(2)職員の共通理解と協働性

(2)保育所全体の保育の質の向上を図るため、職員一人一人が、保育実践や研修などを通じて保育の専門性などを高めるとともに、保育実践や保育の内容に関する職員の共通理解を図り、協働性を高めていくこと。

① 保育所職員としての成長
これまで、保育所における研修では、特に一人一人の職員の専門性の向上を図ることに重点が置かれてきました。しかし、保育所の機能や役割が増す中で、組織の一員としての成長もこれまで以上に求められています。
保育所がその責務を十分に果たすために、職員がお互いに協働し、職員全体の一員としての役割をしっかりと担っていくことが期待されているのです。
この組織の一員としての成長は、従来は保育所内でのカンファレンスや職員会議を通して促されていく側面が比較的大きいものでしたが、今後は個々人の専門的な知識・技術を習得していく段階と同様、より意識的・計画的に取り組まれる必要があります。保育所職員としての役割、意識、倫理等に関して、研修の機会を設けることが求められます。

② 組織性を高めるための条件
保育所の専門性は、組織の理念や方針等の共通理解、個人の主体性や意欲、職員間の信頼関係と協働性、評価や研修等の計画的実施などの要素によって向上します。
保育所がそれぞれに掲げている理念や方針について、職員全員が共通認識を持つことが最も大切です。保育の質を高めていくためには、なぜ、そうした理念や方針が必要なのかを、職員一人一人がしっかりと理解する必要があります。理念や方針について理解が深まれば、個人の主体性や意欲が向上し、その実現のために何をすればいいのか、どのような保育や業務が必要なのかを自ら考え判断するようになります。職員の間に目指す目標が共有されることで、その目標に向かって協力することの重要性も深く認識するようになり、職員の協働性が高まっていくのです。
ただし、理念や方針は、会議や文書などによる一通りの説明だけで、職員間に浸透するものではありません。施設長や主任保育士をはじめとするリーダー的立場の職員が常に組織としての役割や使命、目標や将来展望を、職員だけではなく保護者や社会に対して表明する必要があります。また施設案内や保育所のしおり等に掲載するなど、いつでも職員や保護者が確かめることができるようにすることも大切です。職員が常に理念や方針に触れたり、話し合ったりする機会を積み重ねることで定着していくものです。

③ 保育の内容や職務内容の共通理解
また、保育の内容について職員の共通理解も不可欠です。職員間での密な連携による保育を実践するためには、どのような保育を行うのか、その内容全体を各自がよく理解しておく必要があります。特に、毎年作成する事業計画をはじめ、保育の内容の根幹となる保育課程や具体的な計画である指導計画のほか、実践や評価に関する記録など、保育の質の向上に関するものについては、共通理解を持つ機会を計画的に設けるようにします。
さらに職務内容についての共通理解も大切です。子どもの保育及び保護者支援は、保育所の方針のもとに組織される職務分担やクラス担任配置等によって計画的、組織的に実施されます。その際、職員同士がそれぞれの職務内容についてよく理解し合うことで、どのような場合にどのような連携が必要なのか判断できるようになり、それによって、それぞれの専門性を発揮した職員の協力体制が可能となります。
このように、職員が共通理解を深め、相互の信頼関係が強まることで、自らの実践への自己評価や研修、自己研鑽への意欲が高まっていきます。
子どもの最善の利益の実現のために、組織として高いモチベーションを共有した職員の集まりが、保育所全体の保育の質を高めていくことになります。
最終更新:2009年01月10日 23:15
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