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■税制05Ⅱ

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一般財源化の具体案、予算反映困難に 自民・基本方針 [朝日]

2005年12月07日22時24分
 自民党は7日、特定財源見直しに関する合同部会(石原伸晃座長)を開き、道路など四つの特定財源の改革に向けた「基本方針」を決めた。小泉首相が一般財源化を指示して焦点になった道路特定財源については「一般財源化を図ることを前提とし、来年の議論の中で具体案を得る」とした。一般財源化の方向性は打ち出したものの、党内の反発で具体化に至らず、06年度予算への反映は難しい情勢だ。

 基本方針では、(1)真に必要な道路は計画的に整備を進める(2)環境面への影響にも配慮し、暫定税率による上乗せ分を含め、現行の税率水準を維持する(3)一般財源化を図ることを前提とし、来年の歳出・歳入一体改革の議論の中で、納税者に対して十分な説明を行い、その理解を得つつ、具体案を得る――の3項目を盛り込んだ。環境対策への充当については合同部会で議論されたが、方向性の示唆にとどまった。

 基本方針ではこのほか、空港整備、電源開発促進対策、石油・エネルギー需給高度化対策の特別会計の見直し方針を示した。空港整備特会は航空機燃料税を空港整備に投入しつつ、「将来的には一般財源化を検討」とした。

 一方、公明党は7日、自民党の基本方針を協議したが、「そもそも首相の指示は筋が悪い。悪代官的な指示だ」などの意見が出て了承には至らなかった。とりわけ道路財源改革で「道路関連以外に使途を広げるなら上乗せ分をユーザーに還元すべきだ」との立場をとってきたためだ。

 このため、自民党の中川秀直政調会長は同日、近く与党内に一般財源化の方式を検討する協議機関を立ち上げる考えを明らかにした。

 小泉首相は同日、党幹部に対し基本方針を受け入れる考えを伝えた。同日夜、記者団に対し、06年度予算への対応について「反映させますよ。(今回は)基本方針ですから」と述べた。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1207/015.html

家計負担、07年度まで3年間で5兆円増 自民税調試算 [朝日]

2005年12月03日07時37分
 税金や年金・雇用保険料など家計にかかる負担の合計が06年度は前年度比で2.1兆円余り増えることが、自民党税制調査会の試算で明らかになった。政府・与党の方針通り所得税・住民税の定率減税を07年に全廃すると、07年度まで3年間の負担増の合計額は5兆円を超える規模になる。景気は回復傾向だが、増税や年金保険料引き上げが景気の先行きに与える影響は小さくない。

 負担増の最大要因は、景気対策で99年に導入された定率減税の廃止。06年度の所得税・住民税の負担増分は計1.6兆円で、国民年金・厚生年金の保険料引き上げで約3000億円、年金課税強化で約2000億円を含め、合計2.1兆円増となる。

 試算に含まれていない医療制度改革に伴う高齢者らの患者負担増(約1400億円)も加えると、消費税率1%分(約2.5兆円)に匹敵する規模になる。

 07年度は年金保険料引き上げと定率減税廃止で、すでに同1.8兆円の負担増が確定。05年度からの3年間の負担増総額は5兆円を超え、今後決まる税制改正の内容次第でさらに積み上がる可能性がある。

 年収700万円の夫婦子供2人世帯だと、所得税・住民税と社会保険料の合計負担(月額)は04年度で5万8400円だが、07年度には6万9300円に上昇。月約1万円の負担増が家計にのしかかる計算だ。

 景気回復が続くうちに財政再建を進めたい政府・与党は、税や社会保障制度で負担増を相次いで打ち出している。

 06年は消費税増税に向けた論議も本格化する見通しで、心理面の悪影響を懸念する声も出ている。
URL:http://www.asahi.com/life/update/1203/001.html

定率減税全廃に合意 自民党税調、異論出ず [朝日]

2005年12月02日07時16分
 自民党税制調査会(柳沢伯夫会長)は1日、所得税・個人住民税の定率減税を07年に全廃することで大筋合意した。公明党からも異論は出ず、与党が今月中旬にまとめる06年度税制改正大綱で、全廃を正式決定する。

 定率減税は、所得税と住民税それぞれの納税額の一定割合(上限は合計で年29万円)を控除する制度。年間規模が3兆円を超える大型減税で、小渕内閣が99年に導入した。すでに決定済みの06年の半減に続き、残り半分についても07年1月に所得税、同6月には住民税の減税が打ち切られる。年収700万円の夫婦子供2人世帯で、現行より年8万2000円負担が増える。

 自民党税調は同日の小委員会で全廃問題を協議。「来年からの半減実施が景気に与える影響を注視すべきだ」との注文はついたが、反対意見は出なかった。

 一方、国と地方の税財政改革(三位一体改革)に伴う、地方への約3兆円の税源移譲に関して同小委は、「税源移譲に伴う個々の納税者の負担は極力変えない」との方針を確認。負担増の可能性がある住宅ローン減税対象者に、軽減措置を設ける方針で一致した。

 税源移譲は所得税(国税)減税と住民税(地方税)増税で行われ、住宅ローン減税ですでに所得税を減免されている世帯は、住民税増税がそのまま負担増となる可能性があるためだ。

 三位一体改革に伴う住民税率引き上げは07年6月で、具体的な軽減措置は来年末の07年度税制改正協議で決める。住民税の税額控除が有力視されるが、「補助金という考え方もある」(党税調幹部)との声も出ている。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1202/003.html

自民党税調スタート 法人減税やビール・たばこも焦点 [朝日]

2005年11月29日07時50分
 自民党税制調査会(柳沢伯夫会長)は28日総会を開き、06年度与党税制改正大綱の12月中旬決定に向け論議を開始した。政府・与党内では、政府税調が答申した所得税・住民税の定率減税全廃(07年実施)が既定方針となっている。党税調の論議では、法人税の投資減税延長問題や、「第3のビール」やたばこ増税の是非、国から地方への税源移譲に伴い必要となる負担調整措置などが焦点になりそうだ。

 総会では、中川秀直・党政調会長が「経済成長率を下げない税制の配慮」を要求。谷垣財務相が財政再建を重視した税制改正の必要性を訴え、増税路線をめぐる政府・与党内の温度差が冒頭から浮き彫りになった。財政重視派とみられる柳沢会長が、景気回復と財政再建のバランスをどうとるか注目される。

 国から地方への税源移譲では、所得税(国税)減税と個人住民税(地方税)増税とで、納税者の負担を極力変えない体系を目指すが、住宅ローン減税の対象世帯の扱いが課題だ。所得税の大半を減免されていると、住民税増税を所得税減税で相殺できないためだ。

 国土交通省の試算では、約2500万円のローンがある年収500万円の世帯では、年8万2000円の増税。増税世帯は数十万規模になる可能性があり、住民税の税額控除による負担軽減策が浮上しているが、税収減となる地方側は難色を示している。

 今年度末で期限が切れる投資減税のうち、IT(情報技術)投資を促す法人税減税(約5100億円)では、廃止を主張する財務省と、延長を求める経済界が対立。与党内は単純な延長には否定的な意見が大勢で、打ち切られる公算が大きいが、経済産業省や与党の一部には「情報セキュリティー対策」などに看板を掛け替え、規模は縮小しつつ事実上の延長を目指す動きがある。

 酒税見直しでは、現行の税体系の簡素化を目指すなかで、「第3のビール」の増税に踏み切るかが焦点。財務省はビールの減税などと引き換えに実現したい考えだが、ビール業界でも足並みはそろっておらず、与党にも慎重論が根強い。

 最近、急浮上したのがたばこ増税。増税が喫煙抑制に働けば医療費抑制にもつながるため、与党内で前向きな声が広がりつつある。ただ、税収を健康増進策に充てる公明党などの案には、財務省が「新たな特定財源になる」と反対している。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1129/003.html

政府税調答申:新しい税体系づくりが最大の焦点 [毎日]

 政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)が25日、06年度税制改正について答申したのを受け、与党税制調査会の協議が本格化する。「三位一体改革」に伴う国から地方への税源移譲を巡っては、納税者の不公平感が高まる恐れがあるため、それを解消する新しい税体系づくりが最大の焦点になる。定率減税が07年度に全廃されるのは確実だが、酒税の抜本見直しや法人減税の廃止には与党内に慎重論が多く、税制改正の具体像が固まるまでには、曲折が予想される。【三沢耕平】

■政府税調の06年度税制改正答申の骨子

▽三位一体の税源移譲は、納税者の税負担の変動を極力小さくする

▽所得税と個人住民税の定率減税は07年に全廃

▽酒税は酒類の分類を簡素化し、税負担格差を縮小

▽企業向け研究開発税制(減税上乗せ分)とIT投資促進税制は来年3月の期限で廃止

▽道路特定財源などの特定財源は一般財源として活用

▽環境税は温暖化対策全体の中での位置付けや効果などを踏まえて総合的に検討

▽公示制度は廃止

▽公的年金などからの特別徴収を個人住民税についても実施

 ◇酒税の抜本見直し、法人減税の廃止には慎重論

 酒税の見直しについて、石会長は25日の会見で「政治的にいろんな問題がある」と指摘し、与党税調での議論が難航するとの見方を示した。

 答申は「酒類の簡素化」「税率格差の縮小」との表現で「第3のビール」の増税を求めた。しかし、ビール会社によって売り上げや販売戦略上の重点の置き方はさまざまなため、増税による負担にも差が出てくる。そこで、与党内には「(政治の決定で)民間企業の経営に劇的な変化を与えてはならない」(伊吹文明自民党税調小委員長)との慎重論が根強い。

 現行の酒税法は原材料や製法、アルコール度数の違いで、「清酒」「ウイスキー類」「ビール」などに10区分し、異なる税率を適用。第3のビールは、ビールや発泡酒よりも税率が低い「その他の雑酒」「リキュール類」に分類される。

 与党内には10の区分を「ビール系」「蒸留系」「醸造系」「その他」--程度にまで簡素化する案が浮上している。税率の低い区分を見つけて新商品を開発・販売する「抜け穴探し」(財務省主税局)を防ぎ、税務当局とビール会社のイタチごっこに終止符を打つ狙いがある。

 ただ、酒税収入(約1兆6000億円)の約7割を占めるビール、発泡酒、第3のビールをどんな定義で同じ税率区分にはめこむかは「技術的に困難」(財務省幹部)。昨年末の税制改正論議でも「特定商品の狙い撃ちになる」として第3のビール増税を見送った経緯があり、今回はビールと第3のビールなどの「税率格差縮小」には踏み込まず、分類の簡素化だけで決着させる可能性もある。

 来年3月の期限での打ち切りを求めた法人減税の扱いも、自民党内から慎重論が続出している。日本経団連など産業界からの強い反対の声も上がっており、政府税調の答申に沿って廃止されるかは微妙だ。

 問題は、情報技術(IT)関連製品を取得した場合に購入額の1割を差し引く「IT投資税制」の扱い。「国際競争力の観点からも問題だ」(与党税調幹部)との声がある。このため、情報管理やコンピューターへの不正侵入を防ぐセキュリティー強化のための費用についてだけ減税を認める形に「モデルチェンジ」する案が浮上している。しかし、定率減税の全廃などで個人への負担が増していく中、「法人だけを優遇することはできない」との意見も根強い。

 ◇政府は、新たな税額控除制度を検討

 「ある人は増税、ある人は減税となっては国民の理解が得られない」。税源移譲に関連して、財務省の担当者はこんな悩みを漏らした。この問題は政府税調も答申の最初に取り上げ、「06年度改正の最大の課題」(政府税調委員)と位置づけている。

 税源移譲は、国税である所得税を減税し、地方税である住民税を増税することで、3兆円の税源を国から地方へ移すものだ。しかし、納税者によっては増減税は一致しない。所得税よりも住民税の方が課税最低限が低いため、例えば、夫婦と子供2人の世帯(主婦は専業主婦)で年収270万~325万円の人たちは所得税を払う必要がなく、住民税だけを納めている。こうした世帯は、所得税率引き下げの恩恵は受けないため、住民税率引き上げ分がそのまま増税になる。

 こうした所得層は約300万人に上るとみられる。政府は新たな税額控除制度を設ける考えで、与党税調ではその具体化が議論される。

 住宅ローンを利用して住宅を新築する中所得者(年収500万~700万円程度)も実質増税になる可能性がある。住宅ローン減税が、ローン残高の一定割合を所得税から差し引く仕組みになっているため、ローン減税の恩恵で所得税を納めていない人にとっては、住民税の増税分がそのまま負担増になるからだ。

 定率減税の全廃による負担増が目に見えているのに対し、税源移譲に伴う負担の増減は明示されていない。政府税調の答申も「極力(負担の変化を)小さくするように留意」との表現にとどまった。与党税調の協議は、「納税者の負担の増減ををどこまで抑え、不公平感を解消できるかが勝負」(財務省幹部)になる。

 ◇たばこ税の増税も協議

 政府税調の答申には盛り込まれなかったものの、与党税調の協議で浮上しそうなのが、たばこ税の増税論議だ。自民党の厚生労働部会は、喫煙に伴う健康被害が医療費の増加につながっているとして、増税による消費の抑制を要望した。与野党の国会議員でつくる議員連盟もたばこ税の増税を求めている。

 しかし、党厚労部会などが、増税分を生活習慣病対策などの健康対策に充てる計画を打ち出しているため、財務省は「使い道を限定すると自由が利かなくなる。一般財源として検討するのが筋だ」と指摘。政府税調で議論が熟していないこともあり、06年度税制改正で増税が実現する可能性は少ないとみられる。
毎日新聞 2005年11月26日 1時04分
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/seisaku/news/20051126k0000m010175000c.html

高齢者の住民税、年金から天引き・政府税調提言 [日経]

 政府税制調査会(首相の諮問機関)は18日の会合で、2006年度税制改正答申の概要を固めた。所得税と個人住民税の定率減税について07年に全廃する方針を盛り込み、住民税では高齢者が受け取る公的年金から天引きして徴収する新制度の導入を提言する。25日の総会で答申を決め小泉純一郎首相に提出、その後与党が来年度改正の議論に着手する。

 年金から住民税を天引きする制度については、地方自治体が税の徴収率向上と事務手続きの簡素化につながるとして導入を求めていた。すでに国の所得税や介護保険料では年金から天引きしており、与党の了承を得たうえで、総務省が社会保険庁などと具体的な手法や導入時期を詰める。 (07:01)
URL:http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20051119AT1F1801318112005.html

定率減税、廃止論強まる 与党内で容認発言相次ぐ [朝日]

2005年11月17日00時20分
 政府の税制調査会が07年から全廃する意向を示している個人の所得税・住民税の定率減税について、与党内でも廃止容認論が強まっている。自民党税制調査会顧問の片山虎之助氏が16日、「残しておく理由はない」と述べたほか、柳沢伯夫同調査会長、公明党幹部も同様の考えに傾いている。経済界が存続を求める企業向け減税についても継続は難しいとの認識だ。28日に始まる党税制調査会も、こうした方向で議論が進みそうだ。

 片山氏は岡山市内での国政報告会で、税額の一定割合をカットする定率減税が99年に導入された経緯に触れ、「荒っぽく、緊急避難的な措置だった」と指摘。そのうえで、今後の取り扱いについて「景気は順調に回復しており、もうやめた方がいい」と述べた。

 柳沢氏も9日の朝日新聞のインタビューで「党税制調査会で経済情勢の認識を聞いてから判断すべきだが、基本的には全廃の方向でいい」との考えを示した。消費税増税など歳入面での改革論議が本格化する前に、まずは定率減税の措置を元に戻しておきたいというのが党税調幹部の考えだ。

 公明党も定率減税全廃について「景気の動向をみてからだが、廃止もやむを得ない」(幹部)との考えだ。

 また、経済界が求めている企業の研究開発やIT投資向けの減税措置についても、自民党税調幹部の間では「縮小はやむを得ない」との声が高まっている。「企業の収益はすごくいい。(減税措置の)額が大きすぎるから見直さざるをえない」(片山氏)などが理由だ。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1117/001.html

自民の財政改革研、歳出削減重視に転換 消費税増税批判 [朝日]

2005年11月16日06時14分
 自民党は15日、消費税増税を前提とする中間報告を10月にまとめた党の財政改革研究会について、歳出削減と経済成長による財政再建を重視する路線へと転換する方針を固めた。与謝野経済財政担当相に代わり、15日付で同研究会の会長となった中川秀直政調会長が主導してのことだ。

 財政改革研究会の中間報告は、当時の政調会長だった与謝野氏と、政調会長代理だった柳沢伯夫氏(現・党税制調査会長)らがまとめた。

 与謝野氏を継いで政調会長になった中川氏は、谷垣財務相が消費税率引き上げ法案を07年通常国会に提出する考えを示したことに対し、真っ先に「拙速だ」と批判の声をあげた党幹部の一人。「税全体を議論して見直すのが党の方針」などと谷垣氏の発言に理解を示す与謝野氏とも立場が異なる。党政調幹部は同日、来年5月までにまとめる研究会の最終報告について「中間報告と同じ色合いにはならない」と強調した。

 研究会は、デフレ脱却のあり方と、政府の資産・負債管理のあり方を考える二つのプロジェクトチームを新設する。財政再建の手法として政府資産の圧縮などによる「小さな政府」化と経済成長を重視する中川氏の発案で、今後は歳出削減策を先行して議論することになりそうだ。

 もともと研究会は、与謝野氏や柳沢氏が「財政再建に関する政府の取り組みは甘い」などとして2月に発足させた。当初から消費税増税は不可避という立場から議論を進め、消費税を社会保障目的税化して大幅に税率を引き上げる内容を柱とする中間報告を10月下旬に作成した。当時、党内では、政府の消費税引き上げ論議を地ならしする内容と受け止められた。

 財政再建の道筋や消費税増税をめぐっては、政府・与党内で意見の違いが顕在化しているが、自民党の片山虎之助参院幹事長は15日の記者会見で「消費税を上げなくてはいけないというのはみんな同じ。(違いは)いつどういう形で上げるかということ」と語った。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1116/003.html

酒税見直し、踏み込まず 政府税調、答申骨格固める [朝日]

2005年11月11日21時05分
 政府税制調査会(会長・石弘光中央大特任教授)は11日の基礎問題小委員会で、今月末にまとめる06年度税制改正答申の骨格を固めた。個人の所得税・住民税については07年の定率減税全廃を盛り込み「増税」を打ち出す。企業の情報技術(IT)関連投資などを促す法人税の減税措置についても、期限切れとなる今年度末での廃止を提言する。酒税の見直しでは「第3のビール」の増税問題など各論には踏み込まない方向だ。

 税制改正案を決定する自民党税制調査会は、政府税調の答申を受けて今月下旬から議論を始める。柳沢伯夫・党税調会長は定率減税の全廃に賛成しているものの、法人税の減税措置については「仕組みを変えることは必要だが、全部なくすという考え方はない」と、全廃には否定的な見方を示している。その判断が焦点となりそうだ。

 所得税と個人住民税の定率減税は、昨年末に半減を決めたが、政府税調は、さらに景気回復が鮮明になってきたとして全廃を提言する。与党も全廃の方向でほぼ一致している。

 その場合、所得税の全廃は07年1月、住民税は同6月となる予定で、年収700万円の夫婦子供2人世帯だと年8万2000円の負担増になる。

 一方、法人減税措置は、景気対策と日本企業の国際競争力の強化を目的に03年度から導入された。IT投資減税(年間約5000億円)と、研究開発投資減税の上乗せ分(約1000億円)が今年度で期限切れとなるが、政府税調は「もはや税制で支える必要はない」との見方で一致した。企業業績が急速に上向き、バブル期並みの利益水準まで回復しているためだ。

 ただ、日本経団連や経済産業省が法人減税の延長を強く求めている。政府税調は、研究開発投資の恒久減税分(約5000億円)については存続させる意向だ。

 また、財務省は第3のビールが増税、ビールが減税となる見直しなどを検討中。こうした案を含む酒税体系の見直しについて政府税調内の方向はまとまっておらず、石会長は会見で「技術的に困難で、時間をかける必要がある」と述べた。

 柳沢党税調会長も「あまり一挙にやることは問題がないわけではない」と慎重に議論する姿勢で、先送りの可能性も出ている。

 酒税は製法や原料で税率が細かく分かれているため、政府税調は昨年と同じく今年も、酒類の分類を簡素にして酒類間の税負担格差を縮小するべきだ、と答申する。

 政府は国から地方へ3兆円規模の税源移譲をするため、所得税減税と住民税増税をする方針。住民税のうち所得にかかる税率は5、10、13%の3段階を一律10%としたうえで、10%~37%の4段階の所得税率に5%を新設するなど、各世帯の納税額に大きな変動が出ないよう工夫する。

 ただ、現在住民税しか払っていない所得層(夫婦子供2人世帯で年収270万円以上、325万円未満)だと、所得税の減税措置ができないため、住民税の負担増分を減免する新たな税額控除措置を設けるよう求める。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1111/005.html
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