【初出】
XVII巻
【解説】
“
紅世の王”。
真名は“吾鱗の泰盾”(ごりんのたいじゅん)。
炎の色は薄墨色。
フレイムヘイズ『犀渠の護り手』
ザムエル・デマンティウスと契約し、親指大の銀杯型の
神器“
ターボル”に意思を表出させていた。
しわがれた声で話す、無骨な性格の男性の“王”。
契約者のザムエルと同じか、それ以上に堅苦しい性格をしている。ザムエルとは、「戦友」と呼び合う間柄。
XX巻での中国中南部の決戦終盤にザムエルが戦死すると、再戦に備える為に“
紅世”へ帰還した。
シャナたちが新世界『
無何有鏡』へ旅立ってから一年後の春までの間に、新世界へ渡り来て
秩序派の“王”の一人として新世界の
外界宿の暫定首班に就任させられた
サーレを助けながら、新世界が創造されるまで“紅世”で尻込みしていた“王”たちを教導する機関の創設準備に忙しいようだ。
【由来・元ネタ】
東欧(ドイツ東北部)の竜神にして魔法神ジルニトラ(Zirnitra)と思われる。ツィルニトラとも呼ばれる。黒い竜の姿で、全ての魔法の源とされる。
蛇型のジルニトラの像が『発見』されたのは18世紀になってからで、その真贋を巡って応酬が続き、19世紀末頃に、同時に発見された遺物と同じく地元の鍛冶屋が作成した贋作であるとして決着が付いた。
「吾」とは、自分、自己の意識であり、「吾吾(ああ)」と重ねると他者と親しもうとしないという意味になる。「鱗」はウロコそのものやウロコを持った生物を示す。「泰」はきわめて大きく豊かで落ち着いた様子。「盾」はそのまま、敵の攻撃を防ぐ防具の盾である。
真名全体で考えると、「鱗をまとった自分自身がきわめて揺るぎない防御の力である」という意味だと思われる。契約者の称号と
自在法『
ジシュカの丘』と共に防御に徹した“王”であるのだろう。
また、「吾吾」の成語からは、非常に堅苦しい性格を本質の一部としていることも思い描くことが出来る。
最終更新:2023年11月20日 00:09