(3)3歳未満児の保育に関わる配慮事項

ア 特に感染症にかかりやすい時期であるので、体の状態、機嫌、食欲などの日常の状態の観察を十分に行うとともに、適切な判断に基づく保健的な対応を心がけること。
この時期の子どもの保育では、不機嫌な状態や食欲不振、急な発熱や嘔吐など、わずかな様子の異常や変化にも注意を払い、感染症の早期発見に努めることが特に必要です。普段と比べて、過度に水分を欲しがったり、だるそうに生あくびをしたりする時も、要注意です。症状により必要があれば他の子どもから離し、嘱託医や看護師等の指導の下で、保護者と連携をとりながら対応策を考えます。
保育士等は、普段から、室内の気温や湿度及び換気に注意を払い、手洗いやうがい、消毒等、衛生面にも十分に注意をしておくことが重要です。また感染症に関する知識を習得し、流行状態を把握しておくことも大切です。

イ 食事、排泄、睡眠、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなど、生活に必要な基本的な習慣については、一人一人の状態に応じ、落ち着いた雰囲気の中で行うようにし、子どもが自分でしようとする気持ちを尊重すること。
基本的な習慣については、安心できる保育士等との関係の下で、一人一人の発達過程に合わせ、無理なく行うことが大切です。食事は、楽しい雰囲気の中で、スプーンや箸などを使い、自分で食事をしようとする気持ちを大切にし、嫌いなものでも少しずつ食べられるように言葉をかけていきます。
排泄は、トイレの環境に配慮し、子どもがゆったりとした気持ちで自分から便器に座ったり排泄したりできるよう丁寧に見守ります。優しく声をかけるとともに、一人一人の排泄の間隔や発達過程等に応じて対応していきます。
睡眠については、一人一人が安心して休息をとることができるよう、子どもの生活リズムを踏まえ、その日の状態に応じて環境を整えます。休息をとるための空間や雰囲気などの環境を確保し、職員間で協力しながら対応します。
衣類の着脱に当たっては、丁寧にやり方を伝えながら自分でしようとする気持ちを励まし、徐々に手伝いの手を放していきます。子どもが自分で着やすい服や心地よい素材などにも配慮し、保護者に伝えていきます。
清潔の習慣を子ども自身が身に付けていくことも大切であり、保育士等が一緒に関わりながら、食事の前後や排泄の後の手洗いなどをしていきます。
いずれの習慣も、家庭との継続的な連携を図っていくことが大切です。

ウ 探索活動が十分できるように、事故防止に努めながら活動しやすい環境を整え、全身を使う遊びなど様々な遊びを取り入れること。
歩行の獲得に伴い子どもの行動範囲が広がり、探索活動が活発になります。
また、予測できない行動も多くなります。そのため保育士等は、安全な環境や活動の状態、子ども相互の関わりなどに十分注意を払い、事故防止に努めることが必要です。
子どもの手が届く範囲の物はその安全性などを点検し、危険な物は取り除き、安全な環境を確保するとともに、歩行や遊びの障害にならないようにしていきます。また、十分に全身を動かして活動できるよう、子どもの動きやすい服装を保護者に準備してもらうことも必要です。

エ 子どもの自我の育ちを見守り、その気持ちを受け止めるとともに、保育士等が仲立ちとなって、友達の気持ちや友達との関わり方を丁寧に伝えていくこと。
2歳頃になると、「自分で」と言ったり、「いや」と拒否したりするなど、自己主張が強くなりますが、これは、自我が順調に育っている証拠であり、保育士等はそのような子どもの気持ちをしっかりと受け止めます。自我の育ちとともに、保育士等の手を借りずに何でも自分で意欲的にやってみようとしますが、現実には思いどおりにいかず、多くの場合、保育士等の援助が必要となります。子どもの意欲や自分でやりたい気持ちを尊重しながら、さりげなく手を貸していくことが大切です。
また、子ども同士の関わりが多くなりますが、まだ言葉が十分ではなく、自分の欲求が伝わらないと手が出てしまったり、泣いて訴えたりする姿が見られます。友達とのトラブルやけんかの場面では、保育士等が互いの気持ちを受容し、その気持ちを分かりやすく伝えながら、関わり方を教えたり、仲立ちをしたりしていくことが必要です。保育士等は子どもの遊びや行動、心の動きに十分配慮し、トラブルを未然に防いだり、状況が悪化しないよう見通しを持って対応するようにします。

オ 情緒の安定を図りながら、子どもの自発的な活動を促していくこと。
自我が育ってくると、自分の思いどおりにいかないことや周囲の人に自分の気持ちが伝わらなかったりすることに対し、反抗的な態度を示します。保育所が、子どもにとって安心して自分の気持ちを表せる場であることはたいへん重要です。保育士等は子どもの気持ちを十分に受け止め、触れ合いや語りかけを多くし、情緒の安定を図るようにします。そして、子どもが適切な方法で自己主張できるように、その主体性を傷付けることなく、言葉を補いながら伝えていきます。
子どもは気持ちが安定すると、好奇心が広がり、新たに気付いたことや、自分で成し遂げたことを伝えようと保育士等に働きかけます。このような子どもの姿を十分に認め、共感を示していくことが、子どもの自発的な活動を支えます。子どもが安心感、安定感を得て、身近な環境に自ら働きかけ、好きな遊びに熱中したり、やりたいことを繰り返し行うことは、主体的に生きていく基盤となります。

カ 担当の保育士が替わる場合には、子どものそれまでの経験や発達過程に留意し、職員間で協力して対応すること。
進級などで担当の保育士等が替わる場合には、子どもが不安にならないよう、職員間で一人一人のそれまでの経験や発達の状態などに関する情報を共有し、関わり方が大きく変わらないように注意します。発達過程における個人差が大きな時期であり、特に配慮を必要とする関わりについては、十分に話し合うことが必要です。また、担当が替わることを保護者にも伝え、お互いの情報を交換することで、保護者に安心してもらえるよう配慮します。
子どもが、それまでの保育を通して育ってきた自我や人への信頼感などを基盤に人と関わる力を発揮しながら、新しい担当保育士等との関係を築くことができるよう、職員全体で配慮することが大切です。
最終更新:2009年01月10日 21:37
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