新生人工言語論

形態論・統語論

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lideldmiir

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歴史的には西洋語を反映していたが、最近は言語学のデータに影響を受けやすくなっている。たとえば普遍言語時代及びそれ以前は屈折が多く、明らかにラテン語を反映している。ただラテン語の屈折の複雑さは西洋人自身が辟易していたこともあって土着語程度の屈折を持った言語や屈折を失ったラテン語などが作られた。百科分類にしたがった哲学的言語は簡素な文法を持ちやすい。

言語差別主義が台頭していたころは膠着語は最も遅れていると考えられていた。中国語の孤立語は原始的な体系と言われていたが、普遍文字にとっての希望であったことから先駆的とも思われており、西洋人はこのアンバランスの理解に苦しんだ。勿論現代ではアンバランスでも何でもなく単なる言語の類型のひとつに過ぎないと分かっているのだが、当時はそう考えられていた。そのせいで膠着は心理的に避けられることがあった。しかし作成における言語差別が減った現代では圧倒的に膠着語が増えてきている。エスペラントを始めとして多くの言語が膠着語である。これについては既に別所で述べたので繰り返しはしない。

語順については歴史的には西洋語を反映してSVOが多かった。古典ラテン語のように基本語順の定まらないものもあったが、これは格が複雑であることを含意するので人工言語はこの手法を取らない傾向にある。西洋偏重が終わって世界の言語の類型ではむしろSOVのほうが多いことを知った作者たちは SOV型を作った。しかし言語の総数としてはSOVが多かろうと人口としては結局SVOのほうが多い。そこでSVOも捨て去れないという環境に囲まれた。

そこで最近の人工言語では語順がSVOでもSOVでも良いというものが現われてきている。伝統と人口で見ればSVOであり、言語の総数の割合で見ればSOVであり、その間を取ればハイブリッドで両用という形に落ち着くようである。

また、SVOを持つ言語はふつう前置詞を持つが、自然言語はそう単純ではない。語順そのものが過去に入れ替わってしまった言語もある。また語順は昔から変わらないけれども周辺の言語に影響を受けて修飾が前置になったり後置になったりする言語もある。前置詞と同時に後置詞を持つフィンランド語のようなものもある。こういった不均衡・不規則性は全て異言語とのかかわりか、その言語の歴史的変化によるものである。不規則を一般的に嫌う人工言語ではこういった入り組んだ体系にしないのがふつうである。歴史的に見れば入り組んでいる自然言語の体系をそのまま後験的に受け入れたものがあった。しかし現代はある語順だと何詞を持ちやすいなどといった言語学のデータを流用して合理的に作ることが多い。勿論、未だに自然言語の模倣という形も行われている。

品詞は普遍言語時代は極端に減る傾向にあったが、国際語時代以降は自然言語と同じか若干少ないくらいの言語が一般化した。その人工言語が独自の文法体系を持っている場合、自然言語の品詞と誤解されないように独自の品詞名を付けることがある。だがこれは注意すべきことで、よく調べれば同じものが他の自然言語に既に存在する可能性がある。既に存在している術語があるならそれに従うほうが民意を得られるだろうから、普及型は特に注意すべきである。
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