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1216 「靴投げ記者は英雄」釈放求め各地でデモ…イラク [読売]

【カイロ=福島利之】イラクの首都バグダッドで記者会見中のブッシュ米大統領に靴を投げつけて拘束されたイラク人記者が、同国の庶民の間で英雄視され、釈放を求める数千人規模のデモが15日、各地で起きた。

 記者の行為は、イラク戦争に対する同国民の不満を代弁した格好となり、他の中東各地でも記者を称賛する動きが出ている。

 靴を投げたのは、衛星テレビ局「バグダディヤ」のムンタダル・ザイディ記者(29)。同僚が地元メディアに語ったところによると、記者は、テロや米軍の攻撃で殺害された市民を取材するうちに、米国に対する怒りを募らせた。今年1月には米軍に拘束されたという。

 イラク政府は、記者の行為を「野蛮」と非難。記者は、外国首脳への侮辱罪で最大で禁固2年の刑に処される可能性があるが、街中では「我らが英雄」(イラク人運転手)とたたえる声が圧倒的だ。

 一方、カタールの衛星テレビ「アル・ジャジーラ」によると、フセイン元大統領の弁護人が記者の弁護を申し出た。

(2008年12月16日10時51分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20081216-OYT1T00265.htm

0728 イラク 各地で同時自爆テロ、死者50人超す [朝日]

2008年7月28日23時49分
 【カイロ=平田篤央】イスラム教シーア派の宗教行事に参加する巡礼者が集まっていたバグダッド中心部で28日、3件の同時自爆テロがあり、AP通信によると32人が死亡、100人以上が負傷した。また北部キルクークでも地方選挙法に反対するデモに対する自爆テロで、少なくとも22人が死亡した。

 同時テロがあったのはシーア派住民が多い繁華街カラダ地区。シーア派の第7代イマーム(指導者)をまつるカドミヤ廟(びょう)をめざす巡礼途中の信徒が多数いた。治安当局によると自爆犯はいずれも女性とみられる。

 イマーム命日に当たる29日には約100万人の巡礼者が集まると予想される。シーア派行事はスンニ派過激派の攻撃対象になることが多く、首都には警戒のため約1万人の軍、警察が配備されていた。

 AP通信によると、キルクークでは、爆発のあと逃げようとする群衆が転倒し170人が負傷した。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0728/TKY200807280399.html

0720 イラクのスンニ派、内閣復帰へ 国民融和に一歩前進 [朝日]

2008年7月20日21時8分
 【カイロ=平田篤央】イラク国民議会は19日、イスラム教シーア派主導のマリキ首相の政策運営に反発して約1年前に離脱したスンニ派の内閣復帰を認めた。宗派間の対立で悪化した治安に改善が見られるなか、国民融和に向けた新たな一歩となる。

 スンニ派の最大会派「イラク合意戦線」は昨年8月、マリキ首相が旧政権で中枢にいたスンニ派を軍や官僚から排除していると批判し、副首相を含む6人の閣僚を政権から引き揚げた。このため、06年5月に発足したマリキ内閣が掲げる「挙国一致」は名ばかりの状態だった。

 しかし合意戦線は、今年1月に旧政権与党バース党員の公職復帰や年金支給を認める法案が成立したことや、3月以降、マリキ政権がシーア派民兵組織の掃討に乗り出したこと、さらにスンニ派アラブ近隣諸国との外交関係が改善したことなどを評価。新たな閣僚候補6人の名簿を首相に提出し、19日の国会で承認された。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0720/TKY200807200210.html

0504 イラク治安悪化 窮地のマリキ政権、イランと「直談判」 [朝日]

2008年05月04日02時36分
 【カイロ=井上道夫】反米宗教指導者サドル師率いる民兵組織マフディ軍との戦闘拡大に手を焼くイラクのマリキ政権が、友好関係を保っていた隣国イランに使節を送った。米軍はイランがマフディ軍に武器を供与していると非難。それを受けて、イランと直談判せざるを得なくなったとの見方が強い。米国とイランとの板挟みの中、マリキ首相は窮地に立たされている。

 治安悪化のきっかけは、3月25日に南部バスラで始まったマフディ軍掃討作戦。マリキ首相が現地で直接指揮をとる異例の展開で、民兵組織解体への強い決意を見せた。しかし、首相直系の治安部隊は逆にマフディ軍の激しい抵抗に遭い、戦闘は首都バグダッドにも拡大。米軍も戦闘正面に出ざるを得なくなった。

 この影響で昨年10月以降、50人以下で推移していた米兵の死者数は4月に52人(民間統計)に達し、イラク人の死者数も3~4月にかけ2カ月連続で千人を上回った。

 イスラム教シーア派主導の政権を率いるマリキ首相は、同じシーア派ながら政権を離脱したサドル師に対し、「マフディ軍を解体しなければ、10月の地方選挙にサドル派を参加させない」と迫った。しかしサドル師は応じず、米軍は、サドル師と、その背後にいるとされるシーア派の大国イランへの非難を強めた。

 治安回復に向けた力量不足を露呈してしまったマリキ首相は1日、国民議会のシーア派議員団をイランに派遣した。AP通信などによると、議員団は、イランの革命防衛隊の精鋭「アルクッズ旅団」が武器支援や軍事訓練を施していることを示す写真などを持参したという。

 イランのアフマディネジャド大統領は今年3月、イランの大統領として79年のイスラム革命以来初めてイラクを訪問し、マリキ首相と会談した。この友好関係をてこにマフディ軍解体への流れをつくる計算とみられているが、イラン外務省のホセイニ報道官は「イラクで続く紛争解決のために議員団との話し合いには応じる」と述べるにとどまった。

 AFP通信によると、議員団はイラン国内に滞在しているとみられるサドル師との面会を求めたが、同師は話し合いに応じず、「タラバニ大統領とマシュハダニ国民議会議長の主導でしか解決できない問題だ」と述べた。旧フセイン政権時代からイランとの太いパイプを持つ有力者を名指ししたことで、マリキ首相の指導力低下とイランの影響力が暗に示された形となった。

 今回の掃討作戦は、10月に予定される地方選挙に向け、サドル派に打撃を与えることが目的という側面もある。

 マリキ政権を支えるシーア派与党会派に加わるイスラム最高評議会(SIIC)は、サドル派と激しい勢力争いを続けており、多数の議席を確保すると予想されるサドル派の伸長を掃討作戦によって食い止めることは、マリキ首相の思惑とも一致している。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0504/TKY200805030186.html

0504 トルコ軍、クルド労働者党150人殺害 イラク北部侵攻 [朝日]

2008年05月04日01時34分
 【テヘラン=吉武祐】トルコ軍は3日、武装闘争を続けるクルド労働者党(PKK)を掃討するため、イラク北部に越境侵攻してPKKの拠点を空爆し、150人以上を殺害したと発表した。短期間に多数の犠牲者を出す大規模な越境攻撃としては、2月下旬に9日間、地上部隊がイラク北部に侵攻して以来。

 軍発表によると、イラク領内のカンディール山地への集中的な空爆を1日と2日に実施した。殺害された人の中には、PKK軍事部門の幹部もいるとしている。

 軍は先月末から、断続的に続けていた越境攻撃の頻度を増やしていた。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0504/TKY200805030184.html

0428 バグダッドで交戦、サドル師派民兵ら38人死亡 [読売]

 【カイロ=福島利之】イラクの首都バグダッド東部で27日夜、駐留米軍とイラク軍が、イスラム教シーア派強硬指導者ムクタダ・サドル師の民兵組織マフディ軍と交戦、米軍によると、民兵ら38人が死亡した。

 サドル師が3月末に戦闘停止を呼びかけて以降、最大規模の戦闘となった。

 米軍の発表によると、サドル師派の拠点サドルシティー近くにあるイラク軍の検問所をマフディ軍が襲撃したため、米軍などが応戦、民兵ら22人を殺害した。サドルシティーでの戦闘でも民兵ら16人が死亡した。

 マフディ軍掃討作戦を続けるマリキ首相は、作戦終了の条件として、マフディ軍の武器引き渡しや治安部隊への攻撃停止などを挙げているが、サドル師派は27日、首相の要求を拒否している。

 政府との全面対決を避けたいサドル師は停戦順守の姿勢を崩していないが、今回の戦闘は、マフディ軍の一部に掃討作戦やサドル師の対応へのいらだちが募っている実態を浮き彫りにした。

(2008年4月28日22時24分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080428-OYT1T00657.htm

0402 イラク人犠牲者数、さらに悪化 3月1082人 [朝日]

2008年04月02日20時27分
 イラクで3月に、テロや戦闘などで犠牲になったイラク人は1082人に達し、昨年9月以降で最多となったことが分かった。AFP通信が1日、治安・保健当局のデータをまとめて報じた。

 昨年8月の1856人が今年1月には541人と、治安は改善傾向を見せていたが、2月には再び悪化に転じていた。3月の死者の85%にあたる925人は民間人。月末に南部バスラなどで治安部隊とイスラム教シーア派民兵組織マフディ軍との戦闘が広がり、461人が死亡した。(カイロ)
URL:http://www.asahi.com/international/update/0402/TKY200804020314.html

0402 イラク「6日戦争」で治安懸念 撤退シナリオに影響も [朝日]

2008年04月02日17時18分
 イラクのマリキ首相が率いる治安部隊と、イスラム教シーア派の民兵組織マフディ軍との戦闘は、3月25日に始まって以降、イラク全土で400人ともいわれる死者を出した。「6日戦争」とも呼ばれる今回の戦闘は収束に向かいつつあるが、改善傾向にあるとされてきたイラクの治安のもろさを見せつけた。米英軍の本格撤退シナリオにも影響を与える可能性がある。

 シーア派の反米強硬派指導者サドル師が傘下のマフディ軍に戦闘中止を呼びかける声明を出したのを受けて、マリキ首相は30日、「正しい方向への一歩」と歓迎する意向を示した。ロイター通信によると、激戦があった南部バスラやナーシリヤの街からは民兵の姿が消え、小康状態を保っている。治安当局は31日朝、首都バグダッドの無期限外出禁止令を解除した。

 マリキ首相が今回、バスラでの掃討作戦に突然打って出た背景には、10月に地方選挙を控えている事情があるとみられる。

 大油田地帯を抱えるバスラなどでは、サドル師派とイスラム最高評議会(SIIC)とのシーア派同士がしのぎを削り、傘下の民兵組織が抗争を続ける。マリキ政権で軍や警察の治安当局を握るSIICが首相と結託し、南部で根強い支持があるサドル師派をつぶしにかかったと、同派内では受け止められている。

 サドル師派は06年5月のマリキ政権発足に貢献。マリキ首相の出身母体のダワ党、SIICとともに、シーア派与党会派「統一イラク連合(UIC)」を構成した。しかし、サドル師派は首相が米軍撤退日程を示さないことや、米ブッシュ政権が首相に実現を求める石油法案に反発。昨年は閣僚の政権離脱、国民議会ボイコット、与党離脱とゆさぶりをかけた経緯があり、首相にとっては悩みの種となっていた。

 サドル師は9項目の声明の中で、「不当逮捕とでたらめな掃討の中止」や「不法拘束されている収容者の釈放」を掲げた。治安当局によるサドル師派を狙い撃ちにした取り締まりが、マフディ軍の分裂と一部の暴走を招いた。

 マリキ首相は今回、「最終決戦」と意気込んでバスラにまで乗り込んだ。しかし、逆にマフディ軍の強さと治安部隊の能力の限界をさらし、サドル師側との水面下の折衝で「停戦」をのまざるをえなかったとみられる。

 戦闘では米英軍も空爆支援などに乗り出さざるをえなかった。昨年後半にバグダッドや西部アンバル州で治安の改善がみられ、それをテコに本格撤退を探ってきたシナリオにも、影が差しそうだ。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0331/TKY200803310321.html

0317 開戦5年 いまイラクの地は [朝日]

2008年03月17日01時35分
 開戦動機となった大量破壊兵器は発見されず、大義なき戦いとも言われるイラク戦争は、20日で開始から5年になる。この戦争は、かつて旧フセイン政権が支配したイラクに、開戦に踏み切った米国に、復興支援で自衛隊を送った日本に何をもたらし、どんな課題をつきつけているのか。

 今も自爆テロが絶えない首都バグダッド。米軍に最も多くの死者が出たアンバル州。自衛隊が06年夏まで復興支援活動を展開したサマワ――。開戦5年を機に、朝日新聞記者がそれぞれの地を踏んだ。バグダッドに本社記者が入るのは3年半ぶり。サマワは1年半ぶりとなる。アンバル州へは米軍に同行した。(サマワのルポは後日掲載します)

 ■夫なくした妻、「人殺す自由しかない」

 雨が降らないよう祈っていた。

 夏は気温が50度を超すバグダッドも、冬は10度を切る。デジラ・ハミドさん(41)の日干しれんが造りの共同住宅は、床が道路より低い。壁から雨水が染みこみ、床のじゅうたんがぬれる。トイレとシャワーは共有。8畳ほどの部屋で3~13歳の子ども4人と寝起きする。雨の夜は震えながら一晩じゅう立ったまま過ごさなくてはならない。

 旧フセイン政権から反体制派とされた貧しいシーア派の地域で育った。でも06年11月までは、ましな暮らしだった。夫が乗ったミニバスが爆弾で吹き飛ばされるまでは。

 お茶を売って月10万ディナール(約8000円)稼いでいた夫を失い、2部屋の家から引っ越した。政府から特別な援助はない。小麦などの配給はあるが、旧政権時代に比べて量も種類も減った。

 電気は1日2時間しか来ない。天井の裸電球と冷蔵庫、テレビを使うため、地区の共用発電機から2万ディナールで買う。イラン・イラク戦争で負傷した夫の年金15万ディナールは引き続き遺族としてもらえるが、そのほかは近所の人が喜捨としてくれる5万ディナールだけが頼りだ。

 「旧政権に戻りたいとは言わない。でも今のほうが生活は厳しい。何の夢も持てない」

 スンニ派のウンム・アリーさん(32)が爆発音を聞いたのは05年3月だった。台所から道路に飛び出すと、車を洗っていた夫が倒れていた。頭を銃弾が貫いていた。米軍の車列が通った時に仕掛け爆弾が爆発。米兵が辺り構わず発砲したのだ。

 夫は旧政権が倒れた後も変わらず警察官を続けていた。3年前に結婚。3人の子どもも生まれ、いつか自分らの家を持ちたいと夢を語っていた。

 夫を失い、収入60万ディナールも消えた。米軍からは何の補償もない。以前の半分ほどの広さの家に移った。自宅でパンを焼いて売ったり、古着を集めて仕立て直したりして生活費を稼ぐ。

 新たに住んだのはスンニ派とシーア派が混在する地域だった。06年から宗派対立が激しくなった。戦闘が始まると、家の中で道路から一番遠い隅に子どもとうずくまった。シーア派民兵が入ってくるのを恐れて、玄関のドアに三つ、寝室のドアに三つ鍵をつけた。

 買い物も命がけだ。銃撃音がやみ、スンニ派民兵から指示があるまで外には出られない。

 開戦から5年のひずみが、女性たちにのしかかっている。生き延びるのに必死の毎日。「米国はイラクを自由にするといった。今あるのは人を殺す自由だけ」

 発砲音を聞くと、あの時の夫の姿が浮かぶという。米軍の車列を見たとき、どう感じるのか。

 「自爆ベルトを巻いて飛び込む。仕返しのために。子どもさえいなければ今すぐやっている」

 ■社会崩壊、女性の自爆急増

 イラクでは女性の自爆テロが急増している。

 公式の統計はないが、05年3月以降の地元報道を追うと、07年10月までの2年半で7件。それが07年11月27日以降の4カ月足らずで9件に上る。

 これまで自爆犯は外国人が多かった。周辺国が昨年以降、国境管理を強化し、イスラム過激派が国外から自爆犯を入れにくくなった側面もある。女性の場合、服の下に爆発物を隠しやすく、宗教上の理由から男性兵士が徹底した検査を行いにくい背景も指摘される。

 ただ、バグダッド大のファウジア・アッティア教授(社会学)は、社会の崩壊が進み、絶望した女性が増加したことが大きいと分析する。

 内戦状態で稼ぎ手の男性が殺され、家庭が崩壊する。40%ともいわれる失業率のなか、女性が職に就くのは難しい。知識人や医者が殺されたり国外に逃れたりして教育・医療も機能しない――。

 「この世に望みを失った女性たちは、『明るい来世』を約束されれば応じてしまう」

 世界保健機関(WHO)は、イラク民間人の死者数を15万人超と推定している。直近5年間の男性の死亡率は千人あたり2.7と推計、女性の0.96の約3倍だ。その前の5年間は男性1.2、女性0.82だったため、男性の増加が際立つ。国連は、この5年で7万人の女性が夫を失ったとみている。

 米国の女性団体が今月発表した調査では、昨年秋に聞き取りしたイラク女性約1500人のうち、将来を楽観していると答えたのは約27%。04年の調査で約9割が楽観的だったのと対照的だ。 国際移住機関によると、住む家を開戦後に失ったのは約128万人。以前からの避難民と合わせて約250万人。人口の1割近い。イラク保健省のまとめでは、昨年末までに医師132人を含む医療関係者618人が殺された。国外に逃れた医療関係者は数千人に上るといわれる。

 人権問題に取り組むNGO「イラク希望協会」のハナ・エドワル事務局長は、イラク政府にも責任があると言う。「政治家が国家ではなく、自分の属する民族・宗派の利益しか考えず、省庁は利権の奪い合いの場となった。そのためすべての公共サービスが旧政権時代より悪化した」と。

 「イラクの民主化」を掲げて始まった戦争。「最初は希望があった。この5年で闇に置き換わってしまった」

 ■米軍・イラク軍、激戦一転共同で訓練

 バグダッドの西方約70キロ。砂漠の砂嵐が静まるのを待ち、米軍のCH46ヘリの深夜便でユーフラテス川沿いにあるキャンプ・ハバニヤに入った。最前線のイラク派遣はすでに4度目という米兵もいた。多くの友を戦場で亡くし、家庭も犠牲を強いられる。それでも、「自由で平和なイラク」という大義のために働くことへの誇りが、米兵たちを動かしていた。

 同キャンプでは15日、新生イラク国軍や警察官への教練課程が続いていた。国軍の制式銃を、AK47カラシニコフから米国製M16ライフルに換える習熟訓練などだ。

 かつて植民地時代の英軍ホテルだった将校用営舎に、米海兵隊とイラク陸軍が同居している。文字通り「同じ釜の飯を食う」間柄だ。

 03年3月20日。米海兵隊のジャック・ブルッキンス3等軍曹(24)は第2連隊第1大隊に所属する通信兵の兵長として、クウェートからイラク領内に入った第1陣のただ中にいた。「誰もが殺し合いに加わっているような、すさまじい時だった」と振り返る。

 あれから5年。今はキャンプ・ハバニヤで、イラク軍訓練チームとしての任務に就いている。「自分の環境も、イラクの現状も、5年前には想像してなかった」

 04年3月からの2度目の派遣では、首都周辺に駐屯。同年11月、アンバル州ファルージャに立てこもった反米勢力との攻防にも、志願して増強部隊として加わった。

 05年6月~06年初めには、アンバル州ヒットに駐留した。そして、昨年10月からハバニヤでの任務。「この目で見る限り、事態は確実に良くなっている」と言った。

 米本土に残してきた妻とは離婚した。その経緯は語らないが、任務を終えて帰国し、2歳の息子を引き取ることになっており、楽しみだという。

 だが一方で、懸念を隠せない様子で語った。「我々がイラクから拙速に引き揚げれば、すべてがきっと台無しになる」

 ブルッキンス3等軍曹はこの間、多くの戦友を失った。悔やむ思いがないわけではない。それでもなお、「大義を信じる思い」の方が強い、と言い切った。

 イラク陸軍への訓練自体は04年に始まったが、内容も変わりつつある。責任者のスチュワート・ホワイト上級准尉(45)は「当時の我々の任務は、(敵への)殺傷や破壊に比重があった」と振り返る。自身はその秋、アンバル州ファルージャの最前線にいた。同じ大隊の19人が戦死した。

 アンバル州はスンニ派反米勢力の拠点地域として、多くの米兵の血が流されてきた土地だ。インターネットサイト「Iカジュアリティーズ」の10日段階でのまとめでは、同州での5年間の米兵死者累計は1279人と、バグダッドの1218人を上回る。06年には、「もはや米国はアンバルを失った」という見方すら定着していた。

 ところが、今年に入ってからの同州での米兵死者は3人と激減した。

 地元のスンニ派部族長らが昨年、自爆テロを強要するような国際テロ組織アルカイダ系への不満を爆発させ、反旗を翻したのが転機だった。

 ホワイト上級准尉も、亡くした僚友たちのことになると、目をしばたかせた。「毎日深く考えはしないようにしている。決して忘れることはないが、前にも進んでいかなければいけない」

 訓練しているイラク軍人や警察官の中に、かつての「敵」が含まれていることは「十分考えられる」という。しかし、こうも話す。

 「銃を一発も撃たずに任務を終える日々が続くというのは、やはりいいことなんだ」

 現場の情勢を踏まえずにイラクを放棄すれば、「後で払う人命の代価は大きい」と眉をひそめた。米本土での撤退論と、現場の兵士たちの思い。その間にはずれがあるように見える。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0317/TKY200803160177.html

0205 イラク軍自立まで20~30年、英IISSが報告書 [読売]

 【ロンドン=本間圭一】英国の国際戦略研究所(IISS)は5日、世界約170か国の軍事力や地域情勢を分析した報告書「ミリタリー・バランス2008年版」を公表、開戦から間もなく5年を迎えるイラク情勢について、イラク国軍が米軍から独り立ちして治安任務を担うまでは「今後1世代(20~30年)かかる」と予測、安定化への道が遠いことを強調した。

 同報告書は、50回目の発刊となる今回、イラク情勢を特に取り上げ、イラク軍の現状について、〈1〉装備の不備〈2〉能力のある指揮官の不足〈3〉宗派対立の存在〈4〉民兵が部隊に浸透――を指摘。

 特に、シーア派の軍人がスンニ派の市民を多数殺害した疑いを持たれたり、バグダッド南部では、警察と民兵の区別がつかなくなっているとした上で、「イラク軍は内戦の手先ともなる宗派の厄介者をかくまっている」と分析。米軍による訓練は続くが、「イラクの軍と警察が、問題の解決に貢献するのか、自身が問題そのものなのかは不明だ」と結論付けた。

 また、報告書は、世界各国の国防費の総額が2006年、計約1兆2977億ドル(約138兆円)に達し、冷戦後では最高水準となったことを指摘。国別では、米、中、露、英、仏の国連安全保障理事会5常任理事国が上位を占め、日本はこれに次ぐ6位だった。
国防費の増加傾向については、対テロ戦争などによる世界的な装備強化の傾向が影響していると見られる。

(2008年2月5日22時25分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080205-OYT1T00605.htm

0201 爆発テロ相次ぎ、72人死亡・150人負傷 バグダッド [朝日]

2008年02月01日23時00分
 イラクの首都バグダッドで1日、買い物客でにぎわう二つのペット市場で爆弾テロがあり、ロイター通信によると、計72人が死亡、約150人が負傷した。米軍やイラク政府は「バグダッドの治安は劇的に回復した」としているが、ここ数カ月で最悪の被害となった。

 現地からの報道によると、イラク警察の報道官は「2カ所とも女性による自爆テロ」と説明している。最初に爆発があったペット市場では昨年11月にも爆弾テロで10人以上が死亡している。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0201/TKY200802010356.html

0116 イラクで女性の自爆続く アルカイダ、追いつめられ? [朝日]

2008年01月16日18時58分
 イラク中部ディヤラ州バクバ近郊で16日、爆発物を身につけた女性が自爆し、中東の衛星テレビ局アルジャジーラによると少なくとも8人が死亡した。現場はイスラム教シーア派住民が多い地区で、アルカイダ系スンニ派過激派によるテロの可能性がある。

 イラクで女性の自爆はまれだったが、今月2日にもバクバで女性が自爆し10人が死亡した。

 アルカイダ系過激派の多くは、駐留米軍やスンニ派部族長らの掃討作戦に遭い、中部ディヤラ州などで再編を図っているとされる。米軍は同州で14日に行った掃討作戦で60人を殺害したと発表。追いつめられたアルカイダ側が女性まで投入し始めた可能性がある。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0116/TKY200801160331.html
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