【初出】
III巻
【解説】
優秀な
自在師である“愛染他”
ティリエルが使っていた独自の自在法。ティリエルの、他者に愛情を注ぎ守る本質『溺愛の抱擁』に基づいている。
内部に山吹色の木の葉が舞い、霧で満たされた防御陣を作り出す。この内部は因果を外部と断絶した因果孤立空間となり、
封絶の変種に含まれる。独自の特性として、内部の“
紅世の徒”や自在法の違和感や
気配を、外部から完全に隠す事が出来る。
このため、探知系の自在法で探らない限り、どんなに近くにいようとも“徒”の存在を感知できない。
通常は身体の表面を覆うように常時展開されており、その際は視認もできない。
また、封絶の様に広範囲に展開し、捕食や戦闘の場を作り出すことも可能で、その際には内部の存在を決して逃がさない隔離空間にもなる。
本編時のティリエルは、彼女の分離体とも言える多機能の“
燐子”『
ピニオン』と、込められた
自在式を維持し続ける
宝具『
オルゴール』を用いることで、街一つを覆うほどに『揺りかごの園』を拡大させて相手を捕らえ、さらに仕掛けられた『ピニオン』を使って周囲の人間を喰らい、“
存在の力”を自分たち“愛染の兄妹”に供給させていた。
取り込み兼放出口となっている、人間に偽装された『ピニオン』により、『
玻璃壇』からの視界は、黴のように密集した斑の部分を蔓草のような紋様が結び合わせているように見えるほど、無茶苦茶に絡み合った装飾紋と
撹乱と偽装の
自在式で埋め尽くされ、通常の感覚では『ピニオン』と人間を見分けることが出来ない他、この自在法の特性も正確に把握できない。
また、放出口となっている『ピニオン』を発見して破壊したとしても、“燐子”としての正体を現した『ピニオン』は、破壊されると同時に様々な罠が起動する仕掛けとなっており、単独で対処するのは困難といえる。
一度はまってしまえば非常に強力だが、欠点として、『揺りかごの園』の維持、“存在の力”の供給、武器である蔓の大規模な
顕現や維持や制御を行うピニオンを多数設置する下準備が必要なこと、『ピニオン』作成の自在式が相当複雑なものであるため、多数を維持するには宝具『オルゴール』によるサポートが不可欠な点が挙げられる。
IV巻で
坂井悠二の異常に鋭敏な知覚により『ピニオン』の偽装を見破られ、彼の指示を受けた
フレイムヘイズ『弔詞の詠み手』
マージョリー・ドーによって『ピニオン』を次々と破壊(正確には改変)されていき、最後には『揺りかごの園』の維持が不可能になって、“愛染の兄妹”の敗北へと雪崩れ込んでいった。
最終更新:2024年02月28日 08:41