【初出】
XV巻
【解説】
フルネームはアーネスト・フリーダー。
『骸軀の換え手』(がいくのかえて)の
称号を持つ、“応化の伎芸”
ブリギッドのフレイムヘイズ。
炎の色は鳶色。
神器は洒落た小ぶりの造花型の“
アンブロシア”。
色白で眉目秀麗な、190cmあまりの長身の西洋人。金髪は短く刈り込んでいた。鳶色の瞳は、強烈な眼光を発する。スーツ姿で、胸ポケットに“アンブロシア”を挿していた。
過保護な“
王”ブリギッドに何かにつけて庇われているが、それに甘えることのない、自立した大人の男である。
姓で呼ばせているのは、自分の名は愛した女にしか呼ばせないという主義のためである。『
輝爍の撒き手』
レベッカ・リードに振られてからは、より他人に徹底させるようになった。“
徒”にまでそれが浸透しているのだから、筋金入りである。
フリーダーの本来の
能力は身体の硬度変換だが、硬度変換という能力を応用して、地面を自在に潜行し、そこから己を模した精巧な土人形を無数に作り出すことができる。
土人形に攻撃の性質を組み込むことも可能で、攻撃された人形は猛火と鉄鋲をばら撒いて爆発を起こす。この土人形を用いての、己は地面に隠れて張子で攻撃するというある種卑怯な戦略を得意とし、また本人の戦闘に対する姿勢もひたすら生を拾おうとするものである。
レベッカから「セコい詐欺師野郎」と罵られるのも、この戦略故なのかもしれないと思われる。
20世紀初頭のハワイ争奪戦におけるフレイムヘイズ側の参戦者として、『輝爍の撒き手』
レベッカ・リードとともに、
サーレ・ハビヒツブルグに名を挙げられた強力な討ち手。レベッカとは長年の付き合いで、一時恋愛関係にあったようだが破綻したようだ。
レベッカが過激な行動に出ると、「バカ爆弾」と怒鳴りつけたりもした。
70~80年前には、
リベザルと遭遇したことがあるようだが、おそらく対[
革正団]戦争時だと思われる。
マージョリーの指示で東京の
外界宿支部を訪れた
佐藤を、
ヴィルヘルミナを
フレイムヘイズ兵団に勧誘するための人質として一室に軟禁したが、レベッカに佐藤を解放され、さらにそれを口実にレベッカがヴィルヘルミナに合流するなど、完全に裏目に出てしまった。
レベッカが東京総本部と決裂した後に、
ゾフィー・サバリッシュから東京総本部の新たな責任者に任命されるが、その際に佐藤やレベッカ、ヴィルヘルミナに監視を付けていることを見抜かれてしまうなど、懲りない一面もある。
[
仮装舞踏会]との戦争では、外界宿東京総本部司令官として、リベザル率いる外界宿征討軍東部方面主力軍を迎え撃った。
日本の外界宿の地理上・経営上の理由により、重要拠点に兵力を結集しての篭城戦以外に最初から選択肢はなく、不利な状況での防戦を強いられた。
短時間で第三司令室を放棄し、その伝達に前線防衛陣地へ自ら赴いて撤退命令を告げている最中に、
ピルソインの自在法『
ダイモーン』が使用されている状況に遭遇。対処を指示しつつ最前線へ飛び出した。そこで錯乱・酩酊している部下たちを立ち直らせていたところ、前線に現れたリベザルたちと交戦状態に陥った。
フリーダーは狡猾な戦法で敵を撹乱・撃破していたが、リベザルには通用せず、地中から引き摺り出されて土手に叩きつけられた。しかし、自身の能力のおかげで軽傷で済んでいた。
そして隙を見て撤退するが、敵の猛攻で東京総本部は陥落の危機に陥った。しかし、半日後には東部方面主力軍が撤退を始めたため、東京総本部は辛うじて持ち堪えた。
二月の全世界の“徒”の日本大侵攻を前に、副司令
オルメスとの協議の末に日本外界宿の構成員たちを連れて、日本から撤退した。
そして
シャナ一派と連携して、
ミカロユス・キュイの『
パラシオスの小路』で天山山脈を彷徨う
ロフォカレを捕獲し、彼に
神意召還をもって新世界『
無何有鏡』に人を喰らえないという新たな理が追加されたことを全世界の“徒”やフレイムヘイズに知らしめてもらおうとするが、予想もしない結末になってしまった。
シャナたちが新世界へ旅立った後は、この世(旧世界)のチューリヒ総本部に詰めて、日々勤めに精励している。
【由来・元ネタ】
「アーネスト(Ernest)」はドイツから英国に入った男性名。「真面目」といったニュアンス。文豪ヘミングウェイの名である。
「フリーダー(Flieder)」は、ドイツ語でライラックやにわとこの意味で、姓名どちらにも使われるようだ。チェリストのラファエル・フリーダー、ヴァイオリニストのクララ・フリーダーがいるが、現役の演奏家なので、彼らが由来なのかは微妙。
最終更新:2024年04月10日 18:29