ヴリトラ(Vritra)

人の憎しみから生まれたといわれるドラゴン。名前は「障害」「遮る者」の意。『リグ・ヴェーダ』によれば手足はない。とても巨大である。

天から流れる川をせき止め、旱魃を起こして地上の人を苦しめていたが、インドラ神が自分の骨で作らせた三叉戟「ヴァジュラ?」に弱点であった口の中を貫かれ、倒された。しかし毎年復活してそのたびにインドラ神とあらそっている。

また別の説もあり、神々と(インドラ神と)対立していた工芸神トヴァシュトリ?に作られたものだともいわれる。そのため、生まれると同時に神々に戦いを挑んだが、神々の中のだれも彼をたおすことはできなかった。ヴリトラを恐れたインドラは、土地の半分を渡すという約束でヴリトラと和解した。しかしこれは偽りの契約で、ヴリトラの妻となった女神ラムバ?と組んで、酒で酔ったところで彼の寝首を掻いて倒した。卑怯な方法をとったことはインドラも自覚しており、『マハーバーラタ』5巻10章42-43節では次のように罪の意識にさいなまれている。
「しかしながら、神々を恐れさせる強力なヴリトラが殺されたとき、シャクラ(インドラ)は最高に意気消沈し、自ら犯した虚偽に圧倒された。しかも彼は、以前にトリシラスの件で、バラモン殺しの罪にうちひしがれていた。神々の王は自分の犯した罪により、正気を失い、茫然自失し、諸世界の果てに達し、何もわからなくなった。そしてうごめく蛇のように水中に隠れ住んだ」。

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最終更新:2005年06月21日 18:16