-----051 4月1日 『よっすマコト!』 「よっす〜」 『なあ、マコト……』 「ん?なに?」 『俺……引っ越すことになったんだ』 「えっ! ほ、ほんとに!?」 『うん、よくわからないけど親の都合で……』 「そうなんだ。もう、ケンジと遊べなくなるの……?」 『ああ』 「寂しくなるな……ケンジと、もう遊べないなんて」 『なに、手紙は送るって。そうめそめそすんな』 「えっ! ……ありがと! ぐすっ」 『お、おい、なに泣いてんだよ』 「だって……うれしくて……」 『……』 「でも、ケンジと離れるわけじゃないから……それだけで、うれしいよ」 『……』 「ケンジ?」 『(ちくしょう、そんなに言われたら嘘って言えねえじゃんか……)』 -----052 「ケンジ、さっきからポケットジャラジャラいってるけど……なに?」 『ああ、ビー玉。いま学校で流行ってんだ、ほら(ジャラ)』 「へえ……俺のほうじゃ誰もやってないよ。きれいだな」 『これだけ集めるのには苦労したんだぜ。欲しければひとつやるよ』 「ひとつかよ、けち。……んじゃこのキラキラしたやつ」 『ぐはぁ!よりによってそれかよ!こいつを手に入れるために何個ビー玉取られたか……』 「あ、そんなに大事なやつなの?じゃあほかので……」 『……いや。いいよ』 「え?」 『こいつはマコトにやる』 「……いいのか?」 『俺たちの友情の証だ。ただし約束しろ、一生なくすなよ』 「うん……わかった。大事にする……一生。ありがとうケンジ」 -----053 『おいマコト、これ見ろよ』 「あれ?これって・・・俺にくれたビー玉といっしょじゃん」 『そ。こないだのやつ全部賭けて手に入れた』 「ええっ!?あんなに大事にしてたのに、いいのか?」 『いーのいーの。俺もうカー消しレース派だし。マコトにやっちまってからまたどうしても欲しくなってさ』 「おそろい・・・・だね」 『ああ。おそろい、だ』 「・・・ずっとおそろい、だね」 『しつこいな。そうだっての』 「・・・・・・」 『変なやつだな』 -----054 『マコト、今日チョコレートいくつ貰った?』 「え・・・?おれ・・・は15個かなぁ・・』 『すげぇなぁ〜俺一個も貰えなかったんだぜ・・・』 「おれので良ければ食べる?」 『マジ!?いいのか?俺チョコ大好きなんだ!』 「うん・・・はい、あげる」 『さんきゅ〜!これ滅茶苦茶旨いじゃん! やっぱバレンタインチョコって作った奴の気持ちが入ってるなぁ』 「良かった・・・」 『ん?何がだ?マコトも喰うか?』 「いいよ、喜んで貰えたなら十分」 -----055 「うわぁ、ケンジ、その自転車どうしたの?」 『従兄のお兄ちゃんに貰ったんだ。へっへー、14段変速だぜ、いいだろー』 「うん、すごくカッコイイよ」 『マコトも自転車とってこいよ。今日は遠出しようぜ』 「え。僕、自転車持ってない」←本当はあるけどキ○ィちゃんのだから恥ずかしい 『まじかよ……しょーがねーな』 「ごめん」 『じゃ、後ろに乗れよ』 「ええっ!」 『ほら、早くしろって。飛ばすからしっかりつかまれよ』 「う、うん」 『わはは、くすぐったいって。もうちょっと下』 「(アセアセ)こ、こう?」 『そうそう。手を放すなよ、落っこちるから』 「……(ギュウ)」 『よーし、出発進行ー!』 -----056 「ケンジ!その顔・・・どした」 『ちょっとな。上級生ともめた』 「ケンカ?」 『ケンカじゃねえよ。俺らがサッカーやってたらグランドに割り込んできやがったからさ・・・マコトが心配することねえ』 「・・・で、勝ったの」 『勝った』 「ほら。やっぱケンカだ」 『う・・・いいじゃんか、勝ったんだから』 「・・・でもケンジ、強くなったね」 『ああ。誰にも負けねえ。もっと強くなってやる』 「そっか・・・」 『マコトもヤバイときは言えよ。無敵のケンジ様がいつでもついてるぜ』 -----057 「ケンジはどこの中学にいくの?」 『どこって、ここらへんのやつはみんな○○中学校にいくから、俺もそこだけど』 「ふーん……やっぱそうかぁ」 『マコトは? お前も、○○学校だろ?』 「オレは……私立の、△△中学校」 『へぇーお前、私立いくんだ』 「うん……」 『まぁ、がんばれよな。中学いっても』 「うん!がんばるよ、オレ」 『あっ、そろそろ俺、帰る』 「うん。じゃあな」 『じゃあなー』 「……ケンジ!」 『なんだ?』 「……やっぱ、なんでもない」 ―数日後― 『あれ?△△中学校って、女子校?』 ふと、あの時何か言いたげな顔をしていたマコトを思い出した。 俺は食べている途中だった食事も放り出して、「いつもの場所」の空き地へと走り出した。 -----058 『マコト見ろよ。あの子めっちゃかわいい』 「どこがいいんだよ」 『俺髪が長い子好きなんだよね』 「……髪…伸ばしてみようかな…」 『男は短いほうがかっこいいぜ』 「…男はね」 -----059 「ねぇ、ケンジって女とデートした時ある?」 『ば ば、ばか何言ってんだよ。あるわけねーだろ!』 「じゃ、してみたいと思った時は?」 『うーん、俺はやっぱマコトとかと遊んでる方がいいよ』 「フフ、ありがと」 『おめーおかしなヤツ!』 -----060 『この映画、エロかったなー。特にあの女が乱れるシーン』 「・・・」 『なぁ、マコト?』 「・・・」 『どうした?マコト。腹痛いのか?』 「う、うるさいなぁ!」