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131213 北朝鮮:張成沢氏に死刑判決、即時執行 特別軍事裁判 [毎日]

 【北京・西岡省二】北朝鮮の治安機関である国家安全保衛部は12日、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の叔父で国防副委員長など全役職を解任された張成沢(チャン・ソンテク)氏(67)に対する特別軍事裁判を開き、国家転覆の陰謀行為を働いたとして死刑判決を下し、即時執行した。朝鮮中央通信が13日伝えた。北朝鮮が金第1書記の最側近でナンバー2だった張氏に対して行った厳しい処置の背景には、故金正日(キム・ジョンイル)総書記の命日(17日)を前に、張氏の影響力を完全に取り除き、金第1書記による体制を強固なものにしたいという思惑があるとみられる。

 北朝鮮が軍事裁判の詳細や刑の執行を公にするのは異例。同通信は「起訴された張成沢の一切の犯行は審理の過程で100%立証され、被告は全面的に認めた」と強調したうえ「特別軍事裁判所は被告が我が共和国の人民主権を覆す目的で敢行した国家転覆陰謀行為が刑法第60条に該当する犯罪を構成すると確証した」と指摘した。

 また、金総書記が死去して金第1書記に権力が移行する際の張氏について「いよいよ時が来たと考えて本性を現し始めた。継承問題を妨害し、大逆罪を犯した」などと非難した。さらに、同通信は、張氏が最高権力を奪うため▽自身が統括していた部署が重要な経済部門を掌握する▽北朝鮮を経済的に混乱させる▽崩壊直前に経済機関を内閣に集中させて自分が首相になる−−などとする「クーデター」を企てたと指摘。権力掌握後には、外国が「新政権」を短期間で認定すると妄想したなどと非難した。

 北朝鮮では2009年に通貨ウォンのデノミネーション(通貨呼称単位の変更)が実施され、国内が大混乱したが、この措置についても張氏の責任と断じた。

 張氏は、金総書記の妹、金慶喜(キム・ギョンヒ)書記の夫。国防副委員長のほか、朝鮮労働党政治局委員、党中央軍事委員、党行政部長、党中央委員、国家体育指導委員長という重責を担ってきた。張氏については、党中央委員会政治局拡大会議が8日、「党内で派閥を形成するために悪辣(あくらつ)に動いた」などとしてすべての職務を解任し、党を除名することを決定していた。

 韓国国防省によると、北朝鮮軍は12月初めから冬季演習を行っているが、今のところ特異な動向はないという。

131209 北朝鮮:「反革命的行為を敢行」張成沢氏党除名を発表 [毎日]

[毎日]
 【北京・西岡省二】北朝鮮の朝鮮労働党は8日、中央委員会政治局拡大会議を開き、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の叔父で実力者の張成沢(チャン・ソンテク)国防副委員長(67)について「党の方針を公然と覆した揚げ句、朝鮮人民軍最高司令官(金第1書記)の命令に従わないという反革命的行為をためらいなく敢行した」などと断罪し、すべての職務を解くとともに党を除名すると決定した。朝鮮中央通信が9日報道した。失脚説が流れていた張氏の処遇について北朝鮮が公式に明らかにするのは初めて。最高指導者の金第1書記とナンバー2の張氏が激しく対立していたことが浮き彫りになっており、北朝鮮指導部の権力構造が急変していることが明らかになった。

 拡大会議には金第1書記も出席した。決定文では、張氏やその周辺について「党の路線と政策を心から奉じず、その執行を意識的に怠業して歪曲(わいきょく)的に執行した」などと指摘。金第1書記に思想や権力を集中させる「唯一領導体制」の構築を阻害する「反党・反革命的派閥行為」を敢行したと明らかにしたうえで、「強盛国家建設と人民生活向上のための闘争に莫大(ばくだい)な害毒を及ぼす行為を働いた」と断じた。

 決定文ではまた、張氏の行動を「表では党と領袖(りょうしゅう)を奉じるふりをしながら、裏では背を向けて同床異夢の派閥行為を働いた」「偉大なる首領様(故金日成=キム・イルソン=国家主席)と将軍様(故金正日=キム・ジョンイル=総書記)を高く奉じる事業を無視し、妨害する背信行為をした」と強く非難。「犯罪行為は想像を絶し、党と革命に及ぼした害毒と災いは非常に大きい」と強調した。

 張成沢氏は、金総書記の妹である金慶喜(キム・ギョンヒ)書記の夫。

 韓国の情報機関・国家情報院は今月になって、張氏側近2人が公開処刑され、張氏自身も失脚したとの見方を明らかにしてきた。北朝鮮当局も、記録映画から張氏の姿を消し、国営報道機関の過去の記事から張氏の記述を消去するなど、張氏排除の動きが表面化していた。

121212 北朝鮮ミサイル発射 沖縄上空を通過 比沖落下と推定 [東京]

 北朝鮮は十二日午前九時四十九分ごろ、北西部・東倉里(トンチャンリ)から人工衛星と主張する長距離弾道ミサイルを発射した。日韓両政府が確認した。ミサイルは空中で順次分離し、三つの落下物がそれぞれ北朝鮮が予告した海域に落ちた。日本の領土や領海内への落下物は見つかっておらず、けが人など被害の報告はない。自衛隊が準備していたミサイルの迎撃は実施しなかった。北朝鮮の朝鮮中央通信は人工衛星の打ち上げと衛星の軌道投入に成功したと報じた。
 国連安全保障理事会の決議や議長声明に違反する発射強行で、国連や関係各国は北朝鮮に対する追加制裁の検討に入った。
 日本政府は安保理議長国のモロッコに速やかな会合の開催を促した。藤村修官房長官は記者会見で、安保理に新たな非難や制裁の決議採択を求める考えを表明した。藤村氏は会見で、北朝鮮のミサイルは十時一分ごろに沖縄県上空を通過したと推定すると発表した。
 日本政府によると、一つ目の落下物が午前九時五十八分ごろ、朝鮮半島西沖約二百キロの黄海に、二つ目が一分後に朝鮮半島の南西約三百キロの東シナ海に、三つ目が午前十時五分ごろにフィリピンの東約三百キロの太平洋上に落下したとみられる。
 野田佳彦首相は関係省庁に対し(1)情報収集・分析に努める(2)国民への情報提供に全力を尽くす(3)不測の事態に備えて万全を期す-の三点を指示した。
 政府は安全保障会議を官邸で開き、首相が米韓中ロなどと連携して対処することなどを求めた。
 森本敏防衛相は自衛隊に日本領域、周辺海域での被害の確認や米国などと連携して必要な情報の収集・分析に全力を挙げるように指示した。
 藤村氏は「わが国を含む地域の平和と安定を損なう安全保障上の重大な挑発行為。厳重に抗議し、遺憾の意を表明する」との声明を発表。玄葉光一郎外相は外交ルートで北朝鮮に抗議した。
 北朝鮮による長距離弾道ミサイル発射は、発射直後に空中で爆発した四月十三日以来。金正恩(キムジョンウン)第一書記を中心とする体制になって二度目。
 北朝鮮は国際海事機関(IMO)に対し、一段目は韓国西方沖、二段目はフィリピン東方沖に落下すると予告していた。
 日本政府は迎撃を可能にする破壊措置命令を出し、海上自衛隊のイージス艦などを展開していた。
(東京新聞)

111219 北朝鮮の金正日総書記死去 朝鮮中央放送報じる [朝日]

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の最高指導者、金正日(キム・ジョンイル)総書記が死去した。69歳だった。朝鮮中央放送が19日、特別放送で伝えた。三男の正恩(ジョンウン)氏が後継者に決まっているが、権力移行の展開によっては国内が混乱し、難民の流出や核兵器の行方をめぐって情勢が緊迫する可能性も排除できない。

 金総書記は、以前から心臓疾患や糖尿病が指摘されていたが、2008年9月の建国60年祝賀行事に姿を見せず健康不安説が表面化。同年夏に脳疾患にかかり、後遺症が残っていたとされる。17日に現地指導中、急病で死亡したという。

 健康悪化を受け、正恩氏を後継者に内定。10年9月に44年ぶりに開かれた朝鮮労働党代表者会などを通じ、正恩氏は党中央軍事委員会の副委員長に就き、後継者として公式化された。その後、金総書記は正恩氏を伴って現地指導などを続けた。(ソウル=牧野愛博)

101126 北朝鮮砲撃、米中首脳が電話会談へ 韓国国防相は辞任 [朝日]

 【ワシントン=村山祐介】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は24日、米ホワイトハウスの複数の高官の話として、オバマ米大統領が、北朝鮮軍が韓国の大延坪島(テヨンピョンド)を砲撃した問題で協力を求めるため、中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席との電話会談の準備を進めている、と報じた。

 同紙によると、複数の米政府当局者が電話で対応を協議した後、クリントン国務長官も楊潔チー(ヤン・チエチー、チーは竹かんむりに褫のつくり)外相と電話会談する予定という。中国政府に、砲撃事件に対する北朝鮮の責任を認めるよう求め、北朝鮮によるさらなる挑発行為を抑止するために影響力を行使することを促す方針だ。

 【ソウル=牧野愛博】韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は25日、今年5月に哨戒艦沈没事件の責任を取って提出されていた金泰栄(キム・テヨン)国防相の辞表を受理した。大統領府が同日発表した。北朝鮮の大延坪島砲撃を受け、「軍の雰囲気を刷新」(大統領府)した。北朝鮮軍の挑発的な動きを受け、韓国政府は同日、より強い反撃を可能にするため武器の使用規則などを変更し、同島などの兵力を増強する方針も決めた。

 大統領が26日にも後任の国防相を発表する。砲撃戦で兵士に2人の死者と16人の重軽傷者を出した軍の士気を再び高め、国内の結束を呼びかけるためにも、金国防相の辞任は不可避と判断した模様だ。

 また、韓国政府は2006年に決まった同島などを含む周辺地域の兵力縮小計画を撤回し、逆に増強する方針を決定。より強い反撃を可能にするよう、戦況ごとに軍事力使用の具体的な制約を定めた交戦規則の改正も決めた。

 北朝鮮は23日の砲撃後も繰り返し、2次挑発の可能性に言及している。韓国政府は28日から始まる米韓合同軍事演習の際、新たな挑発に出る可能性があるとみている。韓国軍は砲撃戦直後、同島周辺で北朝鮮軍の局地挑発に備えた最高度の防衛準備態勢に突入。首都ソウルなど後方地域も2番目に高い態勢を維持している。

101201 中国反対、北朝鮮への声明見送り ウラン濃縮めぐり国連 [朝日]

 【ニューヨーク=丹内敦子】国連安全保障理事会は11月30日、北朝鮮が米専門家に公開した新たなウラン濃縮施設について懸念する内容の声明を出す方向で非公式に調整したものの、中国が反対したため、まとまらなかった。複数の安保理筋が明らかにした。

 安保理筋によると、検討された声明は、議長声明や報道声明よりも政治的な重要性は低い。内容も北朝鮮を刺激することを嫌う中国に配慮し、強い非難は避けた模様だ。それでも「1カ国(中国)が、いかなる声明を出すことにも反対した」(安保理筋)ため、まとまらなかった。

101130 中国「北朝鮮は駄々っ子」 暴露の米公電に赤裸々本音 [朝日]

【ワシントン=村山祐介】「北朝鮮は駄々っ子だ」「難民30万人までなら受け入れ」――。民間告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米国の公電によって、「後ろ盾」とみられている中国政府が北朝鮮の扱いに手を焼き、体制崩壊に危機感を募らせている実態が浮かび上がった。

 29日付の英紙ガーディアン(電子版)などが報じた。公電には、韓国の管理下での朝鮮半島再統一を望ましいとする中国高官の私的見解や、中国が北朝鮮の体制崩壊時に軍事的な国境封鎖を検討している、といった内容も含まれていた。中国政府内で、北朝鮮の体制崩壊に備えた議論があったことを示唆するもので、挑発的姿勢を強める北朝鮮をさらに刺激する可能性もある。

 ガーディアンがネット上に掲載した今年2月22日付のソウルの米国大使館発の公電によると、韓国外交通商省の第2次官だった千英宇(チョン・ヨンウ)氏(現・大統領府外交安保首席秘書官)が同17日、米国のスティーブンス駐韓大使と昼食をとった際、6者協議の韓国首席代表当時の中国側との私的会話のなかで、中国政府高官2人が「朝鮮は韓国の管理下で統一されるべきだと信じていた」と説明。千氏は、北朝鮮が米国の影響力を緩和する「緩衝国」としての価値をほとんど持たなくなったという「新しい現実」に中国は向き合う用意がある、とも語った。

 また、千氏は、北朝鮮が崩壊した際には、中国が韓国と北朝鮮との軍事境界線近くの非武装地帯(DMZ)の北朝鮮側での米軍の存在を歓迎しないことは明らかだ、と指摘。韓国が中国に敵対的な姿勢をとらない限り、統一朝鮮はソウルが管理し、米国はその「無害な同盟国」になる状態が中国にとっても「心地よい」との見方も示した。

 さらに、千氏は北朝鮮が経済的にはすでに崩壊しており、金正日(キム・ジョンイル)総書記の死後、「2、3年で体制が崩壊するだろう」と指摘。中国も金総書記の死後の北朝鮮崩壊は止められない、と指摘し、北朝鮮に対する影響力は「おおかたの人が信じているよりずっと弱い」とも述べた。「中国の戦略的、経済的な利益は今や北朝鮮ではなく、米日韓にある」とも指摘した。

 スティーブンス氏が日韓関係強化が日本の統一朝鮮受け入れの助けになる、と指摘したのに対し、千氏は「日本は朝鮮の分裂状態を望んでいる」とし、「日本に統一を止める影響力はない」と語ったという。

 一方、北朝鮮による弾道ミサイル発射実験後の昨年4月30日付の米国の北京大使館発の公電では、中国外務省の何亜非次官が米国の代理公使との昼食時、「北朝鮮は大人の注意を得るために『駄々っ子』のように振る舞っている」と表現したという。

 ガーディアンは、入手した米国の複数の公電を分析した結果として、中国が北朝鮮の体制が不安定化するリスクを考慮していた、と指摘。ある公電は、複数の中国政府当局者が北朝鮮から中国への人口流入について「30万人までなら外部の支援なしで吸収することができる」と考えている、との国際機関の代表の発言に言及。流入が一気に起きた場合には、中朝国境を軍事的に封鎖し、人道支援のための一時的な滞在区域を設定し、他国に支援を求める可能性も触れられていたという。

101203 「北朝鮮の追加挑発あれば、空爆」韓国次期国防相が明言 [朝日]

 【ソウル=牧野愛博】韓国の金寛鎮(キム・グァンジン)次期国防相が3日、国会の人事聴聞会に出席し、北朝鮮軍による追加挑発が起きた場合、先月の砲撃戦で実施しなかった航空機による爆撃を行う考えを表明。政府の対応方針を事実上、修正した。強硬論に傾く世論に対応する意図がありそうだが、日米の一部から事態の緊迫化を懸念する声も出ている。

 金氏は聴聞会で「万一、追加挑発が起きれば、航空機で爆撃する」と明言。「確実に対応すれば、これ以上挑発はできない」とも主張した。先月23日の砲撃戦の際、追加挑発がなかったため空爆を思いとどまったとした金泰栄(キム・テヨン)国防相の24日の国会答弁から、一歩踏み込んだ。

 金寛鎮氏はまた、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前政権時代の2004年版国防白書から削除した「主敵」の概念を巡り、「主敵は明白だ。北韓(北朝鮮)軍、北韓指導部だ」と発言。3月に起きた韓国哨戒艦沈没事件でも実施しなかった拡声機による北朝鮮向けの軍事心理放送を再開する考えも示唆した。

 国会は3日、金寛鎮氏の国防相就任を承認。金氏は4日、正式に就任する。

 金氏が強硬発言を繰り返した背景には、怒りが収まらない韓国の世論がある。東亜日報が先月30日と1日に実施した世論調査では、「砲撃戦で空爆などの強硬対応を取るべきだった」と答えた人は83.4%に達した。韓国政府関係者は「今は対話の話などできない」と語る。

 一方で、李明博(イ・ミョンバク)大統領は1日、北朝鮮に柔軟な姿勢を取る中国との対話を強化すべきだとの考えも表明。別の韓国政府関係者も「対話でしか解決の道はない」と語るが、外交筋は「日米の間では、韓国の暴発を懸念する声がないわけではない」と話す。

 6日にワシントンで開かれる日米韓外相会談では、日米が韓国政府への全面支援を約束する代わりに、冷静な対応も求めることになりそうだ。

101130 中国「北朝鮮は駄々っ子」 暴露の米公電に赤裸々本音 [朝日]

 【ワシントン=村山祐介】「北朝鮮は駄々っ子だ」「難民30万人までなら受け入れ」――。民間告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米国の公電によって、「後ろ盾」とみられている中国政府が北朝鮮の扱いに手を焼き、体制崩壊に危機感を募らせている実態が浮かび上がった。

 29日付の英紙ガーディアン(電子版)などが報じた。公電には、韓国の管理下での朝鮮半島再統一を望ましいとする中国高官の私的見解や、中国が北朝鮮の体制崩壊時に軍事的な国境封鎖を検討している、といった内容も含まれていた。中国政府内で、北朝鮮の体制崩壊に備えた議論があったことを示唆するもので、挑発的姿勢を強める北朝鮮をさらに刺激する可能性もある。

 ガーディアンがネット上に掲載した今年2月22日付のソウルの米国大使館発の公電によると、韓国外交通商省の第2次官だった千英宇(チョン・ヨンウ)氏(現・大統領府外交安保首席秘書官)が同17日、米国のスティーブンス駐韓大使と昼食をとった際、6者協議の韓国首席代表当時の中国側との私的会話のなかで、中国政府高官2人が「朝鮮は韓国の管理下で統一されるべきだと信じていた」と説明。千氏は、北朝鮮が米国の影響力を緩和する「緩衝国」としての価値をほとんど持たなくなったという「新しい現実」に中国は向き合う用意がある、とも語った。

 また、千氏は、北朝鮮が崩壊した際には、中国が韓国と北朝鮮との軍事境界線近くの非武装地帯(DMZ)の北朝鮮側での米軍の存在を歓迎しないことは明らかだ、と指摘。韓国が中国に敵対的な姿勢をとらない限り、統一朝鮮はソウルが管理し、米国はその「無害な同盟国」になる状態が中国にとっても「心地よい」との見方も示した。

 さらに、千氏は北朝鮮が経済的にはすでに崩壊しており、金正日(キム・ジョンイル)総書記の死後、「2、3年で体制が崩壊するだろう」と指摘。中国も金総書記の死後の北朝鮮崩壊は止められない、と指摘し、北朝鮮に対する影響力は「おおかたの人が信じているよりずっと弱い」とも述べた。「中国の戦略的、経済的な利益は今や北朝鮮ではなく、米日韓にある」とも指摘した。

 スティーブンス氏が日韓関係強化が日本の統一朝鮮受け入れの助けになる、と指摘したのに対し、千氏は「日本は朝鮮の分裂状態を望んでいる」とし、「日本に統一を止める影響力はない」と語ったという。

 一方、北朝鮮による弾道ミサイル発射実験後の昨年4月30日付の米国の北京大使館発の公電では、中国外務省の何亜非次官が米国の代理公使との昼食時、「北朝鮮は大人の注意を得るために『駄々っ子』のように振る舞っている」と表現したという。

 ガーディアンは、入手した米国の複数の公電を分析した結果として、中国が北朝鮮の体制が不安定化するリスクを考慮していた、と指摘。ある公電は、複数の中国政府当局者が北朝鮮から中国への人口流入について「30万人までなら外部の支援なしで吸収することができる」と考えている、との国際機関の代表の発言に言及。流入が一気に起きた場合には、中朝国境を軍事的に封鎖し、人道支援のための一時的な滞在区域を設定し、他国に支援を求める可能性も触れられていたという。

101128 「軍事挑発に対して自衛措置」北朝鮮外務省が発表 [朝日]

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の外務省報道官は24日、大延坪島(テヨンピョンド)への砲撃は「わが方領海に砲撃した敵の無謀な軍事挑発に対応して自衛措置を講じた」との談話を発表し、現場海域で軍事演習をしていた韓国軍が先に砲撃したと改めて主張した。

 談話は「今回の事件は『国連軍』が勝手に一方的に引いた不法・無法の『北方限界線』(NLL)のために招かれた危険な事態だ」と位置づけ、「我が軍の砲門はまだ開かれている」として今後も攻撃する可能性を示唆している。

101128 北朝鮮砲撃、米中首脳が電話会談へ 韓国国防相は辞任 [朝日]

【ワシントン=村山祐介】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は24日、米ホワイトハウスの複数の高官の話として、オバマ米大統領が、北朝鮮軍が韓国の大延坪島(テヨンピョンド)を砲撃した問題で協力を求めるため、中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席との電話会談の準備を進めている、と報じた。

 同紙によると、複数の米政府当局者が電話で対応を協議した後、クリントン国務長官も楊潔チー(ヤン・チエチー、チーは竹かんむりに褫のつくり)外相と電話会談する予定という。中国政府に、砲撃事件に対する北朝鮮の責任を認めるよう求め、北朝鮮によるさらなる挑発行為を抑止するために影響力を行使することを促す方針だ。

 【ソウル=牧野愛博】韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は25日、今年5月に哨戒艦沈没事件の責任を取って提出されていた金泰栄(キム・テヨン)国防相の辞表を受理した。大統領府が同日発表した。北朝鮮の大延坪島砲撃を受け、「軍の雰囲気を刷新」(大統領府)した。北朝鮮軍の挑発的な動きを受け、韓国政府は同日、より強い反撃を可能にするため武器の使用規則などを変更し、同島などの兵力を増強する方針も決めた。

 大統領が26日にも後任の国防相を発表する。砲撃戦で兵士に2人の死者と16人の重軽傷者を出した軍の士気を再び高め、国内の結束を呼びかけるためにも、金国防相の辞任は不可避と判断した模様だ。

 また、韓国政府は2006年に決まった同島などを含む周辺地域の兵力縮小計画を撤回し、逆に増強する方針を決定。より強い反撃を可能にするよう、戦況ごとに軍事力使用の具体的な制約を定めた交戦規則の改正も決めた。

 北朝鮮は23日の砲撃後も繰り返し、2次挑発の可能性に言及している。韓国政府は28日から始まる米韓合同軍事演習の際、新たな挑発に出る可能性があるとみている。韓国軍は砲撃戦直後、同島周辺で北朝鮮軍の局地挑発に備えた最高度の防衛準備態勢に突入。首都ソウルなど後方地域も2番目に高い態勢を維持している。

101125 「軍事挑発に対して自衛措置」北朝鮮外務省が発表 [朝日]

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の外務省報道官は24日、大延坪島(テヨンピョンド)への砲撃は「わが方領海に砲撃した敵の無謀な軍事挑発に対応して自衛措置を講じた」との談話を発表し、現場海域で軍事演習をしていた韓国軍が先に砲撃したと改めて主張した。

 談話は「今回の事件は『国連軍』が勝手に一方的に引いた不法・無法の『北方限界線』(NLL)のために招かれた危険な事態だ」と位置づけ、「我が軍の砲門はまだ開かれている」として今後も攻撃する可能性を示唆している。

101124 中国外務省が「遺憾」の談話発表 北朝鮮砲撃事件 [朝日]

 中国外務省報道局の洪磊副局長は24日、北朝鮮による韓国・大延坪島の砲撃を受け、「(北)朝鮮と韓国双方が冷静さと自制を保ち、できるだけ早く対話による接触を行って同様の事件の再発を防ぐことを強く呼びかける」とする談話を発表した。談話は砲撃で死傷者が出たことについて「心の痛みと遺憾の念を覚える」とし、「関係各国が局面の緩和と半島の平和と安定に利するより多くのことをする必要がある」と関係各国にも冷静な対応を求めた。

101123 北朝鮮が砲撃、韓国軍の2兵士死亡 島民含む19人負傷 [朝日]

 【ソウル=牧野愛博】韓国国防省によると、北朝鮮南西部の黄海南道に駐屯する北朝鮮軍が23日午後2時半過ぎから、韓国の大延坪島(テヨンピョンド)やその周辺海域を断続的に砲撃した。同日午後3時40分ごろまでに数十発の砲弾が撃ち込まれ、韓国軍に死者2人、重軽傷者16人の被害が出たほか、民間人が少なくとも3人負傷した。韓国軍も応戦措置として対岸の北朝鮮軍陣地に砲撃80発を加えた。

 1953年に朝鮮戦争が休戦した後、北朝鮮軍が韓国領土の陸地を直接砲撃したのは、今回が初めて。今秋、南北離散家族の面会事業などで緊張が緩和しかけていた南北関係は再び緊張し、北朝鮮核開発を巡る6者協議の行方にも大きな影響が出そうだ。

 大延坪島は、海上の軍事境界線に相当する北方限界線(NLL)を挟み、北朝鮮から南に十数キロ。北朝鮮の海岸砲による砲撃で市街地など島内数カ所で火災が起き、民間家屋60~70軒も破壊された。島内には民間人1100人以上が住み、韓国軍約500人が駐屯しており、民間人は島内の施設や本土へ退避した。

 現場海域では韓国軍が22日から演習をしていた。北朝鮮は国連軍が設定したNLLの有効性を認めていない。朝鮮中央通信によると、北朝鮮軍最高司令部は、砲撃は韓国軍演習への対抗措置だとして「我々の領土を侵犯すれば、無慈悲な軍事対応打撃を加え続ける」と警告。先に砲撃したのは韓国側だと主張した。

 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は23日午後、緊急の外交・安全保障関係閣僚会議などを開き「状況が悪化しないよう万全を期せ」と指示。同夜には韓国軍合同参謀本部を訪れ、「民間を無差別に攻撃した重大な事態だ」と強調。北朝鮮が再び挑発した場合、通常の対応の枠を超えて応戦する考えを示した。

 韓国統一省は同日、25日に予定された南北赤十字協議の無期限延期を発表した。

 韓国軍は、砲撃が朝鮮戦争の休戦協定などに違反すると判断、北朝鮮軍の砲撃陣地に集中的な反撃を加え、「相当な被害を与えた」とした。北朝鮮軍には挑発中止を要求する通知文を送った。周辺海域一帯に、局地挑発に備えた軍の防衛準備態勢を最高水準に格上げして発令。空軍機も発進させて現場空域に待機させた。

101122 北朝鮮にウラン濃縮の新施設 遠心分離器「2000基」 [朝日]

 【ワシントン=村山祐介】訪朝したヘッカー米スタンフォード大教授が20日、北朝鮮・寧辺の核関連施設でウラン濃縮の新施設を訪れたことを明らかにした。核兵器の原料ともなるウラン濃縮を巡っては、北朝鮮は昨年9月に濃縮試験が成功し、最終段階にあると表明していた。ウラン濃縮は外部からの監視が難しく、従来のプルトニウム再処理とは別の核開発が、国際社会の目の届かない所で進みかねない。各国は難しい対応を迫られることになる。

 ウラン濃縮はプルトニウムの再処理と違って大規模な施設は必要なく、衛星などでの追跡・監視は極めて困難になる。また、ウラン型原爆は濃縮技術さえあればプルトニウム型に比べて兵器化が容易とされ、核の脅威は高まる。米国務省は同日、ボズワース北朝鮮政策特別代表らを韓国、日本、中国との協議に派遣したと発表した。

 米国の核兵器研究の中核を担うロスアラモス国立研究所長を務めたヘッカー氏は、スタンフォード大のホームページに20日付で報告書を掲載。それによると、ヘッカー氏らは今月12日に寧辺の核関連施設を訪れた際、北朝鮮の原子力総局の担当者らから、軽水炉の建設現場と「最近完成したばかりの近代的なウラン濃縮施設」に案内された。

 北朝鮮側は「遠心分離器が2千基」「燃料用低濃縮ウランを製造している」と説明。また設備はすべて国産で、遠心分離器は青森県六ケ所村とオランダ・アルメロの濃縮施設を「モデルにした」とも主張したという。

 施設はかつて燃料棒製造棟があった場所で、中には直径20センチ、高さ1.8メートルほどの遠心分離器を整然と配置。「近代的で清潔」で「衝撃を受けた」と記した。北朝鮮側の説明では昨年4月に着工し、同氏の訪問の数日前に稼働できるようになったという。

 施設の幹部は同氏に「我々は、生き残るために独自の軽水炉建設を決めた。6者協議は喜んで進めたいが、前向きな合意を待つことはできない。(寧辺の施設を)軽水炉と試験的な濃縮施設に転換する」と語ったという。

 ただヘッカー氏は、施設が実際に稼働しているかの独自の検証はできなかった、とした。施設側に核兵器の原料となる高濃縮ウランの製造能力を尋ねると、「制御室のモニターを見れば、低濃縮ウラン用に設定されていることが誰にでもわかる」との回答があったという。

 一方でヘッカー氏は報告書で、条件さえそろえば同施設で年に低濃縮ウラン2トン、または高濃縮ウラン40キロが生産可能と指摘している。

 20日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、ヘッカー氏は数日前にホワイトハウスに報告。複数の米政府当局者は同紙に、ヘッカー氏が視察した地域を衛星で確認したと説明。北朝鮮が核廃棄の約束を果たす「意思と行動」をみせない限り、核問題の交渉を再開する考えはないと述べたという。

100929 ジョンウン氏、後継に 朝鮮労働党指導部入り [朝日]

 【ソウル=牧野愛博】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の朝鮮労働党代表者会などが28日、平壌で開かれ、金正日(キム・ジョンイル)総書記の三男ジョンウン氏が、党中央委員と党中央軍事委員会の副委員長に選出された。金総書記は党中央軍事委員長に再選された。朝鮮中央通信が29日、伝えた。27日の朝鮮人民軍大将の称号授与と合わせ、党の指導部にも入ったことで、ジョンウン氏は公式に金総書記の後継者に位置づけられたと言える。

 北朝鮮の憲法は、金総書記が委員長を務める国防委員会を最高権力機関と位置づけており、党中央軍事委の実質的役割は必ずしも大きくなかった。ジョンウン氏の副委員長就任は軍がすべてに優先する「先軍思想」の下、最初から同氏に重い負担をかけず将来の後継者にしていくことを内外に示す狙いがありそうだ。

 ジョンウン氏は今後、北朝鮮が「強盛大国の大門を開く」と公言する2012年に向け、国防委員会のほか、党の意思決定機関である政治局や党の各部署を統括する書記局などの要職を一つずつ占めながら、権力掌握の作業を続けていくとみられる。

 北朝鮮メディアは29日午前現在、ジョンウン氏の映像を公開していない。北朝鮮は10月10日の党創建65周年記念日に大規模な軍事パレードを実施する予定で、その際に姿を現す可能性もある。

 一方、金総書記は今回の党代表者会で、1997年に就任した党総書記に再び推戴(すいたい)された。直後に開かれた党中央委員会総会では政治局常務委員にも再任された。権力継承作業が始まった中でも、依然として金総書記に権力が集中していることを明確にした。

 ただ、12年まで権力継承作業を表に出さないとの見方もあった中で、金総書記の健康不安などから北朝鮮が後継作業を急ぎ始めたとの認識で関係国は一致している。

 また党代表者会では、党中央委員124人と党中央委員候補105人を選出。党中央委員会総会では政治局常務委員5人、政治局員17人、同候補15人、党書記10人、中央軍事委員会構成員19人、党部長14人などを選んだ。

 ジョンウン氏の後見役とされる張成沢(チャン・ソンテク)国防副委員長は党政治局員候補などに、その妻で金総書記の妹である金敬姫(キム・ギョンヒ)党軽工業部長は党政治局員などにそれぞれ選ばれた。金敬姫氏と共に27日に軍大将の称号を授与された崔竜海(チェ・リョンヘ)・前黄海北道党責任書記が党政治局員候補など、同様に軍次帥に昇格した李英鎬(リ・ヨンホ)総参謀長は政治局常務委員などにそれぞれ選任され、権力の伸長ぶりを見せつけた。

 党政治局常務委員には、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長ら実質的権限のない元老を主に配置し、金総書記による独裁体制に変化がないことも明確にした。

100723 「将軍様がもたらしたのは暗闇だった」北朝鮮で批判ビラ [朝日]

 【瀋陽=西村大輔】中朝関係筋によると、北朝鮮北部の会寧などで、金正日(キム・ジョンイル)総書記を批判するビラが6月下旬にばらまかれた。ビラには「将軍様(金総書記の尊称)は21世紀の輝かしい太陽ではなく、我らにもたらしたのは暗闇だった」などと書かれていたという。治安当局は事態を重視し、ビラをまいた人物の特定を急ぐとともに、出回ったビラを急ぎ回収しているという。関係筋によると、金総書記個人への批判は異例で、同国内で金総書記への不満がかなり強まっているとみられている。

 関係筋によると、会寧で6月24日から25日にかけて、金総書記を批判する数十枚のビラが押収された。ビラには「金正日の時代を終わらせよう。我々は飯がほしい」などとも書かれているという。

 散布の状況や内容などから、韓国軍や韓国の市民団体などが風船などにつけて散布したビラとは異なり、北朝鮮国内の組織によるとみられており、治安当局は「国家の安定を脅かす」として徹底的な捜査を始めた。治安当局は、押収されたビラを焼却する一方、まだ持っている住民がいないか、治安部隊が総動員で調査しているという。容疑者が捕らえられれば死刑、その家族も重刑を科せられるとみられている。

 一方、韓国の北朝鮮専門インターネット新聞「デイリーNK」によると、北朝鮮北部の清津でも6月下旬、故金日成(キム・イルソン)国家主席の銅像の周辺などで、体制批判の内容が書かれた5千ウォン紙幣が大量に発見されたという。紙幣には「亡命救国行動隊」という団体名が書かれていたという。同市内でも治安当局が大々的な回収作業と、配布した人物の捜査を始めた。また、同市外へ移動する者に対する検査も強化しているという。

100524 日本独自の制裁検討へ 韓国艦沈没で内閣が安全保障会議 [朝日]

 鳩山内閣は24日、関係閣僚による安全保障会議を開き、韓国の哨戒艦を撃沈したと断定された北朝鮮に対し、独自の制裁措置を検討することを決めた。北朝鮮船舶の入港禁止など継続中の制裁に加え、人の往来や北朝鮮への送金の制限強化などが検討されるとみられる。平野博文官房長官が記者会見で発表した。

 安保会議は、李明博(イ・ミョンバク)・韓国大統領の談話を受けて開かれた。首相は会議で、北朝鮮の責任追及や国連安全保障理事会での協議の必要性を表明した李大統領を「強く支持する」とした。さらに(1)安保理での対応を含めた日韓米の連携強化(2)日本独自の制裁の検討(3)北朝鮮に出入りする船舶への貨物検査特別措置法案の早期成立(4)国民の安心安全の確保に向けた情報収集強化――の4点を指示した。

 政府内には、実効性のある独自制裁はすでに尽くされているとの意見もあるが、平野氏は「韓国の隣国として、安全保障の問題を含め、極めてゆゆしき状態という認識のもとに決めた」と述べた。

 首相は同日夕、李大統領と電話で会談し、韓国政府を支持する考えを改めて伝えた。大統領は謝意を示した上で、今後も緊密に連携していく考えを表明した。

 また、複数の外交筋によると、日米韓は26日にソウルで局長級協議を開き、今後の対応を話し合う。外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長、キャンベル米国務次官補、韓国の魏聖洛・朝鮮半島平和交渉本部長が参加し、国連での対応や6者協議への影響などについて意見交換する。

100520 北朝鮮「調査団発表はでっち上げ」 韓国に検閲団派遣へ [朝日]

 【ソウル=箱田哲也】北朝鮮の最高権力機関である国防委員会の報道官は20日、合同調査団の発表を「でっち上げ」と主張し、発表内容を調査する検閲団を韓国に派遣するとの声明を出した。朝鮮中央通信が伝えた。

 声明は、韓国が制裁措置に踏み切れば「全面戦争を含む強硬措置」をとるとする一方、検閲団に「物証」を見せるよう求めた。韓国が準備する制裁措置を回避するため緊張を高めつつ、沈没事件を南北対話再開の契機にする狙いとみられる。

100520 「韓国艦、北朝鮮製魚雷で沈没」 国際調査団が報告書 [朝日]

 【ソウル=牧野愛博】韓国軍哨戒艦「天安」(1200トン)が沈没した事件で、国際軍民合同調査団は20日、最終報告書を発表し、「北朝鮮製の魚雷による水中爆発」によるものと断定。「北朝鮮の小型潜水艦・艇による発射以外に説明がつかない」と指摘した。韓国政府は国連安全保障理事会での北朝鮮への制裁を呼びかける方針で、慎重な姿勢を取る中国との本格的な折衝に入る。

 北朝鮮は「でっちあげ」と強く反発しており、南北関係の悪化と朝鮮半島情勢の緊張は避けられない見通しだ。

 1953年の朝鮮戦争休戦後、北朝鮮軍によるとみられる攻撃で韓国軍に46人もの死者・行方不明者が出たのは初めて。87年の北朝鮮工作員による大韓航空機爆破事件で115人の死者が出たのに次ぐ惨事になった。

 韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は20日、ラッド豪首相との電話会談で「北の軍事挑発であることが明確になった。断固たる対応措置を取る」と語り、国際的な協力を要請した。韓国政府は21日午前、国家安全保障会議を開く。

 報告書によると、天安の切断面や当時観測された地震波などを基にシミュレーションを実施。天安の中央やや後部の左舷下、水深6~9メートルの位置で高性能火薬200~300キロ相当の水中爆発があったとする結果が得られた。

 さらに今月15日、事件海域付近から魚雷のスクリューや推進モーター、操縦装置の一部を回収。北朝鮮が海外輸出用に作ったカタログに掲載されている感応型の「CHT―02D」重魚雷(重量1.7トン、弾頭火薬250キロ)の設計図面と合致したという。

 部品にはハングルで「1番」と記されており、韓国が保有する北朝鮮軍の魚雷の表記方法とも一致したため、調査団は「北朝鮮で製造された魚雷と確認された」と断定した。

 また、北朝鮮軍による攻撃だったかについては慎重に検討。現場海域の水深などから小型潜水艦・艇による攻撃と判断。事件前後の4~6日間、黄海にある北朝鮮海軍基地から一部の小型潜水艦・艇と支援母船が出動していた事実も確認し、「魚雷は、北朝鮮の小型潜水艦・艇から発射されたとする以外、説明がつかない」と結論づけた。

 調査団に参加した韓国軍将校は20日の会見で「ヨノ(サケ)級潜水艇とみられる」と説明。「公海近くを迂回(うかい)して侵入、待機した後に攻撃したとみている」と語った。ヨノ級潜水艇(重量130トン)の存在が公開されたのは初めて。

100507 金総書記、6者再開へ積極姿勢 中国共産党が正式発表 [朝日]

 【北京=峯村健司】中国共産党対外連絡部は7日、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が3日から7日まで中国を非公式訪問し、北京で胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席と会談したと正式に発表した。金総書記は北朝鮮の核問題をめぐる6者協議について「ほかの参加国とともに再開に向けた環境づくりを進めたい」と明言し、前向きな姿勢を示したという。

 金総書記は昨年10月、温家宝(ウェン・チアパオ)首相と会談した際、「朝米協議の結果を見て6者協議を含む多国間協議を行う用意がある」と対米関係の改善が前提であることを強調していたが、今回の会談では、中国が提案していた6者協議予備会合への参加の意向を表明したとみられる。

 会談で金総書記と胡主席は朝鮮半島の非核化目標実現のため、ともに努力することで一致。その上で「6者協議の参加国は誠意を示し、協議推進のために積極的に努力するべきだ」とした。哨戒艦「天安」の沈没に北朝鮮の関与が判明した場合は、6者協議への不参加もあり得るとする韓国を牽制(けんせい)した形だ。

 金総書記は胡主席に「都合の良い時期」の訪朝を要請し、胡主席は受け入れた。共産党の最高指導部である温家宝首相や呉邦国(ウー・パンクオ)全国人民代表大会常務委員長とも個別に会談し、9人全員の政治局常務委員とも会った。新華社通信も7日、同様の内容を報じた。

 一方、北朝鮮の朝鮮中央通信も7日、金総書記が中国の東北地域を非公式訪問したと伝えた。3日から始まった訪中を北朝鮮メディアが伝えるのは初めて。5日に北京で行われたとみられる中朝首脳会談には触れていない。同通信によると、7日付の朝鮮労働党機関紙、労働新聞も1面で金総書記の訪中を紹介。金総書記の三男、金ジョンウン氏の同行の有無には触れていない。

0120 北朝鮮、政治犯収容所に20万人 韓国政府が調査 [朝日]

 【ソウル=箱田哲也】韓国の政府機関・国家人権委員会は20日、北朝鮮の政治犯収容所に推定20万人が収監されているとする調査結果を発表した。脱北者のうち政治犯として収監された経験者や収容所の警備員などをした17人に加え、2006年以降に他国から強制送還されながら再び脱北に成功した32人の証言内容などを分析し、結論づけた。

 同委員会は、初の実態調査としている。収監者たちに職責をつけて、収監者に収監者を統制させている実態も明らかになったと指摘。調査結果を英文に訳して配布し、国連人権理事会をはじめ国際社会にも訴えていく方針だ。

 調査は昨年4月から年末まで実施された。それによると、政治犯収容所は1950年代後半から設置され、一時は13カ所にまで増えたが、80年代末以降は統廃合が進み、現在は6カ所に約20万人が収監されているとみられる。北朝鮮の人口は約2300万人。国民の1%に迫る人々が「政治犯」として収容されていることになる。

 政治犯収容所は、反体制の言動や脱北行為をとがめられた人々を収監対象としているが、韓国の歌を歌ったり、海外のラジオ放送を聞いたりしただけで摘発された、との証言もある。家族に連座制が適用されるともいわれている。今回の実態調査に応じた脱北者らの多くが、なぜ自分が収監されたのかわからないと話しているという。

 収容所のうち、耀徳(ヨドク)など2カ所の一部が、統制が緩和された「革命化区域」に、それ以外はいったん収監されると外に出られない「完全統制区域」にあるという。

 また、収容所内では収監者らの労働力を最大限活用して忠誠心を高めるため、小隊長、中隊長、班長などの肩書が与えられ、収監者が収監者に拷問するケースもあることが判明した。処罰の程度は脱北の動機によって異なるが、「06年以降は強制送還者らへの処罰が強化された」「わいろを渡すと処分が軽くなったり、釈放されたりもした」との証言を得たという。

 さらに、女性収監者に対する人権侵害も横行。性的暴行のほか、金銭を隠していないか確認するため、全裸で調査を受けているという。

 同委員会は、北朝鮮が国連加盟国でありながら、国際人権規範を履行していないことを批判している。
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