dunpoo @Wiki ◎市民の政策局の本棚09Ⅱ
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金融大狂乱 [朝日]

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 金融大狂乱 リーマン・ブラザーズはなぜ暴走したのか
 著者:ローレンス・マクドナルド・パトリック・ロビンソン
 出版社:徳間書店  価格:¥ 1,785

 [掲載]朝日新聞2009年11月8日
 [評者]森健(ジャーナリスト)



 世界経済を大混乱に陥れたリーマン・ショックから1年あまり。権勢を誇った投資銀行勢は壊滅的打撃を受けた。では、あのリーマン・ブラザーズの中では、何が起きていたのか。その詳細を内部から伝えたのが本書だ。

 リーマン破綻(はたん)の根っこは、低所得者向けの住宅ローンだ。住宅業界によるこのローンは、優遇期間の1~3年を過ぎると、大幅に支払額が上がる。支払えなくなったローンは不良債権となる。住宅業界で乱売が続く中、リーマンは不良債権のリスクを軽視し、このローンを束ね、金融派生商品として大量に販売した。そして住宅バブル崩壊後、破綻した。

 本書によれば、リーマン内部にもリスクを指摘する声はあった。慎重に企業経営の実質を見抜く調査員が複数おり、崩壊の2年以上前から問題を指摘していた。だが、経営陣はその声に耳を貸さず、成果と報酬を求める別のチームは博打(ばくち)のような金融派生商品を売りまくった。一部の強欲な人間によって危機は拡大されたのである。

 問題の背景には金融制度の改変や住宅業界の暴走、格付け会社のいい加減さもある。だが、本書を読むと、各領域で不正直に欲をかく人たちがいたことが世界に混乱を招いたのだとよくわかる。

 ただ、読後しばらくすると、こうも思いあたるのだ。規模や業態は異なれ、似たようなことはあちこちで起きていると。

増税が国を滅ぼす―保守派が語るアメリカ経済史 [朝日]

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著者:アーサー・B・ラッファー・ステファン・ムーア・ピーター・タナウス Arthur B. Laffer, Stephen Moore, Peter J. Tanous 村井章子訳
出版社:日経BP社  価格:¥ 2,520

[掲載]朝日新聞2009年10月25日
[評者]久保文明(東京大学教授・アメリカ政治)


 近年、小さな政府の思想は至る所で不人気である。本書はその立場からアメリカ経済の歴史を辿(たど)り、オバマ政権の経済政策を正面から批判したものだ。

 著者の一人ラッファーは、減税をすると逆に税収が増える場合があることを示したいわゆる「ラッファー曲線」の考案者として有名である。当初は主流の経済学者やメディアから相手にされなかった異端の思想であったが、ケインズ的経済政策が明らかに機能しなくなった70年代、共和党内で支持者を着実に増やしていった。ラッファーらが提唱した減税、通貨供給量縮小、そして規制緩和を実践したのがレーガン政権であった。因果関係の論証は困難であるが、アメリカ経済がその後好転したことは否定しがたい。著者らは減税がアメリカ経済にいかに貢献してきたかを力説している。

 ちなみに、ラッファーはレーガンのブレーンであったが、驚くべきことに92年と96年の大統領選挙ではクリントンに投票していたことを本書で告白している。ブッシュ(父)の増税に憤慨し、クリントンの中道路線を評価したためである。

 著者たちが提案する理想の税制は、フラット(単一税率)税である。具体的には08年のアメリカの場合、所得税、法人税とも12.1%で現行の税収を確保できるとする。所得が10倍の人は10倍の税金を払う。ほとんどの控除を廃止するので、特殊利益によるロビイングや会計士の出番はなくなる。現在東欧諸国を中心に24カ国がこの税制を採用している。

 本書はアメリカにおいて、なぜ国民皆保険制度の実現に対する反対がかくも強いのか、そしてなぜオバマ政権の政策が社会主義と批判されるかを理解するのに役に立つ。同時にアメリカでは時流に抗しながら、このように思想の旗を立て続ける有力な集団がつねに存在することも示している。彼らの金融危機に対する処方箋(しょほうせん)は減税である。我々は現在、このような思想を一笑に付しがちだが、最近の経済成長率においてアメリカの方が日本や多くの西欧諸国より上であることも忘れてはならない。