【種別】
紅世の徒”、通称

【初出】
I巻(『零時迷子』の製作者である“王”として。名称はIX巻)

【解説】
紅世の王”。真名は“彩飄”(さいひょう)。の色は琥珀色。
黄緑色の長髪と瞳をし、所々に布を巻いた、ツナギのような服を着ている華奢な美女。肩には、鳥とも人ともつかない肩当てをつけていた。周囲に合わせて、人間の服装をする場合もあった。
約束の二人』の片割れで、ヴィルヘルミナ曰く、性格は「出鱈目に明るく楽しい」とのことだが、本編では恋人である『永遠の恋人ヨーハンがいないため、かなり張り詰め、彼を取り戻すためならば他の全てを切り捨て裏切る覚悟と、巧みに策を張る計算高さを見せた。
過去編では本来の性格で登場し、またヨーハンが近くにいないと覿面に不機嫌になる面も見せていた。

インベルナ』や『ミストラル』や『カラブラン』などの風を操る自在法を得意としていた。戦闘は拳打を主として行っているが、回想では風で“徒”をすり潰すといった風を用いた直接攻撃も行っていた。
自在法『インベルナ』は気配察知能力を麻痺させ炎を吹き散らすため、肉弾戦が主なシャナにとっては天敵だった。
また、『風の転輪』や広範囲に警戒のための風をたゆたわせる自在法を持ち、索敵・探索の方面でも群を抜く能力を有していた。
ヨーハンと二人の時は自在法をいじって楽しんだりしていたが、基本的に自在師ではない。ただし、扱う自在法の種類は登場人物中最多であった。

かつては他の“徒”同様、“存在の力”を喰らいながらこの世で放埒を尽くしていたが、とあるきっかけで、ゲオルギウスに肩入れをするようになった。
数十年の後にその息子であるヨーハンの危機を救い、彼を育てつつ一緒に世界を巡ることとなった。
その中でヨーハンと恋に落ち、彼と共に「ずっと一緒にいたい」という願いから作った宝具零時迷子』によって長い年月を共に過ごしていた。
『零時迷子』の力により、毎晩“存在の力”を回復するヨーハンから力を受け渡され顕現するようにして、「人間を喰らわない」という誓いを立てたことで、例外的にフレイムヘイズと敵対しなくなった“徒”。

二十世紀初頭には、かつて、『空裏の裂き手』クロード・テイラーと共闘した際に渡した宝具『ヒラルダ』に込められた自在法で彼の妻に呼び寄せられ、その最後の願いを果たすためにクロードを追ってハワイ諸島に現れた。
その地で、彼の遺言により、ハリエット・スミスを百年近く見守り続けたため、『約束の二人』の消息はその間は途絶えることになった。

本編開始の2年ほど前から“壊刃”サブラクに襲撃され続け、その最初の襲撃の際に巻き込まれたヴィルヘルミナを彼の罠から救い、共に旅する中で友情を育んだ。
しかし、人間であった坂井悠二が死亡し、その喰い滓がトーチに加工されたのと同時期に、ついにヨーハンが致命的な一撃を受け、その際に彼を救うために『零時迷子』の中に封じ、ヴィルヘルミナを助け無作為転移の時間を稼ぐために『ミストラル』でサブラクごと転移した。
共に転移したサブラクを撒いてから、自在法『風の転輪』にて世界中から『零時迷子』の探索を開始。約六ヶ月後(XI巻終盤)についに『零時迷子』を発見し、御崎市に現れた。
悠二の中からヨーハンを甦らせようと試みたものの、彼の代わりに現れたのは“”の腕であった。板金鎧の腕に胸を貫かれて“存在の力”を吸収されたが、ヴィルヘルミナに救われ、その後マージョリーの自在式を利用して表に出たヨーハンと一時的に再会した。
何らかの意図から吉田一美に宝具『ヒラルダ』を渡し、ヨーハンに頼まれた何事かを成すために御崎市を後にした。
その行き先はハワイ島地下の、かつてサラカエルが建造した秘密基地で、フィレスはそこで三つの作業に取りかかった(XVII巻エピローグの、三つの事柄)。

ハワイ諸島一帯に巡らしていた風の警戒網に気配の抜け落ちる領域が発生したことで、『星黎殿』を発見。鳥と魚を使役して追跡し、停泊地点を確かめると、その座標を暗号電文にしてチューリヒの欧州外界宿総本部に送信した。ただしこれは、ヨーハンの指示とは別の独自行動であった。

朧天震』の後に、ヨーハンからの頼み事の一つめである銀色の自在式の改変を終えた。不承不承行っていた二つめの頼み事=[百鬼夜行]の探索にも成功し、アメリカに隠棲していた彼らの前に『風の転輪』で接触した。

御崎市決戦終盤に、吉田一美によって『真宰社』最上部へ召喚された。
その声でヨーハンを目覚めさせ、自身はフレイムヘイズ達を風で牽制。そして[百鬼夜行]が場に現れるとともに、ヨーハンともども合流して戦場からの離脱を計った。
逃避行の最中、永遠を生きられなくなったヨーハンとそれでも共にあるために、改変した『大命詩篇』を核に、互いの存在を縒り合わせて史上初の『両界の嗣子ユストゥスを生み出し、自身はヨーハンと共に消滅した。

【由来・元ネタ、真名考察】
名前の元ネタはメフィストフェレス(Mephisto-Pheles)と思われる。
その名の由来は、諸説ある。ギリシア語の「愛すべからざる光、または、光を愛さない(me tophos philes)」や、ラテン語「mephitis」+ギリシア語「philos」の「悪臭を愛する者」、ヘブライ語の「破壊する(mephir)」「嘘をつく(tophel)」また「嘘つき(mefir)」を合成したものなどである。
なお、ギリシア語の「philes」は「愛する」の意味である(「~フィリア」の語源)。
姿は直立したグリフォンやドラゴンに似ているとされ、人化するときも山羊のような顎髭の顔の尖った男の姿を取る。
頭に一対の角を生やし、背に蝙蝠の翼を持つ。
地獄の大公のひとりで、別名は「空飛ぶ魔神」。炎の術と幻術に優れ、世界中どこからでも物体を取り寄せることが出来るという。
堕天して地獄に堕ちたことを悔やみ、天国に戻りたがっているとされる。

「彩」はものに様々な色を付けて美しくするという意味で、「飄」は旋風またはふらふら流離う、俗世間から離れることを意味する。ここで色付けるというのは様々な効果を与えられて自在法となることだろう。
真名全体と能力から考えると、「超然として世を流離う変幻自在の旋風」という意味だと思われる。
多様な風の自在法を繰り、世界中を飛び回るフィレスに相応しい真名である。

【コメント】
アニメ第2期から登場していた。
☆XVII巻で思案している3つの事柄について、XX巻にて詳細が判明(推測含む)。
 一つは、見つけられた → 『ノーメンクラタ』の発見
 一つは、手こずりそうだ → [百鬼夜行]の探索
 一つだけ、逆らっている → XX巻冒頭にて構築した自在式の実行による『両界の嗣子』の誕生
☆一つめの「見つけられた」は『ヒラルダ』を託すべき人間の女性である吉田一美のことではないでしょうか?「偶然飛び込んできた」「助けたいかどうかは、また別の話」とあるので。また、三つめの「逆らっている」は、『ヒラルダ』の起動条件として≪使った人間は、死ぬ≫と吉田一美に使用を躊躇させかねないことを伝えたことで、だからヨーハンの「ただ実行を」との求めに反しているのではないでしょうか?
☆↑「偶然飛び込んできた」「助けたいかどうかは、また別の話」が両方共一つめの「見つけられた」にかかるとするならば、"吉田一美"ではなく"『星黎殿』の居場所"としたほうが筋が通るのではないか?
☆生き延びていても[マカベアの兄弟]や[]や[狂気の城]や『色盗人』には興味も示さなかっただろうな。
☆[巌楹院]のゴグマゴーグや[とむらいの鐘]の“棺の織手アシズや『九垓天秤ウルリクムミジャリチェルノボーグモレクフワワニヌルタソカルや『両翼』のメリヒムイルヤンカやウルリクムミの副官のアルラウネや[宝石の一味]のフックストンサーイコヨーテイナンナや[マカベアの兄弟]とも絡んでいたら面白そうだったのにな。
☆番外編『かぐやひめのしゃな』では、13話の織姫と彦星で織姫として登場している。
☆番外編『おじょうさまのしゃな』では、招待客の一人として登場している。
☆番外編『さんじゅうしのしゃな』では、フィレス・ドートリッシュ王妃として登場している。

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最終更新:2024年04月19日 06:50