【初出】
XXI巻(通称はSIII巻)
【解説】
“
紅世の王”。
真名は“
瓊樹の万葉”(けいじゅのまんよう)。
炎の色はナイルブルー。
[
宝石の一味]の頭目で、過去に人間と組んだ
オルメスと何度か交戦したことがあるようだ。
容姿は三十がらみの愛嬌が特徴といえる容貌の男性で、ひょろ長く肩幅が大きい。旅塵にまみれたフード付きオーバーを着込む。両の手首に金輪状の鍵束をつけているのが特徴で、鍵束の音を立てずに忍び寄ることもできる。
1864年に
宝具『
金旌符』の符丁の一つを持っていたことで、
フリアグネに呼ばれる形で『
内乱』の最中の北米大陸に一人で現れて、報酬のためにフリアグネたちとその協力者である
ビリー・ホーキンと情報収集がてら行動を共にした。フリアグネとは、その時から280年ほど前に接触したことがある古い友人であるようだ。
なお
フックスと
トンサーイは、『内乱』で
フレイムヘイズが集結している北米大陸に飛び込むのを恐れて同行せず、
イナンナはどこにいったかもわからないと語っていた。
二ヶ月ほど後、ビリーの仇である[
パドゥーカ]を待ち伏せる場所で、事前の打ち合わせ通りに
マリアンヌと他の“
燐子”たちの護衛としてその場を離れた。
そして、復讐を果たして死んだビリーの墓の前で、約束の報酬である『
テッセラ』を受け取った。どうやら、アメリカ西海岸で欲しがっている者がいたようだ。
現代まで生存しているかどうかは不明。
新世界『
無何有鏡』創造に対する
外界宿の立場を決めるチューリヒ総本部での論争の中で、初めてその真名が語られた。
外界宿からは、世界のバランスに関わる事件を引き起こす暴挙に出た者として
創造神“
祭礼の蛇”や
ダンタリオン教授や“
棺の織手”
アシズと同格に扱われているが、実際のところはコヨーテが主体的に起こしたわけではなく、その手の事件を冒険として面白おかしく打ち破ることを至上の喜びとしているだけである(そういった事件に何度も関わる内に、危険な“徒”と認識されたようだ)。
【由来・元ネタ考察】
コヨーテ(Coyote)とは、北米大陸に生息する野犬もしくは小型の狼。そして北米の神話におけるトリックスターの神である。コヨーテは人間社会に多くのものをもたらしたとされる。
「瓊」とは、玉のように美しいものにつけられる美称である。「万葉」は、あらゆる草木の葉を表し、ひいては万世をも意味する。真名全体では、「美しい大樹が生やす、限りないとこしえの葉」という意味だと思われる。
真名の壮大さは“棺の織手”らと並べられるに足るものだと言える。
最終更新:2023年08月16日 23:13