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「あれ…コーヒーが切れてる?」
(おかしい、昨日買ったばかりなのに……)
アルゼットは怪訝な顔で手にしたマグカップをテーブルへと置いた。
床にはステアが寝そべっていて、フィノとアッフェバインは何か黒い布にじゃれ付いていた。
「……あ゛ー!!それ、俺のコート……」
やらかしてくれた。コートは毛だらけで、しかも床の砂埃にまみれてしらっ茶けてしまってる。
「まあ、いいか、寒かったんだね」
コートに包まって、満足げな二匹に諦めの微笑みを送って目線をあげると……
「びっくりした!足音立てないで近づかないで欲しいなあ、ソレスト=シルファリオス?」
「なんでフルネームかな、まあいいや、コーヒー入れてくれねぇ?」
「俺は家主、なんでお前にコーヒーなんか。第一コーヒー切れてるんだよ、だから今は入れられない」
「切れてるって、俺が昨日お前の言いつけで買出しに行ったばっかじゃん?」
不可思議な顔で首を捻るシルファリオス――犯人は彼ではない…。

この家にはもう一人の住人が居る、犯人は彼か?

「スフォルツァンド=レジェレッツァ!犯人は貴様かー!」
いきなり駆け出したシルファリオスが向かったのは、もう一人の住人、スフォルツァンドの部屋。
「俺様のコーヒーを返しやがれ!」
「……んあ?まて、コーヒーがどうかしたか?――コーヒー?」
最初は怪訝な顔で聞き返したスフォルツァンドだが、何かに思い当たったように表情を一瞬だけ変えた。
シルファリオスはソファーに腰掛けるスフォルツァンドの襟を掴んだまま、彼の第二声を待った。
「いや、己はコーヒーなんて知らない、そうだ、きっとコーヒーの精霊が持っていったんじゃないのか?」
(怪しい……)
シルファリオスの後を追って部屋に入ったアルゼットの勘がそう告げた。
それはシルファリオスも同じだったらしく
「コーヒーの精霊だぁ!?んなもんが居んのか?あ?大体お前の口からそんな言葉が出ること事態がまず怪しいんだよ」
「同感、普通ならスフォルはそんなこと言わないと思う」
詰め寄るシルファリオスにアルゼットが賛同する。
「普通ならって、普通ってなんだ?いや、今はそんなことは良い。きっとコーヒーの精霊はいると…おもう、ぞ、うん」
苦しい顔で言い逃れをするスフォルツァンドに、何らかの事情があるのだと察して、アルゼットとシルファリオスは目配せをし、共に彼の部屋を辞した。


「何があんだろうな?コーヒー大量に使った魔術でも開発中か?」
頭を豪快に掻きながらシルファリオスは自室に帰っていった。
「コーヒー豆からコーヒーを入れる魔術だったら面白いね、くだらなくて」
その背中にそう言葉をかけて、アルゼットは再びキッチンへと向かった。

「まあ、いいや、コーヒーぐらいもう一回シルファリオスに買いに行かせればいいんだし」
今日の御遣いメモにコーヒー豆を書き足して、テーブルに置く。
ステアはいまだに床に寝そべって気持ちよさそうに髭を動かしている。
残りの二匹はいまや動くのをやめて、コートの中、静かに寝息を立てていた。
「これじゃあ、出かけられないじゃないか」
依頼された仕事の為にこれから出かけるというのに。
暫く困って、そして……
「シルファー、コート貸してー」
御遣いメモを取り上げて、先ほどの道のりを逆戻り。

――…一方。

「よかった、何とかごまかせたな」
胸を撫で下ろすスフォルツァンドの足の下。
微かな笑い声。

――コーヒーの精霊って…アハハ――

「しー、静かに」
コーヒーの精霊は確かに居るのかも?

季節は寒さを増して、コーヒーのおいしい季節がやってきました。

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