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■原発11Ⅴより
最新の情報は、■原発?

101215 年間20ミリシーベルト「発がんリスク低い」 政府見解 [朝日]

 低い放射線量を長期間浴びた影響をめぐり、内閣府の有識者会議は15日、年間20ミリシーベルト(Sv)の放射線量を避難区域の設定基準としたことの妥当性を認める報告書をまとめた。そのうえで、線量を少なくするよう除染の努力を要請。子どもの生活環境の除染を優先することも提言した。

 東京電力福島第一原発の事故後、避難基準の健康への影響を判断したのは初めて。細野豪志原発相は会議後、記者団に「20ミリシーベルトで人が住めるようになるということだ」と述べた。野田政権はこれを踏まえ、原発事故による避難区域を縮小する準備に入る。

 この有識者会議は「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ」(共同主査=長瀧重信・長崎大名誉教授、前川和彦・東大名誉教授)。発足からわずか1カ月余りで、報告書をとりまとめた。

 避難区域の設定基準については、国際放射線防護委員会が原発事故による緊急時被曝(ひばく)を年間20~100ミリシーベルトと定めていることから「安全性の観点からもっとも厳しい値を採用」と指摘。チェルノブイリ原発事故後1年間の被曝限度が100ミリシーベルトだったことを挙げ、「現時点でチェルノブイリ事故後の対応より厳格」と評価した。

 年間20ミリシーベルトを被曝した場合の影響は、「健康リスクは他の発がん要因と比べても低い」と明記。「単純に比較することは必ずしも適切ではない」とことわりながら、「喫煙は(年間)1千~2千ミリシーベルト、肥満は200~500ミリシーベルト、野菜不足や受動喫煙は100~200ミリシーベルトのリスクと同等」などといった目安を例示した。また、一度の被曝より長期間にわたって累積で同じ線量を浴びた方が「発がんリスクはより小さい」との考えを示した。

 被曝によるリスクを減らすために、除染の目標として「2年間で年間10ミリシーベルト、次の段階で同5ミリシーベルト」と段階的な目標の設定も提言。一方、放射線の影響を受けやすいとされる子どもについては、「優先的に放射線防護のための措置をとることは適切」と要求。避難区域内の学校を再開する条件として、学校での被曝線量を年間1ミリシーベルト以下にするよう主張した。

101216 鳥取県と中国電、原発安全協定締結へ 10キロ圏外は初 [朝日]

 島根原子力発電所(松江市)から最短17キロに位置する鳥取県と、同原発を運転する中国電力が、原発事故発生時の補償や異常時の直接連絡などを盛り込んだ安全協定を締結する見通しとなった。中国電と協議を続けてきた同県の平井伸治知事が15日、明らかにした。

 県によると、締結すれば、原発から8~10キロとされてきた防災対策重点地域(EPZ)の圏外にある自治体では全国初となる。年内に中国電と協議会を開いて最終的な交渉をする。

 東京電力福島第一原発の事故を受け、県は、島根県と隣接する境港、米子両市とともに、中国電側と安全協定に向けた協議会を設立。島根県、松江市の安全協定を基に19項目で協定を結ぶように要望してきた。

 先月25日までに中国電側から回答があり、放射線の測定▽運転状況などについての平常時からの連絡▽放射能漏れの際の直接連絡▽事故発生時の周辺住民への補償――など15項目について合意した。

101206 明治の粉ミルクからセシウム 規制値は下回る 無償交換 [朝日]

 食品大手の明治は6日、生後9カ月以降の乳児向け粉ミルク「明治ステップ」から、1キロあたり最大30.8ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。乳製品の国の暫定規制値である1キロあたり200ベクレルは下回っているが、明治は新たな商品と無償交換する。

 850グラム入り缶で賞味期限が「2012年10月」の商品が対象。36万缶が出荷され、全国のドラッグストアやスーパーなどで4月以降に販売していた。

 明治によると、対象商品は埼玉県春日部市の工場で3月14~20日に生産した。原料の牛乳は11日以前に生産されたが、乾燥させるために使った空気に、東京電力福島第一原発から飛んできた放射性物質が混じっていたとみている。今月3、4日の検査で検出された。3月21日以降の製造分については「放射性物質は検出されていない」(広報)としている。

 厚労省によると、原発事故以降、粉ミルクからセシウムが検出されたのは初めて。30ベクレルを検出した粉ミルクの安全性について担当者は「飲む際にはさらに薄まる。健康への影響はないと言える」と話している。

111129 福島から県外への避難6万人突破 3カ月で約9千人増 [朝日]

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で福島県から県外に避難している人の数が、6万人を突破した。8月中旬に5万人を超えており、それから約3カ月で約9千人増えた。

 福島県によると、今月16日時点の県外への避難者は、住民票を移している人と移していない人を合計して6万251人。県外避難者は、子どものいる家庭を中心に夏休み期間に急増したが、その後も増え続けているという。県内避難者は約9万3千人。

 福島県からはすべての都道府県に避難しており、山形県の1万2734人、東京都の7318人、新潟県の6569人、埼玉県の4705人の順に多い。この3カ月間の伸び方をみると、埼玉県がほぼ倍増しており、神奈川県が約44%増。大阪府約31%増、宮崎県約34%増、沖縄県約33%増など、遠い地域への避難者も増えている。

111124 川内原発増設の「協力金」、既に9億円分配 地元漁協 [朝日]

 川内原発(鹿児島県薩摩川内市、原子炉2基)を巡り、地元の川内市漁協が、3号機が増設された場合の漁業補償などとして九州電力から支払われる62億円のうち「協力金」の一部、計約9億円を、組合員約430人に分配していたことが分かった。協力金は原子炉増設を前提とした補償と一体との見方が漁協にはあり、漁師の間から「受け取ってよかったのか」と疑問視する声が出ている。

 福島第一原発の事故の影響が広がる中、原子炉増設の手続きは全国で止まったままだ。

 3号機増設に伴い九電が漁協に支払うことになっているのは、漁業補償44億円と漁業振興協力金18億円の計62億円。昨年11月に妥結し、補償の頭金10億円と協力金全額の計28億円が同12月に漁協に支払われた。

111124 阿武隈川から海へ1日500億ベクレル 放射性セシウム [朝日]

 福島県中央部を流れる阿武隈川から海に流れ出る放射性セシウムの量が1日あたり約500億ベクレルにのぼることが京都大、筑波大、気象研究所などの合同調査で分かった。福島第一原発事故に伴い、東京電力が4月に海に放出した低濃度汚染水のセシウムの総量に匹敵する。専門家は継続的な監視が必要としている。

 阿武隈川は福島県郡山市や福島市を北上、宮城県岩沼市で太平洋に注ぐ。流域面積は5400平方キロで、事故による汚染が大きい地域が広く含まれる。

 京大などは文部科学省の委託を受け、6月から8月にかけ、本流の中流や河口付近、福島県内の支流で流量や放射性セシウムの量などを観測。運ばれるセシウムの総量をはじき出した。

111122 原発の発電コスト、従来の4割高 政府データ使い試算 [朝日]

 政府の「エネルギー・環境会議」のコスト等検証委員会の公開データで原発の発電コストを試算したところ、発電量1キロワット時当たり約7.7円となり、2004年の政府試算より約4割高となった。検証委は12月中に火力など他の発電コストの試算も終え、来年夏をめどに政府のエネルギー基本方針を見直す。

 朝日新聞は検証委の委員を含む複数の専門家に試算を依頼した。試算に使ったデータは検証委が公開した原発建設費や人件費、燃料費など。経済産業省資源エネルギー庁が04年に行った試算の条件とほぼそろえ、原発出力は120万キロワット、稼働率が80%、稼働年数は40年などと想定。原発から出る使用済み核燃料は中間貯蔵後に再処理するとした。

 計算方法は国際エネルギー機関(IEA)でも一般的に採用されている方法を使い、資本費と運転維持費、燃料費の合計を発電電力量で割ってコストを計算。資源エネ庁が04年に試算した原発コストは約5.3円だったが、今回の試算では物価上昇による建設費の増加などもあり約6.5円になった。

111121 がれき処理受け入れ、全国知事に要請 野田首相 [朝日]

 野田佳彦首相は21日、首相官邸で全国都道府県知事会議に出席し、東日本大震災の被災地のがれき処理について「広域処理について一部の自治体からご協力いただいているが、安全性の確保に万全を期すので、さらなるご協力をお願いしたい」と述べ、全国の知事に受け入れを求めた。

 がれきの広域処理は、放射性物質が飛散する心配から、受け入れ先の決定が難航している。細野豪志環境相は首相発言に先立ち、「このままのペースだと3年以内の処理終了は見込めない」と語り、安全性の確認と自治体への協力要請に力を入れる考えを示した。

 一方、知事からは子ども手当の地方負担を来年度から1兆円程度に倍増させる厚生労働省案について「地方を国に隷属させる事業はやめていただきたい」(全国知事会長の山田啓二・京都府知事)、自動車取得税を廃止するという民主党案についても「7割が市町村の財源で、廃止は暴論だ」(石井隆一・富山県知事)といった批判が出た。


111120 「長期の低線量被曝」ようやく有識者会議 12月報告書 [朝日]

 年間20ミリシーベルトに満たない被曝(ひばく)が長期間続くと人体にどんな影響があるのか――。専門家でも意見が割れる「長期低線量被曝」について、政府内で検討が始まった。親たちの不安を背景にようやく動き出したもので、12月上旬に報告書をまとめることになった。

 検討を始めたのは、内閣府に設けられた有識者による「低線量被曝のリスク管理に関するワーキンググループ」(共同主査=長瀧重信・長崎大名誉教授、前川和彦・東大名誉教授)だ。今月9日に初会合を開き、週1~2回のペースで12月上旬まで計8回の会合を予定。細野豪志原発相ら政務三役も随時加わって、議論を重ねている。

 最大のテーマは「年間20ミリシーベルト」で線引きすることの是非だ。これは、東京電力福島第一原発事故で設けられた計画的避難区域や特定避難勧奨地点の基準となっている。


111117 政府・東電が新工程表 「冷温停止ほぼ達成」に疑問の声 [朝日]

 政府と東京電力は17日、福島第一原発の事故収束の道筋を示した工程表の改訂版を発表した。原子炉が安定して冷却され、外部への放射性物質の飛散もさらに減り、目標の「冷温停止状態」はほぼ達成し、国の評価を待つ状態とした。年内に目標達成できるとの見通しを改めて示した。

 原子炉の冷却は、事故を起こした1~3号機の原子炉圧力容器底部の温度が37~68度で、冷温停止状態の条件としている「100度以下」を維持しているという。燃料が一部漏れているとされる原子炉格納容器内の気体の温度も39~70度に下がったという。

 放射性物質の新たな飛散は、発電所の敷地境界で毎時6千万ベクレルと評価。1カ月前に示した暫定値(毎時1億ベクレル)より下がった。事故の影響で余計に受ける被曝(ひばく)量も年0.1ミリシーベルトに下がり、目標の年1ミリシーベルトを下回るという。

 細野豪志原発担当相は「圧力容器の外に漏れた燃料も含めて安定した冷却ができている。維持できるかを1カ月半で慎重に確認する」と話した。現在、経済産業省原子力安全・保安院が専門家の意見を聞き、評価作業を続けている。

 ただ、「圧力容器の底部が100度以下」といった条件には疑問点が多い。冷温停止とはもともと、正常な状態の原発が安定する目安だからだ。福島第一原発では核燃料や制御棒が高温で溶け落ち、一部は格納容器に漏れている。

 保安院が10月に開いた会議でも、専門家から疑問の声が相次いだ。

 山口彰大阪大教授は、原子炉底部の「100度」にこだわりすぎるべきではないと疑問を投げかけた。溶け落ちた燃料の温度や場所はよくわかっていない。圧力容器底部に注目するのは、ほかに測る場所がなく、燃料に比較的近いとみられるからに過ぎない。

 九州大の工藤和彦特任教授は「現在の状態は『注水停止』とでも言うべきだ」と指摘。肝心の注水システムは、通常の冷却装置が壊れ、敷地内に約4キロのホースを引き回した仮設装置で何とか原子炉を冷やしているのが現状。放射性物質の放出も減ったとはいえ、格納容器や建屋の密閉機能は失われたままだ。

111114 「福島原発の放射性物質、西日本にも」研究チーム解析 [朝日]

 東京電力福島第一原発の事故で大気中に放出された放射性物質が、西日本や北海道にも拡散しているとの解析を日米欧の研究チームがまとめた。15日の米国科学アカデミー紀要電子版に発表する。文部科学省は長野・群馬県境で汚染の広がりはとどまったとの見解を示したが、以西でも「わずかだが沈着している可能性がある」と指摘した。

 米宇宙研究大学連合(USRA)の安成哲平研究員らの研究チームは、大気中の汚染物質の拡散を20キロ四方で計算するシステムを使い、事故後の天候や雨による放射性物質の降下を加味してシミュレーション。文科省によるセシウム137の測定値で補正して、3月20日から4月19日までの沈着量を算出した。

 分布状況は文科省の観測の傾向と一致していたが、岐阜県や中国・四国地方の山間部で、原発由来の放射性物質が沈着している可能性が示された。北海道にも広がりがみられた。

111105 国内は脱原発、でも輸出は推進 枝野経産相「矛盾せぬ」 [朝日]

 枝野幸男経済産業相は5日、東日本大震災後に停滞している原発輸出について、相手国から要請があれば輸出するべきだとの考えを明らかにした。都内の早稲田大学で行った講演で、「わが国がいま持っている技術について海外の評価にこたえるのは、むしろ国際的な責任だ」と語った。

 枝野氏は、原子力にはプラス面がある一方でリスクもあると指摘。「リスクをどの程度重視するかは国によって違う。地震や津波がない国もあるが、日本は圧倒的に原子力を使うには適さない」と述べ、国内での原発の新規立地には否定的な考えを示した。

 そのうえで、原発依存を減らすことと輸出推進との関係について、枝野氏は「(原発)技術を国内で使わなくなるかもしれないが、(外国が)評価するなら、それにこたえることは矛盾でない」と話した。

111105 電力2社から計157億円 青森・東通村、使途明かさず [朝日]

 青森県東通村が、村内で原発を立地・建設中の東京電力と東北電力から、約30年間に計約157億円を受け取っていたことが分かった。電力2社は「寄付金」や「負担金」として支出したと説明するが、村はこれらの資金を予算の「雑入」に分類して見えなくしていた。使い道の詳細も明らかにせず、不透明な財政運営を続けていた。

 東通原発では、東電と東北電が2基ずつ建設する計画で、東北電は2005年に1号機の運転を開始した。電力2社の資金に、国が原子力施設の立地自治体に支払う電源三法交付金を加えると、02年度は計41億円に達し、村予算の38%を占めた。村は潤沢な原発マネーを使い、94億円を投じた東通小・中学校の建設など施設整備を進めている。

 電力2社によると、資金提供は村の要請に応じて1983年度から始まり、2社が受益者となるインフラの整備に充てるための「負担金」と、地域振興向けの「寄付金」として支出。会社関係者によると、東電と東北電の負担割合は2対1。自治体への資金提供では最大規模とみられる。

 一方、村はその使途について、道路や上下水道などの整備費、漁業施設の建設費などに充てたとだけ説明し、個別の事業費などを公表していない。

111031 九電玄海原発4号機、近く再開 保安院から「妥当」評価 [朝日]

 九州電力は31日、作業ミスで止まった佐賀県玄海町の玄海原発4号機(118万キロワット)の運転を近く再開すると発表した。九電は経済産業省にトラブルの原因と対策を報告、31日付で原子力安全・保安院から「おおむね妥当」という評価を受けた。

 止まっている原発の運転再開は東京電力福島第一原発事故以来、初めてになる。ただ「やらせメール」問題で九電への信頼が揺らぐ中、地元は慎重な姿勢で臨むとみられる。

 経済産業省原子力安全・保安院は「地元への説明、同意なしの運転再開はありえない。説明を尽くすべきだ」としている。九電は地元の佐賀県や玄海町にも再開の方針を伝えており、九電幹部は「地元への説明をすませたので、数日中に再開したい」と話している。

111025 核燃料再処理コスト、直接処分の2倍 原子力委が試算 [朝日]

 国の原子力委員会は25日、原発のすべての使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し再利用する現行の「再処理」のコストは、再利用せずに地中に埋める「直接処分」のコストの2倍になるという試算を発表した。7月に原発の依存度を減らす方針を示した政府のエネルギー・環境会議に報告する。同会議は来夏をめどに政権のエネルギー戦略の基本方針「革新的エネルギー・環境戦略」をまとめる際の判断材料にする。

 東京電力福島第一原発事故が起きるまで、国内の原発54基からは毎年約1千トンの使用済み核燃料が出ていた。これを(1)全て再処理する(2)半分を再処理し、半分は約50年間、施設で保管する(中間貯蔵)(3)発電から54年後にすべて直接処分、という三つのシナリオについて試算した。

 金利3%の場合、(1)は再処理などの費用がかかり、1キロワット時あたり1.98円になった。(2)は一時的に燃料を保管しておく費用がかかり1.39円。(3)は使用済み核燃料を地中に坑道を掘って埋める費用がかかり、1.00~1.02円になった。

111024 東電の黒塗り手順書、一転して全面的に公表 保安院 [朝日]

福島第一原発1号機の事故時運転操作手順書。東京電力は半分の非公開を望んだが、経済産業省原子力安全・保安院は個人名以外はすべて公開した

 経済産業省原子力安全・保安院は24日、東京電力福島第一原発1号機の事故時の運転操作手順書について、氏名や役職名を除いて全面的に公表した。東電が大半を黒塗りにしたものを衆議院に提出して問題になっていたが、保安院は大部分は公表可能と判断した。

 公表したのは1750ページある手順書のうち、事故に関係する約170ページ。保安院が同日開かれた衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会の理事会に提出した。1号機の残り部分と、2、3号機分は年内に順次公表するという。

 東電は核テロ対策や知的財産保護の観点から手順書の中身の半分を非公表にするよう保安院に要請したというが、保安院は、テロ対策については公表を制限すべきものはないと判断。知的財産についても、事故の原因究明の社会的な公益性を優先して公表すべきだと判断した。


111024 東電、国に1200億円請求 原発事故賠償の補償契約 [朝日]

 東京電力は24日、福島第一原発事故の損害賠償で支払い済みの約1500億円のうち、1200億円分について原子力損害賠償法で定められた国の保険制度に基づいて国に支払いを請求した。国は審査のうえ、30日以内に東電に支払う。

 原発事故に備えた保険制度には国と結ぶ「補償契約」と民間保険がある。今回のような地震による事故では国の補償契約に基づき原発1カ所あたり最大1200億円が支払われる。

 原発を持つ電力会社がこれまでに政府に支払った保険料は、全体でも約150億円に過ぎず、東電に支払われる1200億円の大部分は税金が充てられる。

111024 住民有志「大熊町内に汚染土の中間貯蔵施設を」 [朝日]

 東京電力福島第一原発がある福島県大熊町の住民有志が24日、細野豪志原発担当相と東京都内で面会した。住民側は、放射性物質を取り除く除染の作業で出る汚染土を管理する中間貯蔵施設の町内設置を要望した。

 中間施設を福島県内に設置する方針の野田政権に対して福島県などが反発する中、地元から受け入れを求める意見が出るのは初めて。

 要望したのは6月に町民有志で発足した「大熊町の明日を考える女性の会」の11人。代表の木幡ますみさんは細野氏に「(除染で)廃棄物がたまりにたまってくる。放射線量が全然低くならず、帰れるという現実ではないので(中間施設は)大熊しかない。そのかわり定住の環境、土地、家や農業の土地を政府で示してほしい」と提案。帰還を当面あきらめて中間施設を受け入れる代わり、原発から半径20キロ圏内の警戒区域の外に町民が集団移転できる環境を整えるよう求めた。

111024 千葉・柏市、放射線量の測定強化 [朝日]

 千葉県柏市の市有地で高濃度の放射性セシウムが検出された問題を受け、市は24日、放射線量の測定態勢の強化方針を決定した。内容は(1)11月末を目標に市が所有、管理する全ての施設や土地の空間放射線量の測定と公表(2)市民・団体などからの要望に基づく私有地の測定(3)放射線量の簡易測定器の貸し出し――の3項目。

 市資産管理課によると、市が管理する土地は1350カ所、405万7231平方メートルに及ぶ。私有地の測定は、原則として土地所有者の許可のもとで行い、11月1日午前9時から受け付ける。測定器の貸し出しは11月中旬から開始予定。

 測定の結果、毎時1マイクロシーベルト以上(地表から1メートルの高さ)の数値が測定された場合は、文部科学省に通報するとともに、除染の支援を要請する。

111024 小中学生の体内から少量のセシウム 福島・南相馬で検出 [朝日]

 福島県南相馬市の市立総合病院は、9月下旬から検査した市内の小中学生の半数から少量の放射性セシウム137が検出されたことを明らかにした。事故直後に呼吸で取り込んだものか、事故後に飲食物を通じて取り続けたものか不明のため、病院の責任者は「定期的に調べて健康管理につなげたい」と話している。

 小中学生527人を最新の内部被曝(ひばく)測定装置で調べたところ、199人から体重1キロあたり10ベクレル未満、65人から同10~20ベクレル未満、3人から同20~30ベクレル未満、1人から同30~35ベクレル未満のセシウム137を検出した。

 セシウム137が半分になるまでは約30年かかるが、体からは便などとともに排出されるため、大人で100日程度、新陳代謝が高い小学校低学年生で30日程度で半分が出ていく。

111018 中電、3年間で26億円寄付 県と浜岡周辺4市に [中日]

 中部電力が本年度までの3年間に、浜岡原発がある静岡県と御前崎市など周辺4市に総額26億3000万円を寄付していたことが分かった。各市は病院建設や設備購入などに充てており、寄付金の一部は県や4市側から催促した形。寄付自体に違法性はないものの「原発とカネ」のいびつさを浮き彫りにしている。
 26億3000万円の内訳は、県に16億3000万円、御前崎、掛川、菊川、牧之原の4市に各2億5000万円。
 県や中電の見解では、16億3000万円は、運転30年以上となる原発が立地する県に国から支給される「地域共生交付金」の肩代わり。浜岡1、2号機が対象になった。
 交付金は2008年度から支給が始まったが、阪神大震災を受けた耐震基準の改定に伴い、中電は08年末に1、2号機の廃炉を決定。5年間支給される予定だった交付金は1年で打ち切りとなった。
 県と4市は09年春、交付金を当て込んで既に計画した事業への「配慮」を要請。中電はこれに応じ、同年度に2億8000万円、10年度に8億9000万円、本年度も9月末に4億6000万円を寄付した。来年度も5億7000万円を予定する。
 県は全額を4市に配分。各市は、道路の拡幅や水道管の耐震化、学校の補修工事などに使った。県企画課は「中電側の事情でもらえなくなったのだから地域振興に配慮してもらった」と話す。
 一方、4市によると、直接分の計10億円は昨春に寄付があった。浜岡4号機では昨年度、使用済み燃料から取り出したプルトニウムを再利用する「プルサーマル」が計画されており、「その協力金として受け取った」としている。それぞれ病院建設や設備購入などに充てている。
 プルサーマルは、07年に開かれたシンポジウムで、経済産業省原子力安全・保安院が「やらせ質問」を中電に要請したことが明らかになっている。駿河湾地震の影響などで実現はしていない。
 中電の広報担当者は本紙の取材に「静岡県への寄付は、事業の公共性や社会的貢献度などを検討した上で決めた。その他の寄付の有無は相手方のあることなので明らかにできない」と述べた。
「自治体の感覚まひ」全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士
 交付金がもらえなくなったら、計画は見直すべきだ。肩代わりを電力会社に求めるとは、「麻薬中毒」とまでいわれる原発立地自治体の感覚がまひしている証拠。プルサーマルへの協力金も「金を払うから賛成してくれ」と言っているのと同じ。自治体の自立性を害し、政策をねじ曲げる元凶だ。電力会社は「民間企業」を盾に情報開示に消極的で、自治体も寄付額を公にしてこなかった。一企業が何億円も寄付するなんて聞いたことがない。

111018 「やらせ問題」県議会特別委 郷原氏との質疑 [西日本新聞]

 九州電力の「やらせメール」問題を検証した九電第三者委員会の元委員長、郷原信郎弁護士が、17日の県議会原子力安全対策等特別委員会に参考人として出席した。大勢の傍聴者が見守る中、約6時間(中断を含む)に及ぶ県議との質疑で、郷原氏は、古川康知事が辞任を示唆したとされる会話の詳細に加え、第三者委の指摘を最終報告に盛り込まなかった九電の対応を批判した。郷原氏と県議の主なやりとりは次の通り。

■知事との面談

 -委員長就任前、知事に会ったのか。

 第1回会合前日の7月26日夜、福岡市のホテルで2人で会った。第三者委の調査が始まる前に、九電の真部利応社長から見せられた知事の発言メモについて、認識を共有し、アドバイスをしたかった。調査が進み、県政に混乱が生じる前に「早期辞任などの対応をした方が政治的ダメージが少なくて済むのでは」と話した。

 -知事はどう答えた。

 「九電社員に投稿を求めるつもりはなかった」「(国主催の)説明番組でも投稿を要請した記憶はない」。辞任については「どういう理由で辞任をするのかが非常に難しい」という話をした。

 -7月26日以降、知事と会ったのは。

 翌27日に佐賀市内で会い、知事から(九電幹部3人と)知事公舎で面談したことを少しでも早く公表したいという意向が示された。その後、第三者委が知事の発言メモを公表する前に内容を知らせようと、知事に電話をして全文を読み上げた。8月4日だった。

 -知事の反応は。

 「発言内容が表に出たら、私自身が玄海原発の再稼働に向けて突っ走ってきたということになる。どんな説明をしても、もう辞任は避けられませんね」。メモ内容に間違いないかと尋ねると「そういうような発言をしたことは確か」と答えた。

■九電側の対応

 -九電の最終報告書には、知事発言がやらせの発端になったとする第三者委の指摘が記述されていない。

 問題の本質は九電と県の「不透明な関係」と、その事実を覆い隠している「不透明な行為」。それを改めないことには、玄海原発周辺の住民から信頼は得られない。

 -(一連のやらせ問題について)真部社長は「ルール違反ではない」と開き直っているが?

 法令違反でなくても、社会要請に著しく反するなら重大なコンプライアンス(法令順守)の問題。福島原発事故後、社会全体が原発に不安を持ち、事業者に厳しい目を持っている。社長の発言はあり得ない。

 -第三者委に対する九電の態度は。

 社長が20分遅刻してきた7月27日の第1回会合を境に大きく変わった。もう一つは、社長が県議会特別委に参考人として呼ばれたころ。社長の言動が相当変わった。その後、第三者委と九電の方針が大きく乖離(かいり)していく。

=2011/10/18付 西日本新聞朝刊=
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