【初出】
II巻
本来ならば大掛かりな自在法には
自在式の構築や力の配分など、繊細緻密な作業を必要とするが、そういった作業をマルコシアスが
神器“
グリモア”に納められた式の中から詩に合った文言を選び出しブースターとなることで、通常考えられないようなスピードで即座に行い自在法を発現させる。
以下
マージョリー・ドーとマルコシアスの詩を記載する。
「 」はマージョリー・ドー、≪ ≫はマルコシアスが詠った部分。『 』は不調、もしくは酔っ払っているときのマージョリー・ドーが詠った。
~II巻~
「マタイマルコルカヨハネ四方配して寝床の夢を破るお化けをこづかれよ」
- シャナを誘き出すために使用。広がる波紋上にあるトーチをエネルギー源に変えて、広範囲探査を行う。
- 元ネタ:"Matthew, Mark, Luke, and John"
「キツネの嫁入り天気雨、っは!」≪この三秒でお陀仏よ、っと!≫
- 『トーガ』の分身を炎の豪雨に変え、攻撃する。
- 元ネタ:"A Sunshiny Shower"
「月火水木金土日、誕婚病葬、生き急ぎ!」
「ソロモングランディ/はい/それまで、よ!!」
- 七本の剣で檻を作り、閉じ込めた敵を炎で焼き払う。シャナを一度倒した。
- 元ネタ:"Solomon Grundy"
『そ~できるんならそ~したい、もしできないのならど~できる、♪
できなきゃできないできるかね、きみもできなきゃできぬはず、♪
それともきみはできるのか、できずにきみはできるのか、♪』
- 元ネタ:"I would, if I could."
「サリー、お日様のまわりを回れ!あっはっは!!」≪サリー、お月様のまわりを回れ!ヒャッヒャッヒャ!!≫
- 分身の自在法。
- 元ネタ:"Sally go round the sun"
「緑の芝に雨よ降れ/木にも屋根にも雨よ降れ/私の上だけ、避けて降れ!!」
- 炎を爆発的に膨張させてあらゆるものを飲み込む。自身は安全圏を作って爆発から身を守る。御崎アトリウム・アーチの屋上を破壊した。
- 元ネタ:"Rain on the green grass"
『……ぎっこんばったん、マージョリー・ドー……、♪
……ベットを売って、わらに寝た……、♪
……みもちが悪い、女だね……、♪
……埃まみれで、寝る、なん……て……、♪』
- 『屠殺の即興詩』ではなく、マージョリーがシャナへの敗北後、失意の中で歌った歌。
- 元ネタ:"See, saw, Margery Daw"
~IV巻~
「ハンプティダンプティ、転がり落ちて――/砕けろ!」
- 放り投げた悠二の分身を鳥籠上の檻に変化させシュドナイを捕縛した。
- 元ネタ:"Humpty Dumpty"
「ペニィ!/ペニィ! ペニィ!/ペニィ積もればお金持ち、っと!!」
- シュドナイに使用。炎弾を連射した後、特大の炎弾を放つ。
- 元ネタ:"One's none"
「薔薇の花輪を作ろうよ、っは!」≪ポッケにゃ花が一杯さ、っと!≫
- 元ネタ:"Ring-a-ring-a-roses"
~VII巻~
「バンベリーの街角へ」≪馬に乗って見に行こう≫「白馬に跨る奥方を」≪指には指輪、脚に鈴≫「どこへ行くにも伴奏つき、よ!」
- 教授の自在式を調査するのに使用。折った避雷針に干渉防御の自在法を幾重にもかけて飛ばした。
- 元ネタ:"Ride a cock-horse"
「六ペンスの歌を歌おうよ」≪ポッケにゃ麦が一杯だ≫「二十四羽の黒ツグミ、っは!」≪パイんなって焼かれちまう、っと!≫
- カムシンが撃ち漏らした『惑いの鳥』破壊に使用。滞空する無数の炎弾を生み出し放つ。
- 元ネタ:"Sing a song of sixpence"
~XII巻~
「パイ作ったのはぁ、だれ!?/パイ取ったのはぁ、だれ!?/かれ!/あのこ!/パイめっけたのはぁ、だれ!?/おれ!/かれ!/パイ食ったのはぁ、だれ!?/あのこ!/おまえ!/おれ!/かれ!/あのこ!/パイが欲しいって泣いたのは――/みんな――!!」
~XIII巻~
「あんたは何方!?」≪兵隊だぁ!!≫「なにをお望み!?」≪酒一杯!!≫「お金は何処に!?」≪置いてきたぁ!!≫
- 悠二に部分的に鏡像転移を起こした『暴君』に対して使った即興詩。思いつく限りの走査と捕縛の自在法で包み込む。
- 元ネタ:"Who Comes Here? A Grenadier"
「どこぞに失せろ――/――うすら、馬鹿!!」
- フェコルーに使われた視覚撹乱の即興詩。万華鏡のような空間に閉じ込め、それを一斉に破裂させその閃光で視界を奪う。
- 元ネタ:"Who Comes Here? A Grenadier"
~XIV巻~
「黄金の卵は海の中!」≪投げ捨てられちゃあ、いたけれど!≫「キミョーな魚がもう一度!!」≪持ってぇ帰ってきてくれたぁ!!≫
「現れたのはぁ、おっかさん!」≪雌のガチョウを、捕まえて!≫「やおら、背中にまたがれば!」≪お月様まで――ひとっ飛びぃ!!≫
- サブラクの本体に使用。前半で切り離すための基点となる自在法を仕掛け、後半で破壊の自在法を込めた空間を生成しそれを浮遊させ、サブラクの本体を街一区画ごと切り離した。
- 元ネタ:"Old Mother Goose"
~XVI巻~
「ハンプティ・ダンプティ、塀に座った!」≪ハンプティ・ダンプティ、転がり落ちた!≫「王様の馬を集めても!」≪王様の家来を集めても!≫「ハンプティを元には――戻せない!!」
- 悠二の張った暴君による銀の結界を破る時に使用。詩によって放たれた自在式によって結界を内部から捻り破壊しようとした。だが結果は失敗に終わった。
- 元ネタ:"Humpty Dumpty"
~XX巻~
「二十日鼠が六匹いたよ!」≪座って糸を、紡いでる?≫「通りがかったニャンコが覗く!」≪なにしていなさる、皆々さん?≫「旦那の上着を、織っているの!」≪入って糸をば切りましょか?≫「いえいえ、けっこう、ニャンコさん。あんたはワシらの頭をかじる!」≪とんでもないない、んなことない。ちょっぴり手伝う、それだけよ?≫「そうかもしんない、でも――嫌、よっ!!」≪やっぱり、入れて――くんない、のっ!?≫
- 偽『天道宮』の罠にはまったシュドナイを、仕掛けておいたとんでもない規模の自在法の檻で封印する際に使用。しかし三分持たずに破られた。
- 元ネタ:"Six little mice sat down to spin"
~XXII巻~
「豚がお空を飛んだとさ!」≪ホイ、茶色い服を着た男っ!≫
「ハイ、すぐさま御許に引き戻すっ!」≪ディケリ・ディッケリ・ディケリ・デアッ!≫
- 敵の頭上に障壁を作り出し激突させる。
- 元ネタ:"The Flying Pig"
「一つだったらなにもなし、二つだったら少しだけ、三つだったらたくさんで!」≪四つだったら小遣い気分! 五つとなりゃあ大・金・持ち!!≫
- 五つの大きな炎弾を、数百、千からの小粒な、回避不能の炎弾のシャワーとして放つ。粒の一つ一つが、並の炎弾に匹敵する。
- 元ネタ:"One's None, Two's Some"
「誰がコマドリ殺したか!? 誰がコマドリ死ぬを見た!?」≪誰がその血を受けたのか!? 誰がかたびら作るのか!?≫
「誰が墓穴を掘るのかね!? 誰が牧師になるのかね!?」≪誰が付き添いしてくれる!? 誰が松明持つのかね!?≫
「誰がお悔やみ受けるのか!? 誰がお棺を運ぶのか!?」≪誰が覆いを捧げ持つ!? 誰が賛美歌歌うのか!?≫
「誰が弔鐘撞くのかね!?」≪かわいそうだね、コマドリッさん!!≫
- 多数の巨大な狼の頭でシュドナイを包囲し、フレイムヘイズ数万人分の火力で彼を討滅した。
- 元ネタ:"Who killed Cock Robin?"
~0巻~
「お姫様は、なんでできてる?」≪お姫様は、なんでできてる?≫「お砂糖とスパイスと!」≪すてきななにもかも≫「そんなもので、できてる――っは!!」
- 吉田一美(サンドリヨン)に使用。彼女の衣服を純白のドレスに変えた。
- 元ネタ:"What are little boys made of?"
「四番は豚、三番はロバ!」≪二番は二輪馬車、一番は四輪馬車!!≫
- カボチャと啓作と栄太(ネズミ)に使用。カボチャを馬車に、二人を馬に変えた。
- 元ネタ:"First in a carriage"
~S巻~
「パンチとジュディのパイ取り合戦!」≪パンチはジュディの目に一発!≫「パンチが曰く、もひとついかが!?」≪ジュディが曰く、もうケッコー!!≫
- アナベルグとシュドナイに使用。『トーガ』の分身を爆発させて攻撃する。
- 元ネタ:"Punch and Judy fought for a pie"
【
アニメ版】
「屠殺」が放送コードに引っかかるため、『堵殺の即興詩』となっている。
~アニメ(一・二期)オリジナル~
アニメ一期23話
「綺麗な曲をもうひとつ」≪ホイ、綺麗な曲をもうひとつ≫「お願いあなた弾いてよね」≪ホイ、綺麗な曲をもうひとつ、っと≫
- 『星黎殿』に対して使用。特大の炎弾攻撃。
- 元ネタ:"I won't be my father's Jack,"
アニメ第二期3話
「めとってみなけりゃ分かんない」≪いってえニョウボのヒジとヒザ≫≪ノリでくっ付けたモンなのか!≫
- 近衛史菜に対して使用。走査の即興詩で、彼女が“徒”かどうか調べた。
- 元ネタ:"When a man has married a wife,"
アニメ第二期23話
「王様目指す獣たち」≪ライオン倒す一角獣≫「町中グルグル追い回す!」
- 時計塔を核とした巨大な殻に侵入する際に使用。シャナやヴィルヘルミナを自分と共に自在式で包み、螺旋を描く炎の塊となって殻の脆い部分から侵入した。
- 元ネタ:"The Lion and The Unicorn"
【由来・元ネタ】
「屠殺」の原意は「家畜を殺す如くあっさりと敵を殺す」「敵を屠って殺す」。マージョリーのはどっちの意にも取れる。
「即興詩」は本来、その場で思いつくままに紡ぎ出すものだが、『屠殺の即興詩』はナーサリー・ライム(いわゆるマザーグース)という英語圏の童謡集が元ネタとなっている。
元となった歌は、上記各『即興詩』を参照。「マージョリー・ドー」というのも、ナーサリー・ライムのひとつに出てくる人物。
最終更新:2024年01月03日 18:39