【種別】
フレイムヘイズ

【初出】
VII巻(氏名は公式ガイドブック『灼眼のシャナノ全テ』)

【解説】
フルネームはサーレ・ハビヒツブルグ。
鬼功の繰り手』(きこうのくりて)の称号を持つ、“絢の羂挂”ギゾーのフレイムヘイズ。の色は菫色。
1901年における外見は、カウボーイハットやガンベルトなどを着用した、時代遅れなガンマンスタイルの三十前後の男性で、この時点で片手に収まらない数々の武功を持っていた。
現代では目深にかぶったソフト棒で目線を隠し、スーツの上に襟を立てたトレンチコートというファッション。神器“レンゲ”と“ザイテ”は、かつてのホルスターの代わりに、腰に交差させたごつい皮ベルトに納めていた。
二代目『極光の射手キアラ・トスカナの師匠にしてパートナー。1930年代には、ユーリイ・フヴォイカから、尊敬するフレイムヘイズとしてキアラと共に名を挙げられていた。

能力は、不可視の糸で周囲のあらゆる物を繋ぎとめて操ることである。二個で一組のマリオネットの操具型神器“レンゲ”と“ザイテ”から糸を出して操ることが多い。
岩石や木材といった物から、海水といった形の無いものまで瞬時に繋ぎとめ、主に人型の傀儡を作り出して糸で操って戦うが、竜巻のように渦巻く水柱で支えられた水の広場を空中に作り出すなど作り出すものは人形に収まらず、他者の自在法に糸を繋ぎその制御を乗っ取るという使い方もできる。
この能力の固有名称は、最終巻では糸繰り(たぐり)能力と呼ばれていた(ヴィルヘルミナ・カルメルによると、人形を操って戦うフレイムヘイズ)。

人間の頃は、とある貴族お抱えの大道芸人であったようだが、見捨てられて途方にくれているところを、ダンタリオン教授の勧誘に乗って『強制契約実験』の実験体になった。
そのため教授のことはさほど恨んでいないようで、教授のことは「親父殿」と呼んでいたが、教授はその呼称を良く思っていなかった。毎回の教授の実験も笑って壊すといった模様で、教授のロケットパンチ癖を知っていることから、彼と幾度も戦闘してきたものと思われた。
そのためか、VII巻では教授に「ベルペオルとサーレはシイタケよりも嫌いだ」と言われていた。
ちなみに、教授が付けた名は『我学の結晶エクスペリメント13261-合体無敵超人』(失敗作)であった。

契約に至った経緯からか、フレイムヘイズとしては珍しく“”への復讐心というものをもっておらず、不真面目と見えるほどにテンションが低い。
戦っている理由は使命もあるだろうが、「なんとなく」というのが大きいようだ。

XVII巻において、現代もキアラと共に活動していることが判明。しかし、過去に一度キアラに黙って姿を消した事があるようだ。
ザムエルに先んじてドレル・パーティーの生き残りを纏めにチューリヒへ向かったが、無精髭を剃るか剃らないかでキアラと「また」喧嘩し、地中海へ逃げてしまったようだ。

しかしキアラに連れ戻され、外界宿西部防衛線による[仮装舞踏会]外界宿征討軍西部方面軍の追撃戦では、追撃部隊の指揮官としてマモンたちと交戦した。

キアラとは恋人同士になっており、“祭礼の蛇”による大命宣布後に少なからず平常心を失っていたサーレに対して、長い付き合いであり弟子でもあったキアラに諭されるという逆のパターンを体験した。
そしてマージョリーからの要請を受け、キアラの“ゾリャー”に乗って中国南西部の戦場に高速で接近し、シャナたちを不可視の糸で拾い上げて、戦場から脱出した。

フレイムヘイズ兵団が大敗した半日後には、香港を経由してニューヨークで『大地の三神』と合流した。シャナが彼らの説得に当たる間は、自在師としてマージョリーとともに常軌を逸した煩雑さを持つ自在式の開封・改変作業を行っていた。

御崎市決戦では、キアラの“ゾリャー”にシャナ、ヴィルヘルミナと同乗して、南方から高速で突入。守備隊の“翻衣の面紗”オセが操る幻術系自在法『サイクル』に取り巻かれるが、シャナの一撃により難なく突破し、『真宰社』へ到達した。
頂上へ向かうシャナとヴィルヘルミナと別れ、教授が操る『真宰社』防衛機構である数十体の鉄巨人の攻略にかかった。
教授を討滅するまたとない機会と見て、逸った行動に出るが、キアラにたしなめられ冷静さを取り戻した。
“ゾリャー”で『真宰社』周辺を飛び回りながら、教授が仕掛けた地雷を見抜き、その一つである鉄巨人を教授の機器管制室に投げつけ、発動した『揮散の大圏』で消滅させた。

新世界『無何有鏡』創造後は、河川敷で土人形を用いて新世界の様子を探ろうとするが、世界の境界を越えた時点で糸が分解されて、調査は失敗に終わった。
結局、自分自身で試すしかないと結論して、キアラたちと共に『天梯』を通って新世界へ旅立った。

新世界に渡り来てからは、新世界で“紅世”に関する記憶や知識を失って混乱する外界宿の暫定首班に就任させられて、チューリヒで外界宿の再編成を行っているが、時折逃げ出しては補佐になったキアラに連れ戻されているようだ。また、抜け出した際にヴィルヘルミナに依頼されて、『両界の嗣子ユストゥスが行う自在式構築に対する制御術式を一通り見繕ったりもしたようだ。

【由来・元ネタ】
ハビヒツブルグ(habichtsburg)とは「鷹の城」という意味である。スイス北東部のライン川上流に実在した城の名前で、その地を支配した貴族の家名でもある。後にそこからハプスブルグ家が発祥した。
また、スイスの都市「アスコーナ」は毎年ジャズや大道芸のフェスティバルが開催される。
サーレの例え話の中に「スイス傭兵」という言葉がある等、スイスは出身地あるいは人間時代の生活拠点であったことが窺える。

元ネタが悪魔セエレ=サーレ(Seere)ではないかと予想されていたが、フレイムヘイズであるので、おそらくは違うのだろうと思われていた。余談だが、72柱の悪魔の序列では、サーレが70番、ダンタリオンは71番である。
――以上のように思われていたが、公式ガイドブック完結編『灼眼のシャナノ全テ 完』のサーレのページで、彼のファーストネームの綴りは「Seere」と記されていた。やはり悪魔に由来する名である模様。
サーレは上記の通り序列70番の悪魔で、有翼の馬に乗った長髪の美男子とされる。その能力は、輸送と移動に特化している。

「鬼」とはこの場合人間業とは思えないほどの優れた仕業という、「功」は仕事やその成果という意味である。称号全体で、「人間業とは思えぬ優れた技巧を持つ傀儡を操る者」という意味だと思われる。あらゆる物から強力な傀儡を造り、自在に操るギゾーの契約者の力を表した称号である。

【コメント】
☆称号から能力が割りと簡単に推測できた一例だった。
☆『儀装の駆り手カムシンよりは能力がわかりやすかったな。『輝爍の撒き手レベッカ・リードフリーダーとも知り合いだった。
☆今後の活躍の場所は教授戦だった。コンビでこそ映えるキャラだけど、単独でも活躍した。
☆Wikipediaではサーレのスペルが「Sale」になってるけど、これで正しいんだろうか?ぐぐっても、イタリア語の「塩」しか出てこない。アラビア語名なら「Saleh」があるんだけど、姓(ドイツ系)と合わないし……。
☆デンマークには「Zahle」という人名があるようだが、やっぱり姓と合わなかった。「鷹の城」の出自はライン川上流だから、デンマークと繋げるのも無理があるしな。
☆『ジャックランタン』を使用する討ち手とも親しかったのかな。
☆[巌楹院]のゴグマゴーグや[とむらいの鐘]の“棺の織手アシズや『九垓天秤ウルリクムミフワワニヌルタソカルジャリモレクチェルノボーグや『両翼』や[宝石の一味]のコヨーテフックストンサーイや[百鬼夜行]とも絡んでいたら面白そうだったのにな。
アニメ第3期で登場した。
☆ネーミングが普通のフレイムヘイズとはまったく違うパターンだった。公式ガイドブック完結編『灼眼のシャナノ全テ 完』が出なければ永遠に謎のままだったろうな。
☆番外編『おじょうさまのしゃな』では、招待客の一人として登場している。
☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、幕間5で登場している。

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最終更新:2023年09月17日 08:39