【初出】
XVIII巻
【解説】
外界宿がルーマニア北部スチャヴァ県に所有する要塞で、教会を自称している。第二次大戦後の混乱の中、外界宿の工作によって、人間社会からは忘れられた存在となっている。
造りは、簡素な白塗りの壁と低い鐘楼を備えた教会を中心に、周囲に古めかしい城壁を二周りほどである。そこから裾野まで、近代的なコンクリートの分厚い壁が幾重にも張り巡らされている。
このアンドレイ要塞の健在により、外界宿西部防衛線は各戦線の部隊や予備兵力を自由に動かせることになり、撤退する西部方面軍各軍にとって頭の痛い存在になっていた。
【由来・元ネタ】
12世紀頃トランシルヴァニア(ルーマニア中部・北西部)に移住したドイツ系ルーマニア人のサシ人が、周辺の遊牧民族の襲撃から教会(と民衆)を守るために防衛施設を追加していき、ついには要塞教会となった。14世紀から16世紀にかけてはオスマン帝国の侵出を阻むために、一層の要塞化が行われた。
1600年頃にはトランシルヴァニア全土で600を数えたというが、現存するのはその半分ほどである。
建築様式はバロック。内装は質素なものである。
ルーマニアでこの種の要塞教会が7つ、ユネスコの世界遺産に登録されている。
「アンドレイ要塞」なる要塞教会が実在するかは不明ながら、作中においてもこのような歴史的背景を持つと推定される。
「アンドレイ(Andrei)」は英名「アンドリュー(Andrew)」のロシア語形。語義は、「雄々しい」「勇敢な」など。聖アンドレは、イエスの十二使徒の一人。同名の守護聖人が二十人以上存在するらしい。
ロシア、ギリシア、スコットランドの守護聖人となっており、ウクライナの首都キエフには聖アンドリーイ教会がそびえている。
最終更新:2023年08月12日 23:22