【初出】
SII巻
【解説】
真名は“輿隷の御者”(よれいのぎょしゃ)。
炎の色は白緑。
ギュウキや
ゼミナと共に、“徒”の運び屋集団[
百鬼夜行]を営む。団内での役割は運転手。
緑の制服に白い手袋、ゴーグルとスカーフを身に着けた、暗い翳りのような姿の“徒”。
人化した姿は、眼鏡をかけた青年。
あらゆる物体を“
燐子”に変化させることのできる技巧者で、[百鬼夜行]がかつて使用していた『大人君子号』と『温柔敦厚号』も彼の“燐子”だった。
自分の身体の一部である黒い翳りをばら撒き、それを取り憑かせた物体を幾十百も操作する
自在法『
ヒーシの種』を使う
自在師。
本編ではアメリカ南部に滞在しており、この世に帰還した“
祭礼の蛇”の
大命宣布にも、他の二人と同様に興味を示していなかったが、『
風の転輪』による
フィレスの接触を受け、ある仕事を依頼された。
御崎市決戦では、仲間二人と共に『
真宰社』の頂上に現れて、
吉田一美と『約束の二人』をライトバン型“燐子”『苦尽甘来号』に乗せて離脱し、超絶的な運転テクニックで『
真宰社』周辺を逃げ回ったが、『
ダイモーン』で『苦尽甘来号』が操縦不能になってしまった。
仕方なく、『真宰社』に1つだけ存在した奇妙な出入口から内部に逃げ込み、入った先の何に使うのかよく分からないチューブの機能を麻痺させたが、これが実は
ダンタリオン教授の強制脱出装置だったため、教授討滅の原因を作るという珍功績を残した。
新世界『
無何有鏡』が創造された後は、近くにあった幼稚園バスを新たな“燐子”『無常迅速号』に仕立て、仲間二人と共に『無常迅速号』に乗って[
革正団]の
ドゥーグの事を話しながら『
天梯』を通って新世界へ旅立った。
【元ネタ】
フィンランドの伝承に登場する小人で、隣家を犠牲に家に富を齎す、家事の妖精であるパラ(Para)。その名前は「運搬人」の意である。
「輿」は、狭義には人力で人を運ぶ「こし(輿)」のことを指し、広くは人や物を乗せて運ぶ乗り物もしくは万物を乗せる大地、「御者」は馬を操り走らせる人、転じて自動車の運転手を意味する。そして「隷」だが彼の能力や燐子の性質からも考えて、彼は「他者を自らに隷属させる」存在だろうと思われる。
運転手という性質だけで考えれば、真名全体で、「輿を運ぶ人夫を使役する者」又は「運搬用の乗り物を自在に操る御者」、彼の自在法『ヒーシの種』から考えれば、「地上の全てを隷属させる操縦者」という意味だと思われる。
最終更新:2023年12月06日 00:17