【種別】
紅世の徒”、通称

【初出】
XVII巻

【解説】
紅世の王”。真名は“煬煽”(ようせん)。の色は楝(おうち)色。
仮装舞踏会]の幹部で、兵科は捜索猟兵。誰もが認める腕利きの、強大なる“王”。組織の最前線に立つ実戦派の“王”として有名であり、本拠地たる城塞型宝具星黎殿』にも滅多に姿を見せない。
味方を強化する自在法熒燎原』を行使し、その威力とハボリムの実力はフレイムヘイズたちにも知れ渡り、「危険な上にも危険な相手」と非常に警戒され、恐れられていた。

顕現した姿は、重そうな双頭のガスマスクを着け、薄っぺらいボロマントを羽織った、どことなく案山子を想起させる姿。宿敵ヒルデガルドのことを「昏き淑女」と呼び、彼女からは「仮面の妖術師」と呼ばれていた。
近代以前はペスト医師のマスクを被っていたという。おそらくは、ヴェネツィア仮面祭で見られるペスト医師の仮面「Medico Della Peste」のようなものと思われる。顔の下半分が鳥の嘴のようになっているのが特徴。
人化した姿は、厳めしくも整った顔立ちの将校で、頭は当然一つ。纏った外套の右肩に仮面が付いている。

大きな戦いを幾度も潜り抜けてきた、卓抜した将帥にして百戦錬磨の強者。常に冷静沈着で、戦いに私情を挟まない。戦いの手管に通じ、集団戦闘に熟達しきっているが、単体での戦闘力も非常に高く、『熒燎原』を維持し戦闘の指揮も行いながら単独でゾフィーと渡り合える程である。
戦闘の際には芝居がかった歌を歌い、味方を鼓舞すると同時に『熒燎原』の加護を受ける者らに指揮を伝える。
また敵の自在式を読み取り弱点を発見するなど、自在法にも精通しているようだ。
単体での戦闘では、体躯を通常の三倍以上に巨大化させ、二体に分裂して挟撃や陽動を行う。また攻撃や移動の際に周囲に炎を渦巻かせ、それらを補助する。

盟主の帰還後、来るフレイムヘイズ陣営との戦いのため『星黎殿』に帰還し、『祀竃閣』での作戦会議にも参加した後、『大命』第二段階の発動前の『星黎殿』酒保での宴では、二つあるガスマスクの吸気口に一つずつストローを挿して、シャンパンを飲んでいた。また、“祭礼の蛇坂井悠二に即席の軍事学を講義したが、悠二曰く「一番難しかった」と外伝『ホープ』でリベザルに語っていた。

フレイムヘイズ陣営との戦争では、外界宿征討軍西部方面主力軍司令官に任命され、主力軍を率いて外界宿の西部防衛線に侵攻した。
西部防衛線の最重要拠点であるルーマニア・アンドレイ要塞攻防戦にて、守備側のフレイムヘイズを相当数殺すも、当初から長期戦を狙った戦い方であったフレイムヘイズ陣営は、ダン・ロジャースの自在法『プレスキット』によって強化された要塞に籠もった。
『熒燎原』によって強化した軍勢と大筒型“燐子”による砲撃、更に自身による強攻をもってしても要塞そのものをなかなか破壊できず、短時間の交戦しか出来なかったために戦果は少なかった。

攻勢の途上、デカラビアからフレイムヘイズ兵団の攻勢が『星黎殿』まで及んだことを聞かされたハボリムは、撤退命令をどうやって部下たちに納得させるか思案しつつ、『星黎殿』を守るために撤退を開始。その途上、デカラビアから外界宿征討軍総司令官の後任を任され、権限を移譲された。
ストラスの自在法『プロツェシオン』で、デカラビアが生命を賭して稼いだ時間内に『星黎殿』の墜落地点まで主力軍と共に到達し、勢いに乗っていたフレイムヘイズ兵団に対して、『熒燎原』によって強化された西部方面主力軍の軍勢を指揮して攻撃を仕掛け、一転してフレイムヘイズ兵団を窮地に追い込んだ。

それから間を置かずして、“祭礼の蛇”神体たちが還幸し『大命』を宣布したことでフレイムヘイズ兵団の間に混乱が広がり、戦況はより優勢になって兵団を追い詰めた。さらに、その後の二度目の“祭礼の蛇”坂井悠二の宣布によって兵団は壊乱・消滅し、『星黎殿』での雑事を片付けたシュドナイが参戦することで、『星黎殿』前の決戦は[仮装舞踏会]の完勝となった。
シュドナイが帰還した時点で総司令権限は実質的に彼に移行していたが、ハボリムは律儀にも総司令官職をシュドナイに返還した。
完勝直後、[仮装舞踏会]は包囲網を展開して兵団残党の殲滅戦を開始するが、その際シュドナイは、これ以上優秀な将帥を失う危険性を警戒し、ハボリムに前線には出ず後方で控えるよう言い渡した。
後方から『熒燎原』による掃討部隊の援護と情報伝達を一任されていたが、センターヒルの豪雨の大結界『トラロカン』によって『熒燎原』の維持を阻害され、偽『天道宮』の偽計を仕掛けられたことで、若干名のフレイムヘイズを取り逃がしてしまった。
そしてシャナたちが戦場から脱出した後に包囲部隊の指揮を任されたが、その時には最早敵残党の大部分は始末されており、辛うじて生き残っていたフレイムヘイズ達は『天道宮』ごと地中に潜伏していたため、大した成果は挙げられなかった。

御崎市決戦では、西部方面守備隊隊長として御崎高校に本陣を置き、市西部の守備隊を率いた。
御崎市に流入してきた膨大な数の“徒”の混乱を『熒燎原』によって治め、外来の“徒”をもなし崩し的に隊に引き入れると同時に守備隊を率いて、襲来してきた『大地の四神』の一人サウスバレイと交戦を開始した。
その後に、さらに膨大極まる数の“徒”が遅れて流入して来て以降は、それら外来の“徒”をサウスバレイの軍勢にぶつける飽和攻撃に“燐子”の砲撃を用いて戦況を優位に進めた。
やがて、新世界『無何有鏡』創造によって交戦終了となり、神殿に引き揚げて後、その他の将兵達と共に『天梯』を通って新世界へ旅立った。

新世界へ渡り来た後は、“存在の力”に満ち溢れた新世界での戦闘様式を、実地で研究しているようだ。また、坂井悠二をそれなりに評価しており、将来に備えて悠二に即席ではない体系的な軍事学を習得させるべきだとリベザルに語っていたようだ。
その後、それを有言実行して悠二に軍事学の試験を与えたようだが、提出前に『色盗人』事件を言い訳に報酬として用意してあった“燐子”砲兵を持ち逃げされた。『ロード・オブ・ザ・シーズ』号で悠二と再会し試験の採点をした時にはそれを根に持っているかのように厳しい採点をした(元々リベザルにも笑われるような答案であったが)。

【元ネタ・由来】
ソロモン72柱の1柱、アイム(Aim)の別名ハボリュム(Haborym)。序列23番。毒蛇にまたがり、手に火のついた松明をもち、人・猫・蛇の三つ首の人間の姿で現れる。
火事を司り、様々な物に放火する。人々をそそのかすのが得意で、法律にも詳しいとされる。

「煬」は火気が盛んで焙り乾かし金属を溶かすという意味がある。「煽」は火を盛んに吹き起こす、風を起こす、人々を煽動する、酒を一気にあおるなど、多くの意味がある。
「煽」を単純に解釈すれば真名は「盛んな火気を煽り火炎を広める者」という意味だと思われる。味方の能力を底上げする自在法『熒燎原』にその本質の一端を見ることができる。
ただ、「煽」が風と関わることに留意したい。激しい炎は、強い上昇気流や火災旋風をもたらすからである。

擬された役割は「知将」。双頭と無表情なガスマスクは、動じない冷静さと明晰な頭脳を表している。

【コメント】
☆頭が二つ有る鳥山明みたいな感じか?
☆A/Bのファントムみたいの想像してたが。
☆吹き矢持たせてペトロクラウドを使わせたくなるのは俺だけだろうか?
☆こいつは巡回士ではなかった。
オルゴンが生きてたら、きっとチートコンボを見せてくれただろうにな。無念。
☆↑不死身で、且つ大幅に強化されたペラペラの軍勢…。悪夢だな、うん。
☆↑まぁマジレスするなら、ハボリムとオルゴンは別の戦場に送られたことだろうな。
☆↑どっちか片方だけで大抵はどうにかできそうだもんな。今まででた数の暴力や場を支配する能力のやつは相性や油断で負けるのが多かったけど、こいつはどうなるか。
リベザルがいれば地下の探査も可能だった。とはいえ、地下にいるとは思わんだろうな。
☆結局、最後まで隙は無かった。百戦錬磨の看板に偽りはなかった。
☆『ロード・オブ・ザ・シーズ(大海の君主)』号シージャック事件でも、他の面子が大雑把な対応を取る中一人だけ油断なく爆弾を処置し銃器を無力化する隙のなさであった。
☆ハボリムの正体って、双頭のガスマスクを外したら、どんな顔だろうな。まさか、骸骨と脳味噌を入れた容器だったりしてな。外した瞬間、周囲の“燐子”・“徒”・フレイムヘイズ・“紅世の王”・人間を皆殺しにするとか?
☆↑ハボリム様にそんな厨二要素は無いが、人化したらどんな姿になるのかは気になるところだった。
☆↑↑“徒”は人間じゃないから骸骨とか脳味噌とか言っても始まらないよ。“徒”の顕現は本性のまま。必ずしもガスマスクの下に顔があるとは限らない。ガヴィダの鎧の中は空洞だし、ウィネのヘルメット頭はシールドに目があるし、オルゴンは帽子とマントと手袋だけだし。[とむらいの鐘]の最高幹部『九垓天秤』を思い出してほしい。
アニメ第3期で登場した。
☆どっちのガスマスクから声が出てるんだろう。
☆↑逆に考えるんだ。あのマスク同士の繋ぎ目から、声が出ているんじゃないかと思う。
☆番外編『おじょうさまのしゃな』では、[黒い蛇団]の一員として登場している。
☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、幕間4で登場している。
☆↑↑↑両方のガスマスクから同時に声が出ている説をぶち上げよう。これだとアニメ版は声優さんが一人ハモりをしないといけなくなるが。

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最終更新:2024年02月08日 15:25