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101217 武器輸出三原則の堅持を正式表明 官房長官談話 [朝日]

 菅内閣は17日、新しい防衛計画の大綱(防衛大綱)の閣議決定にあわせ、仙谷由人官房長官名で談話を発表した。武器輸出三原則について「国際紛争等を助長することを回避するという平和国家としての基本理念に基づくものであり、政府としては、この基本理念は引き続き堅持します」と表明した。

 ただ、三原則をめぐる閣内の議論は続ける姿勢で「防衛生産・技術基盤の維持・育成のための中長期的な戦略の策定」をうたったほか、国際共同開発・共同生産の参加に向けて「防衛装備品をめぐる国際的な環境変化に対する方策を検討する」と盛り込んだ。

 一方、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)についても「今後5年間、一層効率的かつ計画的な執行を行うことを前提に、2010年度予算額(1881億円)の水準をおおむね維持する」とし、5年間の総額維持を表明した。

101217 中国念頭、南西諸島の防衛力強化へ 新大綱を閣議決定 [朝日]

 菅内閣は17日の閣議で、2011年度以降の10年間の防衛力のあり方を示す防衛計画の大綱(防衛大綱)を決定した。中国の軍事的台頭について「地域・国際社会の懸念事項」と指摘。中国の海洋進出を念頭に南西諸島の防衛力強化を打ち出した。冷戦時代に部隊を全国に均等配備する根拠としていた「基盤的防衛力構想」に代え、機動力や即応性を重視する「動的防衛力」を基本方針とした。

 民主党政権初の防衛大綱で、大綱改定は2004年以来6年ぶり。内閣は11年度から5年間の防衛装備の数量を示す中期防衛力整備計画(中期防)もあわせて閣議決定し、5年間の予算総額を23兆4900億円程度とした。10年度予算と比較した平均伸び率はプラス0.1%で、平均伸び率がマイナスだった前回中期防(05~09年度)の抑制傾向を転換した。

 大綱は中国について、軍の近代化や周辺海域での活動活発化を挙げて「このような動向は透明性の不足とあいまって、地域・国際社会の懸念事項」と指摘。その上で「自衛隊配備の空白地域」である南西諸島防衛を強化する方針を明記した。那覇基地の戦闘機部隊を増強、潜水艦も16隻から22隻態勢に増やすことを盛り込んだ。これに関連し、中期防では、沖縄県・与那国島を念頭に陸上自衛隊の沿岸監視部隊を新設する。

 防衛大綱を初めて定めた76年以来、防衛力整備の基本方針だった「基盤的防衛力構想」を抜本的に見直し、日常の警戒監視を通じて抑止力を高める「動的防衛力」の概念を打ち出した。中国の海洋進出などを念頭に、機動力を高める狙い。これに伴い冷戦型の装備や編成を見直し、戦車を約400両に、火砲も約600門から約400門に減らすなどする。編成では装備が手厚い北海道の部隊などを対象とする方向だ。

 この他、北朝鮮については大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発の動きから「我が国を含む地域の安全保障における喫緊かつ重大な不安定要因」と記した。

 日米関係では「アジア太平洋地域の安定化を図るため、同盟を深化させる」と強調した。同時に、米国の同盟国である豪州や韓国との「二国間及び米国を含めた多国間での協力を強化」するとした。

 サイバー攻撃への対応強化や、高年齢化が進む自衛隊の人事制度改革、首相官邸に安全保障に関する新組織設置も明記した。

 武器輸出三原則の見直しは大綱への明記を見送った。ただ国際共同開発・共同生産による高性能化やコスト高への対応が「先進諸国で主流になっている」と分析、「このような変化に対応する方策について検討する」としている。

     ◇

■新防衛大綱のポイント

  • 北朝鮮の軍事的動きは重大な不安定要因。中国の軍事力の近代化、戦力強化は地域や国際社会の懸念事項

  • 従来の「基盤的防衛力構想」によらず、「動的防衛力」を構築

  • 冷戦型の装備・編成を縮減。南西地域も含む警戒監視、洋上哨戒、防空、弾道ミサイル対処などを充実

  • 空白地域となっている離島に部隊を新たに配置

  • サイバー空間の利用に対するリスクが新たな課題に

  • 首相官邸に国家安全保障に関する関係閣僚の調整、首相への助言を担う組織を設置

  • 在日米軍の駐留を円滑・効果的にする取り組みを推進

  • 武器の国際共同開発・生産など大きな変化に対応するための方策について検討

     ◇

 〈防衛計画の大綱〉 中長期的な防衛力のあり方や規模の基本方針。1976年以来、今回で4回目の策定。2004年12月に閣議決定された現大綱は5年後の見直し条項が設けられ、09年12月に改定される予定だったが、民主党政権は1年先送りした。新大綱の方針を踏まえ、防衛装備品の5年間の整備計画を定めた中期防衛力整備計画(中期防)も策定された。

101201 武器輸出三原則見直し求める米公電暴露 ウィキリークス [朝日]

 【ワシントン=伊藤宏】日米両国が2014年をめどに共同開発を進める海上配備型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」について、米政府が欧州への輸出を可能とするために、日本政府に武器輸出三原則の見直しを求めた内容の外交公電が明らかになった。民間告発サイト「ウィキリークス」が公表した。

 この外交公電は昨年9月17日付で、米国務省からミサイル防衛関係各国の米大使館にあてられている。

 それによると、米国のミサイル防衛戦略として、SM3ブロック2Aを「将来的には北大西洋条約機構(NATO)や欧州の同盟国に売却する可能性を探りたい」と指摘。将来的にミサイル防衛の地球規模のネットワークを構築するために「日本政府が戦略的な決断ができるよう協力していきたい」としている。

 ゲーツ米国防長官が昨年10月、北沢俊美防衛相と会談した際、「SM3ブロック2A」の第三国供与に言及。三原則を見直し、新型ミサイルを欧州などに輸出できるようにするよう非公式に求めたとされる。公電の日付は、こうした時期とも符合しており、菅政権が進める三原則の見直し議論にもつながっている可能性がある。

1105 自衛隊のアフガン派遣 首相「少数でも望ましくない」 [朝日]

2009年11月5日4時28分
 鳩山由紀夫首相は4日、アフガニスタン復興支援での自衛隊派遣について、記者団に対し、「少人数でもアフガニスタンに派遣するのは望ましくない」と述べ、否定的な考えを示した。アフガンの復興支援は、住民の生活支援などの民生分野を主体にしたい意向だ。

 首相は、「アフガンのために各大臣が知恵を絞っているのはわかるが、自衛隊については(考えを)統一した方がいい」とも述べた。

 鳩山内閣は来年1月の補給支援特措法の期限切れを受け、インド洋での海上自衛隊の給油活動を中止し、撤収する方針。今月12日のオバマ米大統領の訪日に向けて、防衛省などは、米軍主体の国際治安支援部隊(ISAF)の司令部や地域復興チーム(PRT)への自衛官派遣やアフ

1021 「PKO5原則」の見直しを検討 岡田外相が指示 [朝日]

2009年10月21日23時43分
 岡田克也外相は21日、東京都内で講演し、国連平和維持活動(PKO)に日本が積極的に参加するため、基本方針としてきた「PKO5原則」の見直しを検討するよう外務省に指示したことを明らかにした。

 岡田氏は日本のPKO参加について「法律上の制約、PKO5原則などがある。今の憲法の枠の中という大前提で、もう少し見直してみてはどうかと思っている」と述べた。5原則は、停戦合意の成立、全紛争当事者の同意、武器使用は要員の生命防護などの必要最小限に限定――など。岡田氏には参加の制約になっているとの思いがあると見られる。具体的な見直し方針には言及しなかった。

 また、岡田氏は、平和維持活動の次の段階である平和構築の分野でも文民や警察官の派遣などで日本がさらに貢献できないか、新たな法整備も視野に検討を進めていることも明らかにした。

1027 ソマリア沖での海自給油活動を検討 北沢防衛相 [朝日]

2009年10月27日11時42分
 北沢俊美防衛相は27日の閣議後の記者会見で、自衛隊がインド洋で実施している給油などの補給支援活動が来年1月に終了することに伴い、ソマリア沖の海賊対策に参加する各国艦船に対し、同様の活動を検討していることを明らかにした。

 北沢氏は、補給支援活動に代わる国際貢献策について、海賊対策を念頭に「選択肢として最も考えられるのは、給油の技術と経験を別の所に利用することだ」と述べた。ただ、海賊対策に当たる各国艦船への補給には海賊対処法の改正が必要。今後、実際に各国艦船にニーズがあるかどうかも踏まえ、実現の可能性を探るとみられる。

 これに対し、社民党の重野安正幹事長は27日、「簡単に言ってもらっては困る。インド洋とソマリア沖では自衛隊を派遣している目的が全然違う。ソマリア沖では日本の給油がなくても海賊対策が行われている。自衛隊の海外活用は抑制的であるべきだ」と記者団に語った。

1025 海自観艦式に菅副総理出席 自衛隊の海外活動に積極姿勢 [朝日]

2009年10月25日18時33分
 民主党政権になって初の海上自衛隊観艦式が25日、神奈川県沖の相模湾で行われた。鳩山由紀夫首相が外遊中のため、首相臨時代理の菅直人副総理が観閲官として出席し、「わが国の主体的判断と民主的統制の下、自衛隊が国際社会の平和と安定に貢献していくことを望む」と訓示。自衛隊の海外活動に積極的に取り組む考えを示した。

 艦船40隻や航空機31機、隊員約8千人が参加。インド洋の補給支援活動とソマリア沖の海賊対策に艦艇や航空機を派遣していることから、今回は3年前の前回より規模を縮小した。新型護衛艦からのヘリ発艦やP3C哨戒機による対潜爆弾投下などの訓練を行った。

1006 自衛隊イラク空輸、日ごとの実績明らかに 記録全面開示 [朝日]

2009年10月6日16時30分
 防衛省が、情報公開法に基づき、これまで実質非公開としてきた航空自衛隊のイラク空輸支援活動を記録した「週間空輸実績」を請求者に全面開示した。5月までの5回の請求に対しては、週の輸送日数を除いて黒塗りの不開示で、日ごとの発着場所や輸送人数、武装装備の詳細が開示されたのは初めて。請求者の異議申し立てを受けて、9月の政権交代後に一転して全面開示された。

 請求していたのは、イラク派遣差し止め訴訟の原告団の一人だった岐阜県大垣市の近藤ゆり子さん(60)。開示の決定は9月24日付で、北沢俊美防衛相名で「現時点で不開示とする理由がないことから、そのすべてを開示することとした」としている。

 開示された文書は、06年7月から、空自が撤退した08年12月までの「週間空輸実績」(124週間分)で、C130輸送機で空輸した日付と、自衛隊や米軍、国連などの輸送人数の内訳、それぞれの小銃や拳銃の携行数などが記録されていた。米兵の輸送が全体の約7割を占めていた。

 同省は7月、国会などに03~08年度の運航実績について、月別や総計を報告。821回で、輸送人数は4万6479人、うち米軍が2万3727人だったなど大枠を公表していた。今回の開示された文書で、さらに細かな活動実態が明らかになった。

 近藤さんは07年1月から請求を繰り返してきたが、同省は「公にした場合、他国部隊等の動向が把握され、関係諸国・関係機関との信頼関係を損なうおそれがある」などとして事実上の不開示を続けてきた。近藤さんは、撤退後の今年5月も同様の理由で不開示とした決定を不服とし、7月に異議を申し立てていた。

 近藤さんは「派兵の検証・総括をするための最低限の情報が開示されたことは喜ばしい。政権交代による『チェンジ』の兆しを感じる」と評価している。

 昨年4月に名古屋高裁でイラク派遣違憲判決を引き出した元原告代表の池住義憲さんは「米軍の兵士と物資を運んでいたという事実が、開示資料で裏付けられた。新政権には情報公開だけでなく、派遣活動を厳しく総括した上で、説明責任を果たして欲しい」と話している。

0531 武器輸出3原則、緩和求める声「先端技術に乗り遅れる」 [朝日]

2009年5月31日9時49分
 原則すべての武器の輸出を禁じている武器輸出3原則の緩和を求める声が、自民党内などで強まっている。高性能化する武器は多国間の共同開発が主流で、制限を続ければ先端技術に乗り遅れるとの危機感からだ。ただ、平和国家の象徴として堅持されてきた経緯があり、政府が決める新しい防衛計画大綱で緩和されるかどうかは、不透明だ。

 「米国以外の企業との共同研究・開発を認める」「武器の定義の緩和」。自民党の防衛政策検討小委員会は26日、こんな内容の提言案を大筋で了承した。政府の安全保障と防衛力に関する懇談会でも、「各国が得意とする分野、安いコストで製造できる部分を持ち寄って一つの戦闘機をつくる国際ネットワークをいかに形成するかが重要。その中に日本が参加できるよう考えていかねばならない」との意見があがる。

 武器輸出3原則は米国との防衛協力を進める観点から、これまでも例外的に緩和されてきた。83年当時の中曽根政権は、米国への武器技術の供与を例外として認め、小泉政権は04年、弾道ミサイル防衛(BMD)システムの共同開発・生産は「武器輸出3原則によらない」とした。

 さらに緩和が求められる背景には次期主力戦闘機(FX)選定をめぐる迷走がある。

 防衛省が最有力候補としてきた米国の最新鋭ステルス機「F22ラプター」について、米政府は軍事技術流出を懸念する米議会の意向を踏まえ、「輸出は困難」との考えを日本側に伝えた。防衛相経験者は「3原則を緩和して日本がF22の共同開発に入っていれば、今のようにはなっていなかった」と指摘する。

 代替案で浮上している新型機「F35」は米英など9カ国の共同開発。完成後は開発に加わった国から優先的に引き渡される。日本が導入を決めても配備は大幅に遅れる可能性がある。

 厳しい財政事情から日本の防衛費は縮減傾向。主要装備品の調達数は減っている。武器輸出3原則のために納入先が自衛隊に限られる国内の防衛産業の危機感は強い。防衛省によると、中小企業を中心に防衛部門から撤退する企業が増えつつあるという。

 軍事用先端技術は民間転用できるため、経済界には緩和を求める声が強い。武器輸出を認めれば量産可能となりコストダウンが期待できる。国内の防衛産業維持に役立ち、防衛省も緩和に前向きだ。

 3原則の緩和には、公明党内で警戒感が強い。同党の政策責任者は、なし崩しの武器輸出拡大につながりかねないとして、「武器輸出を原則禁止し、輸出を認めるか否かは専守防衛に照らして個別判断するという今の基準を変える理由はない」と語る。

 首相官邸は今のところ、「方向性は出ていない」(政府高官)と静観。麻生首相は就任前から「コストがかかりすぎる」などの理由で3原則緩和の必要性を感じているという。政府関係者は「対象を絞った輸出禁止に転換する可能性はある」と指摘する。

 ただ、日本が厳格な武器の輸出管理をしてきたことが、軍備管理や軍縮の分野での一定の発言力につながっているとの指摘もある。政府の懇談会でも「緩和は世論の支持を受けるのが難しい」との意見があった。緩和を武器の共同開発に限ったとしても、開発に加わる他国が第三国に輸出したり、輸出管理があいまいだったりすれば、3原則の理念が骨抜きになる懸念もある。(石松恒、田伏潤)
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0529/TKY200905290323_01.html

0327 対ミサイル誘導弾、首都圏で展開開始 反対運動も [朝日]

2009年3月27日21時0分
 弾道ミサイル破壊措置命令を受け、航空自衛隊入間基地(埼玉県)など首都圏4カ所に配備されている空自の地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の4個高射隊が27日夜、東京・市谷など展開予定地へ移動した。一部で交通規制を敷くなどものものしい雰囲気の中、大型特殊車両や護衛車が隊列を組み、夜の首都圏の高速道路を走り抜けた。

 首都圏でPAC3が展開するのは、市ケ谷基地(東京都)と朝霞駐屯地(同)、習志野演習場(千葉県)。

 入間基地からは午後8時過ぎ、レーダー装置や発射機を積んだ深緑色の大型車両、電源車、燃料タンク車、「危」マークが入った小型車など約30台の車列が出た。基地内の道路脇では約50人の隊員らが並び、敬礼で見送る中、関越道で東京方面に向かった。

 千葉県船橋市の陸上自衛隊習志野演習場には、市民団体「パトリオットミサイルはいらない!習志野基地行動実行委員会」のメンバーが駆けつけた。吉沢弘志代表は「今後、防衛省などに抗議していきたい」と話した。

 朝霞駐屯地には午後9時10分ごろから、入間基地からの車両が続々と到着。「開門、開門」と声が飛ぶと、小銃を右手に握る2人の自衛隊員が左手で黒い門を開けた。十数台が門内に入り、そのまま訓練場の暗い闇の中へと次々に吸い込まれていった。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0327/TKY200903270442.html

0320 日本に冷静な対応呼びかけ 中国国防相、ミサイル問題で [朝日]

2009年3月20日23時36分
 【北京=石松恒】浜田防衛相は20日、北京市内で呉邦国(ウー・パンクオ)全国人民代表大会常務委員長、梁光烈国防相と相次いで会談した。浜田氏が弾道ミサイルの発射準備を進めていると見られる北朝鮮に自制を促すよう求めたのに対し、中国側は「北朝鮮が撃たないのが一番良い」(梁氏)との認識を示したうえで、日本側に冷静な対応を呼びかけた。

 日本側の説明によると、浜田氏は呉氏との会談で、北朝鮮が人工衛星と主張しても、発射された場合には国連安保理決議違反に当たるとの日本の立場を説明し、北朝鮮に自制を促すように要請した。呉氏は「人工衛星の問題は関係国の冷静かつ適切な対応が必要だ」と答えた。

 梁氏との会談では、両国が艦船を派遣しているソマリア沖の海賊対策について「情報交換等の分野における可能な協力を推進する」ことで合意した。また、毎年2けた増の伸びを続ける中国の国防費について、浜田氏が透明性の向上を呼び掛けたのに対し、梁氏は「中国海軍は発展する必要がある。永遠に空母を持たないわけにはいかない」と述べ、空母の建造に意欲を見せた。

 日本の防衛首脳の訪中は、03年9月の石破防衛庁長官(当時)以来5年半ぶり4回目。21日には北京市内で中国人民解放軍の部隊視察も予定している。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0320/TKY200903200247.html

0320 ミサイル破壊命令、月内にも発令へ 防衛相、対北朝鮮 [朝日]

2009年3月20日23時18分
 【北京=石松恒】北朝鮮が4月4~8日の間の「人工衛星の打ち上げ」を予告していることに対し、浜田防衛相は20日、打ち上げ失敗で日本に落下する場合に備え、自衛隊法82条の2に基づく「弾道ミサイル等破壊措置命令」を月内にも発令する考えを明らかにした。発令されれば、同条項の初適用になる。

 破壊措置命令には、ミサイルなどが(1)「日本に飛来する恐れがある」ときに閣議決定を経て防衛相が命じる(2)「日本に飛来する恐れがあるとは認められない」が、事態の急変に備え、あらかじめ防衛相の判断で原則非公表で命じる――の2種類ある。

 浜田氏は20日、記者団に対して「どっちがより使いやすいかということだ。その判断をこれからするようになると思う」と述べた。政府は週明けにも官房長官、防衛相、外相による3大臣会合を開き、最終判断する。

 ただ、発令した場合でも、北朝鮮が国際機関に通報した計画通り、日本の上空を通過する軌道を取れば、迎撃することはできない。打ち上げ失敗などで、弾頭部分やブースターなどが日本の領土・領海に落下すると判断した場合にのみ迎撃対象となる。

 発令方針を固めたことを受けて、防衛省は近く、関東や中部地方の航空自衛隊基地にある迎撃用の地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)を、ロケットが通過するとみられる秋田、岩手両県など東北地方に配備する方向で検討に入る。具体的な配備場所については、護衛範囲が半径数十キロと限定的なPAC3の能力などを踏まえ、慎重に判断する。海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦2隻も日本海に展開させ、発射を覚知する早期警戒衛星を持つ米国と情報を共有しながら、発射に備える。

 政府は北朝鮮がロケットを発射したときに国民に瞬時に周知するため、全国瞬時警報システム(Jアラート)の使用なども検討しており、対応を詰める。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0320/TKY200903200254.html

0122 イージス艦衝突、主因は「あたごの監視不足」 海難審判 [朝日]

2009年1月22日22時49分
 海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船清徳丸が昨年2月、千葉県房総半島沖で衝突し、漁船の吉清治夫さん(当時58)と長男哲大さん(同23)が死亡した事故の海難審判の裁決が22日、横浜地方海難審判所であった。織戸孝治審判長は事故の主因を「あたご側の監視不十分」と認定、あたごが所属する海上自衛隊第3護衛隊(旧第63護衛隊、京都府舞鶴市)に安全教育を徹底するよう勧告した。

 あたご側は二審請求ができない。刑事裁判の検察官にあたる理事官側が7日以内に二審請求せず裁決が確定すれば、自衛隊組織への初の勧告発令となる。

 被告にあたる指定海難関係人は、第3護衛隊のほか、衝突前の当直士官後瀉(うしろがた)桂太郎3佐(36)▽衝突時の当直士官長岩友久3佐(35)▽艦長だった舩渡(ふなと)健1佐(53)▽当直士官を補佐する戦闘指揮所(CIC)の責任者だった安宅(あたか)辰人3佐(44)の5者。

 裁決は、第3護衛隊に対し「艦橋とCICの連携体制、見張り体制を十分に構築していなかったことが事故の発生原因」として勧告した。一方、事故時の当直士官だった長岩3佐は監視不十分が原因になったとの指摘にとどめ、舩渡1佐ら3者については事故の発生に至る過程で関与した事実はあるが、「事故との相当因果関係がない」とし、4者への勧告は見送った。

 裁決では、事故の7分近く前の昨年2月19日午前4時ごろ、あたごと清徳丸の距離が2.2カイリ(約4キロ)になった時点で、衝突の恐れがある「見合い関係」が生じたと認定し、海の交通ルールである海上衝突予防法の「横切り航法」が適用され、清徳丸を右前にみていたあたご側に衝突回避の義務があったと指摘。あたご側の監視不十分が事故の主因と結論づけた。清徳丸が警告信号を行わず、衝突を避けるための協力動作をとらなかったことも一因とした。

 あたご側は「清徳丸は理事官の主張よりも南東に位置し、そのまま直進すればあたごの艦尾を通過した」と、主因は清徳丸の右旋回にあると主張していたが、裁決は「合理性に欠ける」と退けた。

 当直士官2人は、業務上過失致死と業務上往来危険の疑いで横浜地検に書類送検されている。海難事故は原因究明が困難として、刑事処分は海難審判の結果を参考にするのが慣例。地検はこれまで2人の起訴を視野に捜査を進めてきた。裁決から、長岩3佐が刑事責任を問われる可能性が強まったが、後瀉3佐は事故原因との直接の因果関係がないとされたため、刑事責任をどう判断するかが焦点となる。(長野佑介、杉村健)
URL:http://www.asahi.com/national/update/0122/TKY200901220172.html

0108 海賊に武器使用容認へ 政府の自衛隊派遣新法案 [朝日]

2009年1月8日3時10分
 政府が今国会に提出予定の海賊対策の新法案で、これまで正当防衛などに限られてきた自衛隊の海外派遣の際の武器使用基準を緩和し、初めて海賊を取り締まる目的のために武器使用を認めることを検討していることがわかった。憲法が禁じる海外での武力行使に道を開くとの批判も出そうだ。

 政府が与党側に示した概要によると、新法の名称は「海賊行為への対処等に関する法律案(仮称)」。政府がソマリア沖の海賊対策に海上自衛隊を派遣するため検討を進めてきた結果、「外国船舶や外国人船員に対する海賊行為に対しても、国内法上、我が国が自ら措置を講じ得ることが必要」として、外国船舶も保護することを表明。海賊行為の抑止・取り締まりに関する検討事項として「任務遂行に必要な武器使用などの権限」が明記された。

 海外に派遣された自衛隊が武器を使用できるのは、国連平和維持活動(PKO)協力法やインド洋でのテロ対策特措法、イラク復興支援特措法では、原則として正当防衛・緊急避難などの例外的なケースに限られていた。

 海賊対策で武器使用が認められれば、自衛隊の艦艇が攻撃を受けていなくても、相手の船をとめるためにエンジンなどの船体を撃つことや乗組員に危害を加えることもできるようになる。

 政府は相手が国ではなく海賊であれば、武器を使用しても憲法が禁じる武力行使にはあたらないという見解をまとめている。しかし、海賊対策とはいえ、武器使用基準を緩和すれば、今後、自衛隊を随時、海外に派遣できるようにする恒久法(一般法)の議論などにも影響を与えそうだ。

 新法ではこのほか、「海賊行為への刑罰」について、「犯人の国籍と犯行地の如何(いかん)を問わず海賊行為への我が国刑罰法令の適用」と「海賊行為の取り締まりに伴う公務執行妨害罪などの適用」も検討する。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0108/TKY200901070296.html
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