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シナリオイメージ1-2


白い息が立ち上る。今夜も相当冷えそうだ。
通りに飾り付けられたイルミネーションが季節を物語っている。
「あと1週間か……」
クリスマスまであと1週間。同時に俺の学園の祭の日も1週間後であることを意味する。
聖夜祭と名付けられたその祭は、文字通りクリスマスを祝うものだ。
その豪勢な飾りつけはちょっとしたもので、一般の見物客も大勢訪れるほどらしい。
一緒に祝う相手もいない俺には甚だ縁のない祭ではあるが、実行委員に任命されてはしぶしぶ参加するほかない。
しかしそんな一大行事も今の俺にはどうでもいい事になってしまっていた。
あの白い女の子……一体何者なのか。
仙女のように長く白い髪。そして赤い夕日の中から生まれ出でたような、血のように赤い瞳。
浮世離れしたその風貌に、いまだに現実味を感じることができない。
「いらっしゃいませー」
コンビニ店員の元気な声が俺を迎える。
「なにはともあれ飯だな」
あれこれ考えたところで答えがでるわけもない。まずは腹の虫を治めるのが先決だろう。
『ビッグな大盛り! 納豆キムチなペペロンチーノ』
近所にコンビニはここしかないため、時間を逃すと全く何も残らないこともしばしばだ。
弁当コーナーにはすでに、この見るからに臭いそうな弁当しか残されていなかった。
というか既に納豆とキムチの臭いがあたりに漂っている。暖めたらさらにニンニクの臭いがプラスされることだろう……。
いつもなら商店街のほうまで足を伸ばすのだが、あいにく今は時間がない。
「まあ、ものは試しだよな……」
あきらめてその弁当をカゴに入れる。臭い……これは暖めないで持って帰った方がよさそうだ。
あの子にこれを食わせるわけにもいかないよな。かわりに菓子でも買おうかと悩んでいたいた時だった。
「だからのう、格好いいお兄さん。まけてくれ!」
店内にかわいらしい女の子の声がひびく。
レジのほうを見れば初詣にはまだ早いというのに、振り袖を着た小さな女の子が店員に詰め寄っていた。
背は120cmあるのだろうか。身を乗り出すたびに、ぴょこぴょことツインテールが跳ねている。
「いや、だからまけろといわれてもね……」
「これほど頼んでいるというのに、それでもおぬしは男か! この100円のパンを50円にまけるだけではないか」
そいつは無茶だろう。
「いや半額にしろっていわれてもね……子供料金じゃないんだから」
「みくびるでない! 一人の女として交渉しておるのだ。ええい、わかった60円だ。これ以上はどうにもならん!」
「いやこっちもバイトだからさ……1円もまけるわけにはね」
「ええい、まだいうか! おぬしには商売人の意地というものがないのか。客との付き合いを……」
どちらも折れることのない、不毛な戦いが繰り広げられていた。
「その子のも一緒でお願いします」
カゴをレジに置きそう告げる。このままでは俺の会計がいつになるかわからない。
「あ、ありがとうございますー」
やっと解放されると思ったのだろう。店員が油ぎった満面の笑みを浮かべる。
「なんだおぬしは? わらわは施しなぞ受けんぞ!」
やぶ蛇だった……。女の子がキッっとこちらを睨む。
「い、いや。そうだ、これはおごりだ。熱い心意気にうたれてだな」
沈黙……。
「そうか……おごりか」
「あ、ああ……」
「おごりなら仕方ないのう」
女の子がそうつぶやきながらそっぽをむく。どうやらまるく収まった……のか?
「ありがとうございましたー」
ほっとしたのか店員の声がいつもよりうれしそうだった。