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●憲法改正(05-Ⅱ)

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●憲法改正(05-Ⅱ)

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●憲法改正 へ続く


国民投票法案、与党が「メディア規制」撤回 [読売]

 自民、公明両党は14日、国民投票法案に関する与党実務者会議(座長=保岡興治・元法相)を国会内で開き、憲法改正の国民投票が実施される際の報道を「原則自由」とすることで一致した。

 民主党の主張に歩み寄ったもので、3党共同での来年の通常国会への法案提出を目指す考えだ。

 与党が昨年12月にまとめた法案の骨子では、新聞・雑誌・放送による虚偽事実の報道や、事実をゆがめた報道などを禁じていた。これに対し、民主党は原則として報道を規制しない法案の大綱をまとめ、与党案を「国民の議論の広がりを妨げる」と批判していた。

 与党と民主党の間では、与党が投票権を20歳以上としているのに対し、民主党は18歳以上と主張するなどの違いが残っている。

(2005年12月14日22時52分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20051214ia24.htm

憲法改正に与野党はない 首相の連携発言で前原氏 [共同]

【ニューヨーク9日共同】民主党の前原誠司代表は9日午後(日本時間10日午前)、ニューヨーク市内で記者会見し、小泉純一郎首相が憲法改正で同党との連携は可能との認識を示したことについて「憲法改正が必要だと思っている政党に与野党はない。憲法改正の国民の認識や関心、議論を高めていく責務は民主党も負っている」と述べ、連携に前向きな姿勢をみせた。
 同時に「憲法改正は衆参両院の3分の2以上の賛成を得なければ、国民投票にかけられない。しっかりとした議論を与党とやっていきたい」と強調した。
 一方、前原氏のワシントンでの講演が中国に対して厳し過ぎるのではないかとの指摘に対しては「これから中国に行くからマイルドに言うとか、そういう器用なことはできないし、逆にすべきではない」と反論した。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2005121001000478

改憲では前原氏と協力可能=小泉首相 [時事]

小泉純一郎首相は9日夜、民主党の前原誠司代表が憲法を改正して集団的自衛権行使を可能にすべきだと主張していることについて「前原代表は前から憲法改正論者だったから、その点はやはり自民党と協力できる点があると思っている」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
URL:http://www.jiji.com/cgi-bin/content.cgi?content=051209205128X398&genre=pol

シーレーン防衛拡大を 前原代表が外交ビジョン [共同]

 【ワシントン8日共同=伊藤豪】民主党の前原誠司代表は8日午後(日本時間9日未明)、ワシントンの戦略国際研究センター(CSIS)で講演し、自衛隊のシーレーン(海上交通路)防衛拡大や、憲法改正による限定的な集団的自衛権行使の容認を柱に据えた包括的な外交・安保政策ビジョンを発表した。
 マラッカ海峡からインド洋、ペルシャ湾に通じる原油供給ルートの安全確保に向けて、政府が「米軍に期待する」としてきた周辺1000カイリ以遠の海上交通保護も「日本が責任を負うべきだ」と強調。集団的自衛権行使を認める事例としては、周辺事態や同盟国を守るミサイル防衛を挙げた。
 現実路線を掲げ「政権担当能力」をアピールした形だが、個人的見解でなく「民主党が考える政策」と位置付けており、党内の旧社会党系議員らが反発するのは必至だ。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=main&NWID=2005120901000062

“9条改憲は5年で 国民投票法は社民党を含め”民主党・枝野憲法調査会長 [赤旗]

 民主党憲法調査会の枝野幸男会長は七日、東京・千代田区の日本記者クラブで講演し、憲法「改正」実現の見通しについて「環境権(を規定する)とか私学助成金を違憲に読める条文を変えるとかの簡単な憲法改正なら三年くらいでできる。全文改正だったら永遠にできない。九条を含めての改正は工夫すれば五年くらいでできる可能性がある」と語りました。

 枝野氏は改憲のための手続法となる国民投票法案にも触れて「内容について(自公民三党間に)政治的に大きな対立点はない。来年の通常国会には自公民三党ないし社民党を加えた四党の共同提案で遅くとも来年中に成立する」との見通しをのべました。

 改憲論議の進め方について枝野氏は、条文づくりを先行させるのではなく憲法認識にかんする自公民三党間の共通の土俵づくりを優先させるべきだとの立場を強調しました。
URL:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-12-08/2005120801_03_1.html

国民投票法案、議員立法で決着 反発の民主に自民釈明 [朝日]

2005年12月06日21時22分
 憲法の改正手続きを定める国民投票法案の次期通常国会への提出方法をめぐる与党内の協議は6日、内閣提出法案(閣法)ではなく議員立法とすることで決着した。自民、公明、民主の3党で共同提案を目指し、法案作成の協議を続ける。

 自民党の細田博之国対委員長は6日、民主党の野田佳彦国対委員長に電話し、「(閣法は)事実ではありませんから。議員立法でやります」と釈明した。

 「混乱」のきっかけは、5日の与党幹事長・政調会長会談後、公明党の冬柴鉄三幹事長が会談内容に関連し、国民投票法案の扱いについて「今までは議員立法の形を考えていたようだが、閣法の方で調整しようとなった」と語ったことだ。

 もともと与党は、憲法改正の発議要件が「衆参各院の3分の2以上」となっていることを踏まえ、「手続き法作りで民主党の理解を得られないと、憲法本体の改正協議で協力してもらえなくなる」(幹部)と、民主党を交えた3党で法案を作り、議員立法で通常国会に提出することを目指してきた。

 それだけに、政府・与党が法案作成を主導することになる「閣法」の意向が突然持ち出されたことに、民主党は「これまでの経緯を無視し、信頼を損ねた」(枝野幸男・党憲法調査会長)と反発。これを受け、自民党は、武部勤幹事長が6日の記者会見で「議員立法でやるのは既定の考え方だ」と改めて強調した。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1206/003.html

国民投票法案:自民の対応迷走 改憲論議、不透明感増す [毎日]

 憲法改正手続きを定める国民投票法案をめぐり5日、自民党の対応が迷走した。同日午前の与党幹事長・政調会長会談では議員立法でなく、政府提出とする方向で一致したものの、民主党が猛反発すると、党幹部が再び議員立法に意欲を示すなど、党方針が二転三転。次期通常国会をにらみ、立法化の遅れに対する自民党のいら立ちが表面化した格好で、自民、公明、民主3党による改憲論議の行方は一層、不透明感を増してきた。
【須藤孝、田中成之】

 自民、公明両党は5日の幹事長・政調会長会談で、国民投票法案について「憲法の付属法」として、政府提出で調整することで一致した。自民党の武部勤幹事長は先月24日の与党協議でも、公明党に対し、国民投票法案を政府提出とするよう打診しており、同党が回答を保留したため、決定を先送りしていた。

 ただ、自民、公明、民主3党は議員立法での法案提出に向けて調整を続けており、与党方針の転換に民主党が猛反発。同党の枝野幸男憲法調査会長は5日の記者会見で「これまでの経緯を無視し、政党間の信頼を損ねた」と怒り、政府案が提出されれば、党独自の対案を提出する考えを示した。その上で「このままでは、憲法改正について自公両党と一切協議を続けることはできない」と言明した。

 与党側は当初、国民投票法案を自公民3党で成立させ、将来の改憲への道筋をつけるシナリオを描いてきた。しかし、同法案の調整でも自民党が原則、「20歳以上」の投票権付与を主張しているのに対し、民主党は「18歳以上」を求めるなど、立法化作業は遅れているのが現状。自民党内には「民主党を待っていても、議論が進まない」とのいら立ちが募っている。

 迷走の源となった武部氏は5日夜、東京都内での会合で「国民投票法案は、民主党と相談して、議員立法でやるべきだ。その準備も始めている」と釈明するなど、軌道修正に追われた。与党内に浮上した政府提出案は、民主党抜きの改憲を模索する動きともいえ、改憲論議の「入り口」で表明化した自公民のさや当ては、今後の論議にも影響を与えそうだ。


前原民主代表、憲法改正に意欲 自党の案説明へ全国行脚 [朝日]

2005年12月01日19時21分
 民主党の前原代表は1日、東京都内で講演し、党の「憲法提言」について「国民の関心を高められるように全国を回って意見交換をしたい」と述べ、党幹部らが行脚して論議を広げる考えを明らかにした。

 憲法提言は条文化していないが、前原氏は憲法9条について「戦争放棄を定めた1項は残し、(戦力不保持・交戦権否認の)2項は削除して自衛権を明記すべきだ」。集団的自衛権については「日本に飛び火しそうな『周辺事態』になった時のことを考え、安全保障基本法を作って制約をかけたうえで認めるべきだ」と持論を展開した。

 改憲の見通しについては「衆参で3分の2以上の賛成は得られるかもしれないが、国民投票の過半数というハードルは高く、(現状では)ほぼ無理」との認識を示した。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1201/006.html

自民改憲案を批判 「9条の会」がシンポ開催 [朝日]

2005年11月27日19時31分
 ノーベル賞作家の大江健三郎さんらが呼びかけた「9条の会」が27日、東京都内で憲法学者らによるシンポジウム「自民党改憲案は日本をどこに導くか」を開いた。

 奥平康弘・東大名誉教授は自民党案を「改正案ではなく、頭からシッポまで新しいものにしたいという新憲法草案だ」と指摘。「現在の前文の魂」である「国際社会において名誉ある地位を占めたい」「全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有する」などの文言を「ばっさり切っている」と批判した。

 山内敏弘・龍谷大教授は「政府が集団的自衛権を違憲としてきた根拠は9条1項ではなく、自民党が改定しようとしている2項だ」とし、「マイルドな表現にしつつも狙いは集団的自衛権行使を可能にし、国民の国防義務を認知させることにある」と指摘した。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1127/006.html

憲法改正国民投票法案、武部幹事長「次国会で成立を」 [読売]

 自民党の武部幹事長は23日、TBSの番組で、憲法改正の手続きを定める国民投票法案について、「次国会に出して、成立するようにしていきたい。(憲法問題は)あまり多数決をやるべきものでない。野党のみなさん方の理解と協力を得たい」と述べ、来年の通常国会で成立を目指す考えを示した。

 また、憲法改正には5年程度の時間を要するとの見方を示したうえで、「次の衆院選は新憲法の(内容が争点になる)選挙になるかもしれない」と述べた。

 米国産牛肉の輸入問題については、「牛丼を食べたいと言う消費者の声もある。来年早々には牛丼は食べられるんじゃないかと思う」と述べ、年明けには米国産牛肉の輸入が再開されるとの見通しを示した。

(2005年11月23日21時5分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20051123ia22.htm

「戦力不保持守れ」ノーベル賞・小柴氏ら7人がアピール [朝日]

2005年11月12日08時00分
 故湯川秀樹博士らの呼びかけで結成され、7人の知識人が日本国憲法の平和主義や人道主義に基づく反核非戦の声明や提言を発表してきた「世界平和アピール7人委員会」は11日、創立50周年記念講演会を東京で開き、「戦力不保持などの現行憲法の理念と原則を守る」ことを求めるアピールを発表した。

 現在のメンバーはノーベル物理学賞の小柴昌俊・東大特別栄誉教授、土山秀夫・元長崎大学長のほか、国際政治学者の武者小路公秀、写真家の大石芳野、作家の井上ひさし、ドイツ文学翻訳家の池田香代子、物理学者の伏見康治の各氏。

 同日はビデオでメッセージを届けた小柴氏を除く6人全員が参加。「核兵器の完全撤廃のすみやかな実現」「日本国憲法の理念と原則を守り、いかしていくこと」などをアピールに盛り込んだ。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1112/TKY200511110410.html

自民党新憲法案を読む [朝日]

映画監督 是枝裕和(「誰も知らない」)
第2章のタイトルが、「戦争の放棄」でなくなったというのが最も象徴的だと思いますね。「戦争の放棄」を放棄したっていうことでしょう。新しい権利とかを加えたけど、これがまさしく狙いなんじゃないですか。
結局、アメリカの都合でしょう。押しつけられた憲法だからだめだ、自主憲法だっていう人たちが何でこれを許すのか。9条をアメリカの軍事戦略と一線を画すための担保としておくのが、ぎりぎりのリアリズムだ。
僕自身は「正しい戦争がある」という考え方を否定するものとして、9条をもっと積極的に国際的な共有財として活用していくべきだと考えている。アメリカの世界戦略の行き詰まりを見ても、9条はそれに代わる世界観を提示し得る先進的な思想だと思う。
もう一つはアジアに対する視点。アジアもね、欧州連合のような形でお互いに軍縮をして経済的にひとつになろうって方向で生き残っていくしかない。アジアを侵略した加害者であったという記憶を自らに刻みつけて、非戦の決意として9条を再定義すべきです。
軍備増強して「普通の国」になっていくための憲法なのか。話し合いで紛争を解決できる国と国の関係の構築をめざす憲法なのか。どちらも100%の安全はないし、犠牲を伴うけど僕は後者のリスクなら引き受ける。

作家 福井晴敏
完全非武装の国家っていうのはファンタジー。
アメリカと国益が完全に一致することはありえないんだから、自分の盾だけで全土を覆えるように体制の変更を進めておかないといけない。
[朝日]*2005/11/03



公明の「加憲」案、来秋めど公表 太田氏が明示 [朝日]

2005年11月05日23時30分
 公明党の太田昭宏幹事長代行は5日の全国代表者会議の質疑応答のなかで、同党の憲法改正案について「私個人の考えとしては、来年(06年)秋をめどに加憲案をまとめたいと思う。憲法9条の1項、2項は堅持し、自衛隊の存在の明記を3項でするのか、前文に入れるか、別条だてするか、議論が必要だ」と語った。

 党の憲法問題のとりまとめ役である太田氏が公明党案の公表時期を明示したのは初めて。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1105/004.html

欧州の国民投票を視察へ 衆院憲法特別委員会 [共同]

 憲法改正の手続きを定める国民投票法案を審議する衆院憲法調査特別委員会(委員長・中山太郎元外相)は7日から13日間の日程で、フランスやスイスなど欧州5カ国の国民投票法制度を視察する。
 憲法改正だけでなく、一般の政策課題をめぐる国民投票の実施例がある欧州で、制度の運用状況などについて有識者や議員らと意見交換。同法案の来年の通常国会成立を目指し、委員会審議や与野党協議に生かすのが狙いだ。視察団は中山氏を団長に計8人で自民、民主、公明、共産、社民各党から参加する。
 先の特別国会では参考人質疑や議員同士の自由討論を実施。その結果、投票権者の年齢や予測報道など国民投票をめぐるメディア規制が主要な論点として浮かび上がった。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2005110501002020

憲法運動は無差別テロ支持勢力にどういう態度をとるべきか [赤旗]

 イラク戦争が泥沼化し、世界各地に無差別テロがひろがる事態は、二十一世紀の世界に暗い影を落としています。テロと暴力の悪循環を断ち切ることは、国際社会の切実な課題です。テロ根絶には、テロ勢力を国際社会の包囲で追いつめるとともに、テロの土壌をひろげる報復戦争に反対する国際世論と運動を発展させなくてはなりません。

 ところが、日本では、国際的な無差別テロを賛美し、テロリストへの支持・連帯という驚くべき主張をさけぶ集団が策動をつづけ、憲法運動や平和運動に入り込もうとする重大な事態が起こっています。これは憲法運動の大義を根本から傷つけることになりかねません。
(略)
 日本国憲法は、恒久平和と国民主権、基本的人権、議会制民主主義などを基本原則としており、全世界の人びとの「平和のうちに生存する権利」を確認しています。日本の民主主義と平和をまもる運動、とりわけ憲法改悪に反対し、憲法を擁護する運動には、国際的な無差別テロの支持勢力のための場所は存在しません。どんな形をとろうとも、国際テロ支持勢力の参入を認めることは、憲法擁護の運動を深く傷つけ、国際的にも運動の大義を損なう重大な汚点となるでしょう。

 だからこそ、本紙は、「革マル派」「中核派」などの暴力集団が、各地で憲法運動や平和運動に参加を策している問題について、警鐘を鳴らしてきたのです(「暴力集団の“泥合戦”―改憲反対運動に入り込む『革マル』と『中核』」五月十八日付など)。

 これにたいして「革マル派」「中核派」は、機関紙で「わが同盟にたいする排外主義的敵対」「大衆運動のセクト主義的分断」、あるいは「セクト的利害」による「統一戦線の破壊」等々、非難の声をあげています。

 一九五九―六〇年の安保闘争以来、統一戦線の破壊に専念してきた集団が、こういう言葉を口にすること自体、たいへんこっけいなことです。しかも、この集団は、国際的な無差別テロが世界諸国民の安全と平和を脅かすもっとも重大な危険のひとつとなっているときに、その国際テロを賛美する立場に公然と立っているのです。「革マル派」も「中核派」も、どんな詭弁(きべん)をろうしようと、自分たちのこの立場と憲法擁護の立場とは絶対に両立しえないものであることを、自覚すべきでしょう。

 この問題について、憲法運動に参加している関係者の一部に、「憲法擁護の運動に『排除の論理』を持ち込むな」といった議論があります。

 日本共産党は、政治的立場、思想・信条の違いをこえて、憲法改悪反対の一点での国民的共同をよびかけています。しかし、このことは、「憲法改悪反対」のスローガンに賛成しさえすれば、どんな危険な勢力をも共同にくわえる、ということではありません。私たちは、「革マル派」「中核派」の問題で「排除の論理」を問題にする人に、これらの集団が国際テロの支持・礼賛勢力である事実を、ぜひ真剣に考えていただきたいと思います。そうすれば、このような勢力に門戸を開くことが、憲法擁護運動の大義にかかわる重大な問題であることを、理解していただけるのではないでしょうか。
URL:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-11-05/2005110504_01_1.html

全戸訪ねて憲法守る署名 5割へ前進中 高知「とさしみず九条の会」[赤旗]

 カツオの一本釣りで知られる高知県土佐清水市の「とさしみず九条の会」が、年末までに有権者の半数、七千六百四十八人の憲法改悪反対署名を集めようと運動しています。現在、約四千人分が集まっており、目標の50%を超えました。(藤原義一)

  自民党が憲法九条を変え「自衛軍」の創設を明記した改憲草案を発表した二十八日以降、同会はあらためて署名行動を強めています。

 同日、署名の協力を訴えた女性は「アメリカのいうことばかり聞くがやねー。怖い」といっていました。太平洋戦争で兄弟が三人戦死したといいます。五人記入の署名用紙を五枚あずかってくれました。

 全戸訪問を終了した地区(全地区六十七)は十六カ所になりました。

 署名運動では「憲法の改悪に反対し、九条を守り、平和のために生かすことを求めます」と明記した同会独自の署名用紙を使っています。九条全文つきです。

 会員たちを行動にかりたてているのは「日本をアメリカと一緒になって戦争をする国にしてはいけない」という思いです。

 「とさしみず九条の会」代表の一人、上杉利則さん=市身体障害者連盟会長、元小学校校長=は「平和、自由の必要性を身にしみて感じています。教え子を戦場に送らないために九条を守らなくてはと話します。

 上杉さんは高知海軍航空隊の飛行術練習生でした。爆弾に似せたものを持って潜伏している姿勢から戦車のキャタピラーに飛び込む訓練をしている中で終戦を迎えました。若い人たちにも、こうした体験を語りながら署名を集めています。

 元無所属市議の山田泉さん(足摺岬地区)は「六十年いろんな運動をやってきて、こんなに感謝されたことはない」といいます。「家を飛び飛びにいくと『あそこにはいって、うちにはこん』といわれるので順に全戸をまわっています」

 「一九四四年、十五歳の時に海軍を志願し特別攻撃にも参加し戦争の惨めさを知りました。平和を守っていくのが私の使命です」と山田さんは話します。署名を訴えると手を合わさんばかりに「お世話になります」という人もいます。三百六十人に署名をしてもらっています。

 とさしみず九条の会は、七月、十月と署名簿を集約する会議を開きました。この会議で地区別の署名の集まりぐあいを確かめ合い、過半数へ推進のために必要な手だてを検討しています。

 上杉さんの住む市中心部では十月二十六日、対策会議を開き、署名を集めてくれそうな人を四十三人リストアップ。順次、訪問し署名用紙を二枚、三枚、五枚とあずかってもらっています。

 訪ねた先で相手から「軍備がないと、いざというときにはいかんじゃいか」などの疑問にもぶつかります。

 上杉さん、山田さんたちは軍隊はもたないという憲法九条があるから一人も外国人を殺さず、日本人も死ななかったことなどを伝えています。

 同市の三崎地区では「三崎九条の会」を六月十日に結成して、署名推進体制を強化。十月三十日には「憲法を守る!! 学習会」を開きました。

 同会事務局長の中野学さん=元小中学校長=は、国民学校四年生のときアメリカ軍の三崎への空襲を体験しました。学習をすることは運動をより確かなものにします。署名運動にとりくむ人を増やし、たとえ国民投票になっても確固たる自信と確信を持って改悪反対ときちんと意思表示する人を多くしたいと語ります。

 ●とさしみず九条の会 呼びかけ人九十四人、参加者八十四人で三月二十一日に結成。代表に十六年間市長を務めた矢野川俊喜さんをはじめ、畝崎(うねざき)桃代・連合婦人会会長、弘田浩三シルバー人材センター理事長ら九人、事務局長に沖屋満・元幡多教職員組合組合長などを選出しました。町内会単位で憲法改悪反対署名を集約するため市内四十カ所に地区、部落、町の地区連絡員を選出しました。


改憲反対、日韓の市民団体が集会 「9条は共有財産」 [朝日]

2005年11月03日22時56分
 日本国憲法の公布から59年たった3日、改憲に反対する市民団体が各地で集会を開いた。自衛軍の創設を明記した自民党の憲法草案が公表された直後で、ソウルと東京では日韓のグループが合同で「9条はアジアの安全を保障する共有財産だ」と訴えた。

 ソウルの日本大使館前には、戦争犠牲者や市民団体代表ら約40人が集まった。挺身(ていしん)隊問題対策協議会の尹美香(ユン・ミヒャン)・事務局長は「日本の憲法に口を挟むのは内政干渉だという人もいるが、戦争被害国として再び戦争が起こらないよう予防するのは当然」と話した。

 日本から参加した君島東彦・立命館大教授も「不戦の誓いである平和憲法は日本だけのものではない。アジア全体のもの」と訴えた。


 東京・四谷の集会には、約450人が参加。韓国・平和ネットワークの李俊揆(イ・ジュンキュ)・政策室長は「平和憲法があるからこそ、日本は軍事ではない国際貢献を続けてきた。イラク戦争での日本のNGOの援助活動をうらやましく思っていたが、自衛隊派遣で断たれた」と強調した。

 集会後、デモ行進した参加者らは防衛庁を訪れ、「イラクからの自衛隊の即時撤退」を申し入れた。

 さいたま市で開かれた旧総評系労組などによる護憲大会には約4千人が参加。ピースボートの櫛渕万里・共同代表が憲法9条について「東アジアに平和と安定をもたらすメカニズムとして機能させられる」と話した。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1103/TKY200511030256.html

社説:民主憲法提言 これで「創憲」と言えますか [毎日]

 民主党は改憲に向けた基本的見解を集約した「憲法提言」を発表した。

 焦点の安全保障分野では「制約された自衛権」という表現で自衛権を明記した。限定的ながらも海外での武力行使も容認している。武力行使容認という点では、先の自民党の新憲法草案と同じ土俵に立つ。ただ武力行使は「最大限抑制する」ことで違いを打ち出そうとしている。

 民主党は武力行使にタガをはめるため(1)平和主義(2)「制約された自衛権」の明記(3)国連の集団安全保障活動への参加(4)民主的統制(シビリアンコントロール)の明確化--の4原則を掲げている。

 「制約された自衛権」という概念の中には、個別的自衛権も集団的自衛権も含まれるというのが、これまでの党見解だった。自衛権の行使は、日本周辺で武力紛争が起きて国の安全が脅かされたとき、国連の集団安全保障活動が動き出すまで「緊急避難的」に米軍と共同で防衛することを想定していた。

 ところが、提言を取りまとめる党憲法調査会の会合では「海外での武力行使は認められない」との意見が続出して紛糾した。どうにか了承は取り付けたものの、会議後、枝野幸男同党憲法調査会長は「集団的自衛権の行使を容認するとも、しないとも決めていない」と、あいまいな領域に逃げざるを得なかった。改憲派から護憲派まで抱え込んだ複雑な党内事情を映し出すかたちとなった。

 民主党が「創憲」に乗り出した背景には、政府の都合のいい解釈で憲法の運用が左右されないようにあらかじめ歯止めをかけておこう、という狙いがあった。しかし、集団的自衛権の解釈をめぐってさえ、まだ党内論議が整理されていないうえ、武力行使の範囲で自民党との違いを出そうとした意図も必ずしも成功したとは言えない。

 納得できない点が他にもある。例えば、提言の前文にある「平和創造国家・日本の再構築」との文言は憲法の表現としては大げさでそぐわない。皮肉な言い方をすれば、米国がイラクで始めた戦争は「平和創造」が理由ではなかったのか。「人間の尊厳と共同の責務」の章に「家庭内暴力、セクハラ、国際的人身売買の禁止」まで載っていることにも危惧(きぐ)を覚える。

 憲法とは何よりもまず公権力が暴走しないルールを定めること、と主張したのは民主党だったはずだ。個人や家庭の領域に国家権力が恣意(しい)的に入りこめるすき間を自ら作るのは、民主党の本意ではなかろう。

 セクハラ禁止などは憲法でなく、法律で処理すれば済むことで、党内議論が生煮えのまま何でも詰め込もうとした印象を受ける。

 提言の安保部分は党内の改憲派、護憲派のどちら側からも読み方次第で都合よく解釈できる仕掛けをこらしたのだろうが、逆にそれがあいまいさを残すことになった。党は、提言をベースに来年から国民との対話を重ねるという。身内の対立再燃の火種は残ったままなので、まずは党内の火種を消すことが先決だ。
毎日新聞 2005年11月4日 0時34分
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20051104k0000m070128000c.html

条文案作成は見送り 民主、改憲協議促進狙う [共同]

 民主党は3日までに、憲法改正をめぐって2004年1月の党大会で当時の菅直人代表が示した「06年中に独自の改憲案を提示する」との方針を転換、先に取りまとめた「憲法提言」を党の基本的な文書として取り扱い、改憲案の条文化は行わない方針を固めた。
 前原誠司代表は、将来自民党などとの改憲草案づくりを想定した場合「各党が互いに細かい条文を書くと文言に縛られて改正しにくくなる」と判断、想定される草案策定協議などに幅広く対応していく方針だ。憲法調査会(枝野幸男会長)役員会で、自民党が公表した新憲法草案のように条文化した独自案は作成しない方針を確認した。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=poli&NWID=2005110301000919

民主が憲法提言 集団的自衛権・海外武力行使は明示せず [朝日]

2005年10月31日20時43分
 民主党憲法調査会(枝野幸男会長)は31日、新憲法に対する考え方を示す「憲法提言」をまとめた。安全保障では、「制約された自衛権」や「国連の集団安全保障活動への参加」を盛り込んだが、集団的自衛権の行使や海外での武力行使を可能にするかどうかは明示せず、あいまいな内容にとどめた。

 提言は「統治機構」「人間の尊厳」「分権」「安全保障」の4部構成。冒頭で「憲法とは国民が公権力をコントロールするための基本ルール」と位置づけ、基本目標に(1)国民主権社会(2)人権保障や環境権、知る権利、生命倫理などの「新しい権利」(3)平和創造国家(4)分権国家(5)伝統と文化の尊重を掲げた。

 「安全保障」分野では自衛権を「国連の集団安全保障活動が作動するまでの緊急避難的な活動に限定する」と定義した。この日の憲法調査会の総会で集団的自衛権の行使に反対意見が相次いだが、枝野会長は「容認するかしないかは今後の議論」とした。

 国連の集団安全保障活動は「国連の正統な意志決定に基づく」場合に限り、国連多国籍軍や国連平和維持活動などの武力行使を伴う活動への参加を「日本国が自主的に選択する」とした。総会では「武力行使を認める内容なのか」と質問が出たが、枝野会長は「行使できると決めた内容ではない」と説明した。

 民主党は、当面、憲法案の条文化はせず、年内をめどに提言に「総論」を加え、来年から各地でシンポジウムを開いて、国民から意見を聴く。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1031/009.html

憲法改正:手続き正しく理解は16% 市民団体調査 [毎日]

 憲法改正の手続きを正確に知っていた人はわずか16%--。市民団体が今月、改正手続きの理解度を全国で300人にアンケートしたところ、こんな結果が出た。衆院で今月、憲法調査特別委員会が審議入りし、同28日には、自民党が初めて憲法改正草案を発表するなど国会などで改正論議が本格化しているが、一般国民の意識には差があるようだ。

 調査は「真っ当な国民投票のルールを作る会」(大阪市)のメンバーらが今月5~12日、東京、大阪、札幌、福岡など全国15地点の街頭で面談形式で行い、300人から有効回答を得た。

 衆参各院の総議員の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票で過半数の賛成を得た場合に改正ができると定める憲法96条の規定について、正しく理解していた人は49人(16.3%)だった。「知っている」と答えたが、内容を間違えたのは55人(18.3%)で、そのほとんどは国会だけで改正ができると答えた。手続きを「知らない」と答えた人は196人(65.3%)だった。

 同会で事務局を務めるジャーナリストの今井一さん(51)らが03年に200人を対象に実施した同様の調査では、正解者は15人(7.5%)だった。今井さんは「徐々に理解度は進んでいると思う。与党が衆院で3分の2議席を取ったことから、直ちに憲法改正が始まるような印象を与える報道もあるが、冷静に議論することが必要だ」と話している。【青島顕】
毎日新聞 2005年10月31日 10時10分 (最終更新時間 10月31日 11時07分)
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20051031k0000e040012000c.html

自衛軍保持の改憲期待 首相、空自観閲式で訓示 [産経]

 小泉純一郎首相は30日午前、茨城県の航空自衛隊百里基地で行われた航空観閲式で訓示し、自民党が先に新憲法草案を決定したことを踏まえ、憲法を改正し「自衛軍」の保持を明確に規定することに期待を表明した。

 首相は「長年の議論を経て、憲法上の自衛隊の位置付けについてようやく国民的な合意が形成されようとしている」と強調。「自衛隊の最高指揮官として諸君と心を一つにして、自衛隊の任務が立派に遂行されるよう内外の環境整備に全力を傾注する」と表明した。

 自民党の新憲法草案は、9条を改正し、首相を最高指揮官とする「自衛軍を保持する」と明記している。

 観閲式には、隊員約1000人、戦闘機や輸送機など計115機が参加。民主党の前原誠司代表も出席した。(共同)


海外での武力不行使が重要・前原民主代表、自民憲法草案で [日経]

 民主党の前原誠司代表は30日午前のフジテレビの報道番組で、集団的自衛権の行使を容認した自民党の新憲法草案について「戦争の放棄、海外での武力不行使を確認することが何よりも重要だ。集団的自衛権をどこまで認めるかという議論を同時に行わないと国民の理解を得られない」と述べ、集団的自衛権の行使にはより抑制的であるべきだとの認識を示した。

 現行憲法9条1項の「戦争放棄」を維持したことについては「戦争放棄を徹頭徹尾貫くことは確認されないといけない」と述べた。

 憲法改正手続きの国会発議の要件を緩和していることに関し「ハードルを下げて改正しやすくなることで、(今後の)改正の議論が陳腐化してしまうのではないかと心配している」と指摘した。〔共同〕 (11:54)
URL:http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20051030STXKA004830102005.html

自民新憲法:民主、公明両党に配慮 改憲の実現性を優先 [毎日]

 自民党新憲法起草委員会(委員長・森喜朗前首相)が28日決定した条文形式の新憲法草案は、焦点の「9条」「前文」で自民党の独自色より民主、公明両党との将来の協議をにらみ、改憲の実現性を優先した内容となった。中曽根康弘元首相が筆を取った前文の原案も大幅改定され、角の取れた「枝ぶり」に党内には不満がくすぶる。改憲慎重論が根強い民主、「加憲」を掲げる公明党とも具体的な議論に乗り出す政治状況にはなく、改憲に必要な手続きである国民投票法案を次期通常国会で制定できるかが、当面の焦点となる。【田中成之、西田進一郎】

 ◇集団的自衛権 具体像は触れず

 「私の意向も含めて党の大勢もそうじゃないですか」

 焦点の「9条」で戦争放棄の1項を維持する結論となったことを記者団から問われ、小泉純一郎首相は自らの意向が反映したことを明らかにした。起草委事務総長の与謝野政調会長は記者団に「1項は不戦条約の条文をそのまま引用した歴史的に意味のある条文。広く国民に支持されている」と説明したが、9条問題に敏感な他党に配慮し自民党色を薄めるねらいがあった。

 一方で、戦力不保持を定めた2項は全面改定して「自衛軍」などを明記した。起草委事務局では現行憲法の解釈上は禁じられている集団的自衛権の行使や、海外での武力行使も事実上容認した表現と説明している。ただ、具体的な範囲については安全保障、国際協力などの法律に委ねた。条文そのものには「集団的自衛権」と書かれていないため、党内には「はっきりさせるべきだ」との不満の声も聞かれる。

 ただ、「自衛軍」については党内にあった「国防軍」との表現は見送った。「国会その他の統制に服する」として文民統制の考えを明記したほか、自衛軍の海外での活動について「国際法規及び国際慣例を順守」とした原案の表現を「他国の軍隊と同じことができると受け取られかねない」との懸念から草案で削除。タカ派色を薄める気配りを見せたのも民主、公明両党への配慮が理由とみられる。

 民主党は「制約された自衛権」との表現で集団的自衛権を一部容認する方針だが、改憲そのものに慎重論が強いため、具体的な議論に乗り出す状況にない。現行条文への「加憲」を掲げる公明党も東順治国対委員長が「集団的自衛権や海外での武力行使には与しない」と表明。「9条」の溝は依然として深く「国民投票法案の制定が現実的な課題」と自民幹部は口をそろえる。

 ◇全文で中曽根色を緩和

 「国を守る責務を前文に入れるべきだ」

 「なぜ『愛国心』が入らないんだ」

 28日、森前首相らがまとめた最終案を協議した起草委の全体会合では、党内調整の焦点となった前文が総じて穏やかな表現となったことに対し、新憲法草案に「自民党らしさ」を求める委員らの不満が噴出した。

 前文の小委員長を務めた中曽根元首相が示した素案は「和を尊び」「伝統と文化」「国を愛する」など、保守色の強い表現が多かった。これに対し、起草委事務局では「『和を尊び』と言っても、日本にも戦いの歴史がある。小泉首相だって郵政の時に和を尊んだのか」と反発するムードが強く、「憲法に個人の歴史解釈を書いたらいけない」との受け止め方が大勢だった。

 しかし、中曽根氏は党の長老で「大勲位」の受章者。与謝野氏らでは「意見するには貫目が足りない」(関係者)のも事実。中曽根氏と調整にあたった別の起草委幹部も「中曽根さんはかなり固い」と周辺に語り、「誰が鈴を付けるか」が問題となった。

 結局、事務局が頼りにしたのは「首相裁定」。14日と28日にとりまとめ状況を首相に報告した際に「より客観的なものを」との指示があったとし、復古調の文章を削除していった。9条と同様に、民主、公明両党を刺激するのは得策でない、との思いが背景にあった。

 「日本の伝統の根幹や素晴らしい国柄を入れてもらいたかった」(保岡興治氏)などの反発が相次いだ28日の全体会合でも、森氏は12日の起草委で草案の表現調整の「一任」を受けていたとして押し切った。

 ◇骨太の「立国論」見えず

 結党50年を機に自民党がまとめた新憲法草案は政権の最大与党が条文案を初めて世に問うた意味で、改憲論議がより具体的段階を迎えたことを象徴した。ただ「前文」と「9条」部分の調整が難航した経緯は、改憲の方向性や理念で同党自体がなお揺れ動く現状の裏返しでもある。21世紀の「立国論」という骨太さを欠いたまま「実現優先」の技巧に走った感は否めず、改憲を実現する国民のエネルギーを導く迫力には欠けた印象だ。

 曲がりなりにも同党が改憲案をまとめた背景には、旧社会党の崩壊に代表される政界での護憲勢力の退潮がある。毎日新聞の調査によると、今衆院選で当選した衆院議員のうち、改憲肯定派は84%に及ぶ。衆参両院の憲法調査会報告にみられるように、抽象論のレベルを超え国会で憲法論議がひとつのピークを迎えたと言える。

 一方で、自民党も党是の「自主憲法制定」や自社両党の55年体制下のイデオロギー論争の枠を超え、どう改憲の新たな理念を示すかが課題だった。いわゆる「自民らしさ」を抑え、国民の権利を擁護する近代憲法の理念に沿い新たな義務規定を抑制するなど一定の「変化」を草案は示した。

 ただ、世論を支えにした小泉政権の登場に象徴されるように、国民が政治に直接かかわり始めた変化や、「国のかたち」につながる分権論などに、草案は踏み込み不足だ。衆参両院憲法調査会の最終報告の多数意見をベースとした配慮は感じられる一方、どこまで21世紀の国家戦略を議論したか、疑念がつきまとう。

 焦点の9条部分については集団的自衛権の行使を基本的に容認した表現と説明、具体的範囲は法律に委ねるとしている。しかし、国連の集団安全保障、日米同盟の上でどこまで武力行使の容認が可能かという国益論が先行すべきであり、条文から入るのは後先が逆だ。核心部分を法律に丸投げすれば「解釈改憲」を事実上重ねた現行9条の二の舞を演じかねないことを銘記すべきだろう。【人羅格】
毎日新聞 2005年10月29日 1時46分
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20051029k0000m010156000c.html

自民新憲法:戦争放棄の条文維持、自衛軍の保持明記 [毎日]

自民党は28日、新憲法起草委員会(森喜朗委員長)などを開き、結党50年に向け策定を進めていた新憲法草案を決定した。改憲論議の「たたき台」とすることを狙ったもの。焦点の9条は戦争放棄を定めた1項の条文を維持する一方で、戦力不保持を定めた現行の2項を全面改定。自衛軍の保持を明記し、現行憲法が禁じる集団的自衛権の行使を事実上容認した。全体の理念を示す前文は自主憲法との位置づけや国民が国を「自ら支え守る責務」も盛り込んだが、中曽根康弘元首相がまとめた保守色の強い素案の内容を大幅に変更。伝統文化などに関する復古的な表現は盛らず民主、公明党への配慮を優先した。

 条文形式の改憲草案を同党が決定したのは初。草案は現憲法に対応する99条で構成。森氏らが小泉純一郎首相と28日会談し、前文や9条部分について最終決断した。その後の起草委では異論が相次いだが森氏が押し切り、党政審、総務会で決定した。

 最後まで調整が続いた前文は、小委員長の中曽根元首相が7日に示した素案を「情緒的だ」として変更。愛国心や国防については「国を愛する国民の努力によって国の独立を守る」から、「国や社会を愛情と責任感と気概をもって自ら支え守る責務を共有」に表現を薄めた。また日本の伝統文化や明治憲法の歴史的意義などに関する記述を削除。象徴天皇制の維持や環境保護を掲げた。

 最大の焦点の9条では8月の1次案段階で改定を検討した1項は現行憲法の条文をそのまま維持した。戦力不保持と交戦権の否認を定めた現行の2項は全面改定。自衛軍を明記し、「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため」との目的をうたって、集団的自衛権の行使を解釈上で容認した。また「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」として、国際協力への参加を規定。海外での武力行使を事実上認めた。ただ、いずれも具体的内容は新たに制定する基本法に先送りした。

 また、国民に「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚」するよう求め、国が行政を説明する責務やプライバシー権、環境権などの新たな権利を盛り込んだ。

 さらに国や自治体の宗教活動について政教分離原則を緩和、首相の靖国神社参拝や玉ぐし料支出を念頭に一定の宗教活動を容認した。改憲の発議要件は現行の「衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成」を「過半数の賛成」に緩和した。【松尾良】

▼自民党新憲法草案のポイント

  • 前文で自主憲法制定、象徴天皇制の維持、「国や社会を愛情をもって支え守る責務」を明記

  • 現行憲法9条の戦争放棄の条文を維持

  • 「自衛軍」の保持を明記し、集団的自衛権の行使や国際協力で武力行使を容認

  • 国の説明責任やプライバシー権、環境権などの新しい権利を創設

  • 政教分離原則を緩和し、国や自治体に社会的儀礼の範囲内の宗教活動を容認

  • 首相権限を強化し、自衛軍の指揮権、衆院の解散権、行政各部の総合調整権を明記

  • 改正の要件を衆参各院の3分の2以上の賛成から過半数に緩和

  • 国民の新たな義務の盛り込みは見送り

 ◇与野党で複雑な反応

 自民党が28日決定した新憲法草案について、与野党は複雑な反応を示した。草案をまとめた自民党内では内容への評価が二分。野党は民主党が「自己満足」と突き放したほか、9条改憲などを総じて厳しく批判した。

 党新憲法起草委員会で前文小委員会の委員長を務めた中曽根康弘元首相は記者団に「努力のあとはうかがえるが、部分的にまだ十分でない。歴史や文化や伝統という国柄、我々の子孫に伝えていくべき考え方は完全に抜けている」と不満を示した。また、宮沢喜一元首相(天皇小委員長)は「予想したよりはるかに穏やかなものができた」と評価。「自衛軍の保持」については「事実そのままの表現ではないか」と指摘しつつ「詰め切れずに問題をあとに残した。どういうことを意味するかはさらに議論する必要がある」と述べた。

 一方、民主党の枝野幸男憲法調査会長は「早い時期に憲法改正を発議しようと思えば、(与野党の)合意形成に努力しなければむしろ物事は遅れる。独自色を発揮しようとしてもほとんど意味がなく(自民党案は)自己満足の世界だ」と突き放した。「自衛軍」については「自衛権の行使をどういうルールで行うかについての合意形成が先だ」と語った。

 共産党の志位和夫委員長は「海外で米国とともに戦争ができる国に日本をつくり替えることに狙いがある。無条件に戦争に乗り出すための憲法改定を許さない」と批判。社民党の福島瑞穂党首は「平和主義の理念を根底から覆した。現憲法と戦後民主主義への挑戦だ」との談話を発表した。
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051029k0000m010093000c.html
→自民党新憲法草案全文 ●自民党新憲法草案
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