dunpoo @Wiki

■原発11Ⅱ

最終更新:

dunpoo

- view
管理者のみ編集可
■原発11Ⅰ から
最新の情報は、■原発?

110614 5月の原発稼働率40.9% 1979年以来の低水準 [朝日]

 電気事業連合会が13日発表した電力10社の発受電速報によると、5月の全国の原発稼働率は東日本大震災の影響で40.9%(全体で54基)となった。米・スリーマイル島原発事故を受け、国内の原発を再点検した1979年5月の34.2%(同20基)以来の低水準だ。

110613 イタリア、原発再開を凍結へ 国民投票が成立 [朝日]

 原発再開の是非を問うイタリアの国民投票は、投票最終日の13日、投票率が50%を超えて成立した。開票が始まり、原発反対派が9割を超えて圧勝し、新規建設や再稼働が凍結される見通しとなった。投票不成立を目指したベルルスコーニ政権への大きな打撃となった。

 イタリア内務省は投票が締め切られた13日夕、暫定投票率が約57%に達したと発表。全国約6万カ所の投票所のうちの約2万カ所の暫定開票結果では、原発凍結賛成票が約94.5%を占めた。原発再開を模索していたベルルスコーニ首相は13日午後の記者会見で「イタリアは原発にさよならを言わなければならない」と敗北宣言をした。

110613 将来的に「脱原発」賛成74% 朝日新聞世論調査 [朝日]

 朝日新聞社が11、12の両日実施した定例の全国世論調査(電話)によると、「原子力発電を段階的に減らして将来はやめる」ことに74%が賛成と答えた。反対は14%だった。東日本大震災の後、「脱原発」にかかわる意識をこうした形で聞いたのは初めて。

世論調査―質問と回答〈6月11、12日実施〉
 原子力発電の利用に賛成という人(全体の37%)でも、そのうち6割あまりが「段階的に減らして将来はやめる」ことに賛成と答えた。

 定期検査で運転停止している原発に関して、「国が求める安全対策が達成されれば」という条件を掲げて、再開の賛否を聞いた。その結果、再開に賛成51%、反対35%だった。原発のある13道県では、再開反対が全体よりやや多い。

110623 原発作業での上限以上の被曝 計8人 東電発表 [朝日]

 東京電力は13日、東電福島第一原子力発電所の復旧作業で、新たに6人が今回の作業で国が認めた上限の250ミリシーベルトを超える総被曝(ひばく)量だったと発表した。これで計8人が限度を超えたことになった。うち6人が長期的な健康影響が懸念される内部被曝量だけで上限を超えていた。今回の事故が起こる前の上限だった100ミリシーベルトを超える作業員は102人に上り、東電の管理のずさんさを示した。

 東電は同日、厚生労働省に報告した。3月11日の地震発生から3月末までの時期に発電所で働いていた3726人が対象。このうち測定や評価が終わった2367人の被曝量を報告した。残りの調査結果を20日までに報告する。

110612 高濃度のストロンチウム検出 福島第一の地下水や海水 [朝日]

 東京電力は12日、福島第一原発の地下水や周辺の海5カ所から、放射性ストロンチウムを検出したと発表した。海では基準の濃度限度の240倍の地点もあった。ストロンチウム90は半減期が約29年と長いうえ、体内に入ると骨にたまる傾向がある。

 これまで原発敷地内の土壌からは検出されていたが、地下水から見つかるのは初めて。5月18日に採取した1号機付近の地下水からは、ストロンチウム89が1立方センチあたり0.078ベクレル、90が0.022ベクレル検出された。2号機付近の地下水は89が19ベクレル、90が6.3ベクレルだった。原発事故で放出され、雨水などとともに空気中や地表から流れ込んだとみられるという。

 5月16日に採取した1~4号機の取水口近くの海水でも、ストロンチウム89が基準の濃度限度の26倍、90が53倍を検出。2号機取水口付近ではそれぞれ67、117倍、3号機取水口付近では80倍、240倍を検出した。

110609 福島市の保育園や公園で高放射線量 グリーンピース調査 [朝日]

 環境NGO「グリーンピース」は9日、福島市内の保育園や公園の地表面から、最高で毎時45.1マイクロシーベルトの放射線量を検出したと発表した。

 測定は7日に行った。この結果、ある中学校では倉庫の雨どい下の地表面の放射線量が、毎時45.1マイクロシーベルトだった。保育園入り口近くの道路わきで毎時35マイクロシーベルト、公園のトイレそばでも9.5マイクロシーベルトを記録したという。 文部科学省が定めた校庭利用の基準では、地表から0.5~1メートルの線量が年間で20ミリシーベルト、1時間当たりで3.8マイクロシーベルト以内とするよう定めている。

 クミ・ナイドゥ事務局長らは「政府は、放射線量の高い地域に住む子どもや妊婦らをすみやかに避難させる必要がある」と訴えた。

110609 原発災害マニュアル、全然使えず 政府、全面改訂へ [朝日]

 原発事故が起きた場合に中央省庁と自治体、電力会社が現地で対応を調整する仕組みを定めた政府の「原子力災害対策マニュアル」が東京電力福島第一原発の事故では想定外の事態が重なり、ほとんど活用されなかったことが分かった。政府は全面改訂に着手した。

 朝日新聞が入手したマニュアルは1999年に茨城県東海村で起きたJCO臨界事故後、経済産業省を中心に策定したもので、A4で123ページにわたり関係機関の対策を細かく規定している。原発近くの指揮所に対策本部を設けて省庁や自治体、電力会社などが情報を共有。首相官邸に事故処理や避難指示について現場に即した対策を提言する狙いがあった。

 ところが、今回は指揮所が被災してマニュアルの根底が崩れ、関係機関は初動段階からマニュアルに頼らず対応するしかなかった。

 菅直人首相が3月11日に緊急事態を宣言した直後から、現地対策本部長となる経産省の池田元久副大臣をはじめ各省庁や東電の幹部らはマニュアル通り、福島第一原発から約5キロ離れた大熊町にある指揮所「オフサイトセンター」に集合。ところが指揮所は停電して非常用電源設備も故障し、原子炉の圧力や温度、原発施設の放射線量などの基礎データを把握できなかった。電話も不通で、官邸や福島県、市町村とのやりとりは困難を極めた。

 機器の操作や広報対応を担う「原子力安全基盤機構」の職員や周辺市町村の職員は、指揮所にたどり着けなかった。出席者が集まり次第開く「協議会」は同日中に開催できなかった。

110608 福井知事、再稼働認めず 政府のIAEA報告「不十分」 [朝日]

 福井県の西川一誠知事は8日、政府が国際原子力機関(IAEA)に7日提出した福島第一原子力発電所の事故報告書について、「県が求めた安全基準などが十分に盛り込まれていない」と指摘し、停止中の原発の再稼働を認めない方針を改めて示した。県庁で報道陣の取材に答えた。

 西川知事は政府に対し、老朽化した原発への地震の影響や対策、浜岡原発以外を安全と判断した根拠などを明示するよう求めていた。今回の報告書について「IAEA向けであって立地自治体向けではない。地元の不安に答えていない」と述べ、既存の原発の安全性を県が検証するにあたり、納得する安全基準を国が新たに提示すべきだとした。

 海江田万里・経済産業相は、定期検査中の原発を電力需要が高まる7月に再稼働させるため、今回の報告書に基づき原発立地自治体に原発の安全基準を説明する考えを示している。福井県は国内最多の商業用原発13基を抱え、うち6基が定期検査などのために停止中。(足立耕作)

110606 1号機の圧力容器、地震5時間後に破損 保安院解析 [朝日]

 経済産業省原子力安全・保安院は6日、東京電力福島第一原発の事故で大気中に放出された放射性物質は77万テラベクレル(テラは1兆倍)とする解析結果をまとめた。また1~3号機とも溶けた燃料が原子炉圧力容器の底にたまる炉心溶融(メルトダウン)を起こし、1号機は東電の解析よりも急速に事故が進み、地震5時間後には圧力容器が破損していたとする分析もまとめた。

 1~3号機でメルトダウンを起こしたなどとする東電の解析について、保安院が検証していた。この結果、放射性ヨウ素換算で77万テラベクレルとなり、保安院のこれまでの推算の37万テラベクレルや、原子力安全委員会が周辺の観測値から求めた63万テラベクレルを上回る数値になった。

 数万テラベクレル以上になると国際的な事故評価尺度(INES)で「深刻な事故」とされる。チェルノブイリ原発事故(520万テラベクレル)と同じ最悪のレベル7に相当することに変わりないが、より厳しい状態だったことを示した。

110606 ドイツ「2022年までに脱原発」 全17基閉鎖決定 [朝日]

 ドイツのメルケル政権は6日、国内に17基ある原子力発電所を2022年までにすべて閉鎖し、風力などの再生可能エネルギーを中心とした電力への転換を目指す政策を閣議決定した。東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、他国に先駆けて、脱原発政策を正式に決めた。

 閣議決定されたのは、原発の閉鎖時期を定める原子力法改正案や再生可能エネルギーの普及拡大を促進する再生可能エネルギー法改正案など。決定後に会見したレットゲン環境相は「今日の決定はドイツ社会にとっての一里塚だ。私たちは先駆的な社会プロジェクトを始める」と語った。

 計画によると、17基のうち、現在運転を一時停止している8基は運転再開を認めずそのまま閉鎖。うち1基は電力供給が切迫した場合の「予備機」として13年まで温存する。残る9基は、15年、17年、19年に1基ずつ、21年に3基、22年に最後の3基を閉鎖する。

110603 東電2社員の被曝量、基準超え 長期的健康への影響懸念 [朝日]

 東京電力の男性社員2人が福島第一原発で事故後に多量の放射性物質を体内に取り込んだ問題で、東電は3日、2人の総被曝(ひばく)量が今回の緊急作業で国が認める上限の250ミリシーベルトを超える評価結果になったと発表した。総被曝量は最低でも280ミリシーベルトを上回り、最大では650ミリシーベルトを超えたという。2人に異常は見られないが長期的な健康への影響が懸念されている。

 東電によると、被曝した男性は30代と40代で原発運転員。地震が起きた3月11日から中央制御室や免震重要棟などで作業していた。

 放射線医学総合研究所(千葉市)に依頼して内部被曝量を評価した結果、30代男性は210~580ミリシーベルト、40代男性は200~570ミリシーベルトになった。体外被曝量は30代男性が73.71ミリシーベルト、40代男性は88.70ミリシーベルト。合計すると低い値でも250ミリシーベルトを超えるのは確実となった。厚生労働省は近く立ち入り調査し、同社に是正勧告を出す方針だ。

110601 島根原発3号機の稼動延期 中国電「津波対策が未整備」 [朝日]

 中国電力は31日、来年3月の営業運転開始を予定していた島根原発3号機(松江市、改良沸騰水型、出力137万キロワット)の運転開始を延期すると発表した。製造元である日立製作所の茨城県内の工場が東日本大震災で被災し、震災前に見つかった不具合の点検が終わらないためという。

 今後、新たな津波対策も実施して県や市の了承を得る必要があるため、運転開始時期は未定としている。中国電力島根原子力本部の綿貫孝彦広報部長は「津波の安全対策を講じないと、地元自治体の理解を得るのは難しい」と話した。

 トラブルの発生や安全対策への地元の不信感から運転が見込めない事態は既設の原発で相次いでおり、こうした動きが建設中の原発にも及んだ形だ。

110601 福島原発「津波の想定、過小評価」 IAEA報告書原案 [朝日]

 東京電力福島第一原子力発電所の事故調査のために来日した国際原子力機関(IAEA)の調査団の報告書の原案が31日、明らかになった。津波と地震による複合災害への対応が不十分だったことを指摘、東電をはじめ事故対応の当事者間で、責任の所在などの共通認識が欠けていると分析した。概要版が1日に公表される見通し。

 調査団は5月24日から6月2日までの予定で来日。各国の原発への教訓を得るため、東日本大震災で被災した福島第一原発や第二原発、東海第二原発を視察したほか、東京電力、経済産業省、文部科学省などの関係者から聞き取り調査をした。

 報告書案は、事故を時系列で整理したうえで、得られた教訓を挙げた。

 福島第一原発事故の直接的な原因は地震と津波とし、電源や、炉心冷却に必要な多くの機能を失ったと指摘。東電は2002年以降、同原発の津波の想定高さを見直したが、過小評価だったと認定。過酷事故対策も、準備されていたが、複数基の事故に対処するには不十分だったとした。

110531 「計画的避難」完了せず、住民2~3割残る 飯舘・川俣 [朝日]

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、計画的避難区域に指定された福島県の飯舘村と川俣町の避難が計画通り進んでいない。政府は避難完了を「5月末」としていたが、2~3割の住民が区域内に残っている。いずれも6月下旬ごろまでかかる見通しという。

 飯舘村によると、31日現在、全村民6177人のうち、23%にあたる1427人はまだ避難先が見つかっていないという。

 5月中に避難を終えられなかった大きな理由が、避難先の確保の遅れだ。村は4月22日に計画的避難区域に指定されてから福島市の仮設住宅や公営住宅など住民の避難先を探し始めたが、「1カ月で完了してほしい」とする政府の方針には当初から「間に合わない」との異論が出ていた。

110531 循環型冷却装置が始動 2号機使用済み核燃料プール [朝日]

 東京電力福島第一原発2号機の使用済み核燃料プールに取り付けた循環型の冷却装置が完成し31日、動き始めた。東電は1~3号機の原子炉や4号機も含めた使用済み燃料プールを安定的に冷やす冷却装置を設置しようとしている。冷却機能が回復したのは今回が初めて。

 2号機の原子炉建屋の中は燃料プールなどから出た蒸気が立ちこめ湿度は99%だった。作業員のマスクや換気装置に使うフィルターが湿って、復旧作業の妨げになっている。

 今回設置した冷却装置で、70~80度あるプールの水温を1カ月以内に41度まで下げるのが目標。プールからの蒸気を減らして原子炉建屋内の湿度を下げて作業環境を改善する。


TITLE:asahi.com(朝日新聞社):循環型冷却装置が始動 2号機使用済み核燃料プール - 社会 - Google Chrome
DATE:11/06/01
URL:http://www.asahi.com/national/update/0531/TKY201105310476.html

110531 原発事故処理に5.7兆~20兆円 民間研究機関が推計 [朝日]

 民間シンクタンクの日本経済研究センター(東京都)の岩田一政理事長は31日、東京電力の福島第一原子力発電所の事故処理費用について、農漁業の補償を除いた最も楽観的なケースでも10年間で5.7兆円、条件によって20兆円以上になるとの推計を、内閣府の原子力委員会で報告した。

 土壌汚染の処理費が不明なため、福島第一原発から半径20キロ圏内の土地を一律で東電や国が買い上げるとの極端な条件で計算した。

 この場合、土地の買い上げ費用が公示地価から4兆3千億円、立ち退きを強いられる人への所得補償は平均所得から6300億円と計算。

 さらに、原発の廃炉費用は、米スリーマイル島原発事故を参考にすると10年で6兆円弱、旧ソ連チェルノブイリ原発事故を参考にすると約20兆円かかる計算になるという。汚染水や土壌の処理費、農漁業への補償は含んでいない。

110531 相次ぐ作業員被曝 東電などに是正勧告 厚労相が発表 [朝日]

 東京電力福島第一原子力発電所で、ずさんな放射線量管理のために大量に被曝(ひばく)する作業員が相次いでいる問題で、細川律夫厚生労働相は31日の閣議後会見で、東電と関電工に対し、労働安全衛生法に違反するとして是正勧告を出したと発表した。

 東電に対しては、女性作業員が労働安全衛生法などで定められた基準(3カ月で5ミリシーベルト以内)を超える被曝をしたことと、多くの作業員に線量計を持たせずに作業させたことについて是正を求めた。関電工に対しては、作業員が長靴をはかずに放射能汚染水につかって大量に被曝した事案について、改善を勧告した。いずれも、30日付。

 また、東電の社員2人が、緊急作業時の上限の250ミリシーベルトを超える被曝をした恐れがある問題については、東電に対し、この社員と同時期に同じ場所で働いていた作業員についてはいったん作業から外し、内部被曝検査をするように指示を出したという。人数については調査中としている。

110529 「脱原発は10年以内に可能」ドイツ政府諮問委が報告書 [朝日]

 ドイツ政府が福島原発事故後、新しいエネルギー政策の検討のために立ち上げた諮問委員会の最終会合が28日に開かれ、「脱原発は10年以内に可能」とする報告書をまとめた。DPA通信が伝えた。

 委員会報告に拘束力はなく、メルケル政権は連立与党内で最終的な調整を進めるが、報告を基に2021年前後に原子力から脱却する野心的な目標を掲げる可能性が強い。

 ドイツは福島事故後に原発の運転延長から、脱原発に政策を転換。国内の17基の原発をいつまでにすべて閉鎖するのかなどが焦点になっている。メルケル首相は脱原発の行程や方法を定める法案を6月6日に閣議決定する方針で、委員会報告を受けて5月29日に予定されている連立与党協議で脱原発の目標年を決めるとの観測がある。ただ、与党内の一部には時期確定に慎重な意見もある。

110529 原発賠償条約、加盟を検討 海外から巨額請求の恐れ [朝日]

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、日本が海外から巨額の賠償を負わされる恐れがあることがわかった。国境を越えた被害の損害賠償訴訟を事故発生国で行うことを定めた国際条約に加盟しておらず、外国人から提訴されれば日本国内で裁判ができないためだ。菅政権は危機感を強め、条約加盟の本格検討に着手した。

 原発事故の損害賠償訴訟を発生国で行うことを定める条約は、国際原子力機関(IAEA)が採択した「原子力損害の補完的補償に関する条約」(CSC)など三つある。日本は米国からCSC加盟を要請されて検討してきたが、日本では事故が起きない「安全神話」を前提とする一方、近隣国の事故で日本に被害が及ぶ場合を想定し、国内の被害者が他国で裁判を行わなければならなくなる制約を恐れて加盟を見送ってきた。

 このため、福島第一原発の事故で海に流れた汚染水が他国の漁業に被害を与えたり、津波で流された大量のがれきに放射性物質が付着した状態で他国に流れついたりして被害者から提訴されれば、原告の国で裁判が行われる。賠償金の算定基準もその国の基準が採用され、賠償額が膨らむ可能性がある。

110528 「1ミリ以下目指す」文科省、学校に線量計配布始める [朝日]

 文部科学省は子どもの年間被曝(ひばく)量の目安だった「20ミリシーベルト以下」を、「1ミリ以下を目指す」と変更し、すべての学校など約1800施設に線量計を配り始めた。背景には、不安を隠せない保護者の声がある。

 福島県郡山市では、文科省の校庭使用制限の基準を下回った校庭でも、独自の判断で表土を除去。同様の動きは近隣の自治体にも広がっている。福島市などは「屋外で肌をさらすのは心配だ」といった保護者の声を受け、公立小中学校の屋外プールでの授業の中止を決めている。

 県教委学校生活健康課の池田健一郎主幹は「(国の基準は)様々な知見に基づいて示されたもの。尊重はするが、保護者の不安の声に対し、どう安心を確保してゆくのかは常に課題だ」と言う。


110511 原発1号機の汚染水、増加止まらず 雨流入、難しい対策 [朝日]

 東京電力は31日、東電福島第一原子力発電所1号機の原子炉建屋地下にたまっている水の水位が、同日午前7時までの24時間に376ミリ上昇したと発表した。前日の上昇は198ミリ。深さは約6メートルになった。降雨で流れ込んだ水の影響とみられる。雨の流入を防ぐ対策を迫られているが、すぐに打つ手がないのが現状だ。

 東電によると、ほかにタービン建屋地下のたまり水の水位は2号機が86ミリ、3号機が56ミリ、4号機が59ミリ上昇した。東電は、天候が回復しており、今後は水位上昇は収まるとみている。

 たまり水は放射能に汚染されており、近くの集中廃棄物処理施設に移すなどしている。今後、降雨で流入量が増えると、更なる移送や処理を急ぐ必要があるが見通しは立っていない。

110530 放射線監視「ほぼ限界」 測定方法も結果もバラバラ [朝日]

 原子力安全委員会は30日、福島県内で文部科学省と県が行っている放射線のモニタリング(監視)について、測定方法の統一が難しく、結果にばらつきが出かねないとの調査結果をまとめた。「現在の体制ではほぼ限界」として、改善の必要性を指摘した。

 同委員会の事務局は5月17日、文科省の測定チームに同行して、福島第一原子力発電所から半径20キロ圏外で、飯舘村や葛尾村など9地点を選び、空間線量率と土壌調査の測定方法や場所などが妥当か調べた。

 この結果、測定結果にばらつきが出る疑いのあることが分かった。地上の放射線量の測定では、測定器を向ける方向で値が変わるため、方向に目印をつける工夫をしている。しかし、測定器を持つ人によって値が異なっていたという。

110520 ドイツ、2022年までに脱原発 連立与党が合意 [朝日]

 ドイツ・メルケル政権の連立与党は30日未明(日本時間同日午前)、遅くても2022年までに、現在電力供給の約23%を担っている原子力発電から脱却する方針で合意した。DPA通信など、ドイツメディアが伝えた。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故後、他国に先駆けて「脱原発」へと政策転換したドイツは今後、風力などの再生可能エネルギーを中心にした構造への転換を目指す。

 メルケル首相が率いるキリスト教民主同盟と姉妹政党のキリスト教社会同盟、連立相手の自由民主党の幹部が29日午後から協議していた。合意によると、現在17基ある原発を段階的に閉鎖し、大部分は10年後の21年までに止める。代替の電力源の確保が間に合わないなどの場合に備え、最後の3基の運転を1年間延長する選択肢を残した。

110527 原発の安全性向上促す G8宣言、IAEAの強化提案 [朝日]

 フランス北部ドービルで開かれた主要国首脳会議(G8サミット)は27日、中東・北アフリカの民主化支援や、東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、世界の原発の安全性向上を促す首脳宣言を採択し、閉幕した。

 原発をめぐる議論が沸騰する中、議長を務めたサルコジ仏大統領は「最高水準の安全性」をめざす合意をG8でまとめることで、脱原発の流れをせき止め、自国を含む原子力産業を守ることを狙った。

 首脳宣言は冒頭、東日本大震災の復興に取り組む日本との連帯を誓い、犠牲者への追悼と被災者の勇気に敬意を表した。原発の安全性を高めるため、国際原子力機関(IAEA)の機能強化を提案。6月下旬から始まるIAEA閣僚級会合などを通じ、地震などが発生しやすい危険立地の原発について新たな安全基準を設けるよう求めた。

110527 東電、未公開データの存在発表 枝野長官「深刻な事態」 [朝日]

 東京電力は27日、福島第一原発の敷地内で事故直後に実施した放射線のモニタリング(監視)について、一部公開していないデータがあったと発表した。すでに公開した観測時間の間を埋めるデータだという。東電の担当者は「見た限りは値に異常がないが、公開すべきだった」としているが、未公開のままだった経緯は調査中とした。

 東電は26日にも、事故直後の1号機原子炉への海水注入を一時中断したというそれまでの説明を訂正。海水注入は継続していたと発表したばかり。

 枝野幸男官房長官は27日の記者会見で「こうしたことが繰り返されるようでは、国民から到底信用されない。監督する政府としても責任を痛感せざるを得ない。原発事故と同じぐらい日本の原子力行政全体の深刻な事態と受け止めている」と語った。今後、ほかにも公開していない情報がないかを調査する考えを強調した。

110527 玄海原発、想定以上の劣化か 専門家指摘「廃炉に」 [朝日]

 九州電力玄海原子力発電所1号機(佐賀県玄海町)の原子炉圧力容器の劣化が想定以上に進んでいる恐れのあることが、九電の資料などからわかった。九電は「安全性に問題はない」とするが、専門家は「危険な状態で廃炉にすべきだ」と指摘。1号機は稼働中で、反原発団体は原子炉の劣化を危険視している。

 原子炉は運転年数を経るにつれ、中性子を浴びて次第にもろくなる。その程度を調べるため、電力各社は圧力容器内に容器本体と同じ材質の試験片を置き、もろさの指標である「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度」を測っている。温度が上がるほど、もろさが増しているとされる。

 1975年に操業を始めた玄海原発1号機は九電管内で最も古い原発で、想定している運転年数は2035年までの60年間。脆性遷移温度は76年、80年、93年に測定し、それぞれ35度、37度、56度だった。ところが、09年には98度と大幅に上昇した。

 九電はこの測定値から、容器本体の脆性遷移温度を80度と推計。「60年間運転しても91度になる計算で、93度未満という新設原子炉の業界基準も下回る数値だ」と説明している。

110527 原発汚染水処理1リットル210円 計531億円と試算 [朝日]

 東京電力は27日、福島第一原発で生じている放射能汚染水の浄化処理費用について、1リットルあたり約210円と見込んでいることを明らかにした。総額は531億円で、25万トンの汚染水を処理するとして試算した。現在、設備は工事中で、6月中旬に稼働する見込み。

 処理施設は海外企業の技術を使い、放射性物質を吸着させ、膜を通して塩分を取り除く。あくまで現時点での試算で、汚染水の量など状況によって変わる可能性はあるとしている。

110526 連合、原発推進方針を凍結 昨夏決めたばかりですが [朝日]

 連合(古賀伸明会長)は東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて原発推進政策を凍結し、新規立地・増設を「着実に進める」としてきた方針を見直す。26日午後の中央執行委員会で決定する。民主党の有力な支持団体だけに、民主党政権のエネルギー政策に影響するのは必至だ。

 連合は中央執行委に提出する文書で、原子力エネルギー政策について「より高度な安全確保体制の確立、地域住民の理解・合意という前提条件が確保され難い状況に鑑み、凍結する」と明記し、原発政策の総点検・見直しに着手する方針を打ち出す。新増設推進の姿勢を改め、当面は政府のエネルギー政策見直しの行方を見守る姿勢に転じる。

 連合は昨年8月、傘下の労組間で意見が割れていた原発政策について、初めて「推進」を明確に打ち出したばかりだった。

110517 2・3号機もメルトダウン 東電データで裏付け [朝日]

 東京電力福島第一原子力発電所の2、3号機でも炉心溶融が起こり、原子炉圧力容器の底に燃料が崩れ落ちるメルトダウンが起きていたとみられることが、16日に東電が公表したデータで裏付けられた。3号機では溶けた核燃料がさらに下の格納容器内に落ちた恐れもある。専門家は事故直後から指摘しており、細野豪志首相補佐官も16日の会見で2、3号機でのメルトダウンの可能性を示唆した。

 東電が4月17日に示した工程表は、6~9カ月で原子炉を安定した状態で停止させるとした。1号機に続き2、3号機でもメルトダウンの可能性が出てきたことにより、工程表の大幅な見直しは必至だ。炉心を冷やすシステムづくりに時間がかかり、高濃度の放射能汚染水の処理も膨大になるからだ。

 今回公表された地震直後のデータは原発内の中央制御室にあり、電源復旧に時間がかかったことや、記録紙に放射性物質が付着しているため整理に時間がかかっていた。公表されたのは、記録紙に打ち出されたグラフや当直長がつける運転日誌などで、大型ファイル4冊分にあたる。

 データによると、圧力容器内の圧力が、2号機は3月15日午後6時43分に、3号機は3月16日午後11時50分に、それぞれ下がった。圧力容器の密閉性が損なわれ、圧力が抜けたとみられている。

 圧力容器の底には制御棒や計測機器を外から通すための数多くの貫通部がある。メルトダウンした核燃料が圧力容器の底にたまり、その熱の影響で機器が溶けるなどした結果とみられる。3号機内の汚染水からは、原子炉内の核燃料が損傷して出るテクネチウムなどの放射性物質も確認されていることから、溶けた燃料がさらに圧力容器から格納容器内に落ちた可能性もある。

 東電は会見で「プラント全体の事象を追いかけられておらず、評価できていない」と明確な判断を示さなかった。

 一方、細野氏は会見で炉心に水が入らなかった時間について「1号機は14時間9分、2号機は6時間29分、3号機は6時間43分と短くない」とし「炉心の完全な溶融(メルトダウン)の可能性をみておかないといけない」と話した。

 また原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は16日の定例会後の会見で「3月下旬に2号機で高濃度汚染水が発見された時点で、メルトダウンしていたという認識があり、助言した。1号機と3号機も、事故の経緯を考えると同じことが起こっているとの認識を持っていた」と語った。

 東電によると、機器の記録から、運転中だった1~3号機は地震によっていずれも自動停止。配管の破断などの兆候はみられないとしている。非常用ディーゼル発電機も正常に起動していたという。東電はこれらの記録や地震計のデータをもとに、地震直後は機器が正常に作動し、津波到達までは大きな損傷はなかったとみている。(中村浩彦、佐々木英輔)

110516 世界の原発、建設・計画中166基 1月1日時点 [朝日]

 日本原子力産業協会は16日、今年初めの時点で世界で建設・計画中の原発は166基(出力合計約1億7548万キロワット)で、前年調査より26基増えたと発表した。運転中の原発は436基(3億9220万キロワット)で4基増えた。1月1日時点の調査のため、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響は反映されていない。同協会は「2010年は原発の開発機運が高まったが、今後の動向は不透明だ」としている。

 建設中は75基。最も多いのは中国の30基で全体の4割を占めた。ついでロシアが11基、インドが8基。計画中は91基で、中国が23基と最も多く、ロシアが13基、日本が11基だった。

110516 放射性廃棄物処分場テーマの映画盛況 全国57館で上映 [朝日]

 原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場をとりあげたフィンランドの映画が話題を呼んでいる。福島第一原発の事故後、東京都内の映画館で上映したところ満席が続き、全国57館に上映が広がっている。

 映画は「100000年後の安全」。バルト海に浮かぶ島の地下500メートルに建設中の処分場をめぐり、デンマークで活動する映画監督が建設現場の取材や専門家へのインタビューを重ねた79分のドキュメンタリーだ。

 2020年に稼働する処分場が放射性廃棄物でいっぱいになれば封鎖するが、無害になるまで10万年かかるという。その危険性について、後世にどう伝えていくかを問いかけている。

 映画配給会社「アップリンク」(東京・渋谷)は4月2日、自社劇場で公開。40席が連日満員となり、1日1回だった上映回数を今月に入り5回に増やした。

 「推進派も反対派も見るべきだ」「かなり考えさせられます」「どんなホラー映画より恐ろしい」――。ツイッターなどで評判が広がり、1カ月間で、32都道府県で上映が決定。商業施設に併設されたシネコンも多い。

 アップリンクの浅井隆社長は「事前に話題になっていないドキュメンタリーが全国に広がるのは異例。放射能の情報を知りたいという欲求を感じる」と話す。問い合わせは同社(03・6821・6821)。(高橋昌宏)


110515 1号機、津波の5時間半後には燃料溶融 東電解析で判明 [朝日]

 東京電力は15日、東電福島第一原子力発電所1号機が、東日本大震災による津波到達後5時間半で、原子炉内の核燃料が冷却水からすべて露出し、燃料溶融に至ったとの暫定的な解析結果を発表した。これまで燃料が溶融したのは3月12日だとしてきた。事故対策の前提となる現状把握が大幅に狂っていたことになる。今後の対策検証にも影響を与えそうだ。

 福島第一原発は、3月11日午後2時46分の震災発生直後に原子炉が自動停止。地震で外部から電力を得る設備も被害を受け停電した。さらに同3時30分ごろに津波をかぶり、非常用発電機なども被害を受け、炉心を冷やすために必要な電源をすべて失った。

 このため炉心では核燃料からの熱(崩壊熱)によって冷却水が徐々に失われていく事態に陥った。

 東電の発表によると、午後6時ごろに核燃料の頭頂部まで水位が下がり「燃料の一部露出」が始まった。同時に炉心の温度は急激に上昇した。

 約1時間半後には、全長約4メートルの燃料棒の水につかっている部分が完全になくなる「全露出」状態となった。核燃料を包む金属の筒(被覆管)は、炉心の中央下にあるものから融点の1800度を超えて溶け始め、20分ほどで炉心中央上部が溶けて崩落。午後9時には燃料ペレットが溶け始める2800度に達したと思われる。翌12日には核燃料がすべて原子炉圧力容器の底に崩れ落ちた。

 東電はこれまで、1号機の炉心水位の低下傾向を確認したのは11日午後9時半ごろで、12日午前9時前に炉心が「一時冷却水から全部露出した」としてきた。

 しかし、今回の解析では、津波が到達してから15時間20分後の12日朝に炉心が完全に溶融(メルトダウン)していたことになる。解析ではほぼ1日分、事態の進行が速かった。

 東電は、現在の1号機の炉心状態について「燃料は崩れたが注水により水の中にあるとみられ、安定的に冷却されている。今後大規模な放射性物質の放出につながるようなことにはならない」と強調する。

 一方、これまでの評価結果との大幅なずれについて、東電本店の川俣晋・原子力品質安全部長は「事故当時、各種計器の値が正しいのか確信はなかった。今回も必要な情報がすべて得られているわけではない。暫定的な解析結果だ」とするにとどめた。

 東電は、今後も調査を進めて1号機の炉心状態の把握に努めるとし、2号機と3号機についても解析を実施する、としている。(吉田晋、杉本崇)
目安箱バナー