(1)保育所職員に求められる専門性と人間性

職員の資質向上に関しては、次の事項に留意して取り組むよう努めなければならない。

(1)子どもの最善の利益を考慮し、人権に配慮した保育を行うためには、職員一人一人の倫理観、人間性並びに保育所職員としての職務及び責任の理解と自覚が基盤となること。
保育の質の向上を図るには、職員一人一人の資質向上がまず基本となります。
保育所保育においては、職員が子どもを大切に思い、日頃から子どもと心が通い合うようにすることが大切です。保育士等が子どもの気持ちを受け止めて柔軟に保育を行い、子どもの保護者や地域への子育て支援を行っていくためには、様々な知識と技術及び適切な判断が求められます。
保育士の専門性については第1章(総則)で規定されましたが、子どもの保育と保護者の援助を行っていくためには、すべての保育所職員に対してそれぞれにふさわしい専門性が必要です。
同時に子どもの最善の利益を考慮して保育するためには、職員の人間観、子ども観などの総体的なものとして現れる人間性や、保育所職員として自らの職務を適切に遂行していく責任に対する自覚が必要です。その上で、子どもの人権を尊重することへの格段の配慮が求められます。
また、保育所の職員は、その言動が子どもあるいは保護者に大きな影響を与える存在であることから、特に高い倫理性を求められます。一人一人の職員が備えるべき知識・技術や判断及び人間性は、時間や場所、対象を限定して発揮されるものではなく、日頃の保育における言動のすべてを通して表出するものです。これらが高い倫理観に裏付けられたものであってはじめて、子どもや保護者に対する援助は十分な意味や効果を持ちます。プライバシーの保護や子どもの立場に立ってそのニーズを代弁することなど、職員が持つべき倫理性の具体的な内容については、職種により関係団体において倫理綱領などが定められています。
こうしたことを一人一人が十分に理解し常に認識しながら、日頃から職場内研修や職場外研修、自己研鑽により保育の専門性を高めることが重要です。
このような保育所職員として求められる専門性や人間性は、自らの考え方や生き方と深く関係しており、主体的に向上させようとする意思がなければ高まりません。
なお、保育士については、全国保育士会において、保育の更なる質の向上を目指し、保育士資格の法定化を機に「全国保育士会倫理綱領」が定められています。



◎コラム:
全国保育士会倫理綱領
すべての子どもは、豊かな愛情の中で心身ともに健やかに育てられ、自ら伸びていく無限の可能性を持っています。
私たちは、子どもが現在(いま)を幸せに生活し、未来(あす)を生きる力を育てる保育の仕事に誇りと責任をもって、自らの人間性と専門性の向上に努め、一人一人の子どもを心から尊重し、次のことを行います。

私たちは、子どもの育ちを支えます。
私たちは、保護者の子育てを支えます。
私たちは、子どもと子育てにやさしい社会をつくります。
(子どもの最善の利益の尊重)

1.私たちは、一人一人の子どもの最善の利益を第一に考え、保育を通してその福祉を積極的に増進するよう努めます。
(子どもの発達保障)

2.私たちは、養護と教育が一体となった保育を通して、一人一人の子どもが心身ともに健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境を用意し、生きる喜びと力を育むことを基本として、その健やかな育ちを支えます。
(保護者との協力)

3.私たちは、子どもと保護者のおかれた状況や意向を受けとめ、保護者とより良い協力関係を築きながら、子どもの育ちや子育てを支えます。
(プライバシーの保護)

4.私たちは、一人一人のプライバシーを保護するため、保育を通して知り得た個人の情報や秘密を守ります。
(チームワークと自己評価)

5.私たちは、職場におけるチームワークや、関係する他の専門機関との連携を大切にします。また、自らの行う保育について、常に子どもの視点に立って自己評価を行い、保育の質の向上を図ります。
(利用者の代弁)

6.私たちは、日々の保育や子育て支援の活動を通して子どものニーズを受けとめ、子どもの立場に立ってそれを代弁します。
また、子育てをしているすべての保護者のニーズを受けとめ、それを代弁していくことも重要な役割と考え、行動します。
(地域の子育て支援)

7.私たちは、地域の人々や関係機関とともに子育てを支援し、そのネットワークにより、地域で子どもを育てる環境づくりに努めます。
(専門職としての責務)

8.私たちは、研修や自己研鑽を通して、常に自らの人間性と専門性の向上に努め、専門職としての責務を果たします。


最終更新:2009年01月10日 23:14
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。