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121209 エジプト大統領、権限強化の「憲法宣言」を撤回 [読売]

 【カイロ=田尾茂樹】エジプトのモルシ大統領は8日、自らの権限を強化した「憲法宣言」を撤回するとともに、新憲法案の是非を問う国民投票を15日に予定通り実施することを決めた。政府系中東通信が伝えた。


 国民投票で憲法案が承認されなかった場合には、新たな憲法起草委員会を設けることも決めたという。

 憲法宣言に反発し、抗議デモを続けていた世俗・リベラル勢力に大幅譲歩した形だが、同勢力は国民投票を延期した上での憲法起草作業のやり直しも求めており、混乱が収束に向かうかどうかは予断を許さない。

121130 パレスチナを「国家」に格上げ 国連総会、決議を採択 [朝日]

 【ニューヨーク=春日芳晃】国連総会は29日午後(日本時間30日午前)、パレスチナが持つ国連の参加資格を現在の「オブザーバー機構」から「オブザーバー国家」に格上げする決議案を賛成138、反対9、棄権41の賛成多数で採択した。パレスチナはこれを独立国家樹立に向けた弾みにしたい考えだ。
 オブザーバー国家は正式加盟国と異なり投票権はないが、国際社会が「国家」として認める政治的、象徴的な意味合いを持つ。また国家を加盟資格とする国際機関にも加盟しやすくなるとみられる。パレスチナが国際刑事裁判所(ICC)に加盟申請して認められれば、かねて「戦争犯罪」と訴えるイスラエルによる占領地での入植活動について、ICCに提訴できる道も開ける。
 決議は、パレスチナ人の自決権と、1967年の第3次中東戦争でイスラエルに占領された「パレスチナ領土」をもとに、パレスチナ国家として独立する権利があると確認した。
 採決では、日本やフランス、中国、インドなどが賛成。イスラエルと米国、カナダなどが反対に回った。ドイツ、英国などが棄権した。
 パレスチナ自治政府のアッバス議長は昨秋、国連に正式加盟を申請したが、安全保障理事会で米国が拒否権行使を明言して棚上げになり、求心力が低下。アッバス氏は今回の「国家」承認をイスラエルに対する圧力とし、和平交渉再開と求心力回復につなげる狙いがある。
 アッバス氏は採決に先立って演説し、「国連総会は今日、パレスチナ国家実現の『出生証明書』の発行を要請された」と締めくくると、盛大な拍手が湧いた。

121121 ガザ停戦成立、エジプト仲介 地上戦回避、経済封鎖緩和 [朝日]

 【カイロ=石合力、エルサレム=山尾有紀恵】パレスチナ自治区ガザ情勢をめぐり、停戦交渉を主導していたエジプトのアムル外相は21日、クリントン米国務長官との会談後にカイロ市内で共同会見し、ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルとの停戦が成立したと発表した。停戦の覚書には、物流の封鎖で「巨大な監獄」となっていたガザの境界開放も盛り込まれた。
 アムル氏は「停戦は、同日午後9時(日本時間22日午前4時)に発効する」と語った。ガザ攻撃は同時刻以降停止され、停戦は発効した。その後まもなくガザからイスラエル領内にロケット弾が散発的に着弾したが、イスラエル軍が地上戦への準備を進めているなか、2008~09年に約1400人が死亡したガザ侵攻の再来という最悪の事態は土壇場で回避された。
 エジプト政府が公表した「ガザ地区の停戦に関する覚書」によると、主な合意内容は(1)イスラエルによるガザ攻撃、暗殺作戦の停止(2)パレスチナの全勢力による対イスラエル・ロケット攻撃の停止(3)発効から24時間後にガザ境界を開放、通行と物資移動の容認――の3点。エジプト政府が双方から合意履行の保証を取り付けることも明記した。
 イスラエルと外交関係を持ち、ハマスともムスリム同胞団を通じて密接な関係を持つエジプト・ムルシ政権が仲介の主導権を握り、「アラブの春」後の中東外交の力学の変化を印象づけた。クリントン氏は「ガザ情勢の沈静化に向けたムルシ大統領の個人的な指導力に感謝する」とエジプトの仲介努力を称賛した。
 停戦の継続には、ハマス以外のすべての武装勢力も停戦に応じること、イスラエル側がガザ封鎖の解除に実質的に応じることなどがカギになる。
 イスラエルのネタニヤフ首相は「継続的な停戦に結びつくこの機会をつかむことはイスラエル国家にとって正しい選択だ」と語った。ハマスの政治部門最高幹部、メシャール政治局長はカイロで会見し「我々パレスチナの抵抗がイスラエルの攻撃を止めた。ネタニヤフは総選挙を前に必要な信頼を失った」と述べた。
 一連の事態は14日、イスラエル軍によるハマス軍事部門最高幹部の暗殺で始まり、イスラエル軍のガザへの大規模攻撃とハマスによるイスラエル領内へのロケット攻撃との応酬が8日間続いた。ガザの死者数は少なくとも161人、負傷者は1200人以上。イスラエル側は5人が死亡した。
 エジプト政府の仲介で、イスラエルの治安当局者とハマス、イスラム聖戦(ジハード)のメンバーらがカイロ市内のホテルで間接協議を続け、20日に基本合意していた。
 国連、アラブ連盟、米国などがエジプトの仲介を支援。潘基文(パンギムン)国連事務総長やクリントン氏も20日から中東に入り、外交努力を続けていた。
 停戦が発効した21日夜以降もイスラエル軍の無人機がガザ地区上空を旋回しているが同軍の攻撃は確認されていない。一方、ロイター通信によると、発効後まもなくガザからイスラエル領内に12発のロケット弾が着弾したが、けが人や被害はなかった。

121116 テルアビブにロケット弾 最大商都射程で衝撃 [東京]

 【テルアビブ共同】イスラエル軍などによると、イスラエル随一の商業都市である中部テルアビブに15日夜、パレスチナ自治区ガザから発射されたロケット弾2発が飛来、爆発音が聞こえた。被害はなかったが、イスラエルのテレビ局は15日、ロケット弾攻撃の激化を受けイスラエル軍が16日にガザ地上侵攻を行う見通しだと報じた。
 ガザのロケット弾が約70キロ北にあるテルアビブに飛来したのは初めて。イスラエル経済、文化の中心であるテルアビブなどの人口約200万人が、ガザを支配するイスラム原理主義組織ハマスが保有するロケット弾の射程に入ったことを意味し、政府にとって大きな衝撃。

121116 イスラエル軍、2日連続でガザ大規模空爆 [読売]

 【ガザ(パレスチナ自治区)=井上亜希子】イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザに対する大規模空爆は15日も続き、14日からの死者はパレスチナ側13人、イスラエル側3人にのぼった。
イスラエルは、地上軍投入の可能性も否定しておらず戦闘拡大の懸念が強まっている。


 空爆で100か所以上が被害を受けた。イスラエルは、標的はガザを実効支配するイスラム主義組織ハマスを含むパレスチナ武装組織の武器庫などだと主張している。

 これに対し、武装組織側はロケット弾などで応戦。ガザとの境界から約25キロ離れたイスラエル南部キリヤトマラヒで15日、建物をロケット弾が直撃し、3人が死亡した。

 パレスチナ自治区ガザ市中心部では15日、イスラエル軍のミサイル攻撃で死亡したハマス軍事部門司令官、アフマド・ジャバリ氏の葬儀が行われた。空爆音が地響きのように響く中、同氏の死を悼む人々で周辺は埋め尽くされた。

121115 イスラエル、ガザを大規模空爆 ハマスは報復を宣言 [朝日]

パレスチナ自治区ガザで14日、パレスチナの医療関係者がイスラエルの空爆で負傷した乳児を病院に運び込んだ。イスラエル軍の広報官はこの空爆について、ガザの武装勢力を標的とした作戦の「ほんの始まり」に過ぎないと述べた=AFP時事

 【エルサレム=山尾有紀恵】イスラエル軍は14日夜、パレスチナ自治区ガザへの大規模空爆を開始した。地上軍投入の可能性も指摘されており、戦線が拡大する恐れがある。ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの軍事部門は「宣戦布告」と受け取り、報復を宣言した。
 イスラエル軍は同日午後、ハマスの軍事部門最高幹部アフマド・ジャアバリ氏が乗った車をガザ中心部で空爆し殺害。その直後に、ガザへの大規模な攻撃が始まった。
 同軍によると、同軍はハマスのロケット弾を発射・製造する地下施設数十カ所を破壊。地中海に展開した海軍艦艇が沿岸部のハマスの軍事施設を攻撃した。現地からの情報によると、空爆により子ども2人を含む7人が死亡、約60人が負傷した。一方、イスラエル南部へもガザ武装勢力による攻撃があり、ロケット弾70発以上が着弾した。
 イスラエルでは来年1月に総選挙を控え、同国南部の住民を脅かすガザからのロケット攻撃に対し、政府が大規模な軍事行動に出る可能性がささやかれていた。イスラエルは前回の総選挙を前にした2008年12月~09年1月にもガザを空爆、侵攻し、市民ら約1400人が死亡している。
 バラク国防相は14日、作戦の目的として、ロケット弾発射網などへの打撃を挙げた。ネタニヤフ首相は14日、国民に向けたテレビ演説で「必要があれば、さらに戦線を拡大する用意がある」と宣言した。
 ロイター通信によると、ハマス政府のハニヤ首相は同日、「アラブ諸国、特にエジプトにこの野蛮な軍事行動を止めるよう求める」との声明を発表した。ハマスの母体であるイスラム組織ムスリム同胞団出身のムルシ・エジプト大統領は14日、駐イスラエル大使を召還した。
 国連安全保障理事会は14日夜、非常任理事国モロッコの要請で緊急の非公開会合を開催。イスラエル、パレスチナ双方の国連大使から説明を受けた後、対応を協議した。

121030 シリア政権軍、空爆を本格化 60人以上が死亡 [朝日]

 【ダマスカス=前川浩之】一時停戦が崩壊した内戦下のシリアで、アサド政権軍が空爆を本格化させている。中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると、30日にはシリア各地の空爆で少なくとも66人が死亡。住宅街を狙っており、女性や子どもが犠牲になっている。

 北部の激戦地アレッポへの補給路となっている中部イドリブ県のマレットヌマンでは30日早朝、政権軍の戦闘機と攻撃ヘリが空爆。少なくとも30人が死亡した。アルジャジーラは、幼い子どもの死体を抱き上げて「アサドがやったんだ」と泣き叫ぶ男性の姿を伝えた。マレットヌマンでは前日も大規模な戦闘が伝えられている。またダマスカス郊外でも30日、空爆が続き、死傷者が出ている模様だ。

120922 市民デモ隊、過激派の拠点襲撃 リビア・ベンガジ [朝日]

 リビア東部ベンガジで21日深夜、一般市民を中心とするデモ隊が、イスラム過激派組織の拠点を襲撃した。この組織は、駐リビア米国大使らが死亡した米領事館襲撃への関与が疑われている。カダフィ政権の崩壊後、過激派の伸長に危機感を抱いた市民が直接行動に出た。
 現地からの情報によると、過激派組織「アンサール・シャリア」が拠点とする建物に数百人が押し入った。敷地内の車に放火し、刃物を振りかざして「ベンガジを救え」「リビア、リビア」と叫びながら、掲げてあった組織の旗を引きずり降ろした。デモ隊は別のイスラム系民兵組織の基地にもなだれ込み、一連の襲撃で少なくとも11人が死亡した模様だ。
 ベンガジではこの日、イスラム教の預言者ムハンマドの冒涜(ぼうとく)映像が米国で作られたことや、フランスの週刊紙に風刺画が掲載されたことに抗議するため、数百人規模のデモがあり、「アラーの他に神はなし」「オバマ(米大統領)は神の敵」などと叫んだ。
 一方、過激派の解体を呼びかけるデモも行われ、3万人ほどが参加した。その一部がアンサール・シャリアの拠点に向かったとみられる。衝突後、拠点はリビア軍に引き渡された。アンサール・シャリアの報道担当者は22日、ロイター通信に「拠点から撤退した」と語った。
 11日に発生したベンガジの米領事館襲撃事件は、映像に抗議する反米デモに紛れていたアンサール・シャリアのメンバーが、ロケット弾などを撃ち込んだテロとの見方が出ている。
 ベンガジは昨年2月、「アラブの春」に触発された市民たちが反カダフィ政権のデモを最初に行った「革命発祥の地」。カダフィ派との内戦に勝利した反体制派が拠点を置いた。米国は内戦で反体制派を支援していたことから、ベンガジ市民の間からは「友人を失った」と米大使らの死亡を嘆き、襲撃を非難する声が上がっていた。
 昨年10月のカダフィ氏死亡で独裁体制は崩壊したが、強権下で抑え込まれていた過激派などが内戦後の混乱に乗じて拠点を築き、民兵を組織化し、治安の不安定要素となっている。(カイロ=北川学)

120912 駐リビア米大使ら4人死亡 領事館襲撃 [朝日]

 リビア東部ベンガジで11日、イスラム教の預言者ムハンマドを冒涜(ぼうとく)する映像作品が米国で製作されたと抗議するデモ隊が米国領事館を襲撃し、リビアのシェレフ内務次官は12日、スティーブンス大使と領事館員らの米国人計4人が死亡したと発表した。オバマ米大統領は大使らの殺害を非難する声明を出した。

 エジプトの首都カイロの米国大使館前でも11日、抗議デモがあり、一部が敷地内に乱入。国旗掲揚ポールから星条旗を引きずり下ろし、燃やした。波紋は他のイスラム諸国にも広がる可能性がある。オバマ大統領は12日、各国の米外交官らの警護を強化するよう指示した。

 問題とされた映像によると、ムハンマドについて、「うそつきだ」などと侮辱する表現がある。米在住のキリスト教徒の一派、コプト教徒が作ったとの情報もあり、イスラム教徒からの被害を説明する内容になっている。

120819 紛争止められず…国連シリア停戦監視団が廃止 [読売]

 【カイロ=貞広貴志】シリアの政府と反体制派による武力紛争を監視してきた国連シリア停戦監視団(UNSMIS)は19日、国連安全保障理事会決議に基づく任期の終了に伴い廃止された。


 最大時に軍事監視員と文民を合わせ約400人を数えた要員の大半は既に出国し、23日には撤収を終える見通し。

 ババカル・ガイエ団長は18日、ダマスカスで記者会見し、戦闘を止められなかった理由として、当事者が停戦合意を無視したことを挙げた。ガイエ団長は「(政府軍と反体制派の)両者は民間人保護の義務を負うが、(義務は)尊重されなかった」と語った。

 シリア情勢は、監視団が4月下旬に本格的に展開を開始した直後、いったん沈静化に向かったが、5月下旬以降の虐殺事件を機に戦闘が再び激化した。国連安保理は今月16日、暴力低減など活動の前提条件が満たされていないとして任期を延長せず、廃止を決めていた。

120813 エジプト:大統領が国防相を解任 軍移管の権限奪還 [毎日]

 【エルサレム花岡洋二】エジプトのモルシ大統領は12日、軍最高評議会のタンタウィ議長を国防相職から解任したと発表した。また、今年6月の大統領選直前、軍最高評議会が大統領権限の一部や議会の立法機能を引き継ぐとした憲法修正を無効とした。

 大統領選後、議会招集などを巡って、大統領の出身母体である穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団と軍の対立が続いてきたが、軍トップを解任することで大統領が軍の影響力をそぎ、権力基盤を強化する狙いがあるとみられる。

 タンタウィ議長は昨年2月のムバラク政権崩壊後、エジプトを暫定統治する最高評議会の議長を務めてきた。ムバラク政権崩壊後は、軍の利権や権限を巡って、議会などで勢力を伸ばすムスリム同胞団との駆け引きが続いていた。

120521 ハマスとファタハ、統一政府樹立へ…パレスチナ [読売]

 【エルサレム=井上亜希子】パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとアッバス自治政府議長率いるファタハの交渉担当者は20日、6月初めにアッバス議長を首相とする統一政府を樹立し、それから6か月以内に自治政府議長選、評議会(国会に相当)選実施を目指すとした行程表で合意した。


 AP通信が伝えた。

 当初予定されていた5月の選挙実施が絶望となる中、ハマス、ファタハ双方が、統一政府樹立へむけた努力をパレスチナ住民にアピールする狙いとみられる。

(2012年5月21日22時11分 読売新聞)

111124 イエメン大統領、退陣へ 権限移譲の調停案に署名 [朝日]

 イエメンのサレハ大統領が23日、サウジアラビアの首都リヤドで、ハディ副大統領らへの権限移譲が盛られた湾岸協力会議(GCC)の調停案に署名した。調停案が履行されれば、近く大統領選が行われ、サレハ氏は退陣することになる。

 イエメンではサレハ氏の即時辞任を求めるデモが今年初めから激化、GCCなどが事態収拾に向け、調停に当たっていた。退陣となれば、民主化運動「アラブの春」で中東の独裁政権が崩壊するのはチュニジア、エジプト、リビアに次いで4カ国目。

 AFP通信が伝える調停案によると、サレハ氏は権限移譲と引き換えに、デモ弾圧などに関連する訴追を免除される。権限を移譲された副大統領は挙国一致内閣を発足させ、3カ月以内に大統領選を行うとしている。

111123 シリア非難決議を採択 国連総会人権担当委 [朝日]

 アサド政権による反体制派デモの弾圧が続くシリアに対し、国連総会の人権担当委員会は22日、政権による人権侵害を強く非難し、即時停止を求める決議案を賛成多数で採択した。年内に国連総会で正式採択される見通し。国連総会決議に法的拘束力はないが、国際社会の意思を明確に示した形だ。

 決議案は英仏独などが主導し、共同提案国にはヨルダンやサウジアラビアなど中東諸国も入っている。委員会の採決結果は賛成122、反対13、棄権41。反対は「シリア政府を転覆させる政治的画策」と採決前に批判した北朝鮮や、イランなどで、ロシアや中国は棄権した。

 決議は「シリア当局による市民への人権侵害と暴力行使について深刻に憂慮する」とし、デモ参加者への法的な手続きを経ない処刑や拷問の即時停止を要求。アラブ連盟が16日の外相級会合で定めた、市街地からの軍撤退などを柱とする事態収拾案の履行も迫った。

111121 カイロ軍政批判デモ、死者20人超す 治安部隊と衝突 [朝日]

 エジプト保健省は21日、首都カイロ中心部のタハリール広場などで続く軍部批判のデモ隊と治安部隊との衝突による死者が22人になったと発表した。AP通信は遺体安置所の話として24人が死亡したとしている。負傷者は1千人を超えた模様だ。治安部隊の動きしだいで衝突が激化しかねない緊迫した情勢だ。

 一連の衝突は、ムバラク政権の崩壊後に全権を握ったエジプト軍最高評議会が、新憲法に軍の権益を維持する原則を導入しようとしたことに対する18日の抗議デモが発端。治安部隊が排除に動き、抵抗するデモ隊は21日もタハリール広場に残っている。

 エジプトでは「軍最高評議会がデモのきっかけをつくり、対応も誤った」との抗議が広がっている。国営中東通信によると、ガジ文化相は20日、軍部に抗議するとして辞表を提出。次期大統領選に立候補を予定している元国際原子力機関(IAEA)事務局長のエルバラダイ氏ら複数の勢力が、事態打開のための「救国内閣」の組閣や政府と各勢力の対話、一刻も早い民政移管を求める声明を相次いで出した。

111025 カダフィ氏、砂漠地帯に埋葬 聖地化防止へ場所明かさず [朝日]

 リビアのカダフィ氏の遺体が25日朝、砂漠地帯に埋葬された。中東のテレビ局アルジャジーラが伝えた。埋葬場所がカダフィ氏支持者の「聖地」となるのを防ぐため、地名などの情報は明らかにされていない。

 カダフィ氏の四男ムタシム氏と側近のユニス元国防相の遺体も同じ場所に埋められた。カダフィ氏は20日、出身地の中部シルトで反カダフィ派に見つかり、死亡した。その際、反カダフィ派の兵士が意図的に殺害した疑いが浮上。国民評議会は死因などを調べるため埋葬を遅らせていた。(トリポリ=北川学)

111021 カダフィ氏死亡 独裁42年幕 リビア評議会全土制圧 [朝日]

 リビアで42年にわたって独裁政権を続けたカダフィ氏(69)が20日、出身地の中部シルトで死亡したと、反カダフィ派組織、国民評議会が発表した。評議会の部隊はこの日、カダフィ派の最後の拠点だったシルトを陥落させ、リビア全土をほぼ制圧した。2月に大規模なデモが始まり、内戦状態にあったリビアは今後、評議会を軸に新たな国造りを本格化させる。
 評議会のジブリル暫定首相は20日、首都トリポリで記者会見し、シルト攻撃の際に「カダフィは死んだ」と発表した。ジブリル氏はさらに「この歴史的な瞬間をリビアの人々に捧げる。この国にもう脅威はない」と語った。抵抗を続けていたカダフィ氏の勢力は同氏の死亡で消滅に向かうものとみられる。
 市民による反政権デモを機に中東・北アフリカで政権が崩壊したのは、1月のチュニジア、2月のエジプトに次ぎ3カ国目。
 カダフィ氏の死亡について評議会の関係者はロイター通信に、「カダフィは逃げようとして頭を撃たれた」と語った。これについて、ジブリル氏は「追って詳細を発表する」と述べるにとどまり、詳細は明らかにしなかった。
 一方、この日、北大西洋条約機構(NATO)軍がシルト付近で軍事車両を空爆し、カダフィ氏が負傷したとの情報もある。ジブリル氏は「NATOの攻撃による死亡ではないことは確認した」と語った。
 リビアでは2月中旬からカダフィ氏の退陣を求めるデモが発生。東部では軍の一部も加わり地域を制圧した。これに対しカダフィ政権は外国人傭兵(ようへい)も動員し、武力による鎮圧を図った。多数の市民が犠牲になっているとして、米英仏などが3月に軍事介入し、その後、NATO軍が空爆に踏み切った。しかし、カダフィ氏は一貫して退陣や出国を拒否してきた。
 評議会はNATOの支援を受けながら支配地域を拡大、8月21日には首都トリポリの大部分を掌握、同月23日にはカダフィ氏の住居や政権中枢施設がある中心部を制圧した。しかし、カダフィ氏は行方をくらまし、国外逃亡説や国内にかくまわれているなど、さまざまな情報が出ていた。
 カダフィ氏は1969年に軍の同志らとクーデターを起こして政権を掌握。秘密警察網で国民と政敵を監視し、独裁体制を築いた。
 石油収入を背景に次男セイフルイスラム氏らが経済開放政策を進める一方、インフレの進行と貧富の差の急速な拡大や自由の欠如、権力の「世襲」に市民は不満を募らせ、反政権デモが噴き出した。
 評議会の暫定憲法は、全土制圧宣言から30日以内に暫定政府を樹立すると定めており、アブドルジャリル議長が近く「全土解放」を宣言する予定。暫定政府は8カ月以内に議会選を行い、新議会が「移行政府」を設立。移行政府が制定した憲法の下で1年以内に総選挙を行い、2013年には正式政府が成立する見通しだ。(トリポリ=北川学、渡辺淳基)

110924 パレスチナ:国連加盟申請 「アラブの春」が後押し 仲介役・米への不信感も [毎日]

 【エルサレム花岡洋二】パレスチナ自治政府のアッバス議長は23日(日本時間24日未明)、国家として国連に加盟を申請するという外交上の「賭け」に出た。イスラエルとの和平交渉が遅々として進まない中、加盟申請は独立国家樹立の悲願を国際社会にアピールする「切り札」だ。非暴力で独裁体制を打倒した「アラブの春」に触発された側面もある。停滞状況を打破できない仲介役の米国への不信も増大しており、今後、不満の蓄積が爆発する恐れもある。

 パレスチナ自治政府のシャース議長顧問は申請の理由として「イスラエルとの和平プロセスの失敗」を挙げる。交渉の仲介役である米国を「中立でない」と非難、独立国家樹立には国連外交を通じて支持を広げる以外にないとの認識を示した。国際社会の認知を後ろ盾にイスラエルや米国に圧力をかけ、和平交渉を有利な立場で仕切り直したいとの思惑だ。

 パレスチナの狙いは二つある。まず、第3次中東戦争(67年)以前の境界線に基づき、イスラエル併合下にある東エルサレムを首都とする国家像について国際的な承認を取り付けることだ。イスラエルは安全保障上の理由から拒否し、「国境画定の議論に前提条件はない」と主張しているが、パレスチナとしては国連での圧倒的支持を得て「国の形」を既成事実化したい思惑がある。

 次に、米国の拒否権行使で国連加盟が実現しなくても、オブザーバー資格を「機構」から「国家」に格上げすることで、国際刑事裁判所(ICC)など他の国際機関に加入する足がかりにする考えだ。ICCに加われば、イスラエルの「戦争犯罪」を訴えることが可能になり、パレスチナという「国家」に対する占領政策を追及できる。

 パレスチナ人らは過去2度、反イスラエル抵抗闘争(インティファーダ)に立ち上がり、一時は自爆テロなどが激化したが、住民の疲弊は色濃く、「暴力の連鎖はもうたくさんだ」との声は強い。そんな中、「アラブの春」が拡大し、パレスチナでも平和的な独立実現の機運が高まって、加盟申請を後押しした。

 ただ、米国に対する不信感は鬱積している。ヨルダン川西岸の中心都市ラマラでは22日、国連の「議席」を象徴する巨大な椅子と国連旗が掲げられ、加盟申請を盛り上げていたが、地元の空気は期待より失望感が強かった。元教員のアブオマルさん(55)は「オバマ米大統領は(21日の国連演説で)『イスラエルに平和を』と訴えただけだ」と憤った。

 一方、イスラエルは最近、中東で最大の友好国だったエジプトとトルコとの関係が悪化。08年末のパレスチナ自治区ガザへの侵攻以降、欧州世論の風当たりも厳しさを増し、孤立を深めている。メリドール副首相は19日の会見で「(今回の加盟申請で)最も恐れるのは和平合意が互いに難しくなること。パレスチナが望み通りのものを手に入れれば交渉で(譲歩する)柔軟性を失う」と危機感をあらわにした。

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 ◆パレスチナを巡る動き◆

48年 5月 イスラエル建国。第1次中東戦争勃発

67年 6月 第3次中東戦争。イスラエルがヨルダン川西岸、ガザ地区などを占領

93年 9月 パレスチナ暫定自治宣言(オスロ合意)調印

00年 7月 米キャンプデービッドでの和平交渉が決裂

03年 4月 欧米などが「2国家共存」を柱とする新中東和平案(ロードマップ)を提示

07年11月 米アナポリスの中東和平国際会議で7年ぶりに和平交渉が再開

08年12月 イスラエル軍がガザに侵攻。和平交渉は中断

09年 3月 イスラエルで右派のネタニヤフ政権が発足

   11月 イスラエルが西岸でのユダヤ人入植住宅の10カ月間の新規建設凍結発表

10年 9月 イスラエルとパレスチナがワシントンで直接交渉を再開。入植住宅建設の凍結失効で交渉は中断

11年 5月 オバマ米大統領が第3次中東戦争前の境界に基づく和平交渉を提案

    9月 パレスチナが国連加盟を申請


110910 カイロのイスラエル大使館襲撃 3人死亡1050人負傷 [朝日]

 エジプトの首都カイロで9日夜、イスラエル大使館が入るビルを群衆が取り囲み、ビルの防護壁を破壊した。群衆は警官隊や軍と衝突し、エジプト保健省によると3人が死亡し、約1050人が負傷した。イスラエルの駐エジプト大使らは、カイロ空港から航空機で帰国した。

 民主化の遅れに対する国民の不満のはけ口がイスラエル大使館に向けられた可能性があり、軍政当局の対応次第で新たな政情不安につながる恐れもある。

 警官隊は催涙ガスなどを使ったが、現場周辺では群衆が車両に放火するなど夜明け近くまで騒乱が続き、カイロの人気サッカーチームのフーリガン集団も目撃された。

110904 イスラエル全土でデモ、45万人参加 生活費高騰に抗議 [朝日]

 イスラエル全土で3日夜、生活費の高騰に抗議し、政府に社会改革を求めるデモがあった。イスラエル紙ハアレツ電子版によると、イスラエル史上最大の45万人以上が参加した。

 エルサレムでは、約5万人が首相公邸近くの広場まで行進。「公平な社会を」「国会が目覚めるまで闘い続ける」などと訴えた。ネタニヤフ首相は4日の閣議で、デモを受けて社会・経済改革を進めていることを強調、「改革のためのまたとない機会だ」と述べた。

 イスラエルのデモは7月、アラブの民衆デモに影響されたテルアビブの若者たちが、住宅費の高騰に抗議する運動を始めたのがきっかけ。各都市にデモ隊のテント村が設置され、ユダヤ教の安息日が明ける毎週土曜日夜に集会が開かれている。(エルサレム=山尾有紀恵)

110831 リビア反体制派「5万人死亡」 2月のデモ開始以降 [朝日]

 リビア反体制派軍事部門の幹部は30日、今年2月に反体制デモが始まってからこれまでに約5万人が死亡した、と述べた。ロイター通信が伝えた。

 この幹部によると、激戦が続いたミスラタとズリタンで1万5千~1万7千人が死亡。西部の山岳地帯でも多数の死者が出た。幹部は「我々は2万8千人の拘束者を解放したが、行方不明者はみんな死亡したと思う」としている。

 新政権樹立を目指す国民評議会の軍事部門報道官は28日、「カダフィ政権に拘束された1万人を解放し、5万人が行方不明」と述べていた。(トリポリ=貫洞欣寛)

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110827 NATO、カダフィ氏出身地の空爆強化 リビア・シルト [朝日]

 北大西洋条約機構(NATO)軍は26日、リビアの最高指導者カダフィ大佐の出身地である中部シルトを空爆したと発表した。AP通信が伝えた。地上からシルトへの進軍を狙う反カダフィ派の部隊を援護する目的とみられる。

 空爆により、武器を積んだ車両29台が破壊されたという。また、英空軍の戦闘機も26日未明、シルトにあるカダフィ政権軍の施設に精密誘導ミサイルを撃ち込んだ。ここには政権軍の指揮室があるとされる。

 反カダフィ派はシルトへの進軍に備えて町の郊外に集結しつつあるが、カダフィ氏に忠誠を誓う部族や政権軍の根強い抵抗に遭っているという。シルトへの空爆についてフォックス英国防相は「カダフィ氏の拘束ではなく、政権軍の攻撃能力を低下させる目的だ」とBBCに語った。

110826 カダフィ政権の米資産凍結解除を承認 安保理制裁委 [朝日]

 国連安全保障理事会の傘下にあるリビア制裁委員会は25日、今春の安保理のリビア制裁決議を受けて、米国が国内に凍結しているカダフィ政権の資産15億ドル(約1160億円)を解除し、リビア国内の人道支援に充てることを承認した。

 これにより米国は、凍結したカダフィ政権の資産を管理し、リビア反体制派「国民評議会」を中心とする新政権の下での復興を事実上支援できるようになる。ドイツのメルケル首相ら欧州首脳も、カダフィ政権の資産の凍結を解除し、新政権への移行を支援するよう呼びかけており、同様の手続きに入るとみられる。

 安保理の制裁決議に基づく資産凍結の解除は、制裁委員会の判断で可能だが、メンバーの安保理15理事国の全会一致が原則。米国が制裁委員会で解除の手続きに入ろうとしたところ、親カダフィ政権の南アフリカが難色を示したため、米国は15理事国中9カ国の賛成で採択できる安保理決議案にし、24日に他の理事国に提示していた。

110824 リビア、反体制派が政権移行へ準備 大佐は所在不明 [朝日]

 リビアの首都トリポリのほぼ全域を制圧した反体制派の中核組織「国民評議会」の代表団が24日、トリポリに入り、政権移行の準備に入った。ただ、最高指導者カダフィ大佐の所在は依然不明のままで、トリポリでは政権軍による攻撃が散発的に続き、不安定な情勢が続いている。

 首都入りした評議会代表団のメンバーなどは明らかになっていない。評議会はこれまで東部ベンガジに拠点を置き、カダフィ政権下にあったトリポリでは目立った活動ができていなかったため、政権移行に向けた基本方針や今後の政治日程などについて、反体制派の各組織と協議するものとみられる。

 カタールでは同日、関係各国による会合が開かれ、リビア新政権移行に当たっての財政支援などについて協議をスタート。英BBC電子版によると、反体制側は戦闘で負傷した人々に対する医療活動などのため、25億ドルの支援を求める。
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