【種別】
紅世の徒”、通称

【初出】
S巻

【解説】
真名は “穿徹の洞”(せんてつのほら)、の色は鉛色。
瀟洒なスーツ姿に、トレンチコートとソフト帽を纏うという洒落た格好をしているが、その身体は、鉄パイプやネジなどの機械部品で構成されており、火掻き棒のような手に、丸メーターの顔を持つ。
この丸メーターにはANNABERGと表記されており、感情の昂ぶりでメーターの針が振れる。

炎を鉛色の蒸気に変え噴出する自在法を持ち、その特性は“徒”としての気配や“存在の力”の認識といった全てをぼやかす効果を持つ。蒸気は広範囲に広がってもある程度の効果を持ち、周囲一帯の気配をぼやかすことができる。
この蒸気によって姿を「ぼやかす」ことで、面妖な外見でも人間に違和感こそ抱かれるが、そのままの姿で堂々と人前に現れていた。
また、手足から蒸気を噴出して、飛行や空中での姿勢制御を行う。
しかし、気配混淆の効果は敵味方を問わないので、フレイムヘイズの奇襲に自分たちが気付きにくなるという欠点もある。

人間、特にその文明の壮大さとそれを進歩させる底知れぬパワーを狂的に愛しており、その進歩を加速させることに悦楽を見出し、「文明の加速」と称して歴史的大建造物の放火・破壊活動を行おうとしていた。
その破壊の跡を、人間によって再建させることで人間の進歩を自分の手で促進させるつもりだったようだ。

無限に世界に広がる可能性を持っている人間を愛しているが、“”と契約したフレイムヘイズに対しては、「人間を捨て停滞してしまった抜け殻」として、自分の快楽を阻む邪魔者以上の興味を持っていない。

1930年代、護衛を依頼したシュドナイと共にマンハッタンを訪れ、エンパイア・ステート・ビルの破壊を目論んだが、マージョリーと交戦中に乱入してきたユーリイに討滅された。

【由来・元ネタ】
名前の元ネタは、ドイツで鉱山を鉱夫から守るとされる悪魔アナベルグ(Annaberge)と思われる。
金の角を持つ恐ろしい目をした山羊の姿で鉱夫に襲いかかったり、馬の姿で鼻から毒や炎をまき散らしたという。
ちなみに、ザクセン州南部の銀街道には、アンナベルク=ブッフホルツ(Annaberg-Buchholz)という町がある。
この町名の由来は、銀鉱山の庇護者アンナに由来するといい、町内にはバロック様式の聖アンネン教会が建つ。
鉱山の庇護者がいつから悪魔に転じたのか、詳細は不明。

「穿」とは掘りぬくことであり、度を越すという意味もある。「徹」とは貫き通すまたは取り除くこと。「洞」は中が空のほらあなであり、うつろで虚しいことを示すと同時に、貫くという意味をも持つ。
真名全体で「最後まで貫き通す虚ろな空洞」ほどの意味になると思われる。
文明の加速と称してただひたすら破壊を行おうとした彼の行動原理は、この真名が示す本質に由来すると思われる。

【コメント】
☆どこかの特撮物に出てきそうな格好だ。
教授とは別の意味でイっちゃった“徒”。
☆何でこいつ人化してないんだろう? 人間文化を愛する“徒”なのだから、普通の“徒”より人化したがると思うのだが?まさか封絶も使えないソラトでも出来る人化を出来ない筈はなさそうだし。
☆外伝『ジャグル』でのメアの例からして、本性のままで顕現しているんだろうな。
☆だからこそ、なんじゃないか?人間とその文化を愛しているが故に自分自身には明確な差異を施しておきたい(つまり人間に混ざりたい訳じゃなく、あくまで観察者の立場を貫きたい)とか。
☆こいつの思想には、[革正団]と重なる部分があるし、[革正団]の在り方から考えてみれば、こいつもその一員といえなくはないだろうか?
☆アナベルグの思想はあくまでも文明の進化を活性化させる事で、“徒”の存在自体は重要じゃない。[革正団]ではないだろう。
☆[マカベアの兄弟]や[]や『色盗人』には賛同しそうもなかったな。
☆[巌楹院]のゴグマゴーグや[とむらいの鐘]の“棺の織手アシズや『九垓天秤フワワニヌルタとも絡んでいたら面白そうだったのにな。
アニメ第2期では、マージョリーの回想の中で登場した。
☆番外編『かぐやひめのしゃな』では、文福茶釜として登場している。
☆番外編『おじょうさまのしゃな』には登場しなかった。
☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、序幕で観客の一人として登場している。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月26日 21:31