【初出】
VIII巻(名称はX巻)
極めて複雑な自在式であり、解読や起動も極めて困難だった。そのため[仮装舞踏会]の面々は、自在式の知識に長ける教授らに解読や起動を委託していた。
例え一部の断篇でも物体に刻めば破壊や干渉を受け付けなくなる『
完全一式』という特殊な式でもあった。オリジナルを持つ
ヘカテーは共振することで『大命詩篇』を破壊できるようだ。
単一の物ではなく、様々な効果の自在式を総称して『大命詩篇』と呼んでおり、これまでに
などが確認されており、
ベルペオルの言からは鎧の『暴君II』にも今まで多数打ち込まれていたことが確認できた。
過去、解読のために『大命詩篇』を預けられた教授は、その場の思いつきで『大命詩篇』の一部を勝手に持ち出し、興味本位で式の改変を行った挙句、危機に陥った際にあっさりこれを手放してしまった。
その断片は数十年のうちに巡りめぐってアシズの手に渡り、『壮挙』に利用されたのだった。
その正体は
創造神“
祭礼の蛇”がこの世で動く代行体を構築するべく、『
久遠の陥穽』にて永い年月と試行錯誤を重ねて編み上げた自在式。
それゆえ正式な用途は代行体を構築するための自在式であり、正しく管理された物は全て『暴君』及び『暴君』と化す予定のモノ、または“祭礼の蛇”神体の復活、または新世界『
無何有鏡』創造のためにのみ使用されていた。
巫女であるヘカテーを通じて、長い年月をかけて少しずつこの世に送り届けられており、ヘカテーが星に近い山の頂で「いと暗きにある御身(『久遠の陥穽』にいる“祭礼の蛇”)」に向けて「他神通あれ」と祈ることで、周囲に
銀色の雫が降り注ぎ、銀色の
炎をともなって虚空より現れた。
いかに『創造神』といえども作成は困難であったようで、第二層機関部という極一部分の式の十八案目の式でさえ「そんな古いものが実用に耐え得るのかね?」とベルベオルが疑問に思うほど、失敗と成功を重ねて作られたようだ。
最終更新:2024年02月24日 16:46