BFT妄想記
わしは
市庁舎の一番上にある時計じゃ。ちょうど127年と187日、12時間42分38秒の間、ここから街を見守っておる。おっともう127年と187日、12時間42分43秒じゃな。この127年と187日、12時間42分47秒の間、いろいろなことがあった。
時計がしゃべるかって？馬鹿を言っちゃいけない。すべての時計はちゃんとしゃべれるのじゃ。ふむ。お前さんはどうやら何も知らないらしいの。時計は産まれた瞬間、0秒から声を上げるのじゃよ。そして3時間と14分58秒もすれば自分がなにをすべきか完全に理解するようになる。お前さんたち人間より早かろうて。ではわしが知っているおもしろい話をしてやろうかの。
あれは・・・今から78年と58分と13秒前の話じゃった。おぅ、もう78年と58分と15秒前の話になるの。ほれ、そこに見える公園があるじゃろ。そこの噴水の前でひとりの男がぼけっと立ち止まった。時間で言えばそうさの、48秒だ。ちょうど48秒そこに立って、その男はこうつぶやいたのじゃ。「そうだ。その方がきっといい」そうして男は駅の方に立ち去って行ったのじゃ。その男がどうしたって？そんなことまでわしゃ知らんよ。わしが見ていたのは78年と45分と42秒前にその男が駅に入って行くところまでじゃ。おぅおぅ、もう78年と45分と46秒前じゃな。
なんじゃと、もう少しおもしろい話を聞かせろとな。ふぅむ。それではこんな話はどうじゃ？
今から19年と39分28秒前の話だがいいかね？おおっと、もう19年と39分31秒前になってしまった。ホレそこに見える騎馬警官がおるじゃろ。うむ。そいつじゃ。そいつが騎馬警官になってから19年と42分20秒になるのじゃが、ちょうど19年と39分46秒前に馬に乗った瞬間にその馬が後ろ足で立ち上がりおっての。19年と39分57秒前に転げ落ち寄ったのじゃよ。ふぉうふぉうふぉうっ！おもしろかろう？あぁ、もう19年と39分56秒前の話じゃが昨日のように思い出せるぞ、ふぉうふぉうふぉうっ！
なんじゃと？おもしろくない？こんなにおかしい話なのにのぉ、19年と40分27秒前の話なのに今でも笑えるわ、ふぉうふぉうふぉうっ！
で、お前さんは何しにここに来たのかね？
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最終更新：2009年05月01日 10:23
