【初出】
XIV巻
【解説】
真名は“聚散の丁”(しゅうさんのてい)。
炎の色は飴色。
[
仮装舞踏会]の
捜索猟兵で、
巡回士の“吼号呀”
ビフロンスと長くコンビを組んでいた。ただし、相手を呼ぶのに真名付けの上「殿」まで添えるので、相当見下されていたようだ。
性格は人質を取ったり、回りくどい手を使ったかと思うと、
坂井悠二の言動にビクビクするような小物だった。
神父とも見える裾長の法衣にスカーフを付けた老境の男の姿で、柔和な笑みを顔に貼り付けた人相、痩身の背格好という、スカーフの色以外は全く同じ姿の五人組で行動していた。
五人は別々の存在ではなく、一つの本体の存在が分裂しただけの同じ存在。全員が薄い力の紐のようなもので繋がっており、離れていても合体、分離は自由だった。
力の規模が元々とても小さい上に分裂することでさらに弱まり、五人に分裂している状態では、精々残り火の強い
トーチ程度しかないためとても弱い。しかしそのため
気配察知が困難で、それを利用して諜報活動に当たっていた。
こうした特性は、少なくとも[
故崖窟]に関係する
フレイムヘイズには知れ渡っていたようであった。
ビフロンスと連携して、幾十度の破壊活動を必中必勝で行ってきた。ザロービが小規模の
封絶を張って敵を誘き寄せ、彼だけ封絶の外に逃げた所を、ビフロンスが遠距離から大火力で封絶ごと吹き飛ばす戦術を取っていた。
外伝『ジャグル』に名前のみ登場。本編開始の二年ほど前、中央アジアへ潜入していた捜索猟兵の中に加わっていた。『露刃の巻き手』
劉陽から逃げる際に、捜索猟兵たちを指揮していたのが
マモンであること、間もなく引き上げることなどを(信憑性は薄いが)バラしてしまった。
本編では、「
あの男」を発見した功績により、
ベルペオルから『
非常手段』を与えられ、『
大命』遂行の一端に関わる任務を与えられた。
クリスマス・イヴに
御崎市において悠二を拉致し、同時にフレイムヘイズ三名をビフロンスの砲撃で抹殺しようとしたが、連行途中の悠二に仕掛けを見破られ、不意打ちで封絶を張られてから
炎弾で粉々にされたり、首を捻じ切られたり、『
吸血鬼』で刺されたりと一方的に蹂躙され、人質を使う機会も与えられずに、十秒余りで五人とも討滅された。
実際はビフロンス同様、サブラクが
シャナたちに一瞬の隙を作らせるために、ベルペオルに用意させた捨て駒でしかなかった。
【
アニメ版】
アニメ版では登場する時期が原作より早くなっており、封絶の外に配置するはずの五人目を悠二の傍に近づけたりと詰めが甘い上に、悠二に分裂したザロービがゆっくりと殺されていく中で、怯えて動けなくなるなど、ヘタレ度が上がっていた。
【由来・元ネタ推察】
ヌクテメロンにおける3時のゲニウスの1人、ザロビ(Zarovee)と思われる。危険な地を支配し、絶壁の天使、危地の鬼神とも呼ばれる。
ヌクテメロンとはギリシア語で「昼に照らされた夜」という意味の書物で、「黄道十二宮を想起させる十二の象徴的な時間」に則したゲニウスの名前とその支配が記されている。
ゲニウスとは英語のジーニアスにあたり、エリファス・レヴィは「デーモンでも天使でもなく、道徳的な力もしくは擬人化された徳」であると述べている。
※確証はないけど、多分これである。
人数と配色、オーバーなリアクションは特撮「スーパー戦隊」シリーズのパロディ。
「聚散」とは「集散」と同じ意味である。また「丁」とは十干の四番目である。
真名全体で「四体の分身を集めたり分散させたりする」という意味だと思われる。
彼の能力そのものを表した真名である。
最終更新:2023年10月02日 00:09