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地球環境46億年の大変動史 [朝日]


[著]田近英一[掲載]2009年7月5日
[評者]南塚信吾(法政大学教授・国際関係史)


この地球上にいつ「生命」が登場したのか、いつ「生物」が生まれたのか、恐竜はいつなぜ絶滅したのかなど、地球史に関するわれわれの興味は尽きない。これに答える地球史学あるいは地球惑星科学は、過去20~30年間に、驚くべき成果を上げ、急速に新たな知見を蓄えつつある。そして、歴史学では「ビッグ・ヒストリー」と言われる分野が台頭している。

 本書はこの地球史学の発展の結果、地球環境がどのようなメカニズムで変化するのかを明らかにし、われわれが今日、地球環境を考える際の時間の尺度を一挙に長くして、大きな視野からそれを考えるよう勧めている。

 現在われわれは変動絶えない地球史のなかで、過去1万年前から始まった、比較的、気候の安定した間氷期に生きているのであるが、今のように二酸化炭素の急速な排出が続くと、突然かつ急激な大温暖化が生ずる「気候ジャンプ」が待ち受けていないとも限らないと、本書は警告する。だから、われわれは最大限の努力で温暖化の速度を遅くしなければならないのである。

 最新の証拠と深い推論とを駆使したわくわくするような記述に引き込まれていくが、その示唆するところは「脅威」である。
URL:http://book.asahi.com/review/TKY200907070107.html
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