【初出】
X巻
【解説】
フルネームはフランソワ・オーリック。
『姿影の派し手』(しえいのはして)の
称号を持つ、“布置の霊泉”
グローガッハのフレイムヘイズ。
炎の色は紫苑色。
神器は、大きな壺型の“
スプレット”。
だらしなく伸ばした髪で目元を隠し、探検家のようなサファリルックの腰に大きく膨らんだポーチをいくつも下げた、細長い体躯の青年。背負った神器の壺が、どうしようもなく奇抜である。
水を操る能力を持ち、川や水脈等を利用した遠距離への干渉と探知、雨や雪を媒介とする
遠話に加え、ある一定の範囲内の天候の制御まで行うことができる。さらに、その天候操作という技術に関連して、各種データを元にした、人間の科学力では為しえない精度での天候予測まで行えた。
チューリヒの欧州
外界宿総本部に『
大地の四神』の一人
センターヒルが来訪した際の反応といい、何かにつけては慌てふためいているようだ。
中世(十六世紀)の『
大戦』では、『
フレイムヘイズ兵団』
サバリッシュ集団に所属しており、ゾフィーとは当時からの知り合いであった。
中世の『大戦』の終結直後には、
ドゥニに「嵐が来る」と言っていた。その後、数百年間は外界宿で働いていたようだ
現代では、新たに結成されたフレイムヘイズ兵団で総司令官ゾフィーの副官を務めた。XVII巻の終盤では、ハワイから欧州外界宿総本部に送られてきた謎の暗号電文とその解読結果をゾフィーに差し出し、自身とゾフィーの反応から、その吉報を真実と判断した。
『凪』・
『交差点』作戦では、持ち前の正確な天候予測でタイムスケジュールの立案に尽力し、ゾフィーや
ザムエル、センターヒルと共に同じ飛行機に乗り、『
星黎殿』より南方百キロ地点に降下してそこに集結したフレイムヘイズ兵団と共に『星黎殿』を目指した。
しかし、
デカラビアの
自在法『
プロビデンス』を駆使した巧みな戦術によって足止めを喰らうが、そこでもフランソワは神器“スプレット”に溜まっていた水を雪に変えて、周辺の雪と共振させて敵兵を探知するなどの活躍を見せた。
そして、ゾフィーが
デカラビアを討滅した直後に『星黎殿』至近に到着した西部方面主力軍の猛攻に加えて、自身の能力で南方防衛線の部隊の接近を感知したことで顔を蒼白にした。
そして『
朧天震』が発生して“
祭礼の蛇”本体の帰還が近いことを察知したゾフィーが『
神門』を破壊することを遠話で聞いた時には驚愕し、ゾフィーの指示に消え入りそうな声で返答した。
この世に還幸した“祭礼の蛇”による
大命宣布では、一度目は堪えることが出来たものの、二度目の宣布で完全に取り乱してしまい、ゾフィーに襟首を捕まれて、無謀な逃走を引き留められる始末であった。
その後、張り倒されて正気を取り戻し、数百人の討ち手たちと共に逃げ込んだ『
天道宮』にて佐藤啓作たちに迎え入れられ、脱出の機会を待っていた。
フレイムヘイズ兵団が大敗した半日後にはチューリヒ欧州総本部に戻り、不毛な論戦を悄然と聞いていた。そして
佐藤啓作を通して、全世界の“
徒”とフレイムヘイズの日本大侵攻の最新の情報を飛行機で移動中の
シャナたちに伝えた。
チューリヒ総本部でゾフィーが総司令官職を解任されると同時に、彼も副官の職を解かれた。そして、
フリーダーからの
ロフォカレを捕捉したという報告をゾフィーたちに届けた。
【由来・元ネタ】
「フランソワ(François)」は「フランク族」のラテン語化に由来するフランスの男性名。バロック時代の作曲家フランソワ・クープラン(François Couperin)などがいる。
「オーリック(Auric)」は、フランス六人組の一人ジョルジュ・オーリック(Georges Auric)と思われる。前衛的で、黎明期の映画音楽も作曲した。
最終更新:2024年01月13日 09:09