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140305 慶良間諸島:国立公園に指定…国内31番目 [毎日]

 政府は5日、沖縄県の慶良間(けらま)諸島と周辺海域を国内31番目の国立公園に正式に指定した。「ケラマブルー」と称される世界屈指の透明度を誇る海と、ザトウクジラや200種以上のサンゴが繁殖する多様な生態系を高く評価した。新規の国立公園指定は1987年の釧路湿原(北海道)以来27年ぶり。3月5日の「サンゴの日」に合わせて指定した。8日に那覇市で記念式典を開く。

 指定区域は、渡嘉敷島と座間味島を中心とする大小約30の島々計3520ヘクタールと、その沖合7キロの海域9万475ヘクタール。海域の指定範囲は沖合1キロ程度が通例だが、ザトウクジラの繁殖地を保護するため広く取った。特にサンゴ礁が密集する水深30メートルより浅い沿岸部8290ヘクタールは海域公園地区に指定し、土砂採取や海面埋め立てなどの開発行為を厳しく規制する。

 サンゴ礁は海水温上昇に伴う天敵オニヒトデの大量出現や不心得なダイバーによる踏み付けなどで傷つけられ、住民主体で保護活動が続けられてきた。環境省は4月から自然保護官を現地に常駐させ、国としてオニヒトデによる食害から守る事業に取り組む。【阿部周一】

130323 半世紀がかり、大滝ダム完成 建設に揺れた奈良・川上村 [朝日]

 【西山良太、菱山出】奈良県川上村の「大滝ダム」が計画から半世紀を経て完成し、23日、現地で記念式典があった。村を挙げた強い反対が起き、建設後の試験貯水で地滑りのため住民は移転も強いられた。ダム完成を見つめる住民や元住民らの思いは複雑だ。
 建設のきっかけは、奈良から和歌山に流れる紀の川(奈良県側では吉野川)流域で130人の死者が出た1959年9月の伊勢湾台風だ。62年4月、当時の建設省がダム建設計画を公表すると、水没する13集落475世帯が移転を強いられるため、地元住民らは強く反発。村議会は同年7月、ダム建設反対を決議。63年2月には地元住民らが反対期成同盟を結成した。村もダム対策委員会などを設けて反対姿勢を示した。
 村議を経て、80年から8期32年間村長を務めた大谷一二(いちじ)さん(88)は「役場に説明に来た県の副知事を通さないよう入り口に座り込んだり、ボーリング調査を邪魔しようと道路を塞いだりした」と振り返る。
 だが、水没世帯への補償交渉などを経て、村は81年、建設に同意する覚書を建設省や県と締結。移転した475世帯のうち、約400世帯が村を出た。
 2011年9月、紀伊半島に甚大な被害をもたらした台風12号は伊勢湾台風の雨量を上回ったが、下流で流された家屋はなかった。昨年7月に引退した大谷さんは「自分が生きている間に完成しないだろうと思っていた。下流の人命を救う使命を果たせ、誠に喜ばしい」と語る。
 同村から北西に約20キロ離れた橿原市石川町。ダム東側の白屋(しらや)地区出身の12世帯27人が暮らす。試験貯水が始まって間もない03年4月、地層に水が入り込んだ影響で家屋や道路に亀裂が発生。全37世帯77人が移転を余儀なくされた。
 区長の井阪勘四郎さん(84)のもとに2月、村役場から式典の招待状が届いた。怒りと悔しさがこみ上げ、涙が出た。「古里を奪われたのに、一緒に喜べというのか。これ以上我々の無念を踏みにじるな」
 国は住民の家屋や土地を買い取ったが、移住の費用には足りなかった。井阪さんら元住民30人は07年、国に慰謝料など約2億1600万円の損害賠償を求めて奈良地裁に提訴。敗訴したが、11年の大阪高裁判決は1人当たり100万円の賠償を命じた。確定したが、「国から謝罪は一度もない」。
 今も住民らは毎月、地区に残る墓地に通う。井上兼治(かねはる)さん(69)は「先祖らの墓が100以上あり、一緒に移動させたかった。国に何度も掛け合ったが、補償してくれない」と唇をかむ。招待状は「欠席」と書いて送り返した。
 移住から約10年。高齢化が進み、移住後に4人が亡くなった。井阪さんらは昨年末、「大滝ダム建造で消えた集落・白屋地区」と題した100ページを超す区史を作った。「先人から800年続いた故郷を守り通せず、子や孫に申し訳ない。故郷が消えることになった経緯を記し、後世に伝えたい
     ◇
 〈大滝ダム〉 1959年9月の伊勢湾台風水害を機に、紀の川の治水と奈良県内や和歌山市などへの利水、水力発電を目的とした特定多目的ダム。総事業費3640億円。堤高100メートル、堤頂長315メートル。総貯水量8400万立方メートルは阪神甲子園球場約140杯分。群馬県の八ツ場(やんば)ダム(建設中)の63年間に次ぐ長期事業で、反対運動の激しさは「東の八ツ場、西の大滝」と称された。

121020 生態系保全資金、15年までに倍増目標 COP11閉幕 [朝日]

 インド・ハイデラバードで開かれていた国連生物多様性条約第11回締約国会議(COP11)は20日、生態系保全に必要な資金について「2015年までに途上国への資金の流れを2倍にする」との目標を採択し、閉幕した。途上国側の主張に沿って大幅な増額に踏み込む一方、先進国側が求めた途上国の努力も盛り込むことで、合意が成立した。
 生態系を守るため20年までに世界が取り組む「愛知目標」の達成に向けた資金の増額目標は、COP11の最大の焦点だった。先進国による資金支援の大幅増を求める途上国側と、負担や責任を途上国にも求めたい先進国側が対立し、調整は難航。19日の閉会予定時間を過ぎ、20日未明になってようやく決着した。
 採択した目標は(1)06~10年平均を基準とした暫定目標として、15年までに途上国、特に後発途上国への資金の流れを倍増し、20年まで水準を少なくとも維持(2)2年後の次回会議(COP12)で最終的な目標を決める(3)100%を目指すが、少なくとも75%の国が15年までに、開発計画に生物多様性保全を含め、適切な予算をつける――との内容。
 資金倍増の時期をめぐっては、途上国側が主張する「15年まで」と、先進国側の「20年まで」の間で、最後までもめた。結論は時期で途上国側に寄り添う一方、資金の流れについては、議長国のたたき台案にあった「先進国から」と限定する表現が削除され、途上国同士の「南南協力」も含む内容になった。
 一昨年の前回会議の議長国だった日本は、生物多様性分野の途上国援助(ODA)を増やしており、06~10年平均では経済協力開発機構(OECD)にODAを報告する24カ国・地域全体の約28%を占める。日本はこれを根拠にCOP11の終盤まで、「15年までに倍増」は実現が難しいと難色を示していた。
 またCOP11では、生物の「遺伝資源」の利用で得た利益の分配に関する「名古屋議定書」について、議長国インドが7カ国目として締結したことを報告。ブータンと南アフリカも近日中の締結予定を表明した。
(ハイデラバード=神田明美)

110624 小笠原諸島、世界自然遺産に決定 [朝日]

 パリで開かれているユネスコの世界遺産委員会は24日、日本政府が推薦した小笠原諸島(東京都)を世界自然遺産に登録することを決めた。大陸と一度も地続きになっておらず、独自の進化をとげた動植物が多いことなどが評価された。

 小笠原諸島は、東京湾から南に約千キロ離れた大小約30の亜熱帯の島々。公共の交通機関は東京から片道25時間半の船だけだ。登録区域は父島、母島の居住地などを除く陸域6360ヘクタール、海域1580ヘクタールとなる。

 国内の世界自然遺産は、1993年の屋久島(鹿児島)と白神山地(青森、秋田)、2005年の知床(北海道)に続き4件目。

 小笠原の固有種は、カタツムリ類106種のうち100種(94%)、樹木やシダ植物など441種のうち161種(36%)、昆虫類1380種のうち379種(27%)に上る。生息数が300頭ほどのオガサワラオオコウモリ、数十羽のアカガシラカラスバトなど絶滅が危ぶまれる希少種も多い。

 また、近しい種を比較することで、生物が独特の進化をとげた過程がわかることから、「進化の実験場」とも呼ばれる。

 世界遺産委員会の諮問機関である国際自然保護連合は、独特の生態系や保護の取り組みを評価。5月に「登録が適当」との勧告をまとめ、同委員会は勧告をふまえて登録を決めた。

 勧告では行政や研究者、地域が連携して自然を管理している姿勢も評価した。一方、より効果的な管理ができるように海域の保護区を広げることや、世界遺産になることで増加が予想される観光客が悪影響を及ぼさないよう注意深く管理することを求めている。これを受け、政府は固有種を脅かす外来種の対策などをさらに推し進めていく。

110621 海洋生物の絶滅、危険性「前例なく高い」 研究者ら警告 [朝日]

 国際的な海洋研究者のグループが20日、世界の海の状態に関する報告書を発表した。魚の乱獲や水質汚染、気候変動などの同時発生により、サンゴ礁をはじめとする海洋生物が「人類史上、前例のない絶滅の局面に入る高いリスクにさらされている」と警告した。

 報告書をまとめたのは、英オックスフォード大学で4月に海の環境について協議した専門家集団。環境悪化が予想以上のペースで進んでいると指摘し、海面の上昇、グリーンランドや南極の氷床溶解、地球温暖化につながる海底のメタンガス放出といった「最悪のシナリオ」を列挙した。

 報告書は国連に対し、効率的な公海の環境管理を早急に行うよう求めている。(ロンドン=伊東和貴)

101128 紅葉の名所に異変 ナラ枯れ拡大、常緑樹増えモミジ衰退 [朝日]

 見ごろを迎えた紅葉の名所や寺社で、ブナ科樹木のナラ枯れ被害や山林の荒廃が目立っている。山の手入れが行き届かず、ナラ枯れの拡大や常緑樹の増加など植生の変化を招き、モミジなどの衰退にも結びついている。被害拡大を食い止めようと対策も始まった。

 世界遺産・龍安寺(りょうあんじ=京都市右京区)。境内から北に広がる朱山(しゅざん)を望むと、例年なら鮮やかな黄色に染まるはずの山の山頂付近に、害虫の被害で赤茶色に枯れたナラやブナが目につく。京都市が9~10月に調べたところ、198本の枯死を確認。周辺でも約1千本の被害が出ているという。

 ナラ枯れした木は、市が補助金を出して伐採する予定だが、対策は追いついていない。寺の事務長の岩田晃治さんは「景観を損ねるので、被害が広がる前に何とか対処したい」と話す。

 京都を囲む東山、北山、西山での今年度のナラ枯れ被害は昨年度の5倍、推計で2万本にのぼる。すべての伐採は不可能なため、人家や道路に倒れる危険がある木を優先的に処理している。

 「自衛」に乗り出す寺社もある。下鴨神社(同市左京区)は今春、境内の「糺(ただす)の森」で100本以上のナラ枯れを確認。来春までにブナ科の約千本にビニールを巻き付け、被害拡大を防ぐ。平安神宮(同市左京区)でも被害を確認し、薬剤散布して幹にビニールを巻くなどの対策を進めているという。

 紅葉シーズンで観光客が詰めかける嵐山国有林では近年、常緑樹が植生を広げて森林内の日当たりが悪くなり、カエデやサクラの若木が育たなくなった。ナラ枯れも拡大し、今年度の被害は83本で昨年度の10倍超となった。

 林野庁京都大阪森林管理事務所は管理方法の見直しに着手。住民との意見交換会も設け、ヤマザクラの維持やカエデの世代交代を目的とする管理方針を作った。モミジなどを植樹する際には、高齢の木を伐採して日当たりの良い場所を確保し、若木の成長を促すようにした。

 大阪府の紅葉の名所・箕面公園(箕面市)でも今年から、常緑樹の伐採やモミジ苗木の育成に乗り出した。

 公園の指定管理者の造園会社などが昨年度、園内2カ所で滝道沿いの常緑樹を伐採したところ、近くのヤマザクラの日当たりも良くなった。今秋からは、近くの住民がモミジの苗を育てる試みも始め、順調に育てば山に返す予定だ。(竹田真志夫、柳谷政人)

101030 生態系保全目標に「愛知ターゲット」 生きもの会議閉幕 [朝日]

 名古屋市で開かれた生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議)は30日未明、医薬品や食品のもとになる動植物など遺伝資源の利用を定める「名古屋議定書」と、生態系保全の世界目標「愛知ターゲット」を採択し、閉幕した。次回の締約国会議は2012年、インド・ニューデリーで開催される。日本政府は議定書の批准に向けて国会の承認を求める方針で、議定書に基づく国内法を制定するための議論を始める。

 名古屋議定書は今後、批准の意思を示す各国の署名を11年2月から1年間、ニューヨークの国連本部で受け付け、50カ国目の批准が完了した90日後に発効する。批准すれば国内法の制定が必要になり、遺伝資源を商品化する途中段階で、適正な手続きを経て利用されているかをチェックする機関の設置などが定められる。

 議定書は、松本龍環境相が提示した議長案をわずかに修正した文書を、各国が受け入れる形で合意した。企業が遺伝資源を利用する場合に、得られる利益を金銭の支払いや共同研究などを通じて原産国と分け合う国際ルールで、法的拘束力がある。

 もう一つの主要議題となった2020年までの世界目標は、採択の直前に「愛知ターゲット」と名付けられた。

 世界の陸に占める保護区の割合を17%、海の保護区の割合を10%に拡大することや、生物の生息地が失われる速度を少なくとも半減させること、生物多様性の観点を国家会計の価値判断に組み入れることなど20項目が盛り込まれた。各国はこの目標に沿った国家戦略をつくり、生態系を保全するための取り組みを進めていく。

      ◇

 先進国、途上国の主張の違いが大きかった主要議題の議論は、閉幕予定の29日を過ぎ、未明まで続いた。

 午前1時半ごろ、議長の松本環境相がすべての主要議題の採択を告げる木づちを打った。会場を埋めた各国の閣僚や交渉官、NGO、企業関係者らは大きな拍手を響かせ互いに抱き合って、8年以上に及んだ交渉が妥結した喜びを分かち合った。

 閉幕後の午前3時半ごろ記者会見した松本環境相は、合意への道筋について「積み木を重ね、重ねては崩れという過程を繰り返すような歩みで、最後は崩れそうなぎりぎりのタイミングでの採択だった。多くの人が苦渋の妥協を何度も受け入れた。合意が確信できた時は、泣いてしまった」と振り返った。(平井良和)

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■「名古屋議定書」の骨子

▽遺伝資源を利用する場合は、事前に原産国の許可を得る

▽資源を利用する側は、原産国側と利益配分について個別契約を結ぶ

▽資源に改良を加えた製品(派生品)の一部は、利益配分の対象に含むことができる。対象にするかどうかは、契約時に個別に判断

▽不正に持ち出された資源ではないかをチェックする機関を、各国が一つ以上設ける。機関の性格は各国で判断

100930 植物、5分の1が絶滅危惧種 英王立植物園など報告書2010年9月30日0時18分

 【ワシントン=勝田敏彦】英王立キュー植物園や国際自然保護連合(IUCN)などのチームの研究で、現在知られている植物約38万種のうち5分の1が絶滅危惧(きぐ)種に分類されることがわかった。名古屋市で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議)を来月に控えた29日、チームが報告書を発表した。

 植物の種類は多いため、研究チームは5グループ(コケ植物、シダ植物、裸子植物〈針葉樹など〉、単子葉植物〈ランやイネなど〉、マメ科植物)から、それぞれ1500種ずつを無作為に選んで分布などを調べた。

 すると、分布などが十分調べられている4千種のうち、分布域や個体数が非常に限られる22%が「絶滅危惧」に分類されるとわかった。これは、植物が哺乳(ほにゅう)類と同程度に絶滅の危機にあり、両生類やサンゴよりは状況は良いが、鳥類よりは悪いことを意味する。

 5グループでは裸子植物の状況が厳しいこと、絶滅危惧種の多くは熱帯に分布していることもわかった。危機の最大の原因は、耕作や畜産のための植生破壊だった。

 キュー植物園のホッパー園長は「植物は生物多様性の基本なのに重要性は見過ごされてきた。今回、初めてどれほど絶滅の危機に瀕(ひん)しているのかがはっきりわかった」などとする声明を出した。

 日本の環境省のレッドリストでは、リュウキュウヒモランやハナナズナ、ヤマホオズキなどが絶滅危惧に分類されている。

関連トピックス生物多様性条約

100923 「生態系保全の10年」提言 国連会合で前原外相 [朝日]

 【ニューヨーク=平井良和】生物多様性の保全をテーマにした初めての国連首脳級会合が22日、国連本部で開かれた。冒頭で前原誠司外相が演説し、今後10年間を生態系保全のための集中的な行動期間「国連生物多様性の10年」と定めることや、生物多様性の現状を検証し、政策提言する国際機関の設置を求めた。

 前原外相は、10月に名古屋市である生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議)の議長国として発言した。生きもの会議では2020年までに実行する生態系保全策の世界目標「名古屋ターゲット」の採択を目指しているが、各国の意見集約が難航している。前原外相は、締約国の合意を求めるとともに、締約国以外にも行動を呼びかけた。

 また、生態系の損失が人類に及ぼす危険性を把握し、保全に向けた対策を提言する「生物多様性と生態系サービスについての政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)」の設置を呼びかけた。地球温暖化の知見を集める「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が温暖化対策の枠組みづくりを促したように、生物多様性の知見を集めることで、生態系保全のための新たな環境外交を進める狙いがある。

 設置に向けた協議は08年から続けられている。近く国連総会で建議され、年内にも議決される見通しだ。

 92年に採択された同条約には193カ国・地域が加盟するが、米国は経済活動への制約を懸念して参加していない。「国連の10年」やIPBESの設置によって、条約を超えた枠組みをつくり、自然保護政策での実績と資金力のある米国に協調を促す。

100920 メキシコ湾原油流出の油井、完全封鎖 BPが発表 [朝日]

 【ニューヨーク=田中光】米南部沖メキシコ湾の原油流出事故で、国際石油資本の英BPをはじめとする対策本部は19日、流出源となった海底の油井が完全に封鎖されたと発表した。流出は7月15日に止まっていたが、今回の作業で一連の作業は終了し、史上最悪の流出事故を起こした油井は永久に封印される。

 BPは8月、油井の上部からセメントを流しこんで封鎖したが、今回は、油の通り道に向けて新たな穴(救助井)を掘り進み、油井の下部からセメントを流し込んだ。この日、圧力を計測するなどして、状態が安定していることが確認されたという。

 流出事故をめぐっては、4月20日に海上の石油掘削基地が爆発し、作業員11人が犠牲になった。3カ月近くにわたり海底から490万バレル(約78万キロリットル)の原油が流出したと推定されている。

 米政府の8月の発表では流出した原油の26%は、海中に残るか、砂浜などにタール状の塊となって流れ着いたとみている。対策本部によると、現在も、ルイジアナ州を中心にメキシコ湾沿岸の約180キロが原油で汚染されている。

100827 「生態系破壊の損失、年420兆円」 国連の研究責任者 [朝日]

 生態系の経済的な評価を試みる国連環境計画(UNEP)の研究で責任者を務めるパバン・スクデフ氏(50)が26日、朝日新聞の取材に応じ、「生態系の破壊による世界の経済的損失は、年間5兆ドル(約420兆円)以上」とする試算を明らかにした。今年10月に名古屋市である生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議)で最終報告書を発表し、自然保護の重要性を訴える。

 報告書「生態系と生物多様性の経済学」(TEEB)は、「ただ同然」と考えられがちな自然の価値を金銭に置き換えることで、開発による生態系の損失や保全・回復にかかるコストを、市場経済に組み込むことを目指す。企業活動や投資の流れに大きな影響を与える研究として注目されている。

 損失額は様々な要素を組みあわせて計算。サンゴ礁の劣化を例にとると、そこに生息する魚介類の、食品や装飾品としての価値のほか、水を浄化する機能の価値や、ダイビングなどの観光産業としての価値などを加える。

 世界全体の損失額についてスクデフ氏は「現時点で5兆ドル規模になると見込んでいる。海の生態系の損失分などまだ加えるべき要素が残っており、最終的にはもっと大きな数字になる」と述べた。このまま新たな対策を打たなければ、2050年に損失額は、世界の国内総生産(GDP)の1~7%にあたるだろうと警告した。

 生態系の損失が進んでいるのは、「市場経済が生態系の価値をこれまで正しく評価してこなかったからだ」と指摘。欧州の企業を中心に、生態系に価値づけし、その価値を事業費用の見積もりなどに織り込む考え方が広がっており、「日本の企業や政治家も価値の転換が起きていることに気づいてほしい」と述べた。(山口智久、平井良和)

100803 原油流出量は史上最悪規模 メキシコ湾事故で米発表 [朝日]

 【ニューヨーク=田中光】米南部沖メキシコ湾での原油流出事故で、米政府は2日、これまでの推定流出量について計約490万バレル(約78万キロリットル)と発表した。政府の研究者グループは、「誤差は10%以内」としている。

 このうち海上などから回収できたのは約80万バレル(約13万キロリットル)。今回の発表で、メキシコのユカタン半島沖(1979年)の約330万バレルを上回る過去最悪規模の流出事故であることが裏付けられた。

 研究者グループは、原油が噴き出そうとする圧力など新たに得られた数値などから、推定したという。4月20日の爆発事故直後は1日あたり約6万2千バレル(約9800キロリットル)が流出。大量の原油が流出したことで勢いが弱まり、7月15日に流出が封じ込められるころには約5万3千バレル(約8400キロリットル)まで減ったとみている。研究者グループはこれまで、一日の流出量を3万5千~6万バレルと推定してきた。

 今回の推定量をもとに国際石油資本の英BP側が米政府に支払わなければならない罰金を計算すると54億ドル(約4500億円)となる。重大な過失が認められた場合には210億ドル(約1兆8千億円)に膨らむ。

100528 メキシコ湾の油流出量、米史上最悪 当初推定の2~3倍 [朝日]

 【ニューヨーク=田中光】米ルイジアナ州沖のメキシコ湾での原油流出事故で、米地質調査所(USGS)などの調査団は27日、海底からの流出量について「1日当たり約1900キロリットルから約3千キロリットル」との推定値を発表した。国際石油資本の英BPなどが公表してきた「同約800キロリットル」の2.4倍から3.8倍に相当し、流出量は米史上最悪になることがわかった。

 今回の推定値により、掘削基地が沈没した4月22日から5月27日までの36日間の流出量は、少なくとも約6万8700キロリットルに達する。1バレルの原油から約74リットルの石油が精製できるとして、トヨタのカローラが地球を約1万1500周できる計算だ。1989年にアラスカで起きた約4万1千キロリットルを大幅に上回る、米史上最悪の原油流出事故になった。

 地表に現れた原油の分析と、海底の流出のビデオ映像を分析する二つの方法で流出量を検討。双方から得られた結果で重なりあった数値から推定値を導き出した。

 また、オバマ米大統領は同日、ホワイトハウスで記者会見し、米国沖における新たな海底油田開発の凍結を約6カ月間、延長し、アラスカ沖やメキシコ湾で計画されている探査掘削を停止させると発表した。

0318 クロマグロ禁輸案、委員会で否決 ワシントン条約会議 [朝日]

 【ドーハ=井田香奈子】当地で開かれている野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の締約国会議は18日夕(日本時間同日深夜)、第1委員会で大西洋・地中海クロマグロの国際取引を禁止する提案を反対多数で否決した。欧州連合(EU)や米国が禁輸支持を表明し、クロマグロの最大輸入国である日本は危機感を強めていたが、規制強化に反発した国々が票を固めた。

 この議決は、24日から始まる全体会合に報告される。ここで投票国の3分の1以上が求めれば再採決が行われ、禁輸支持派が投票国の3分の2以上の票を獲得すれば委員会議決は覆る。ただ、18日の採決結果は予想以上の大差で、逆転の可能性はほぼなくなった。禁輸提案国のモナコ代表は、全体会合で再採決を求めない考えを明らかにした。

 この日の審議では、冒頭モナコが、「絶滅の恐れがある種」を記載する条約付属書1に大西洋クロマグロを含めて国際取引を禁じる自国案を説明。その後各国が賛否の立場を表明した。EUは禁輸実施時期を来年5月まで先送りすることを条件にした修正案を提案。日本は反対の立場から意見を述べ、アジア、アフリカの途上国の多くが賛同した。リビアが意見表明のなかで審議の打ち切りと即時採決を求めた。これを受けてアイスランドが無記名投票による採決を求め、規定の10カ国以上が賛同したため、無記名投票になった。

 その後、採決するかどうかの投票が行われ、過半数が賛成。EU修正案、モナコ提案の順で本採決が行われ、EU修正案は賛成43、反対72(棄権14)で、モナコ提案は賛成20、反対68(同30)でともに否決された。モナコ提案への賛成票はEU加盟国数(27カ国)も下回った。

 大西洋クロマグロの減少への懸念は国際的に共有されているものの、全面禁輸となると賛否が割れている。また、日本など輸出入国への経済的、社会的影響が大きいことから、当初は委員会採決の前に関係国による作業部会を設けて慎重に協議を進めることになっていた。しかし、禁輸阻止に必要な票が集まったと判断した反対派は委員会初日の採決に踏み切った。

 禁輸にはEUのほか米国、スイスなどが賛成を表明。一方、取引継続を求める日本は、野生生物保護のワシントン条約の枠組みではなく、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)など従来の漁業資源管理の国際枠組みで対応するべきだと主張。韓国や豪州が同調し、中国も禁輸反対に回ったとされる。さらに漁業国を中心とするアフリカ、アジアの途上国が反対した。

 最高級のトロがとれるクロマグロは、日本で人気が高く、輸入と自国漁獲分を合わせ世界の約8割が日本に供給されている。禁輸となれば、中長期的な値上がりや品不足などが懸念されていた。

0822 イルカ漁、米で物議 和歌山舞台の映画、潜入・隠し撮り [朝日]

2009年8月22日14時38分
 【ニューヨーク=山中季広】和歌山県太地町でのイルカ漁を隠し撮りしたドキュメンタリー映画が今夏、米国内で上映され、物議をかもしている。見た人の多くは「イルカを殺す場面の残忍さに衝撃を受けた」との反応を見せ、主要紙もイルカ漁を批判する論調がほとんどだ。

 題名は「ザ・コーブ」(入り江)。米動物愛護家リック・オバリー氏の手引きで、潜水や夜間撮影、難所登り、DNA解析などを得意とする約20人が5年間に計7度、太地町に潜入。地元漁師の「妨害」や警官の「尾行」をかわして、立ち入り禁止の浜でイルカが血をふきながら殺されていく場面を撮影するという筋書きだ。

 映画は、日本では規定頭数内のイルカ捕獲が合法であることに触れてはいるが「太地町で捕獲されたイルカが世界各地のイルカショー水族館に輸出されている」などと「告発」している。

 ルイ・サホイヤス監督(52)は朝日新聞の取材に、「太地町と交渉したが、撮影は許されなかった。許可なく潜入したのは事実で、次に訪日したら不法侵入や業務妨害で訴追されるかもしれない」と説明。映画には、オバリー氏が和歌山県警の聴取を受ける場面もある。監督は「イルカ漁の実態をほとんどの日本人は知らされていない。日本の人々に状況を伝えるには、他に方法がなかった」と話している。

 米国では7月末に封切られた。観客の多くは「勇気ある調査報道」といった印象を持つようだ。ニューヨーク市内の映画館で息子(13)とともに見た母親(46)は「これはむごすぎる」。夫婦で見た60代の男性は「残虐な漁師たちが許せない」と話した。

 米紙や映画誌には映画を絶賛する声ばかりが並ぶ。ニューヨーク・タイムズは「きわめて秀逸なドキュメンタリー作品。海がイルカの血で染まり、(鑑賞した人の)目は涙であふれる」と論評した。

 すでに上映中のカナダや豪州などに続いて、フランスなどでも公開される予定。

0312 3年連続、コウノトリのヒナ誕生…兵庫・豊岡市 [読売]

兵庫県立コウノトリの郷(さと)公園は12日、同県豊岡市百合地(ゆるじ)のコウノトリの巣塔で、ヒナ2羽が孵化(ふか)しているのを確認した。

 野外でのヒナ誕生は今年初で、3年連続。順調にいけば5月にも巣立つ。

 親鳥は2007年に国内の自然界で46年ぶりにヒナを巣立たせた8歳の雄と10歳の雌で、6個の卵を産み、巣に4個が残っていた。

(2009年3月12日17時16分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090312-OYT1T00738.htm

0301 340歳ヒノキ、1600万円で落札 末は神社仏閣? [朝日]

2009年3月1日10時34分
 広島県廿日市市の津田八幡神社にある樹齢340年のヒノキが岡山県の木材業者に約1600万円で売却され、27日に伐採された。広島県樹木医会によると、天然記念物になっていてもおかしくないほどの大きさ。同県内のヒノキはふつう1立方メートルあたり2万円程度だが、伐採されたヒノキは材質がよく、同約95万円。ヒノキは名古屋市の木材市場で取引され、神社仏閣で使われる可能性が高いという。

 同会によると、ヒノキは根回り約2メートル、高さ約28メートル。中には空洞がほとんどない。雷などを受けた跡はなく真っすぐに伸びている。昨年10月ごろ、津田八幡神社の広兼迪也(みちや)宮司(72)が「老いたヒノキが台風などで倒れるのでは」と心配し、樹木医に診断を頼んだところ「延命治療」は難しいとわかり、やむなく伐採を決めた。購入を希望する業者数社と協議した結果、岡山の業者への売却が決まった。

 地元でも残して欲しいという声が多かったヒノキの最期の瞬間には、住民ら約50人が集まったという。広兼宮司は「小さい頃、みんなで手をつなぎながら木の回りを囲んだ。思い出深く、伐採はとてもさみしい」と話した。(江戸川夏樹)
URL:http://www.asahi.com/national/update/0227/OSK200902270084.html

0107 生物多様性って何? 愛知県民調査、「知らない」 [朝日]

8割2009年1月7日13時9分
 2010年に名古屋市で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)について愛知県が行った意識調査で、8割を超す県民が「生物多様性」という言葉を「知らない」と答えた。COP10の地元開催についても、6割が「知らない」と回答。県民の関心の低さが浮き彫りになり、危機感を抱いた県はPRに力を注ぐ方針だ。

 調査は08年7月、県内の成人男女3千人に無作為にアンケート用紙を郵送し、1837人から回答を得た。

 「生物多様性」の認知度は「かなり知っている」「ある程度知っている」が計12.4%なのに対し、「あまり知らない」「ほとんど知らない」などが計86.4%を占めた。

 地元で開催されることや、開催の時期についても、「知っている」は36.0%、「知らない」は62.7%という寂しい結果。県環境部国際会議準備室は「テーマが科学的だけに、難しいイメージがあるのでは……」と落胆する。

 ドイツのボンで08年5月にあったCOP9には、国連や各国政府、NGOなどから7千人あまりが参加した。COP10にも世界中から多くの参加者が訪れる見通しで、県は「ガイドや通訳など住民ボランティアの積極的な参加が運営に欠かせない」と見る。

 ただ、救いなのは、「知らない」という回答の中にも、「これから知ってみたい」という県民が3割近くいたこと。県は、もっと知ってもらおうと、09年3月までに県内各地で「キャラバンセミナー」と呼ばれる勉強会を計20回開く。ミツバチが花に受粉し、花がミツバチに蜜を与えるなど、生きものが支え合う仕組みをそれぞれの地域の自然環境から学ぶ取り組みになるという。(西本秀)
URL:http://www.asahi.com/national/update/0106/NGY200901060006.html

0101 三河湾海底に生物住めない「死の領域」 浚渫など影響か [朝日]

2009年1月1日15時48分
 三河湾の海底に、酸素が乏しく生物がすめない「デッドゾーン」が広範囲に広がっていることが確かめられた。愛知県水産試験場(蒲郡市)が湾内20水域で海底の状況を調べ、貝類など底生生物が全く生息していないポイントを含む水域が9割に達することがわかった。浚渫(しゅんせつ)や埋め立てが影響していると見られている。

 三河湾が生物にとってどんな環境か知る手がかりに、と調査した。「デッドゾーン」は各地の湾など閉鎖性の高い水域で問題になっており、網羅的な調査は珍しいという。

 赤潮の沈下などが起きやすく、海水の環境が一番悪いと考えられる夏場の状況を調べるため、08年7~9月にかけて実施。港や埋め立て地の周辺など20水域を選び、計約100ポイントで海底にある泥を採取した。

 その結果、半数前後のポイントでは、貝類やエビ、カニ、ゴカイなどの底生生物がまったく見つからなかった。20水域中、こうしたポイントを含む水域が18に達した。

 18水域のうち12水域の泥からは、強力な酸素消費物質である硫化物が、乾燥させた泥1グラム当たり2ミリグラム(乾燥前に測定)以上の高濃度で検出された。水産業などの目安とされる水産用水の環境基準値(1グラム当たり0.2ミリグラム)の10倍以上にあたる。硫化物は周辺の海域にも流れ、悪影響を及ぼしている可能性があるという。

 三河湾内には、航路確保や埋め立て地造りのため浚渫された場所が点在し、そのくぼ地が残っている。狭い水路などもある。くぼ地にたまった酸素濃度が低い水のかたまりは、水流の変化で一気に浮上した時に生物に大きな被害をもたらすとされる。

 愛知県のアサリ漁業を支える豊川河口のアサリ稚貝が01、02年に大量死した際も、浚渫後のくぼ地の存在が要因として指摘された。大量死は今年も起きている。

 外部との海水交換が限られている水域では、夏場に酸素が少ない状態が急速に進む影響で底生生物がすめなくなり、底生生物が果たすはずの水質浄化が進まず、底生生物にすみにくいような環境悪化がさらに進むという悪循環になっている可能性がある。

 こうした水域の中には、以前は周辺の干潟のおかげで水質が改善され、デッドゾーン化を免れていたところもあると考えられている。

 愛知県水産試験場と県の港湾、環境関連の部門は今後、湾の調査や水質浄化、干潟再生などに連携して取り組み、海中の生物多様性確保につなげたいという。

 同試験場の漁場改善グループは「まだ一部のサンプリングに過ぎないので、ポイントを増やしたり時期を変えたりして調査を進め、原因と対策の研究を進めたい」としている。(山本晃一)
URL:http://www.asahi.com/science/update/1220/NGY200812200015_01.html
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