189 :無名草子さん:2008/05/07(水) 21:39:00
>>145小沢牧子『心の専門家はいらない』の感想。意味なく長いです。
ダラダラまとまりがないのは、自分のスタンスが決定できないためです。
まず個人的に、臨床心理学のことなど全く知らないので、いきなり臨床心理学批判論を読まされても判断ができないという問題がある。
もちろん臨床心理学がどんなものなのかはこの本の中にもある程度書いてあるのでイメージは多少掴めるが、
最初から批判的なスタンスで書かれているというバイアスを計算に入れる必要がある。
著者の臨床心理学批判の骨子は単純で、人間関係の歪みによって生じる様々な問題を「個人の心の問題」のみに帰着させて扱うことは、
社会や人と人との関係の問題を無視する「ココロ主義」に陥る、ということ。さらに細かく言うと、
①「ココロ還元主義」がしばしば現実的な社会問題・共同体の問題の隠蔽・放置に繋がる。
②治療する者と治療される者との力関係の非対称性、治療する側の権力性。
(瑣末な疑問なのだが、ラカン派精神分析などでは分析医とクライアントの間の力関係の非対称性は最初から自明であり、
そこに権力関係があることを織り込んだ上で方法論が組み立てられているはずだが、主流の臨床心理学ではそうではないのだろうか?)
③「ココロの治療」は人を体制に順応させる権力の道具ではないのかという点。(まあ一種の洗脳みたいなもんだしね)
④「専門家」のタコツボ性や傲慢さ。
⑤心を修理可能な機械のように扱い、「心の治療」を専門家から金で買う商品にしてよいのか。要は消費社会・疎外・物象化の問題。
もっと広く見れば近代批判ということですね。
②治療する者と治療される者との力関係の非対称性、治療する側の権力性。
(瑣末な疑問なのだが、ラカン派精神分析などでは分析医とクライアントの間の力関係の非対称性は最初から自明であり、
そこに権力関係があることを織り込んだ上で方法論が組み立てられているはずだが、主流の臨床心理学ではそうではないのだろうか?)
③「ココロの治療」は人を体制に順応させる権力の道具ではないのかという点。(まあ一種の洗脳みたいなもんだしね)
④「専門家」のタコツボ性や傲慢さ。
⑤心を修理可能な機械のように扱い、「心の治療」を専門家から金で買う商品にしてよいのか。要は消費社会・疎外・物象化の問題。
もっと広く見れば近代批判ということですね。
190 :続き:2008/05/07(水) 21:39:57
どの論点も古くからある常識的なものであり、おおむね首肯はできる。
現代思想でもフーコーの精神医学批判やドゥルーズの精神分析批判があるし、
日本ではすでに戦前に『ドグラマグラ』という精神医学批判の入った小説が出ていた。
(精神分析に関しては現在では実証的な心理学の発達により、科学的にナンセンスだという批判の方が主流かもしれない)
「ココロ主義」の対極にはマルクス主義から社会構築主義に至る、極端な「社会関係還元主義」があり、
過激なものではR.D.レインが行った「反精神医学」があるが、これは悲惨な失敗に終わった。
「ココロ主義」がダメなのはわかるが、極端な「社会関係還元主義」もダメなのだ。
同様に、専門性批判は結構だが、専門性を放棄までするのはどうか。
専門性を批判するあまり専門を放棄した知識人というと西部邁もそうだが、
その選択にはそれなりの必然性があったのだろうとは思うものの、専門性放棄がいい結果を生むとも思えないのだ。
要は、タコツボの外への関心と配慮を失わないスペシャリストと
専門性への敬意を失わないジェネラリスト(とその両者の協力関係)が必要であるということではないのか。
(これは自分を棚に上げた大衆の、知識人への過大な要求でしょうか…)
身近な人間同士の関係性や共同性を素朴に信頼する著者の姿勢は、まぁ正しいのだろうが、ちと甘いような気もする。
身近な人間が信頼できないから「心の専門家」が現に必要とされているんじゃないのか。
現代人の実感として深刻な個人的な心の悩みを身近な人に言えるものだろうか?
家族や友人に恵まれない人だからこそ心を病むのではないだろうか?
「心の専門家」の存在がさらに身近な人間関係の分断を促進するとしても、孤独な人間にはやはり必要な面があるのではないか。
というか、近頃のインテリの皆さんが口をそろえて「消費社会批判」をするのに個人的に食傷気味なんですよね。
間違っているとは言わないが、なんつーか飽きた。
内田樹の「消費主体批判」然り、最近では岡田斗司夫が「最近のヲタクは消費するだけでオワタ」とか言ってるらしくてゲンナリですわ。
192 :無名草子さん:2008/05/07(水) 23:42:13
読みにくい。もっと簡潔に。
193 :無名草子さん:2008/05/07(水) 23:59:30
>>192
思考の混乱をそのまま整理せずに殴り書きしました。
そうしたかったからです!w