえる会」などが配った日の丸を手にした人たちも。小泉首相が姿を見せると参拝者が押し寄せ、「万歳」の歓声が上がった。神社近くの路上では、靖国に合祀(ごうし)されている台湾の先住民の遺族らが、合祀の取り下げや首相の参拝反対を訴えて座り込みをした。  名古屋市の女子高校生(18)は小泉首相の参拝を見ようと、初めて母親(44)と一緒に靖国に来た。「学校の先生は首相の靖国参拝に反対していたけど、日本を背負って戦死した人たちに失礼と思った。小泉さんが参拝して本当によかった」  しかし、母は少し違う。「参拝はいいが、A級戦犯が合祀されている以上、総理の名ではしてほしくなかった」  奈良県の女性(61)は、地元の遺族会から誘われ、初めて足を運んだ。小泉首相が参拝を終えた後、入れ違いに靖国に着いた。終戦の年に生まれ、沖縄で戦死した兄のことを聞かされて育った。「私たちのような悲しい思いをする人が二度と出ないようにと祈った。小泉首相が同じ日に同じ思いで参拝してくれていたら、やっぱりうれしい」と言った。  韓国、英国、カナダ……。外国メディアも参拝を注視した。韓国のテレビ局KBSのディレクターの朴正用(パク・チョンヨン)さん(46)はクルー3人と小泉首相の姿を追った。神社参拝は日本文化だと思っているが、首相の参拝は政治的問題を起こすと懸念もしている。「5年間の小泉首相の参拝で韓国人が靖国問題を注目するようになった。日本の民族主義の背景に何があるのかを解明したい」と話した。  神社前の雑貨店。明治時代から続く老舗(しにせ)はこの日、シャッターを閉じたまま。3代目店主の小林国利さん(75)は右翼団体と機動隊の小競り合いなどを目の当たりにして、この3年、終戦の日は店を閉じている。  「昔は静かな場所だった。まつられている人とは関係ない人が騒いで、雰囲気が悪くなった」 URL:http://www.asahi.com/national/update/0815/TKY200608150203.html *0815 小泉首相、靖国神社に昇殿して参拝 [朝日] 2006年08月15日07時54分  小泉首相は終戦記念日の15日朝、東京・九段北の靖国神社に参拝した。現職首相による終戦記念日の参拝は85年の中曽根康弘元首相以来21年ぶり。小泉首相は就任前に8月15日の参拝を公約していたが、過去5回は時期をずらしていた。首相は参拝後、「いつ行っても批判する勢力がある。ならば今日は適切な日と判断した」と語った。河野洋平衆院議長が戦争責任の明確化に言及するなど靖国問題をとらえ直す動きが出る一方、中韓両国は抗議声明を発表し、ポスト小泉政権の対応を注視している。9月の自民党総裁選では首相参拝の是非や靖国神社のあり方が争点になり、次期政権の課題となる。  小泉首相の靖国神社参拝は昨年10月以来で、6年連続となった。9月に退陣を控えた首相はこの日、公用車で靖国神社を訪れ、「内閣総理大臣 小泉純一郎」と記帳。モーニング姿で本殿に上がり、「二拝二拍手一拝」の神道形式はとらずに一礼し、玉串料の代わりに献花料3万円を私費で払った。  首相は01年の自民党総裁選で「首相に就任したら8月15日の戦没慰霊祭の日にいかなる批判があろうと必ず参拝する」と公約した。しかし01年は中韓両国への配慮などから8月13日に前倒ししたほか、春季例大祭初日の4月21日(02年)、1月14日(03年)、元日(04年)、秋季例大祭初日の10月17日(05年)と日付を変えて参拝し、8月15日は避けてきた。  参拝で中韓両国との首脳外交は途絶えることになったが、首相は「外国政府が心の問題にまで介入して、外交問題にしようとする姿勢は理解できない」と不快感を表明。今月に入ると「公約は生きている。守るべきものだ」と語っていた。  首相が9月の総裁選を控えて参拝に踏み切ったのは、参拝に慎重姿勢を見せていた福田康夫元官房長官が立候補を見送り、後継と目される安倍官房長官の優位が固まった情勢を受けたとみられる。  靖国問題では、総裁選に立候補を予定している3人の間でも主張が分かれており、党内で具体的な論議が始まっている。4月に参拝した安倍氏はこの日の首相参拝について直接の論評は避け、谷垣財務相は閣僚懇談会でA級戦犯合祀(ごうし)やアジア外交改善を課題に挙げた。麻生外相は靖国神社に非宗教法人化を促す私案を唱えている。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0815/002.html *0812 千鳥ケ淵戦没者墓苑拡充で新慰霊碑建設見送り 自民案  [産経]  自民党は11日、国立「千鳥ケ淵戦没者墓苑」(東京都千代田区)の整備について、手狭となった戦没者の遺骨を安置する納骨堂を拡張する一方、「国立追悼施設」構想と一線を画すため新たな慰霊碑は建立しない方針を固めた。周辺の国有地を利用して付属公園化し、墓苑の敷地を2倍以上に広げる。この方針に沿って同党の「千鳥ケ淵戦没者墓苑の整備に関するプロジェクトチーム」(武見敬三座長)が年内に具体的な整備構想をまとめる。  千鳥ケ淵墓苑は、さきの大戦の戦没者中、身元不明の遺骨35万柱を納める「遺骨安置所」の役割を果たしている。  同墓苑の整備は今年6月、都心の公務員宿舎などの政府資産の圧縮を検討する中で、中川秀直政調会長が墓苑周辺の国有地の有効利用策として小泉純一郎首相に提案し、検討が始まった。しかし、新たな国立追悼施設の建設を唱える山崎拓元副総裁らが、拡充された同墓苑が国立追悼施設の有力候補になるとの認識を示し、党内の議論が混乱していた。  こうした中、「ポスト小泉」レースで、独走状態になっている安倍晋三官房長官が、戦没者追悼施設としての靖国神社を重視する立場をとっていることから、同党では墓苑の拡充と新たな国立追悼施設建設を切り離す方針を固めたとみられる。このため新たな慰霊碑建立は、同墓苑を靖国に代わる国立追悼施設視させる恐れがあることから見送られることになった。  現在の墓苑の敷地は1.6万平方メートル。計画では、飛び地を含む2区画6カ所の公務員宿舎(約1.7万平方メートル)などを加える。  隣接する公務員合同宿舎三番町住宅などは整地し、墓苑につながる道路を拡張。民間マンションを隔てて飛び地となる農林水産省分庁舎などの国有地は公園にする。また、老朽化している九段坂病院(国家公務員共済組合連合会)も移転し、公園用地とすることを検討する。 (08/12 02:46) URL:http://www.sankei.co.jp/news/060812/sei017.htm *0811 鳩山氏「靖国の法人・国営化は国家神道化の恐れ」 [朝日] 2006年08月11日18時40分  民主党の鳩山由紀夫幹事長は11日の記者会見で、麻生外相が靖国神社を非宗教法人化し、最終的に「国立追悼施設靖国社(招魂社)」にする私案を示したことについて「下手をすると、かつての国家神道的な発想が浮かび上がってきてしまう。これは歴史に逆行する話で、考えられない話だ」と批判した。  自民党内では中川秀直政調会長も、靖国神社の「国家護持」を目的に、過去に自民党が提出して廃案になったものと同様の法案を出すこともあり得るとしている。鳩山氏の発言は、こうした動きに懸念を示したものだ。  鳩山氏はさらに、小泉首相が8月15日の参拝に関して「公約は生きている」と述べたことについて「国益を破っても公約を守るという話は、まことに国民から見れば不可思議な話だ」と語った。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0811/003.html *0811 非宗教法人化は困難 靖国参拝支持の若手議員の会 [朝日] 2006年08月11日18時23分  自民党の「平和を願い真の国益を考え靖国参拝を支持する若手国会議員の会」(今津寛会長、約140人)は11日、靖国参拝に関する提言をまとめた。麻生外相らが提案する同神社の非宗教法人化については、宗教色が消えることへの懸念や同神社が望んでいない現状から「困難と言わざるを得ない」としている。  提言では、A級戦犯の分祀(ぶんし)は「検討すべきではないか」との意見もあったと紹介しながら、「現実的でなく得策ではない」という意見が多数を占めたと指摘。千鳥ケ淵戦没者墓苑の拡充は「慎重な検討を要する」、国立追悼施設構想は「意義が乏しい」と否定的だ。  一方、昭和天皇がA級戦犯合祀に不快感を示したとする元宮内庁長官のメモについては「天皇のご真意をどの程度反映しているか明らかでない中で、軽々しく政治的に用いるべきではない」と強調している。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0811/002.html *0811 台湾の戦没者遺族ら、靖国神社に合祀取り消し求め提訴 [読売]  「遺族の同意なしに合祀(ごうし)され、人格権を侵害された」として、日本人や台湾先住民族の戦没者遺族9人が11日、靖国神社(東京・九段北)に合祀の取り消しを求める訴訟を大阪地裁に起こした。  原告らは、国が靖国神社に協力する形で合祀が行われているのは違憲として、両者に1人当たり慰謝料100万円の損害賠償も求めている。合祀取り消しを靖国神社に求める訴訟は初めて。  原告は、浄土真宗僧侶の菅原(すがはら)龍憲さん(66)ら日本人8人と、台湾先住民族男性の楊元煌さん(51)。  訴状によると、原告らの父や兄など11人はいずれも第2次大戦で戦死し、靖国神社に合祀された。原告らは個別に合祀取り消しを神社側に求めたが、拒否された。原告側は「遺族に無断で合祀し続けられたことで、故人をどのように追悼し、心に刻むのかを個人として決める権利を著しく侵害されている」と主張。合祀者の名簿「霊爾簿(れいじぼ)」などから11人の氏名を抹消するよう求めている。  また、国が靖国神社に戦没者の氏名などの情報を提供してきたことについて「政教分離原則に違反するのは明らかで、肉親が合祀されたことに強い違和感と苦痛を感じている」としている。  靖国神社の合祀を巡っては、韓国人戦没者遺族が国に取り消しを求めた訴訟で、東京地裁が今年5月、「合祀の判断、決定は靖国神社が行っていた」として、請求を棄却している。  靖国神社広報課の話「訴状を見ていないので、コメントは差し控える」 (2006年8月11日21時26分 読売新聞) URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060811i213.htm *0810 千鳥ケ淵墓苑を平和記念施設に 社民が提言へ [朝日] 2006年08月10日18時23分  社民党は10日の常任幹事会で、千鳥ケ淵戦没者墓苑を平和祈念施設に整備、拡充する提言をまとめる方針を決めた。福島党首が委員長を務め、学識経験者らでつくる提言委員会を8月中にも立ち上げる。又市征治幹事長は10日の記者会見で「国立ですべての戦没者を慰霊する、平和を祈念して誓いをする場所が日本にはない。提言にまとめて政府に(整備を)求めたい」と語った。  社民党はこれまで、国立で無宗教の追悼施設を建設する必要性を訴えてきた。01年には、土井たか子党首(当時)が千鳥ケ淵墓苑を「ここが日本の国立墓苑だと言えるようにすべきだ」と党首討論で小泉首相に迫った。提言委員会には土井氏も加わる予定だ。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0810/005.html *0309 新宗連が首相の靖国参拝で意見書 政教分離に配慮求める [朝日] 2006年08月09日20時58分  立正佼成会やPL教団など69の宗教団体で構成する新日本宗教団体連合会(新宗連)は9日、小泉首相ら閣僚の靖国神社参拝は「憲法20条の政教分離に反する」とする小泉首相あての意見書を、自民党の谷津義男組織本部長に提出した。  意見書では、麻生外相らが唱えている靖国神社の非宗教法人化についても、「宗教法人として存立する宗教施設のあり方について政府が干渉することは、厳に慎むべき行為」と批判している。 URL:http://www.asahi.com/politics/update/0809/005.html *0808 靖国神社:自主解散し国立追悼施設に改編 麻生外相が私案 [毎日]  麻生太郎外相は8日午前の閣議後の記者会見で、靖国神社の非宗教法人化に関する私案を発表した。宗教法人である靖国神社を自主解散によりいったんは財団法人などに移行し、最終的に特殊法人「国立追悼施設靖国社」(仮称)に改編するよう求めた内容。慰霊対象については特殊法人の設置法に明記し、「国会で議論を尽くし決断すべきだ」として事実上、A級戦犯の分祀(ぶんし)にも道を開いている。自民党総裁選に出馬する麻生氏の私案は靖国問題をめぐる論議の加速を狙ったもので、同問題をめぐる各候補の論戦も本格化する。  麻生氏は靖国神社への首相参拝をめぐる是非論の解決や天皇陛下の参拝を実現するためには非宗教法人化を検討すべきだとかねて主張しており、その見解をまとめた。現職閣僚であることから憲法の定める政教分離原則を考慮し、私見の形とした。  私案は靖国神社について「政治から遠ざけ、静ひつな、祈りの場所として、未来永劫(えいごう)保つ」ためには、同神社が宗教法人を自主的に解散することが必要と提案。「戦死者慰霊は本来、国がなすべき仕事」として(1)自主解散後はいったん財団法人などに移行(2)立法により特殊法人に「国営化」し、それに合わせ、現在の祭式を非宗教的・伝統的なものに改める--との2段階の改編を示した。全国の護国神社も解散し「靖国社」の支部として再出発し、併設の戦史展示館「遊就館」は行政府に移管する。  麻生氏は記者会見で、祭式の宗教色をどこまでなくすかについて「私がとやかく言うことではない。新しい法人が考えるべきだ」と述べた。  さらに、「A級戦犯」との表現を避けながらも、国会で靖国社設置法を審議する際に、慰霊対象についても徹底的に議論することを提案した。靖国神社は教義上の理由で分祀を否定しているが、非宗教法人化で「慰霊対象の特定にあたり、教義は唯一の判断基準でなくなる」と説明している。  また、「靖国社」の財源を安定させるため独立行政法人「平和祈念事業特別基金」への政府出資金約200億円の活用を検討。日本遺族会は公益性を認め、今後も維持する。麻生氏は一連の改編を「政治の責任」と強調。同時に「何年も費やすべきではない」として、靖国神社側の決断も暗に促している。【中田卓二】  ◇麻生太郎外相が8日に発表した靖国神社改編私案の要旨 <1> ・靖国神社はやかましい議論の対象になってはならない。靖国の代替施設は作れない <2> ・靖国神社を可能な限り政治から遠ざけ、静ひつな祈りの場所として未来永劫(えいごう)保っていく <3>現状の問題点 ・靖国神社が宗教法人である限り、政教分離原則との関係が問題であり、政治家が「だれかれを分祀(ぶんし)すべし」と言うことは厳に慎むべきだ ・戦後日本は国家がなすべき戦死者慰霊を一宗教法人に丸投げした。その結果、05年の遺族給付受給者は1982年の10分の1以下になり、年間予算も約20年前の3分の1に減っている <4>解決策 ・靖国神社は宗教法人でなくなるため任意解散し、財団法人などに移行。最終的には設置法を作り、特殊法人「国立追悼施設靖国社」(仮称)とする。祭式は非宗教的、伝統的なものにする ・全国の護国神社も解散し靖国社の支部とする ・独立行政法人「平和祈念事業特別基金」への政府出資金を利用するなど、靖国社の財源を安定させる ・財団法人日本遺族会は公益法人改革後も公益性を認め、安定を図る ・靖国社の慰霊対象は設置法を論じる国会が議論を尽くし、決断する ・「遊就館」は行政府に管理、運営を移す <5> ・政治の責任として以上の手続きを踏み、天皇陛下にお参りしていただく。諸外国首脳も訪問  ◇具体的提起で、論議に一石  麻生太郎外相が8日に発表した靖国神社の非宗教法人化に関する提言は、私案の位置付けとはいえ靖国神社のあり方そのものの見直しを具体的に提起した点で、同神社をめぐる論議に一石を投じたと言える。総裁選に向け「靖国問題」の論議が加速するのは確実だ。ただ、同神社の国家管理はこれまでも何度も挫折した経緯があるだけに、早期実現にはかなりハードルが高いのも事実だ。  麻生氏の主眼は、非宗教法人化により、憲法の政教分離原則にとらわれず政治主導で議論を深め、アジア外交のトゲである「靖国問題」を決着させる点にある。私案は「A級戦犯」の表現を避け、慰霊対象については「国会が決断すべきだ」としているが、最終的にA級戦犯の分祀(ぶんし)を念頭に置いての提言であることは間違いない。  麻生氏の見解に関しては最近では中川秀直自民党政調会長が同神社の国家管理法案に言及し、日本遺族会会長の古賀誠元自民党幹事長も非宗教法人化の検討を提言するなど一定の広がりを見せている。同神社とは別の「国立追悼施設」を建立する案とは一線を画したアプローチ。この時期に発表に踏み切ることで主張の「著作権」を確保、「ポスト小泉」候補としての存在をアピールする狙いも透けて見える。  ただ、靖国神社の国家管理はかつてタカ派的発想から保守勢力が「国家護持」として追求。「靖国神社国家護持法案」が60~70年代に国会に計5回提出され、いずれも廃案になった経緯がある。衆院法制局は74年、法案の合憲性を担保するには「拝礼形式の自由化」「鳥居など施設の名称変更」などが条件との見解を示している。靖国神社の存在意義にかかわる論点だが、麻生氏はこの点については、私案で「祭式を非宗教的・伝統的なものにする」と簡単に触れただけだ。麻生氏は靖国神社側が国家管理案に歩み寄ることを期待するが「宗教色」を払しょくすることに神社側の抵抗感は強いとみられる。【中田卓二】 毎日新聞 2006年8月8日 12時08分 (最終更新時間 8月8日 12時10分) URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20060808k0000e010063000c.html

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