【種別】
紅世の徒”、通称

【初出】
XVI巻

【解説】
紅世の王”。真名は“驀地祲”(ばくちしん)。の色は弁柄色。
象ほどの巨体を持つ三本角の甲虫の姿で、人間状に直立している。挿絵では、左右の角は肩らしき部分から生えているようである。二対ある腕のうち、一対は普通に使い、一対は硬く腕組みして水晶の数珠型の宝具七宝玄珠』を巻いている。
滅多に人化しないのは、人の姿では迫力に欠けるというのが、本人の弁だった。しかし人化した姿は、黒髪に黒い瞳の野趣溢れる男前といった顔立ちで、筋肉の塊のような大柄な男。
人化した姿が日本人に似ているのは、“紅世”からこの世に渡り来て最初に踏んだ国が日本だからであり、人化したのは久しぶりに美味い飯でも食いたくなったからだと、外伝『ホープ』でリベザルは坂井悠二に語っていた。

仮装舞踏会]でも名の知れた巡回士で、実力は折り紙付きの強大なる“王”。『三柱臣ベルペオル直属の側近を務める。
言動が荒っぽいが、見た目や性格ほどの猪突猛進ではなく、頭も切れる。捜索猟兵ピルソインを相方に、多くの武功を上げている。指揮官としても有能であり、見た目に反して堅実な戦をする、百戦錬磨の将帥である。
三柱臣』を信奉しており、並々ならぬ忠誠心を持っているため、帰属意識が強く、サブラクロフォカレといった外部者に対する敵愾心が強い。

腕に巻いた『七宝玄珠』の数珠玉をばら撒いて自在に操ることができ、高速で飛ばして攻撃することは勿論、これを核として本体と同等の攻撃力を持つ分身を作り出すことや、地面にめり込ませて地中の異物を走査したりもできる。また本体の力も凄まじいもので、その腕力は強靭なフレイムヘイズの身体を容易く引き裂き、叩き潰す。
本人の圧倒的な攻撃力のみならず、臨機応変な器用な戦法を取り、知恵まで回ることから、歴戦の討ち手であるフリーダーをして「反則野郎」とまで評された。

御崎市決戦までは、ピルソインと共に『大地の四神』とまともな交戦経験のある唯一の[仮装舞踏会]の将帥であった。『四神』からの呼び名は「賢明な鎧」。1864年に、ピルソインと共に『内乱』の最中の北米大陸に東から入り込んでいたことから、『大地の四神』と交戦したのはこの時期だと思われる。

20世紀前半の対[革正団]戦争期には、パリにて[革正団]の構成員を蹴散らした模様。その前後に、フリーダーと接点があったようだ。

祭礼の蛇坂井悠二の(仮の)帰還に際しては、素性が知れない癖に、唐突に帰還したと思えば、自分の信奉するベルペオルやヘカテーを当然のように傅かせ、部外者を勝手に『星黎殿』に招き入れていた(と思い込んでいた)盟主に憤りを覚え、また彼が本当に自分たちの盟主たり得るかを試すために、謁見の儀式の際に襲いかかった。
しかし、そこで盟主の圧倒的な実力と器の大きさを知り、完全に帰順した。

対フレイムヘイズ戦略を話し合う御前会議では、デカラビアがベルペオルらを前にしても自身の姿をさらさず、自在式だけでその場に臨んだ無礼に激昂し、ピルソインになだめられていた。
その後、酒保での宴会では、ピルソインを振り回して遊んでいた。

フレイムヘイズ陣営との戦争では、外界宿征討軍東部方面主力軍司令官に任命され、主力軍を率いて外界宿の東部防衛線に侵攻した。
自身も前線に立って、フリーダーらフレイムヘイズを圧倒しつつ指揮を執り、半日で東部防衛線の最重要拠点である外界宿東京総本部を陥落寸前にまで追い込んだ。
しかし、フレイムヘイズ兵団の攻勢が『星黎殿』まで及んだとデカラビアから聞かされた時には、激昂して彼を譴責したものの、下された撤退命令を内心では納得していないながらも持ち前の判断力でしぶしぶ承諾し、『星黎殿』を守るため撤退を開始した。

しかし、谷川連峰・奥利根山塊において、ミカロユス率いるフレイムヘイズの一団により、足止めを喰らわされた。しかし、『詣道』が崩壊することによって引き起こされた『朧天震』に一瞬動揺するが、すぐにその現象がベルペオルからの事前の通達にあった『警戒の要あれど喜ばしき、非常の天変地異』であることに気付き、東部方面主力軍に攻撃命令を下して突撃を開始した。

御崎市決戦では、東部方面守備隊隊長として市東部の御崎市駅に本陣を置き、ピルソインと共に市東部の守備隊を率いた。
御崎市に流入してきた膨大な数の“徒”の混乱に守備隊を巻き込まれ、対処に苦慮しながらも隊を率いて、襲来してきた『大地の四神』の一人イーストエッジと交戦を開始した。
その後に、さらに膨大極まる数の“徒”が遅れて流入して来て以降は、守備隊は全て外来の“徒”の誘導のみに使い、外来の“徒”をイーストエッジにぶつけつつ、自らイーストエッジとの直接交戦に移った。
途中、盟主の命令でピルソインを[百鬼夜行]らの探索に送り出し、以後はその他の自在師からの支援を受けつつイーストエッジに外来の“徒”をぶつけ続けた。
そして、新世界『無何有鏡』創造によって戦火が止んだ後、『非常手段』でベルペオルらの前に呼び出され、新世界に渡る呼び水として、ピルソインと共に一番乗りを命じられる。上官と些事の確認をした後は、ピルソインと共に『天梯』を通って新世界『無何有鏡』へ旅立った。

新世界へ渡り来た後もピルソインと行動を共にしており、混沌期では坂井悠二と再会して共闘したようだ。そして新世界へ渡り来てから一年後の四月、日本のとある定食屋で人化した姿で坂井悠二と再会し、[マカベアの兄弟]に対する[仮装舞踏会]の方針を話した後で、人間と“徒”の共存の実現という目的と手段を取り違えかけていた坂井悠二を諭して忠告を与えた。
その後、ボー近郊で、ハボリムエギュンらとともに兵を率いて、非道な新参の“徒”集団二百人あまりを相手に戦い完勝した。
ロード・オブ・ザ・シーズ』号への集合では、ピルソイン共々一番乗りを果たしている。ベルペオルへの報告では、坂井悠二への警戒を促す発言をしたピルソインを窘めていたが、続いてのオロバスレライエの報告を聞いた時には逆に言い負かされていた。そして騒動の終結後、ベルペオルたちと共に修復と改装の完了した『星黎殿』へ空を飛んで戻っていった。

【由来・元ネタ】
シレジア(ポーランド・チェコ国境地帯)のリーゼンゲビルゲ山にすむ悪霊リベザル(Ribesal)と思われる。山頂を霧で隠し、時に局地的な大嵐を起こすという。
ヒマワリのような顔に剣のような鼻が突き出ており、胴体は樽、左足は鳥、右足は山羊、左腕は竹筒を組み合わせた感じ。右腕は蟹の鋏のようで、フォーク(刺股)のような杖を持っている。
大地の精霊ノームの君主であるとも言われる。「水晶」の数珠や「地中」の探査能力は、これに由来するのかもしれない。

「驀」はまっしぐら、ひたすらという意味であり、「驀地」でまっしぐらに進むさまを意味する。
また、「祲」には霊的に悪しき力といった意味があるらしく、真名全体で「ひたすらに突き進む悪しき霊」といった意味になると思われる。
盟主との戦いで見せた分身も、猛烈な突撃もこの本質あっての力と推測される。

擬された役割は「勇将」。自ら陣頭に立つ有能な指揮官像を体現している。

【コメント】
☆どういう訳か、本スレでは「リザベル」と間違う輩が多かった。
盟主の噛ませ犬から、フレイムヘイズを容易くあしらう「反則野郎」に大出世。
☆外見の無骨な百戦錬磨の指揮官という点で[とむらいの鐘]の『九垓天秤ウルリクムミに似てるな。
☆片腕をもがれながらも、生き残り組入りした。新世界への一番手という栄誉まで賜る。
☆ガチの戦闘力だったらイーストエッジ>>リベザルくらいなのかな?かなり強力な討ち手のはずのフリーダーから反則野郎と評されるリベザルよりも強いって『三神』飛び抜けすぎだろ。
☆イーストエッジは『四神』の中でも戦闘力はトップみたいだしな。
アニメ第3期で登場した。
☆“祭礼の蛇”の噛ませ犬、イーストエッジに片腕を持ってかれる、あと一歩で落とせた外界宿を落とせなかった上に『星黎殿』への帰還を止められるなど、強力な将帥なのに損な役回りが多かった。その分、外伝で準主役級をもらったり一番乗りをしたりと、いい役回りももらえているわけだがな。
☆人化しても首にかけている水晶の数珠は、宝具『七宝玄珠』であることが公式ガイドブック完結編『灼眼のシャナノ全テ 完』で判明した。
☆カツ丼を食べたり、米酒(日本酒)を注文したりと、新世界『無何有鏡』に来て以降は日本食をかなり気に入っている模様。
☆日本酒(ライスワイン)のチョイスは、セレーナがしたんじゃないか?
☆[巌楹院]のゴグマゴーグや[とむらいの鐘]の“棺の織手アシズや『九垓天秤フワワニヌルタウルリクムミソカルや[百鬼夜行]のギュウキとも絡んでいたら面白そうだったのにな。
☆番外編『おじょうさまのしゃな』では、[黒い蛇団]の一員として登場している。
☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、幕間2で登場している。

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最終更新:2023年11月11日 14:42