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111009 津波浸水地「再活用」7割 沿岸自治体、難しい高台移転 [朝日]

 東日本大震災の被災3県の沿岸37市町村のうち、7割以上が津波による浸水地を居住地として再活用する可能性があることがわかった。集団移転の用地不足などが背景にある。政府が5年をめどに整備するとしている防潮堤の高さは、今回の津波の高さを大幅に下回る見通しで、被災地は苦渋の選択を迫られている。

 震災7カ月を前に37市町村の担当者に3~7日、現時点の復興計画案で、浸水地域を居住地として利用するかどうか聞き取りした。

 「居住地として活用する予定はない」と答えたのは主に高台移転を目指す9市町村。一方、「すでに活用が決まっている」が1町、「活用を検討している」が18市町村、「積極的に活用はしないが、今後、住民の希望などで活用せざるを得ない」が7市町村で、居住地に活用する可能性があるのは計26市町村に達した。

 理由としては「高台移転は事業費がかさむ」(岩手県陸前高田市)▽「魚市場から離れた場所が居住地となると町の活気が失われる。住民の『戻って住みたい』との意向が強い」(宮城県気仙沼市)▽「高台の土地が限られる」(同県女川町)などが目立った。

110918 被災自治体、職員の病気休暇が増加 [朝日]

 東日本大震災で被災した自治体で、病気休暇を取る職員が増えている。自らも被災したり、過労でストレスが高まったりしていることも一因とみられる。専門家は職員の心身の健康にも気を配るよう求めている。

 朝日新聞が岩手、宮城、福島の3県の沿岸部や原発事故に伴う避難対象の42市町村に、4~7月に新たに病気休暇を取った職員数を取材。震災の影響を探るため、前年同期に休暇を取った職員数も合わせて聞いたところ、36市町村が答えた。今年4~7月に休暇を取ったのは514人で、前年同期より72人多かった。

 福島県富岡町の男性職員(37)は7月、うつ症状で1週間の休みを取った。同町は東京電力福島第一原発事故で、警戒区域にあった役場を福島県郡山市に移した。男性は避難住民の問い合わせに対応し、事故後は、たまに半日休む程度だった。「税金で働いているのだから死ぬまで働け」とののしられたこともある。妻から「家族のために生きて」と退職を促されたこともあり、休暇を取った。男性は「職員も同じ被災者と理解してもらえず、非常に悔しかった」と話す。

 仙台市では、前年同期より20%多い131人が休みを取った。宮城県石巻市で休みを取ったのは36%増の45人。うち14人は自律神経失調症、うつ、不眠などによる休暇で、前年同期の7人から2倍になった。岩手県大船渡市では、前年同期より3人多い4人が病気休暇を取った。うち2人は、業務の合間を縫って行方不明の家族を捜したり、壊れた自宅を片付けたりし、抑うつ状態に陥ったという。

110916 仙台市、沿岸部で建築禁止の方針 対象最大2400世帯 [朝日]

 仙台市は16日、東日本大震災の津波被害を受けた沿岸部のうち、将来も津波で高さ2メートル超の浸水が想定される地区で、住宅の新築や増築を禁止する方針を明らかにした。市は早ければ12月議会に条例改正案を提出する。

 この日公表した復興計画の中間案では、津波の浸水の高さと危険性について「2メートルを超えると家屋が流失する割合が高くなる」とし、同市宮城野、若林両区の沿岸部約1500ヘクタールを「災害危険区域」に指定。住宅の新築や増築を禁止する建築制限を設ける。対象は最大2400世帯で、内陸1~2キロの地域へ集団移転を進める。

 市によると、特例法で認められた建築制限は震災から最長8カ月だが、市の建築制限は再度の条例改正を経ない限り解除されない。

110904 全国の死者24人、不明54人 台風12号なお警戒必要 [朝日]

 四国、中国地方を通過した大型の台風12号は4日未明、山陰沖の日本海に抜けた。紀伊半島は記録的な大雨となり、朝日新聞社が集計したところ4日夜までに和歌山、奈良、三重3県で計20人が死亡、51人が行方不明になっている。全国では計24人が死亡、54人が行方不明。台風の動きが遅く、5日も東日本や北海道で断続的に激しい雨が降る恐れがあり、気象庁は警戒を呼びかけている。被害規模は、98人が死亡・行方不明になった2004年10月の台風23号以来の大きさ。

 同庁によると、4日までの3日間の累積雨量は、奈良県上北山村で1652ミリ、同県十津川村で1303ミリ、三重県大台町で1519ミリを記録。いずれも観測史上最大になった。和歌山県新宮市や三重県熊野市では4日明け方、1時間あたり130~100ミリの猛烈な雨が降った。

 紀伊半島では土砂災害や河川の氾濫(はんらん)が相次いだ。道路の寸断などで捜索・救助活動は難航しており、さらに被害が拡大する恐れがある。

 平野達男防災相は4日夜、政府の非常災害対策本部の会議後に記者会見し、「紀伊半島では連絡が取れない場所もあると聞いている。まずは上空から確認することが第一段階。そういったことをやらないと、まだ(被害の)全貌(ぜんぼう)が明らかにならない部分がある」と述べた。

 和歌山県警によると、同県では15人が死亡、28人が行方不明。同県によると、5日午前0時現在、田辺、新宮両市など4市町で約4700人が孤立している。

 同県那智勝浦町では住宅が土石流で流されるなどし、8人が死亡、13人が行方不明。隣接する新宮市でも2人が死亡、6人が行方不明という。田辺市伏菟野(ふどの)地区では4日午前0時40分ごろ、大規模な土砂崩れが起き、民家6軒が巻き込まれた。住人の山本正江さん(69)が死亡、4人の行方がわからなくなっている。

110831 自衛隊の大規模災害派遣終了、除染は支援継続 [読売]

 防衛省は31日、東日本大震災の被災地に展開していた自衛隊の大規模な災害派遣活動を同日で終了すると発表した。

 ただ、福島県の要望を受け、同県内での被災者の入浴支援と東京電力福島第一原子力発電所事故に絡む住民の除染は当面、近隣部隊が500~600人態勢で続ける。

 防衛省は活動終了にあわせ、震災対応の課題などを盛り込んだ中間とりまとめを公表した。日米連携について、「複合的な非常事態・災害への要領が未整備で、関係省庁を含む政府全体の日米調整の枠組み整備に課題があった」とし、日米の関係省庁が発生直後に集まる会議の設置が必要だと指摘した。震災発生当日の連絡体制については、「道路渋滞で北沢防衛相が(車で)首相官邸から防衛省に戻るまで3時間を要し、陸上輸送に課題があった」とし、ヘリコプターによる近距離輸送を検討するとした。

110822 福島県外避難5万人超す 子ども千人超、夏休みに避難 [朝日]

 福島県から県外へ避難した人が5万人を超えたことが22日、明らかになった。県災害対策本部によると、原発事故の影響を避けたり、仕事を求めて転出したりする例が多いという。

 県の発表では、県外避難者は8月11日現在で5万1576人。6月末時点の4万5242人より6千人以上増えている。避難先で最も多いのは山形県の1万43人。新潟県の6199人、東京都の5642人が続く。県内も含めた全避難者数は6万4367人(8月22日現在)で、うち約8割が県外に避難していることになる。

 子どものいる家庭は原発事故の影響を心配する傾向が強く、県によると、7月15日現在で県外に避難している小学生は5710人、中学生は1962人。さらに、夏休みのうちに県外への避難を希望する児童・生徒が計1081人いた。

 総務省の全国避難者情報システムに基づく宮城県の県外避難者は8月17日現在で7848人、岩手県は1540人。福島県の多さが際だっている。(斉藤純江)

110822 津波かぶったがれき、既設の焼却炉でOK 国立環境研 [朝日]

 東日本大震災で津波をかぶった木造家屋などのがれきを燃やす際、海水中の塩分でダイオキシン類の発生が増えるものの、家庭ごみなどを燃やす既設の焼却炉で対応できることが、国立環境研究所(茨城県つくば市)の実験でわかった。廃棄物に悩む被災自治体にとって朗報となりそうだ。

 東日本大震災で発生した廃棄物は岩手、宮城、福島の3県で約2200万トンに上ると推定される。これまでに約1100万トンが仮置き場へ搬入され、今後、焼却処分が本格化する。

 毒性を持つダイオキシン類は塩素を含む物質の不完全燃焼などで発生する。多くの廃棄物が津波をかぶっており、仮置き場では津波堆積(たいせき)物(汚泥)と一緒に置かれているため、被災地の地元自治体からは「そのまま燃やしていいものか」との心配も出ている。

 同研究所ライフサイクル物質管理研究室の滝上英孝室長らは仙台市から相談を受け、津波をかぶった同市内の農地から廃木材と汚泥を採取。小型焼却炉で燃焼実験を行い、大気への放出口などでダイオキシンの濃度を計測した。

 その結果、汚泥を一緒に燃やすと、廃木材だけの場合に比べて2倍以上になったが、既設のフィルターで取り除くことができ、濃度は基準値以下にできた。ただ、粒子が細かい汚泥はフィルターを目詰まりさせやすくなり、交換頻度は上げる必要があるという。

110701 被災地の自衛隊部隊が解散 2万数千人まで縮小 [朝日]

 北沢俊美防衛相は1日、東日本大震災の災害派遣のために編成された陸海空自衛隊の統合任務部隊の解散を命じた。最大10万人の態勢だったが、今後は東北地方の部隊を中心に2万数千人まで縮小する。

 行方不明者の大がかりな捜索や給水支援は一定のめどがついたとして6月中で終了した。地元からの要望がある給食や入浴の支援については今後も続ける。また、宮城県東松島市などでは、地元の航空自衛隊松島基地の隊員が、業者のがれき撤去作業を見守る。がれきの中から遺体が発見される可能性があるためという。

110625 復興増税を明記、「減災」理念打ち出す 構想会議提言 [朝日]

 東日本大震災の本格復興の構想を練ってきた菅政権の復興構想会議(議長・五百旗頭〈いおきべ〉真防衛大学校長)は25日、復興財源確保の増税や、水産業再生へ民間参入を促す「特区」の導入などを盛り込んだ提言をまとめ、菅直人首相に答申した。津波などの自然災害への向き合い方として「完全に封じる」との発想を転換し、被害を最小限に抑える「減災」の理念を打ち出した。

 題名は「復興への提言/悲惨のなかの希望」。首相はこの日の構想会議で「提言を最大限生かしてこれからの復興に当たっていきたい」とした。政権は27日に復興対策本部(本部長・菅首相)の初会合を開き、構想会議の提言をもとに7月中に復興基本方針を策定する。ただ、政権内では、本格復興策を盛り込む今年度第3次補正予算案は菅首相退陣後の次期政権の課題とみなされており、提言内容がどこまで具体化されるかが焦点となる。

 復興財源について、提言は「基幹税を中心に多角的な検討を行い、具体的な措置を講じるべきだ」と明記し、所得税や法人税などの臨時増税を唱えた。復興債を発行した場合は増税を償還財源に充てることを求め、地方交付税の増額や自由度の高い交付金の創設など地方財政に対する配慮も訴えた。

110619 ボランティア足りない 参加のべ人数「阪神」の3分の1 [朝日]

 被災地でのボランティア減少に歯止めがかからない。震災後の3カ月間に岩手・宮城・福島の3県で活動したボランティアはのべ約42万人で、同時期に約117万人が活動した阪神大震災の約3分の1。「もはや関心は風化したのか」という嘆きも聞こえてくる。

 各県のまとめでは、5月の大型連休には1日に1万人以上のボランティアが集まった。だがこれがピークで、その後は一貫して右肩下がり。震災3カ月の節目にやや上向いたが、学生ボランティアが増えると見込まれる7月まで再び減少傾向が続くと見られる。

 「ボランティアが足りません」。6月上旬、岩手県で活動する「遠野まごころネット」のメンバーは東京・中野でチラシを配った。だが被災地の写真パネルの前で足を止める人はまばら。「もう風化?」。事務局の佐々木祐季さん(25)はショックを受けた。連休後に訪れるボランティアはピーク時の3分の1。「今後は仮設住宅に移った被災者の心のケアも必要なのに。このまま先細りさせるわけにはいかない」

 ボランティア不足の背景には、現地へのアクセスの難しさがある。大都市で起きた阪神大震災と違い、今回の被災地は都市部から遠く、広い。宿泊施設のない集落も多く、安全面からテント設置や車中泊を認めない自治体も多い。

110618 停電だけでも被災証明書 全世帯に発行する自治体続出 [朝日]

 震災の被災者を対象に20日から東北地方の高速道路が無料化されることを控え、被災市町村の窓口で被災証明書の申請が相次いでいる。短期間の停電や断水を理由に全世帯に被災証明書を発行する市町村が続出。東北の全住民が「被災者」になりかねない勢いだ。

 高速料金は、料金所で市町村発行の罹災(りさい)証明書か被災証明書を示せば無料になる。罹災証明書は市町村が内閣府指針に沿って住宅などの損壊状況を確認して発行するが、被災証明書の発行基準は市町村次第だ。

 簡易に発行されるとあって、被災市町村の窓口には被災証明書を求める被災者が殺到している。福島県いわき市は市内で被災し、避難の可能性があれば発行する。9日に専用受付場所を設けた。30分待って被災証明書を手に入れた40代の女性は「原発事故が深刻になったら、すぐに高速で逃げ出せるようにと思って」。

110612 死者1万5421人、行方不明者7937人 12日 [朝日]

 警察庁がまとめた東日本大震災(余震を含む)の死者は、12日現在で1万5421人となった。警察に届け出があった行方不明者は7937人。避難者は8万6186人となっている。

 死者の内訳は、宮城県9228人、岩手県4533人、福島県1595人など。避難場所は21都県、1372カ所に上る。

110601 震災で転園・転校2万人超 福島から他県へ1万人 [朝日]

 東日本大震災の影響で転園・転校した全国の幼稚園児や児童生徒が、5月1日時点で2万1769人に上ったことが文部科学省の集計で分かった。被災地から県境を越えて転出した子どもも1万人を超えており、文科省は受け入れ先などへ教員やスクールカウンセラーを追加で配置、派遣する方針だ。

 集計によると、福島県内の幼小中高などから他の都道府県に移った子どもは9998人に上った。同県内での転出入も5473人に上る。大半が東京電力福島第一原子力発電所周辺から避難したとみられ、計1万5471人が震災前の学校に通えず、避難先の学校などへの通学を余儀なくされている格好だ。津波で沿岸部の学校が被災した岩手、宮城県でも、県内外での転出入はそれぞれ969人、3980人に上った。

 被災地からの受け入れは埼玉県が最多で1311人。新潟県1205人、東京都1199人と続く。原発周辺の住民を集団で受け入れているほか、親戚などを頼って引っ越してきたとみられている。

110530 津波の最高到達点は40.5メートル 専門家チーム測量 [朝日]

 東日本大震災の津波は岩手県宮古市で海面(平均海水面)から40.5メートルの高さにまで到達していたと、全国の研究者でつくる「全国津波合同調査チーム」が分析し、事務局を務める京都大防災研究所の森信人准教授が30日、土木学会関西支部の報告会で発表した。

 森准教授によると、調査チームは東京大、東北大、名古屋大、徳島大など全国の大学や建設会社などの48研究組織の147人からなる。大震災翌日から数人1組となり、全国約3600カ所で、津波の到達範囲や高さを調べた。

 このうち、最も津波が高くまで来ていたのが、宮古市重茂姉吉地区だった。海岸から約520メートル離れた斜面の樹木に、津波で流された枝などがひっかかっていた高さが、海面から40.5メートルに達していた。およそ10階建てビルの高さに相当する。湾の中にあり、津波の高さが増幅されたとみられるという。

110526 宮城県、海抜0メートル以下が3.4倍に拡大 地盤沈下 [朝日]

 宮城県は26日、東日本大震災による地盤沈下で、海抜0メートル以下の地域が震災前の3.4倍に広がったと発表した。梅雨入りを控え、県は「浸水リスクが高まっている」と注意を呼びかけている。

 国土交通省と県が、沿岸部で上空の航空機からレーザーを使って地面の高さを計測。海抜0メートル以下の地域は約56平方キロにのぼった。大潮の満潮時に海面以下となる地域は約129平方キロで、震災前の1.9倍となった。

 地盤沈下が目立ったのは、石巻市の北上川河口や旧北上川河口、仙台平野の3地域で、石巻市では中心部の住宅地や商店街にも海抜0メートル以下の地域が発生した。県は「これまでと同じ雨量でも水はけが悪くなり、農地の冠水も起きやすくなっている」という。

110524 避難所210カ所、土砂災害の恐れ 危険箇所に隣接 [朝日]

 東日本大震災で津波の被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県で、計210の避難所が土砂災害危険箇所に隣接していることが、国土交通省のまとめでわかった。うち25カ所は近くの斜面にひび割れなどがあり、2カ所は緊急工事が必要な状態だった。

 国交省と県は今後、さらに詳しく調べる予定で、危険度の高い場所が増える可能性がある。余震が続く中、梅雨時期を控え、危険な場所に多くの人が避難する現状が明らかになった。

 国交省が3県に報告を求め、16日時点でまとめた。土砂災害危険箇所は斜面の傾斜が急で、地滑りや崖崩れで人家に被害が及ぶ恐れのある場所。今回、緊急点検の対象となったのは震災で震度5強以上を記録した場所にあるもので、岩手7348、宮城7604、福島6737。

110515 計画的避難始まる 初日は飯舘村、川俣町の113人 [朝日]

 東京電力福島第一原子力発電所の事故で「計画的避難区域」に指定された福島県の5市町村のうち、飯舘村と川俣町で15日、自治体が用意した施設への住民の避難が始まった。乳幼児がいる計18世帯、113人がまず、区域外へ移動した。

 計画的避難の対象は5市町村の約3千世帯、約1万人で、うち5千人前後はすでに自主的に避難している。政府は今月中に避難を終えるよう求めているが、避難先の確保が難しいうえ、避難に伴う補償の内容が不透明なことなどから、完了には時間がかかりそうだ。

 全村が計画的避難区域になっている飯舘村役場ではこの日、出発式があり、避難する住民を菅野典雄村長らが送り出した。10世帯の64人が福島市の公務員宿舎など3カ所に引っ越した。同村では、避難対象の約1700世帯、約6200人の3割ほどがすでに自主避難している。

 川俣町は山木屋地区の509世帯、1252人が避難対象。同町でも出発式が行われ、8世帯の49人が町内の避難対象区域外にある町営住宅など4カ所に移った。町によると、避難対象の世帯の多くが避難を済ませている。

 残りの南相馬市、浪江町、葛尾村の3市町村も今後、避難を進める。各自治体は避難先の施設を確保し、放射線の影響を受けやすい乳幼児や妊婦のいる家庭などを優先的に避難させる。

110510 校庭表土、穴掘って埋め覆土処理 福島3市村が新方式 [朝日]

 原発事故で放射性物質が降り注いだ校庭の表土について、福島県の二本松市、本宮市、大玉村は9日、校庭に穴を掘って表土を埋め、覆土する方式で処理すると発表した。今月中に3市村内の小中学校、保育所、幼稚園全89カ所で作業を終える計画だ。

 同県郡山市などでは削り取った表土を校庭の隅に積み上げている。また、文部科学省は表層の土と下の土を入れ替える方式を実験中だが、二本松市などは「上下を入れ替えても校庭一面に汚染土がある状態は変わりない」として採用せず、新たな方式を採った。

 作業手順は、表土を厚さ3~5センチ削り、それを校庭に掘った穴に遮蔽(しゃへい)シートを敷いて埋め、上からもシートをかぶせたうえ、厚さ1メートルの土をかぶせる。

 放射線防護学が専門の野口邦和・日本大学専任講師の助言に基づくといい、1メートルの覆土で放射線量を100分の1以下に抑えられるとのデータがあるという。

 3市村は「穴に埋めても、あくまで仮置き」として、表土の最終的な処分は国と東京電力に求めていくとしている。(斎藤健一郎)

110522 被災住宅ローン、破産なし返済免除を検討 新基準策定へ [朝日]

 金融庁は、東日本大震災で家を失った人が自己破産しなくても住宅ローンの返済免除を受けやすくする仕組みを作る。震災前の借金に新たな借金が重なる「二重ローン」を防ぎ、住宅を再建しやすくする狙い。6月をめどに基準をまとめ、金融機関などと協議した上で早期の適用を目指す。

 震災では工場や店舗も含め、9万戸が全壊し、ローンだけ残った人も多い。岩手、宮城、福島3県の地方銀行では住宅ローンの返済猶予は5千件を超え、数百億円規模にのぼっている。

 住宅再建には新ローンが必要になるため、被災地では震災前のローンの返済免除を求める声が多い。だが、自己破産しないと返済免除を受けるのは難しい。

 このため、金融庁は国税庁と調整して金融機関の税を優遇し、自己破産なしで免除しやすくする。

 金融機関は自己破産なしで免除すると「利益供与」とみなされ、免除額に3~4割の法人税がかかる。これを無税にして免除を促す。金融機関は損失処理にかかる費用が少なくなる。

 ただ、金融機関が多額の損失を被るのを防ぐため、ローンすべてではなく、一部に無税免除を認めるなどの条件をつける。財産や収入が多い人、財産や収入がなく新ローンを組めない人などは対象にしないことも検討している。家の被災状況や収入見通し、財産などを考慮し、免除すれば生活再建が進むとみられる人を対象にする方針だ。

 金融機関の損失が膨らんでも経営難に陥らないよう、公的資金注入を申請しやすくする法案も今国会に提出する。経営責任を問わないなど基準を緩める。(千葉卓朗)

110509 福島の牛1万頭、24都道府県に受け皿 乳牛は殺処分 [朝日]

 今月末までの住民の避難が求められている福島県内の計画的避難区域にいる牛の移動について、全国24都道府県が受け入れる意向を示したことがわかった。農林水産省が受け入れを募っていた。約9300頭が対象だが、受け入れ可能頭数は1万頭を超える。

 同区域は畜産地帯で、農家が避難するうえで牛の処置が大きな課題になっていた。農水省と福島県は、肉牛の繁殖用雌牛はなるべく移動させ、乳牛の大半は殺処分で食肉とするなどの方針を決め、9日までに区域にあたる飯舘村、葛尾村などへ説明した。

 農水省によると、同区域には東日本大震災直前の時点で牛約9300頭、豚約1万頭、鶏約91万羽がいた。このうち価値が高く、農家の希望も強い牛の処置を優先して検討してきた。

 農水省と福島県は全9300頭の牛について種類別に協議。肉牛のうち、子牛はなるべく通常通りに競りにかける。肥育牛は、適齢期なら食肉処理し、適齢期に達していなくても多少なら前倒し出荷を促す。繁殖用の雌牛は県内外に移動先を探す。乳牛は体力的に長距離の移動に耐えられず、牧草の放射能汚染も広範囲に広がる見込みのため、大半を殺処分し、食肉に回す。

 農水省は、主に繁殖用雌牛が対象となる移動について、全都道府県に受け入れの可否を打診。畜産地帯の北海道や鹿児島県を始め、東京都や大阪府なども含めて24都道府県が可能と返答した。公営牧場が中心だった。受け入れの条件は買い取りや預託など様々だが、総計で1万頭を超えたという。

 今月末までの避難は困難とする飯舘村などは、理由の一つに牛の処置が決まらないことを挙げてきたが、農水省は各都道府県の受け入れ条件を紹介し、早期の避難実現につなげたい考えだ。ただ農家ごとに希望する受け入れ条件は異なるうえ、距離的に近い地域に人気が集中するとみられ、移動先がまとまるかは不透明だ。

 農水省は、人の基準と同じ10万カウント(cpm)を超える放射線量の家畜は移動させない方針だ。牛の出荷や移動を前に福島県は6日、同区域内の牛の検査結果を公表。調べた770頭のうち1万cpmを超えた牛はいなかった。

 農水省は、同区域の鶏は出荷や移動が困難とみている。また、緊急時避難準備区域にも牛約7500頭、豚約1万3千頭、鶏約107万9千羽がいたが、処置の検討は計画的避難区域が優先されている。一方、福島第一原発から半径20キロ以内の警戒区域内にいた牛約3500頭、豚約3万頭、鶏約67万5千羽は事実上、放置されている。(大谷聡)

110509 繰り返す液状化、150カ所で過去にも発生 研究者分析 [朝日]

 東日本大震災で、東京湾岸などで被害があった地盤の液状化が、全国約150カ所で過去に繰り返し発生、最大11回も再発した地域があったとする研究を関東学院大の若松加寿江教授がまとめた。防災上、過去の発生を把握することが重要だと指摘している。

 若松さんは、古文書や学術文献を使って、416年から2008年までの約1600年間に起きた地震約1千件を調べた。その結果、噴砂や噴水、噴泥、地中構造物の浮き上がり、という液状化に伴う現象が150の地震で確認できた。

 液状化は計約1万6500カ所で起き、うち150カ所では、複数の地震で起きていた。平野や盆地ごとに集計すると、濃尾平野と新潟平野が各11回、秋田・能代平野が10回、大阪平野が9回、関東平野が8回。釧路、十勝平野が各6回、京都盆地が6回、長野盆地が3回だった。福岡平野でも2回あった。

 液状化は、地下水位が高く、砂が緩く堆積(たいせき)した地盤で起こる。海岸近くの平地や埋め立て地、内陸では大きな川の流域で起きやすい。液状化の危険度予測地図を作って公表している自治体もあるが、過去の被災履歴も踏まえた判断が有効だと若松さんは考える。「数十年から百数十年の単位で見た場合、一度液状化した所は、強い地震で再び液状化する可能性が高いと考えた方がいい」

 再発について、若松さんは「液状化で地下水が噴出しても、地盤は締まらずに、かえって緩んだとの計測結果もある」と指摘。原因は、(1)液状化で一度バラバラになった砂粒の結びつきが以前より弱くなり、土の強度が低下する(2)地震の揺れは、砂の層がまんべんなく締め固められるほど長くは続かない(3)地下水が噴出する際に砂の地盤が攪拌(かくはん)されて再び緩く積もる、などの説があるという。

 若松さんは、液状化地点を地図上で検索できるデータベースをまとめ、DVD「日本の液状化履歴マップ」(東京大学出版会、税込み2万1千円)を出版した。「印税は震災復興に寄付したい」と話している。(吉田晋)

110423 東電社長が原発周辺の住民に土下座謝罪 [朝日]

 福島県を22日に訪れた東京電力の清水正孝社長は、福島第一原発事故の発生後初めて佐藤雄平知事に謝罪した後、原発近くの5町村が仮役場を置く県内外4施設を回り、住民らに謝った。

 郡山市では、川内村の遠藤雄幸村長や富岡町の遠藤勝也町長に会い、「一日も早く古里に戻れるように全力を尽くします。改めておわび申し上げます」と述べた。その後、約1300人が避難生活を送る施設内を2時間近くかけて回った。

 富岡町の男性(29)は「5歳の長男はいつも地元を思い出し、友達に会いたい、と泣いている」と強い口調で迫った。前日に貴重品を取りに自宅へ戻った同町の女性(57)は「自分の家に入るのに、なんで防護服が必要なんですか。悔しい」と涙を流した。清水社長は「一日も早く収束させます」「申し訳ありません」と繰り返し、土下座する場面もあった。

 双葉町の町民が避難している埼玉県加須市の旧県立高校に清水社長が到着したのは午後9時40分ごろ。消灯時間が近づいていたため住民のもとへは行かず、井戸川克隆町長に「大変遠いところに避難され、心身共につらい状況を承知しています。申し訳ございません」と謝罪した。井戸川町長は「補償を速やかに実施してもらいたい」などと応じた。

 清水社長は、報道陣の取材に「地域との信頼関係が崩れたことを痛感した。信頼関係をいかに再構築するかも大事だと認識した」と話した。(小寺陽一郎、釆沢嘉高)

110418 自衛隊、原発30キロ圏内の捜索開始 重機でがれき除去 [朝日]

 自衛隊は18日午前、東京電力福島第一原発の半径30キロ圏内での行方不明者の捜索を始めた。陸上自衛隊第12旅団の指揮で約2500人が活動する。自衛隊が捜索を主な目的として30キロ圏に入るのは初めて。

 当面は20~30キロ圏内が対象となる。警察や消防と連携し、沿岸部で自衛隊の重機を使ってがれきを取り除きながら捜索。放射線量を見ながら今後20キロ圏内も捜索する方針だ。
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