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■司法08Ⅰ より続く

130206 覚醒剤使用に無罪判決 東京地裁「令状なく拘束、違法」 [朝日]

 【田村剛】覚醒剤取締法違反(使用)と公用文書毀棄(きき)の罪に問われた建築業の男性(43)に対し、東京地裁は6日、覚醒剤の使用について無罪とする判決を言い渡した。大西直樹裁判長は「家宅捜索の際、令状がないまま2時間以上拘束する重大な違法捜査があった」と問題視。事実と異なる捜査資料を警視庁が作っていたことも批判した。
 男性は2011年5月、警視庁が男性の知人宅を家宅捜索した際に居合わせ、尿から覚醒剤が検出されたとして逮捕・起訴された。取調室で逮捕状を手で引き裂き、口にくわえ込んだとする罪にも問われた。
 判決は、捜索時に警察官数人が男性の体をつかんで退室するのを拒み、違法に監禁したと認定。尿検査の結果を証拠として採用しなかった。さらに「逮捕手続き書類にうそを記載し、公判でも事実と反する証言をした」と指摘し、「違法の程度は『令状主義』の精神を没却するほど重大だ」と述べた。
 逮捕状を引き裂いたとする起訴内容についても、警視庁が作成した捜査資料や警察官の公判証言は信用できないとして、引き裂いた行為はなかったと判断した。大西裁判長は「どんな経緯と理由から資料を作ったのか。検察も引き裂いた行為の確認をしていない。関係者から事情を聴き、具体的な再発防止策を講じてほしい」と付言した。
 ただし、判決は男性が逮捕状を両手で丸めて口にくわえたことは認め、懲役3カ月(求刑懲役4年)の実刑とした。
 男性の弁護人は「警察の捜査の違法性と、検察がそれを見抜けていないことを強く批判した判決だ」と評価した。東京地検は「主張が認められなかったことは遺憾」とのコメントを出した。警視庁は「判決文を読んでいないのでコメントできない」としている。


121107 マイナリさん再審無罪、東京高裁 「別人が犯人の疑い」 [東京]

 1997年の東京電力女性社員殺害事件で強盗殺人罪に問われ、無期懲役の二審判決が確定したネパール人ゴビンダ・プラサド・マイナリさん(46)の控訴審をやり直した再審の判決で、東京高裁は7日、無罪の結論を言い渡した。
 小川正持裁判長は、新証拠のDNA鑑定結果を基に「第三者の男が犯人である疑いが強く、マイナリさんを犯人とするには合理的な疑いがある」と述べ、一審東京地裁の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。
 再審では検察側も先月の初公判で「マイナリさんは無罪」と異例の意見を述べていた。東京高検が最高裁への上訴権を放棄し、判決は即日確定した。
(共同)

111121 オウム裁判終結 遠藤被告の死刑確定へ 最高裁上告棄却 [朝日]

 地下鉄サリンや松本サリンなど、オウム真理教が起こした一連の凶悪事件の刑事裁判が21日、終結した。起訴された教団幹部や信徒は計189人。最後に残っていた元幹部・遠藤誠一被告(51)に対し、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)が同日、死刑とする判決を宣告した。元代表の松本智津夫死刑囚(56)が逮捕された1995年5月から終結までの期間は16年半に及んだ。

 松本死刑囚をはじめ11人の元幹部の死刑がすでに確定している。18日に上告が棄却された中川智正被告(49)と、この日の遠藤被告は、判決の訂正を申し立てられるが、認められる可能性はほとんどなく、死刑が確定するのは確実。計13人の死刑確定は、一つの組織が起こした事件では戦後最多となる。他に5人の無期懲役が確定している。

 遠藤被告は北海道出身。帯広畜産大で遺伝子工学を研究後、京都大学大学院に進み、ウイルス研究に取り組んだ。博士課程4年目の秋ごろ、出家。教団で「厚生省」のトップを務めた。

 松本、地下鉄両サリン事件で用いられたサリンを製造し、松本では7人、地下鉄では12人を殺害するなどしたとして殺人などの罪に問われ、一、二審で死刑とされた。

111004 婚外子の相続差別は違憲 大阪高裁決定「家族観が変化」 [朝日]

 結婚していない男女の子(婚外子=非嫡出〈ひちゃくしゅつ〉子)の相続分を、結婚している夫婦間の子(嫡出子)の半分とする民法の規定をめぐり、大阪高裁が「法の下の平等」などを定めた憲法に違反するとして、婚外子に同等の相続を認める決定をしていたことがわかった。

 最高裁は1995年、婚外子をめぐる相続差別規定を「合憲」と判断。弁護団は「高裁でこの規定をめぐる違憲判断が出たのは95年以降、初めて」としている。

 決定は8月24日付。嫡出子ら相手側は特別抗告せず確定している。

 違憲判断が出たのは、08年末に亡くなった大阪府の男性の遺産分割をめぐる裁判。婚外子1人と嫡出子3人の配分が争点となった。大阪家裁は民法の規定を合憲として相続分を決定、婚外子側が抗告していた。

 決定理由で赤西芳文裁判長は、95年の最高裁決定以後、家族生活や親子関係の実態は変化し、国民の意識も多様化していると指摘した。さらに、外国人の母と日本人の父との間に生まれた後に父から認知されても、両親が結婚していないことを理由に日本国籍を認めない当時の国籍法は、憲法の「法の下の平等」に反すると判断した08年6月の最高裁判決にも触れた。その上で、相続が開始した08年末時点で婚外子と嫡出子の区別を放置することは、立法の裁量の限界を超えていると結論づけた。

111001 独自捜査部門を半減 東京地検特捜部、新体制スタート [朝日]

 東京地検特捜部は1日、政界汚職などを手がける独自捜査部門を半分に減らすなど、昨年の大阪地検の不祥事を受けた新体制で再スタートを切った。国税局などからの告発や、警視庁からの汚職事件の送致を受ける部門を拡充していく。

 特捜部はどうしても独自捜査をやらなければならない――。こうした意識が強すぎたことが、郵便不正事件で証拠改ざんを生んだ背景にあったと最高検は総括。特捜部の看板は残すものの、独自捜査部門を縮小する方針を7月に打ち出していた。

 ロッキード事件やリクルート事件などを手がけた東京地検特捜部は現在、約30人の検事に事務官などを合わせ、約120人の態勢。10月からも人数はほぼ変わらないが、三つの捜査班のうち、告訴・告発を直接受けて独自捜査を手がける「特殊・直告班」を2班から1班に減らした。

 その一方で、国税局などから告発を受けて捜査する「財政経済班」の人員は倍増。証券取引等監視委員会、公正取引委員会からの告発や、警視庁から汚職事件などの送致を受ける「経済班」と、脱税事件だけを専門に扱う「財政班」とに分けた。

110708 特捜部、独自部門縮小へ 改称は見送り 検察改革発表 [朝日]

 大阪地検特捜部の不祥事を受けて組織改革を検討してきた最高検は8日、東京、大阪、名古屋各地検の特捜部について、政界汚職などを手がける独自捜査部門を縮小する方針を発表した。国税局や証券取引等監視委員会からの告発や、警察が手がける汚職事件などの送致を受ける財政経済部門を強化する形で、特捜部は存続させることにした。

 法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」の提言を受けて、検討を進めていた。8日に記者会見した笠間治雄検事総長は、大阪地検特捜部が独自に捜査した郵便不正事件について、「何としても厚生労働省の局長を立件したいという意識があった」などと総括。「今後は(国税や警察など)関係機関との連携を深め、特捜部は独自捜査をやらないといけないという考えを緩和する」と組織再編の狙いを説明した。

 特捜部を「財政経済部」や「特別刑事部」に改称する意見もあったが、捜査現場の抵抗が強く、今後も独自捜査は必要との考えから、当面は変えない。

101002 大阪地検の前特捜部長らを逮捕 犯人隠避の疑いで最高検 [朝日]

 大阪地検特捜部が押収したフロッピーディスク(FD)のデータ改ざん容疑事件に関連して、最高検は1日、同部前部長の大坪弘道容疑者(57)と、前副部長の佐賀元明容疑者(49)を犯人隠避の疑いで逮捕した。2人の部下だった主任検事が、FDのデータを改ざんしたと知りながら、隠した疑いが強まった。

 容疑を裏付けるため、最高検は2日にも、直近の職場である京都地検などを捜索する。今後、当時の大阪高検の幹部らからも事情聴取する方針。

 2人が容疑を認めているかどうか、最高検は1日の記者会見で明らかにしていない。2人は最高検のこれまでの調べに容疑を否認していたが、関係者によると逮捕後も否認を続けているという。

 多くの政治家や官僚、企業トップなどを摘発し、「最強の捜査機関」とも呼ばれてきた特捜検察が、トップ以下の組織ぐるみで不正を隠蔽(いんぺい)しようとした疑いが浮上した。しかも、特捜部長が在職中に手がけた事件に関連して逮捕されるという前代未聞の不祥事に、検事総長の辞任や特捜部の解体も含めて議論になるのは必至だ。

 大坪前部長と佐賀前副部長は昨年、厚生労働省元局長の村木厚子氏=無罪確定=らを逮捕、起訴した郵便不正事件の捜査を指揮した。最高検の調べでは、2人は部下の同部検事・前田恒彦容疑者(43)=証拠隠滅容疑で逮捕=がFDのデータを改ざんしたことを知りながら、証拠隠滅罪での刑事処罰を免れさせる目的で、今年2月上旬、大阪地検内からの電話で前田検事に「データの改変は過失によるもの」と説明するよう指示。同月10日には、前田検事が同地検に持ってきた上申書案を読んだうえ、その説明に合うように修正させるなどして、データの改変が故意ではなく過失であるように事実をすり替えた疑いがあるという。

 2人は今年9月23日以降、東京の最高検で連日のように事情を聴かれた際、「前田検事から『データを誤って書き換えたかも知れない』と聞き、それを信じた。改ざんの報告は受けていない」と説明していた。1日は最高検の捜査チームが拠点を置く大阪市内で取り調べを受けたが、同じ説明を繰り返したとみられる。

 最高検のこれまでの調べによると、前田検事が改ざんした疑いがあるのは、厚労省元係長の上村勉被告(41)=虚偽有印公文書作成・同行使罪で公判中=の自宅で昨年5月に押収されたFD。郵便割引制度を悪用するために作成された偽の証明書が保存されていた。「04年6月上旬に村木氏が上村被告に指示して作らせた」という検察の見立てに合うように昨年7月、最終更新日時が「04年6月1日」だったのを「04年6月8日」に書き換えたとされる。

 前田検事は改ざん後の昨年7月中旬に、同僚検事に「データを書き換えた」と告白。今年1月末の村木氏の初公判で最終更新日時が問題となり、同僚検事が別の公判担当検事に打ち明けたことで、大坪前部長と佐賀前副部長も初めて知るところとなった。

 最高検は、前田検事の証拠隠滅容疑の捜査の中で、同僚検事から「部長と副部長も改ざんを知っていた」との証言を得た。前田検事も最高検の調べに「事件の見立てに合うように改ざんしたことを、部長、副部長に直接、報告した」と供述したとされる。

 大坪前部長、佐賀前副部長、同僚検事の3人は今年2月、大阪地検トップの小林検事正と玉井英章・前次席検事(現・大阪高検次席検事)に報告し、「データを書き換えたといううわさがあるが、問題はない」と説明したという。一方、小林検事正と玉井前次席は「書き換えた疑いがあるという報告なら覚えているはずだが、聞いていない」と食い違う説明をしている。

 大坪前部長は、1984年に検事に任官し、法務省保護局総務課長などを歴任。08年10月から今年4月まで大阪地検特捜部長を務めた。佐賀前副部長とともに、多額の郵便料金を不正に免れた郵便法違反事件や、村木氏を逮捕・起訴した郵便不正事件などの捜査を指揮した。

     ◇

 最高検は1日付で大坪前部長を京都地検次席検事から、佐賀前副部長を神戸地検特別刑事部長から、いずれも大阪高検総務部付に異動させた。

100922 最高検、主任検事を証拠隠滅容疑で逮捕 郵便不正事件 [朝日]

 郵便割引制度を悪用した偽の証明書発行事件で、押収品のフロッピーディスク(FD)のデータを改ざんしたとして、最高検は21日夜、この事件の主任を務めた大阪地検特捜部検事の前田恒彦容疑者(43)を証拠隠滅の疑いで逮捕したと発表した。また、地検が入る庁舎17階の前田検事の執務室や大阪府枚方市内の自宅を捜索した。関係者によると、前田検事は調べに対して「弁護士と相談する」と供述し、認否を明らかにしていないという。

 押収資料の改ざん容疑で現職検事が逮捕されるという日本の検察史上前例のない不祥事となった。捜査のあり方が根底から問われるのは必至だ。最高検が直接容疑者の逮捕に踏み切るのは初めてで、今後、上司や同僚が改ざんを把握していなかったかどうかも含めて厳しく調べる方針。捜査の問題点を洗い出す検証チームもつくり、年内に結果を公表するという。

 改ざんされた疑いがあるのは、厚生労働省元局長の村木厚子氏(54)=無罪判決が確定=の元部下の上村(かみ・むら)勉被告(41)=虚偽有印公文書作成・同行使罪で公判中=の自宅から昨年5月に押収されたFD。最高検の調べでは、前田検事は昨年7月中旬に大阪地検内のパソコンで専用のソフトを使い、FDの最終更新日時が「04年6月1日」だったのを「04年6月8日」に改ざんし、他人の刑事事件の証拠を変造した疑いがある。

 最高検は「証拠隠滅は故意犯。過失ではないと考えている」と説明。上司の関与や認識については「今のところ他人の関与はまったく把握していないが、今後徹底捜査する」とした。また、前田検事が過去に担当した事件についても、今後の捜査の中で問題点が出てきた場合は調べるという。

 このFDには、自称障害者団体が郵便割引制度の適用を受けるため、上村被告が2004年6月に発行したとされる偽の証明書の作成日時データなどが入っていた。

 大阪地検特捜部は、証明書の文書の最終更新日時を「04年6月1日午前1時20分06秒」とする捜査報告書を作成。一方、朝日新聞がFDの記録を確認したところ、最終更新日時が「04年6月8日午後9時10分56秒」になっていた。

 朝日新聞がFDを独自に解析した結果、本来は「6月1日」であるべき最終更新日時が、FDを上村被告側に返却する3日前の昨年7月13日午後に、「6月8日」と書き換えられていた。

 特捜部は捜査過程で、村木氏から上村被告への証明書発行の指示は「6月上旬」とみていた。だが、証明書のデータが入ったFD内の最終更新日時は6月1日未明。これでは村木氏の指示が5月31日以前にあったことになり、そうなれば捜査の見立てが崩れてしまう状況だった。

 最高検は、前田検事が特捜部の描いていた事件の構図に沿うように、FDを書き換えて日付をずらした可能性があるとみて調べを進める。

 前田検事は20日、大阪地検に対して「誤って書き換えた」と説明していた。しかし、朝日新聞の取材に応じた検察関係者によると、前田検事は今年2月ごろ、村木氏の部下に対する指示が「6月上旬」という見立てに沿うように専用ソフトを使ってFDの最終更新日時を書き換えた、と話していたという。

1016 広島女児殺害、2審差し戻し判決を破棄差し戻し…最高裁 [読売]

 広島市安芸区で2005年11月、小学1年の木下あいりちゃん(当時7歳)を殺害したとして、殺人、強制わいせつ致死などの罪に問われたペルー国籍のホセマヌエル・トレス・ヤギ被告(37)の上告審判決が16日、最高裁第2小法廷であった。


 古田佑紀裁判長は、公判前整理手続きを適用して迅速審理を行い、無期懲役を言い渡した1審・広島地裁の訴訟手続きについて「違法性はない」と述べ、「審理を尽くしていない」とした2審・広島高裁判決を破棄、同高裁に差し戻した。

 最高裁が裁判員裁判に向けて導入された公判前整理手続きに基づく審理のあり方について判断を示したのは初めて。

 06年5月に始まった1審は、当時、迅速審理の「モデルケース」とされ、5日連続の集中審理を経て、初公判から約2か月で無期懲役を言い渡した。2審判決は08年12月、1審が検察側の申請した被告の供述調書を採用せず、犯行場所が被告の自宅アパート室内かどうかを特定しないまま判決を言い渡したことなどを、「審理を尽くしておらず違法」として破棄。弁護側は「裁判所が検察に助け舟を出すようなもので許されない」と、上告していた。

 同小法廷はまず、公判前整理手続きが導入された経緯に触れ、「刑事裁判はこれまで以上に合理的期間内に充実した審理を終えることが強く求められており、当事者の主張を踏まえて真相解明に必要な立証が行われる必要がある」と指摘。その上で、問題の供述調書については、検察側が犯行場所を特定するための証拠と主張していないことから、「検察側が立証しようとしていない事柄まで立証の機会を与える義務は、裁判所にはない」と判断した。

 この事件で検察側は死刑を求刑し、弁護側は殺意の有無などを争っており、差し戻し後の控訴審では改めて量刑などが審理される。

 1審判決によると、ヤギ被告は05年11月22日、自宅アパート付近で、あいりちゃんに対しわいせつ行為を行い、殺害した。

 ◆公判前整理手続き◆ 刑事裁判の迅速化のため、裁判官、検察官、弁護士が初公判前に協議して、争点や証拠を整理し、審理計画を立てる制度。刑事訴訟法の改正で2005年11月に導入され、すべての裁判員裁判で実施されている。

(2009年10月16日23時05分 読売新聞)

0422 林被告、死刑確定へ 最高裁が上告棄却 カレー事件 [朝日]

2009年4月22日3時5分
 和歌山市で98年7月、夏祭りのカレーに猛毒のヒ素が入れられ、4人が死亡して63人が急性ヒ素中毒になった事件などの上告審判決で、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)は21日、殺人罪などに問われた林真須美被告(47)の上告を棄却した。林被告の死刑が確定する。

 カレー事件について林被告は一貫して無罪を主張。犯人の動機が未解明で、林被告と犯行を直接結びつける証拠もないなかでの判断が注目されていたが、判決は「林被告がカレー事件の犯人であることは合理的な疑いを差し挟む余地のない程度に証明されている」と結論づけた。弁護側は再審請求を申し立てる方針。

 検察側は、世界最先端の大型放射光施設「スプリング8」でヒ素の科学鑑定を実施した結果や、住民一人ひとりの行動を分刻みで検証して混入の機会を絞り込んだ資料など、約1700点の状況証拠を積み重ねて立証してきた。

 第三小法廷は(1)カレーに混入されたものと同じ特徴のヒ素が林被告の自宅から発見された(2)林被告の頭髪からも高濃度のヒ素が検出され、取り扱っていたことが認められる(3)夏祭り当日、林被告だけにカレー鍋にヒ素を混入する機会があり、林被告が鍋のふたを開けるなど、不審な挙動が目撃されている――といった点を被告が犯人だと判断した理由として挙げた。

 弁護側が上告審で展開した「林被告は保険金詐欺は繰り返していたが、カレー事件のような無差別殺人を起こす動機がない」という主張については、「犯行動機が解明されていないことは林被告が犯人だという認定を左右しない」と退けた。

 そのうえで第三小法廷は「罪質は極めて悪く、態様の卑劣さ、残忍さも論をまたない。何ら落ち度のない被害者たちの無念さは察するに余りある」と述べ、社会に与えた衝撃も大きいと指摘。明確な殺意がないなど、被告に有利な事情を考慮しても、死刑とした一審・和歌山地裁、二審・大阪高裁の判断を「是認せざるを得ない」と結論づけた。

 判決の結論は、小法廷所属の裁判官5人の全員一致。判決から10日以内は訂正の申し立てができる。ただ、認められなければ死刑が確定する。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0421/TKY200904210244.html

0115 三浦元社長の単独犯行と発表 白石さん変死巡りロス市警 [朝日]

2009年1月15日11時37分
 【ロサンゼルス=堀内隆】米ロサンゼルスで79年、白石千鶴子さん(当時34)が変死体で見つかった事件で、ロサンゼルス市警は14日、白石さんと交際していた三浦和義・元会社社長(昨年10月に自殺)の単独犯行による殺人とする捜査結果を発表した。

 三浦元社長は、81年に妻の一美さんをロサンゼルスで銃撃し殺害した容疑で昨年2月にサイパンで逮捕され、昨年10月にロサンゼルスに移送された直後に拘置所で自殺した。そのため訴追はされず、いわゆるロス疑惑をめぐる捜査はすべて終結した。

 白石さんは79年3月、ロサンゼルスに渡航した直後に行方不明になり、同5月に遺体で見つかった。三浦元社長は白石さん、一美さんの事件のいずれも関与を否定していた。

 三浦元社長自殺後も捜査を続けていたロス市警は14日の記者会見で、三浦元社長がロスからの帰国後に白石さんの銀行口座から預金をほぼ全額引き出し、アパートから衣類や化粧品などの私物を持ち出していた▽白石さんの失跡について「母の看病に行った」「北海道に行った」などのうそを周囲に話していた、などの不審な行動を状況証拠に挙げ、「81年の事件は金銭目的だった。同じ理由で白石さんを殺害する能力も動機もあった」と結論づけた。

 第三者の関与についてロス市警のリック・ジャクソン捜査官は「ほかのだれかが関与したことを示す証拠はない」と否定した。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0115/TKY200901150010.html

1129 終身刑に近い無期刑…獄中死120人・仮釈放74人 [読売]

 法務省は28日、無期懲役判決を受けて服役している受刑者(無期懲役囚)に関する仮釈放申請の許否などの調査結果を公表した。

 1998年から2007年の10年間にあった114件の申請中、仮釈放が許可されたのは74人で、許可までの入所期間は20~25年が半数以上を占めた。

 同期間に刑事施設で死亡した無期懲役囚の数は120人だった。また、刑法では無期懲役の場合、10年以上の服役で仮釈放が可能になると定めているが、実際には半数以上が仮釈放までの最短期間の倍以上を要していることになる。調査結果は、「死刑と無期懲役の差が大き過ぎる」などとして仮釈放のない「終身刑」の導入を求めている一部の国会議員の動きに影響を与える可能性もある。

 調査では、仮釈放の許可は74人、不許可は35人、決定が出るまでに死亡するなどした無期懲役囚は5人だった。許可を受けた無期懲役囚の入所期間は20~25年が42人(57%)と最多だった。

(2008年11月29日01時37分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081129-OYT1T00115.htm

1012 三浦元社長、拘置施設で自殺…移送先のロスで [読売]

1981年11月のロス疑惑「一美さん銃撃事件」を巡って米自治領サイパン島で拘束され、ロサンゼルスに移送された元輸入雑貨会社社長、三浦和義容疑者(61)(日本で無罪確定)が10日午後9時45分(日本時間11日午後1時45分)ごろ、収容先のロス市警の拘置施設内で自殺を図っているのが見つかり、間もなく死亡した。

 ロス市警は11日午前、自殺に関して記者会見を開き、「遺書は見当たらず、動機については不明」とした。

 同市警から現地の日本総領事館に入った連絡によると、三浦元社長は施設内の独房で30分おきにある見回りの合間に、Tシャツを使って首つり自殺をし、搬送先の「ロサンゼルス郡・南カリフォルニア大病院」で10日午後10時ごろ死亡が確認された。ロス市警は会見で、「10分前に巡回した時は異常はなかった」と説明した。日本総領事館員が同午前、ロス市警で元社長と面会した際には、元社長は「元気です」と話し、読書の許可などを求めていたという。

 三浦元社長は今年2月22日、一美さん銃撃事件に関してロス市警が発付を受けた逮捕状に基づき、旅行先のサイパンで拘束された。

 これに対し、元社長側は、ロス郡上級裁に対し、一度判決が確定した事件を再び裁くことはできない「一事不再理」に反するとして逮捕状を無効にするよう求めた。

 しかし同上級裁は先月26日、一美さんの殺人容疑は一事不再理にあたるとして無効とする一方、殺人の共謀容疑は有効と決定。今月10日、逮捕状が執行され、ロスに移送されていた。14日に同上級裁で罪状認否を行う予定だった。カリフォルニア州刑法では、殺人の共謀罪は禁固25年以上で、最高で終身刑と定められている。

(2008年10月12日01時42分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081011-OYT1T00561.htm

1002 橋下知事に賠償命令 母子殺害事件巡る発言で 広島地裁 [朝日]

2008年10月2日13時21分
 橋下徹弁護士(現大阪府知事)のテレビ番組での発言で大量の懲戒請求を受け、業務を妨害されたとして、山口県光市の母子殺害事件差し戻し控訴審で被告の元少年(27)の弁護人を務めた弁護士4人が1人300万円ずつの損害賠償を求めた訴訟で、広島地裁は2日、1人につき200万円、計800万円の支払いを命じる判決を言い渡した。橋下氏の発言が大量の懲戒請求につながり、弁護士に多大な負担と精神的苦痛を与えたと認定した。

 判決によると、橋下氏は07年5月27日、民放の番組に出演し、元少年が差し戻し控訴審で、一、二審とは一転して殺意や強姦(ごうかん)目的を否認したことについて、弁護団がそうした主張を組み立てたと批判。「許せないって思うんだったら、弁護士会に懲戒請求をかけてもらいたい」と発言した。今年1月までに4人に対し、それぞれ600件を超える懲戒請求があった。

 橋本良成裁判長は、橋下氏の「弁護団の主張が創作であり、懲戒に相当する」という趣旨の発言について根拠がなく、名誉棄損にあたると認定。「創作かどうかについて、弁護士であれば少なくとも速断を避けるべきだ」と述べた。

 さらに、橋下氏がテレビ番組で特定の弁護士に対する懲戒請求を呼びかけ、不必要な負担を負わせたことは、名誉棄損とは別の不法行為にあたると認定。「弁護人は被告に最善の弁護活動をする使命がある」などとして、橋下氏側の反論を退けた。

 そのうえで「発言が契機となって、これらの懲戒請求がなされた」と因果関係を認め、橋下氏の発言によって原告の弁護士に答弁書作成などの事務負担を生じさせたとして、業務を妨害されたとする原告側の主張を認めた。

 懲戒請求は一般市民もでき、弁護士会が懲戒に当たるかどうか判断する。日本弁護士連合会によると、今年9月末までに8千件以上の懲戒請求があったが、懲戒を決定した弁護士会はないという。

 光市母子事件の差し戻し控訴審では今年4月、広島高裁が元少年に死刑を言い渡した。元少年は上告している。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1002/OSK200810020015.html
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