(2) 保育の方法

保育の目標を達成するために、保育士等は、次の事項に留意して保育しなければならない。
ア一人一人の子どもの状況や家庭及び地域社会での生活の実態を把握するとともに、子どもが安心感と信頼感を持って活動できるよう、子どもの主体としての思いや願いを受け止めること。
イ子どもの生活リズムを大切にし、健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境や、自己を十分に発揮できる環境を整えること。
ウ子どもの発達について理解し、一人一人の発達過程に応じて保育すること。その際、子どもの個人差に十分配慮すること。
エ子ども相互の関係作りや互いに尊重する心を大切にし、集団における活動を効果あるものにするよう援助すること。
オ子どもが自発的、意欲的に関われるような環境を構成し、子どもの主体的な活動や子ども相互の関わりを大切にすること。特に、乳幼児期にふさわしい体験が得られるように、生活や遊びを通して総合的に保育すること。
カ一人一人の保護者の状況やその意向を理解、受容し、それぞれの親子関係や家庭生活等に配慮しながら、様々な機会をとらえ、適切に援助すること。

(1)の保育の目標を達成するために、特に留意すべき保育の方法について、アからカまで6つの事項が示されています。アからオが(1)のアと同様、子どもの保育に関わる事項、カが保護者への援助に関わる事項となっています。

①状況の把握と主体性の尊重
まず、保育の方法として、子どもの状況や生活の実態を把握するとともに、生きる主体である子どもの思いや願いを受け止めることの重要性が記されています。
子どもは保育所で生活するとともに家庭や地域社会の一員として生活しています。したがって保育士等は、その生活全体を把握するとともに、家庭での生活と保育所での生活の連続性に配慮して保育することが必要です。
また、かけがえのない存在として、一人一人の子どもの主体性を尊重し、子どもの自己肯定感が育まれるよう対応していくことが重要です。

②健康安全な環境での自己発揮
次に、子どもの保育環境をしっかりと整えることの重要性が示されています。
保育所の長時間にわたる生活の中で、一人一人の生活リズムを大切にするとともに、次第に乳幼児期にふさわしい生活リズムとなるように努め、健康、安全で情緒の安定した生活を送れるようにすることが必要です。また、自己を十分発揮して生き生きと活動できるよう、保育の環境を適切かつ豊かに構成することが望まれます。

③個と集団
子どもの発達について理解し、一人一人の子どもの発達過程と個人差に配慮して保育すること、また、子ども相互の関わりを重視し、集団としての成長を促すことが記されています。
個と集団の育ちは相反するものではなく、個の成長が集団の成長に関わり、集団における活動が個の成長を促すといった関連性に十分留意して保育することが重要です。その際、子どもの成長・発達について継続的に記録をとり、実際の子どもの姿や言動などから学び、保育に生かしていくことが必要でしょう。

④生活や遊びを通しての総合的な保育
さらに、生活や遊びを通して総合的に保育することの重要性が示されています。
子どもにとっての遊びは、遊ぶこと自体が目的であり、子どもは時が経つのも忘れ、心や体を動かして夢中になって遊び、充実感を味わっていきます。遊びには様々な要素が含まれ、子どもは遊びを通して思考力や想像力を養い、友達と協力することや環境への関わり方などを体得していきますが、何よりも今を十分に楽しんで遊ぶことが重要です。その満足感や達成感、時には疑問や葛藤が子どもの成長を促し、更に自発的に身の回りの環境に関わろうとする意欲や態度を育てます。
子どもの発達は様々な遊びや生活体験が相互に関連し合い、積み重ねられていくことにより促されます。例えばある一つの遊びの中でも様々な側面が連動しています。子どもの諸能力は生活や遊びを通して別々に発達していくのではなく相互に関連し合い、総合的に発達していくのです。
こうしたことを踏まえ、保育所の保育が、見通しを持ったものとなるよう計画を立て、保育していきますが、子どもの状況により柔軟に対応することが大切です。また、短期的な結果を重視したり、子どもの活動が特別な知識・能力の習得に偏ることがないよう留意することが必要です。

⑤保護者支援の方法
最後に、保護者への援助の方法が記されています。
保護者支援においては、保護者と一緒に子どもを育てていくといった視点が大切であり、保護者とのパートナーシップが求められます。保護者の気持ちを受け止め、子どもの成長を共に喜び、保護者の子育てを励まし援助していくとともに、日常の様々な場面をとらえながら、継続的な関わりや対話を重ねていきます。
最終更新:2009年01月10日 19:52
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