【種別】
自在法

【初出】
I巻

【解説】
存在の力”でドーム状の壁を作り、内部の因果を世界の流れから切り離すことで、外部から隔離、隠蔽する因果孤立空間を作り上げる自在法。この自在法の使用は、「張る」と表現する。
封絶を張ると地面(もしくは水面)に使用者独自のアレンジや特徴が表れた火線の紋章(自在式)が出現し、その後使用者付近からの壁が現われて自在式の範囲に広がり、ドームが形成される。ドームは使用者それぞれの色のを混ぜた陽炎で形成され、内部ではが舞い散っている。

効果

因果を外部と断絶された壁の内部では“”や“燐子”、フレイムヘイズ、そしてそれらに関する物体以外の動作や意識が停止し(位置や状態までも固定されるわけではない)、外部の人間の意識からも封絶展開場所は「なかったこと」になり、内部を観察したり進入したりすることはおろか、思い出したり、存在に気付くことさえもできなくなる。
開放された後も、その空白の時間がなかったかのように意識が修正されるので、封絶があったということにさえ気付けない。
因果が断絶されているので、フレイムヘイズや“徒”も境界を跨いでの干渉や気配感知は難しい。

なお、内部で破壊や変化が生じた場合は、外部の因果と繋げるようにして封絶の影響下にあった物体を(生物も含めて)修復することができる。逆に言えば、封絶の影響を受けていないものの修復は不可能である。また、存在を喰われた人間も修復できない。

ある程度の技量があれば、効果範囲を街全体を覆うほどにまで拡大することもできるが、“存在の力”の消費量や維持に必要な集中力も比例して大きくなる。
現代の“紅世の徒”やフレイムヘイズならほとんどが扱える、簡単かつ初歩的な自在法である。“燐子”も、十分に高度な意思総体を持ったものであれば使用可能。シャナ悠二も、初めて使う自在法として発動を試みた結果、事前の準備があったとはいえ一発で成功している。
集団戦においては、雑兵レベルの“徒”または討ち手が封絶を張ることだけに専念して、強大な者の力の浪費を押さえるのが常道とされる。
一度封絶が張られれば、その内部の通信機器も停止するため、連絡手段は遠話に類する自在法か、直接人を走らせる伝令しかなくなる。

地面に描かれている紋章を引き継ぐことで、封絶を維持する者は変更できる。封絶の維持を任されたものが複数の場合、舞い散る火の粉は複数の色が入り交じったものとなる。
自在式を地面に展開するため、基本的に封絶のドームは動かせないが、移動式の封絶も存在する。“千征令”オルゴンは篝火を作り出し、それを起点にすることで、軍勢ごと封絶を移動させた。“羿鱗”ニティカは、封絶の自在式を自身の身体に収束させることにより、自らの移動に伴って封絶を移動可能とした。

人間や“ミステス”でも、特殊な自在法、またはそれが込められた神器の一部、ある種の宝具などを用いることで、封絶内部を動くことができる(マージョリーの防御陣の自在法や“グリモア”の栞、『零時迷子』、『ヒラルダ』等)。
ただし、封絶の内部で人間が動いていると、因果整合による修復の対象外となる、“徒”にフレイムヘイズの関係者だとばれて狙われるなど、無用な危険が増すだけとなることが多い。

「封絶の変種」とも呼ぶべき封絶に似た自在法、もしくは特殊な効果を持った封絶もいくつか存在した(例:『揺りかごの園』、“天目一個”の封絶など)。

歴史とその影響

封絶の元となったのは、“探耽求究”ダンタリオンが生み出した、複雑で非効率的で不完全な自在式である。それを、“螺旋の風琴リャナンシーが改良し、誰でも扱える簡単な自在法へと昇華させた。そのポピュラーさは、マルコシアスをして「誰でも知ってる名曲」と言わしめるほどだった。
16世紀の『大戦』の頃にはまだ完成しておらず、その後、『小夜啼鳥』から解放されたリャナンシーが、19世紀の後半に完成させたとされる。
封絶の急速な普及には、導きのシャヘルの神託が関わっているとも言われる。

封絶の登場により、元から人間社会に大きく干渉せず、自分達を世間の目から隠していた“紅世の徒”及びフレイムヘイズ達は、自分達の行いを隠すためにこの自在法を頻繁に使うようになった。
両者共に、戦闘の際に専用の戦場を構築するために封絶を張ることで、お互いの戦う姿を人間から隠し、内部を修復することで戦闘後も痕跡を残さないでおくことが可能になった。
“徒”が“存在の力”を喰らうのを隠したり、フレイムヘイズが戦いの際の人間の被害を減らすためであったりと、どちら側も封絶を多用していた。

封絶が普及することで、宝具を持った人間による“徒”の討滅がほぼ無くなり、また存在が喰われていることに気付けなくなったため、フレイムヘイズ志願者が減ることになった。また、宝具が制作される数も減った。
冷戦時代、外界宿の一部が暴走し、米ソの戦略ミサイル原子力潜水艦を奪って“徒”を核兵器で討滅しようとしたが、封絶によりあっさり防がれて逆に原潜を奪われ、世界の危機を招いたことすらある(暴走した者達は、事件の解決後に追放された)。
自在法の初歩ではあるが、人間に対する絶対性は存在喰いに匹敵し、歴史に与えた影響は非常に大きい。

ちなみに“天目一個”は最低限の封絶を自己に施すことによって、人間たちの目から隠れていたが、この封絶が、“天目一個”が刀匠から変化した当時から張っていたのかどうかは不明である。時代考証から考えれば、後に張るようになったと考える方が自然であろう。
19世紀末期にはすでに広く知られ、「[革正団]の思想は、“徒”の存在を人間の目から隠す封絶への反発だ」と考察した者も存在したようだ。
20世紀前半のマンハッタンでは、封絶を張らずにエンパイアステートビルを破壊しようとした“穿徹の洞”アナベルグが狂人扱いされていた。
このことからも、1930年代にはすでに、「戦闘に限らず、人目につく場所での超常的行動の前には封絶を張る」というのは半ば常識になっていたと思われる。

人間が“徒”に気付けないことの理由、シャナと悠二の出会い、[革正団]の思想など、物語において最重要とも言える自在法である。

アニメ版
封絶の内部はティリエルフィレスのものは黄緑色っぽく、“祭礼の蛇”は黒になるが、その他は緋色に似た色になった。また、悠二が色の封絶を張った際には、どろりとした粘液のようなものが湧き上がるように表現された。
陽炎の壁や内部には舞い散る炎は無く、自在式も発動時の一瞬しか現れず、地面には描かれないこともあった。また自在式の色は薄青い白一色のみで、紋章のパターンは数個しかなかった。
カムシンは、封絶の外にいながら調査の自在法を使わずに中の様子を窺ったり瓦礫の巨人を外部から操ったりしていたが、原作とどの程度整合性が取られているかは不明。

【コメント】
☆随分と凄い事をやっているのだが、炎弾よりも簡単らしかった。何でだったのだろう?
☆↑まあ、そこは“螺旋の風琴”のおかげってことだな。
御崎市決戦では、ベルペオルが市全体を包み込む巨大な封絶を張り、その後の維持を部下達に委ねた。新世界『無何有鏡』が創造され、[仮装舞踏会]の将兵たちが新世界へ旅立った後は、坂井悠二が維持していたと思われる。
☆よくある、アニメキャラで最強は誰かってベタな質問では、『ドラゴンボール』のキャラが定番だけど、どんな異能があろうが“紅世”に関係ない存在である以上、封絶の影響を受けるわけだから、もしかすると最強は『灼眼のシャナ』のキャラの誰かではなかっただろうか。
☆“冥奥の環アシズと『棺の織手ティスの自在法『清なる棺』を参考にしたのかな。
☆[巌楹院]のゴグマゴーグや[とむらいの鐘]のアシズや『九垓天秤モレクチェルノボーグも使用してほしかったな。

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最終更新:2024年01月10日 01:04