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救援活動の調整急務 パキスタン地震 [共同]

 【イスラマバード14日共同】パキスタン地震は14日で発生から7日目を迎え、被災現場で活動する多くの救援組織間の調整が急務となり、同国政府が調整能力を発揮できるかが救援活動の成否の鍵を握るとの指摘もある。政府は2万5000人の死亡を確認、犠牲者がさらに増えることが懸念されている。
 国連緊急援助調整官室のエグランド室長は「今回の大規模な救援活動では数百に及ぶ救援組織間の調整が重要だ」と強調する。しかし、政府の救援活動の責任者を務める同国軍のファルーク少将は13日、政府による調整が必ずしもうまくいっていないことを認めた。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2005101401000255

被災地の2割なお孤立 パキスタン地震 [朝日]

2005年10月12日22時33分
 パキスタン大地震の発生から4日たっても、救援部隊が到達できていない孤立地域が重度の被災地2万平方キロの2割の約4000平方キロに上ることがわかった。険しい地形などで空からも近づけず、ロバや馬で接近を試みているという。

 一方、谷川秀善外務副大臣は12日朝、イスラマバードでアジズ首相らと会談。2000万ドル(約23億円)の支援について説明。自衛隊ヘリコプターの派遣が決定したことを伝えた。米国のライス国務長官も同国を訪問し、長期的な支援を約束した。

 一方、12日付パキスタン紙ニューズによると、警察当局は、邦人を含む30人以上が死亡した高層アパートを建築、分譲した会社の社長と建築家に対し、不法建築の疑いで逮捕状を請求した。
URL:http://www.asahi.com/international/update/1012/014.html

初動対応の遅れ謝罪 パキスタン大統領 [共同]

 【イスラマバード13日共同】パキスタンのムシャラフ大統領は12日、国民向けにテレビ演説し、4万人が死亡した恐れがある今回の地震の初動対応の遅れを謝罪、国民が団結して苦難に立ち向かうよう訴えるとともに、国際社会の一層の支援を求めた。
 深刻な被害が出たアザド・カシミール特別州や北西辺境州を中心に救援活動や遺体収容の遅れに対する不満が大きく膨らんでおり、大統領は厳しい対応を迫られている。
 演説で大統領は、当初段階で被害規模の「正確な予測ができなかった」と指摘。「情報を収集するのに8-12時間かかった。がれきの除去や遺体の収容、負傷者の搬送や治療に遅れがあった」と認めた。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2005101301000286

JAXA:アジア防災・危機管理システムを提唱へ [毎日]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、人工衛星で観測したデータをアジアで発生した地震など災害の状況把握に生かす「アジア防災・危機管理システム」作りを進めることになった。北九州市で開催中の「アジア太平洋宇宙機関会議」で提唱する。関係者は構想が実現すれば、被災地により早く到達するなど効果的な救援活動に生かせると期待している。

 JAXAはシステムの構築に向けて、来年にも「アジア防災・危機管理室(仮称)」を新設。その上でアジア各国の宇宙・防災機関による「宇宙技術を利用した災害低減共同プロジェクトチーム」をスタートさせる。当初はインドネシア、ネパール、タイなど7カ国前後の参加が見込まれる。

 災害発生時は、早急に被害状況を把握することが必要だが、アジアの多くの国は状況を短時間で観測する方法がない。また衛星データを処理するコンピューターソフトもなく、データが十分活用されていなかった。このためプロジェクトチームはまず、各国に地形や道路情報などを事前に入力できる共通のソフトとパソコンを貸与し、衛星情報分析の基盤を整備する。

 実際に災害が発生すれば、JAXAの陸域観測技術衛星「ALOS」(今年12月にも打ち上げ予定)などの観測情報を各国に送信。各国はこのデータを事前に入力した情報と比較し、地形の変化や道路、電気などインフラへの被害を把握することで、防災機関が対策を立てやすくする。

 JAXAでは参加国を増やしながら2010年までには、一応のシステム整備を終える予定だ。【永山悦子】


250万人が野外で避難 被災地、4度目の夜 [共同]

 【イスラマバード12日共同】パキスタン地震の被災地では11日、同国北部を中心に住宅を失ったとみられる約250万人の避難民の多くが地震発生後4度目の夜を野外で迎えた。間もなく冬を迎える被災地では冷え込みが強まっており、住民はたき火などで辛うじて暖を取っている状態だ。
 現地からの報道によると、地震で壊滅的な打撃を受けた北東部アザド・カシミール特別州の州都ムザファラバードでは住民の間で救援物資を奪い合ったり、倒壊した商店で強奪も起きるなど治安が悪化。救援活動の遅れに、住民のいら立ちは極限に近づいてきた。
 生存者の救出活動や、4万人に達する可能性が出ている犠牲者の遺体収容作業も遅れたままで、ムザファラバードなどでは、がれきのすき間から遺体が見えたまま放置されている。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2005101201000246

パキスタン地震:死者4万人の可能性 支援も本格化 [毎日]

 パキスタン地震の被災者について、シェルパオ内相は10日、「死者数は2万745人」と言明、国連当局者は死者数が4万人に達する可能性を指摘した。被災者救援のため日本や欧州各国、中国、イスラム諸国などの緊急救助隊が11日までに次々と被災地入りし、国際社会の支援が本格化した。同国駐在の米大使は5000万ドル(約57億円)の支援を表明した。

 ◇62時間ぶり母子救助

 AP通信によると、国際協力機構(JICA)派遣の楢原覚さん(36)親子が亡くなった首都イスラマバードの高層アパートの倒壊現場では10日夜、地震発生後62時間ぶりに、がれきの中から母子が救出された。

 日本の援助隊は10日、首都の北約百キロのバトグラムに入った。1週間の予定で救助活動を支援する。日本の医療チームもパキスタン入りした。

 北東部アザド・カシミール特別州の州都ムザファラバードでは英国の救助チームが捜索犬を使って救助活動し、フランスからも医師ら70人が被災地に向かった。AP通信によると、北部バラコットの学校では十日、倒壊した校舎のがれきの下から子供たち40人が救出される一方、60人の遺体が回収された。

 国連は250万人が家を失ったと推定。震源地に近い北部の被災地では地滑りなどで道路が寸断されており、パキスタン軍が食料や水、医薬品を空輸している。ムザファラバードでは食料などを求める住民による略奪も起きているという。

 被災地を視察したムシャラフ大統領は、死者数がさらに増えるとの見通しを示した。AP通信によるとインド政府当局者は10日、北部ジャム・カシミール州での死者が865人に達したと言明。別の当局者はインド側でも2000人が死亡した可能性があると述べた。(イスラマバード共同)

毎日新聞 2005年10月11日 8時56分 (最終更新時間 10月11日 9時06分)
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051011k0000e030008000c.html

パキスタン地震、死者2万人に迫る 各国に援助要請 [朝日]

2005年10月10日01時17分
M7・6の地震から一夜明けた9日、空から見たパキスタン北西辺境州の町バラコト=AP。震源の間近に位置し、最も被害が大きかった町のひとつで、ほとんどの建物がぺしゃんこにつぶれている

 パキスタン北部で8日午前に発生した大地震の被災者について、同国のシェルパオ内相は9日午後の閣議で「国内の死者は1万9136人、負傷者は4万2397人にのぼる」と報告した。被害はカシミール地方と北西辺境州に集中している。インドでも600人以上が死亡したと報じられており、この地域としては過去最大規模の地震被害となる恐れが出てきた。

 イスラマバードの日本大使館は、8日に死亡が確認された国際協力機構(JICA)の専門家、楢原覚(ならはら・さとる)さん(36)と長男の輝(ひかる)ちゃん(2)の2人を除き、パキスタン国内で在留届が出ている邦人約800人の無事をほぼ確認した。

 ムシャラフ大統領は軍に「総力を挙げての救助」を指示したが、被災地は道路の寸断などで孤立状態にあり、十分な救助活動ができていない。同大統領は9日、国営APP通信に対し「われわれは国際的な援助を求めたい。わが国には十分な人的資源があるが、資金支援が必要だ」と述べた。国連人道問題調整事務所(OCHA)は9日にもイスラマバード入りして各国・国際機関の調整を開始するなど、国際支援が本格化する。

 内務省によると、約1万8000人が、同国の支配するカシミール地方と北西辺境州で家屋の下敷きになったり、土砂崩れにのみ込まれたりして死亡。同地域の家屋の半数が倒壊したと政府はみている。カシミール地方の中心都市ムザファラバードでは約1万1000人が死亡したという。

 カシミール地方の当局者はAFP通信に対し、死者は3万人にのぼる可能性があると述べた。

 AP通信によると、ムザファラバードの北西約10キロにあるガリハビビブッラ村では倒壊した女子学校から250人の生徒の遺体が見つかった。ほかにも学校の倒壊で約200人の子供が死亡したとの情報がある。

 被害が激しい印パ停戦ライン付近は両国軍が部隊を展開しており、軍施設の倒壊や崩落で多数の兵士が犠牲になった。ロイター通信によると、パキスタン軍兵士215人が死亡、PTI通信によるとインド側でも陸軍兵士ら約40人が死亡した。同通信はインド側のジャム・カシミール州を中心に、少なくとも死者約600人、倒壊家屋は数千棟にのぼると伝えた。

 激甚被災地への道路が土砂崩れで通行不能になっているため救助は難航。パキスタン軍は主にヘリコプターで医薬品などの物資を運んでいる。AFP通信などによると、9日までに捜索・医療救援チームを現地へ派遣することを決めたのは日本のほか、中国、米、英、仏、トルコ、ギリシャ、スイス、アラブ首長国連邦など。ロシアは軍用輸送機の提供の用意があると表明、米国も軍用ヘリを送ることを検討中と伝えられる。

 一方、楢原さん親子が犠牲になったイスラマバードのアパート倒壊現場では徹夜で救助作業が続けられた。ロイター通信によるとムシャラフ大統領は9日、この現場から35人を遺体で発見、80人以上が救出されたが、まだ150人以上ががれきの中に閉じこめられている、と語った。
URL:http://www.asahi.com/international/update/1009/017.html

インド北部でも地震被害、258人死亡

 【ニューデリー=林英彰】インド北部ジャム・カシミール州政府などによると、パキスタン北部地震で8日夜までに、同州北西部を中心に少なくとも258人の死亡が確認された。

 AP通信などによると、アフガニスタン東部ナンガルハルで、11歳の少女が倒壊した自宅の壁の下敷きとなり、死亡した。
(2005年10月9日1時5分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20051008i113.htm

パキスタン地震:死者2000人超 日本人父子も犠牲に [毎日]

【イスラマバード支局】パキスタン北東部で8日午前8時50分(日本時間午後0時50分)ごろ、強い地震があった。米地質調査所によると、震源はイスラマバード北北東約95キロで、震源の深さは約10キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は7.6と推定される。被害はインド、アフガニスタンにも広がり、インド・パキスタン両国にまたがるカシミール地方では地滑りで複数の村が土砂に埋まった。AP通信は両国合わせて2000人以上が犠牲になったと伝えた。余震も断続的に続いており犠牲者はさらに多数に達するとの見方も出ている。

 イスラマバードでは12階建てマンションが倒壊。1階に家族で住んでいた国際協力機構(JICA)派遣の専門家、楢原覚(さとる)さん(36)と長男の輝(ひかる)ちゃん(2)の死亡が確認された。妻(34)も骨折しており、病院に搬送されたという。

 JICAによると、楢原さんは都市廃棄物対策の専門家として、03年10月からパキスタン環境保護庁に派遣され、今月19日に任期を終える予定だった。00年4月~01年12月にも、青年海外協力隊員として同国で村人の生活改善支援のボランティアをしていたという。

 パキスタンでは複数の村が土砂に埋まるなどして「消滅した」と伝えられ、AP通信によるとカシミール地方で約1000人が死亡。AFP通信は北西辺境州で550~600人が死亡したと伝えた。同州マンセラで、崩壊した学校校舎から250人の女子生徒の遺体を収容したとの情報もある。パキスタン軍当局は8日、同国の死者が数千人に達する恐れがあるとの見通しを示した。

 インドでは北部に被害が集中。AP通信は、同国側カシミール地方で兵士や民間人少なくとも220人が死亡、800人が負傷したと伝えた。死亡した兵士20人は実効支配線付近に駐留していた。地元テレビは、建物の下敷きになった被害者は日干しれんがを積み上げただけのもろい家屋に住んでいたと指摘した。

 AFP通信によると、アフガン東部ジャララバードでも、数十戸の日干しれんが作りの家屋が崩れ落ち、少女ら2人が死亡。内務省当局者は「被害は増える可能性がある」と語った。

毎日新聞 2005年10月8日 19時54分 (最終更新時間 10月9日 1時45分)
URL:http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20051009k0000m030051000c.html

「死者1万人」? 実際は1200人 米カトリーナ被害 [朝日]

2005年10月04日23時36分
 AP通信によると、米国南部ルイジアナ州で続いていたハリケーン「カトリーナ」の犠牲者の捜索が3日、終了した。同州の死者は、ニューオーリンズ市を中心にこれまで収容された964人を大きく上回らないことが確実になった。

 被災直後の混乱の中で、一時は同市の死者が1万人に達するのではないかという見方が出た。ネーギン市長が9月5日、「1万というのもあり得ない数字ではない」と述べたのが各メディアで繰り返し伝えられ、独り歩きした形となった。

 当時は生存者の救出に全勢力が注がれて遺体は見つかっても放置され、被害を推測できる状況ではなかった。だが生存者の救出が終了し、軍などによる作業が遺体収容に移った9日には、死者は言われていた1万人より大幅に少ないという見通しは伝えられていた。

 遺体の収容作業に1カ月以上を要したのは、生存者救出に専念した期間が10日以上に及んだことに加え、大半の家屋が浸水して捜索に手間取ったことが理由とみられる。

 市長の「1万人」発言の根拠ははっきりしないが、被災直後には「2千人の地区が全滅」などのうわさが飛んでいたのは事実だ。市長はラジオで中央政府の対応の遅れについて批判をまくし立て被害の深刻さをアピールしたり、周囲の批判をよそに市民帰還計画を実行に移したりするなど、物議を醸しながら物事を進める手法をとってきた。こうした手法に対し、市長の管理能力を問う声も一部で出ている。

 ロイター通信によると、このほかミシシッピ州で221人が死亡、他州を合わせるとカトリーナによる犠牲者は約1200人となった。
URL:http://www.asahi.com/international/update/1004/010.html

世界の災害死者25万人 昨年、国際赤十字が報告 [共同]

 【ジュネーブ5日共同】国際赤十字社・赤新月社連盟(本部ジュネーブ)は5日、2005年版の「世界災害報告」を発表した。昨年1年間に世界中で発生した自然災害と大事故は合計719件。スマトラ沖地震による死者が22万4495人(今年4月末)に達したことから、死者数は過去10年間で最も多い24万9896人に上った。
 被災者は約1億4600万人で、被害総額は993億ドル(約11兆3400億円)と推計され、阪神大震災があった1995年(2381億ドル)の後で最多となった。
 今年の報告書は、スマトラ沖地震のニュースをシンガポールで見た息子から電話連絡を受け、村民を避難させて3000人以上の人命を救ったインド漁民の例などを示し、災害による被害を最小限に食い止めるための「情報」の重要性をクローズアップ。
URL:http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2005100501000259

ロス近郊で山火事広がる 「カトリーナ効果」で避難順調 [朝日]

2005年09月30日10時17分
 米カリフォルニア州南部のロサンゼルス近郊で28日から29日にかけ、山火事が広がり、約70平方キロが焼けた。約3000人の消防士が消火に当たっているが、炎は乾いた東風にあおられ、鎮火の気配は見えていない。

 山火事が起きたのは、ロサンゼルス中心部から北西へ約40キロのチャッツワースから、隣のベンチューラ郡東部にかけての山間部。火は西方に向かって広がっている。数軒の建物が焼け、数百人が避難している。

 ただ、米南部のハリケーン被害が広く報じられた直後だけに、日ごろは避難を渋りがちな住民も今回は早めに避難所に移っている。「消防や警察の対応が、これまでよりずっと早い」と驚く住民の声も米メディアで伝えられており、意外なところで「カトリーナ効果」が表れているようだ。

 この付近では秋から冬にかけ、内陸部から乾いた高温の風が吹き抜け、山火事の原因となっている。03年秋にも大規模な山火事が起きている。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0930/004.html

ニューオーリンズ、帰還計画改めて発表 警察署長は辞職 [朝日]

2005年09月29日11時26分
 ハリケーン「カトリーナ」の米南部上陸1カ月を前に28日、ルイジアナ州ニューオーリンズ市のネーギン市長は、続く「リタ」の来襲で中止していた住民帰還計画を発表した。リタによる堤防の再決壊で浸水した東部の「第9区」の一部住民を除き、10月5日までに段階的に全域で帰還、または一時帰宅を認める。

 しかし、同州保健病院局は同日、水道水が飲料基準に達せず、下水も整っていない場所があるとして、伝染病など健康被害の危険性を認識するよう住民に訴えた。

 一方、ニューオーリンズのコンパス警察署長が27日、辞職した。同市の警察官約1700人のうち約250人がカトリーナ襲来直後に持ち場を離れ、処分対象になる可能性があるとされる。またハリケーン後の混乱のさなかに、警察官がグループで盗難、略奪行為をしていたと地元テレビが報道するなど、不祥事が明るみに出ていた。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0929/004.html

ハリケーンの傷跡深く 「カトリーナ」襲来1カ月 [朝日]

2005年09月28日22時58分
 1000人を超える犠牲者を出したハリケーン「カトリーナ」が米南部ルイジアナ州に上陸してから29日で1カ月。追い打ちをかけるように襲来した「リタ」も新たな被害をもたらした。早期の住民避難など教訓も得られたが、帰る家を失った被災者は空前の規模でとり残されている。ニューオーリンズはじめ町の再建は難航し、各地に散った被災者の生活立て直しにも時間がかかりそうだ。

 リタの高波は海岸から30キロに及び、ルイジアナ州沿岸部で数千の家屋が流されたとみられる。それでも、暴風雨や洪水による直接の犠牲者と確認されたのは1ケタ止まり。27日までに1121人の死者を出したカトリーナとは大きな違いだ。

 明暗を分けた一番の要因は、事前の避難だ。州知事は、リタ上陸の3日前から沿岸地方に退避命令を出した。9割以上の人が避難したとされる。

 カトリーナの場合も、ニューオーリンズに退避命令は出た。だが、約50万人の市民のうち車を持たない10万人以上が市内にとどまった。「計画が車に依存しすぎた。列車を用いることも検討されたが、機能しなかった」とルイジアナ州立大のクレイグ・コルテン教授(災害史)は指摘する。

 命令のタイミングも違った。カトリーナでは上陸の1日前。対応のまずさを問われて更迭されたFEMAのブラウン前長官は27日、連邦下院の公聴会で「退避命令の不徹底が、その後の失敗につながった」と語った。

 東隣のミシシッピ州でのカトリーナによる死者は220人。多くは、車で避難できたはずの人たちだ。ニューヨーク・タイムズ紙によると、自身や家族の身体が不自由、ペットを置いていけないなどの事情からだった。

 これを踏まえ、リタの際に各自治体は、隣近所が誘い合って避難するよう住民に呼びかけた。ルイジアナ州立大のジョン・パイン教授(災害科学)は「行政が全住民を避難させるのは不可能。地域住民が連携する仕組みが必要だ」と話す。

 ニューオーリンズ市では、観光名所のフレンチクオーターなどは電気が復旧。一部で市民の帰還が再開された。だが、再建には課題が山積する。中でも懸念されるのが、町が長期間、汚水に浸されたことによる環境悪化と健康への影響だ。

 ハリケーンによる2度の洪水で、市の8割は、下水や工場の廃油などと混じり合った濁流に覆われた。環境保護局(EPA)の調査では、流入水から環境基準を上回る六価クロムやヒ素、大腸菌などが検出された。こうした有害物質や細菌は、水が引いた後もビルや家屋の壁や床に残り、ちりとなって舞っている。

 専門家からは「細菌が原因で下痢などを起こす危険がある」「ぜんそくや免疫系の病気をもった子どもや高齢者は自宅に戻るべきではない」との指摘が相次ぐ。

 リタによる再度の洪水で、状況はさらに悪化。水道の復旧には2~3週間はかかるとみられている。衛生面で市民生活を支える下水道も被害を受けた。

 「下水処理場が再建されるまで、少なくとも今後9カ月間は、下水が処理されないままミシシッピ川とポンチャートレーン湖に排出される」と地元紙タイムズ・ピカユンは当局者の見方を伝えた。これが長期間続けば、周辺環境への汚染の懸念も高まる。

 テキサス州ヒューストンの避難所がリタの影響で閉鎖された20日、白人男性(66)は「ニューオーリンズに戻っても、家もない」と、カリフォルニアの知人宅に向かった。

 ルイジアナ州の被災者は各地に散らばった。

 政府による生活支援はようやく本格化してきた。国土安全保障省などは23日、被災者に対する包括的な住居補助計画を発表した。

 柱は一家に3カ月で2358ドル(約26万6000円)の家賃補助。最長18カ月まで延長できる。24、25の両日で26万5000件の申請に対して計約6億2500万ドルが支払われたという。

 ほかにキャンピングカーも用意。アラバマ、ミシシッピ、ルイジアナ3州に12万5000台の予定だが、これまでに入居したのは2400世帯止まりといわれる。「またハリケーンが来たら不安だ」と入居を拒む人もいる。

 全米各地では、一般家庭が被災者の受け入れを申し出るなど草の根の支援も広がった。だが、滞在が長引くにつれ、どこまで面倒をみればいいのか、とまどう家庭も出始めている。

 ブッシュ大統領は、避難所に暮らす被災者約10万人を10月半ばまでに、より長期間滞在できる住居に移すというが、実現できるかは微妙だ。
TITLE:asahi.com:ハリケーンの傷跡深く 「カトリーナ」襲来1カ月 - 国際
URL:http://www.asahi.com/international/update/0928/009.html
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