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1217 柏崎刈羽原発:「活断層」認める報告書 東電が異例の撤回 [毎日]

 東京電力は5日、新潟県中越沖地震を引き起こした断層の可能性が指摘される「FB断層」について、柏崎刈羽原発の設置許可申請当時(88年)の見解を改め、「活断層である」と認める内容の報告書をまとめ、経済産業省の作業部会で報告した。東電は03年に、この断層が活断層である可能性を既に認識していたというが、中越沖地震を受けて活断層と断定した。電力会社が活断層の評価を完全に撤回し、公表するのは極めて異例だ。

 東電によると、設置許可申請時、文献調査や海上音波探査などからFB断層は長さ7~8キロで、地形が複雑に変形した「しゅう曲構造」はあるが、5万年前以降の地層をずらしていないため、活断層とは評価していなかった。ところが00年に、しゅう曲構造と活断層の関係を認める論文が専門家から出されたため、国の指示で再評価した結果、FB断層は長さ20キロの活断層である可能性があるとの文書をまとめ、03年に国に提出した。中越沖地震を受け、海域の音波探査を詳細に実施したところ、長さ約23キロの活断層であると断定した。

 03年当時、FB断層が活断層である可能性を公表しなかったことについて、東電は「FB断層を活断層として評価しても、原発の耐震基本設計に影響を与えないとの結果が出たため、あえて公表しなかった」と話している。【河内敏康】

 ▽渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)の話 しゅう曲構造があるにもかかわらず、地層をずらしていないとの理由から活断層でないと評価するのはかなり特殊な見方で、あり得ない。80年当時の文献でもしゅう曲構造と活断層の関係を認めているのに、なにを今さらといった感じだ。同じ理屈で他の原発でも見落としがあるかもしれないので調べ直すべきだ。

 ◇耐震設計の信頼性を根底から揺るがす事態

 新潟県中越沖地震の震源だった可能性が指摘されている海底の断層について、柏崎刈羽原発建設時に「活断層でない」としていた東京電力が、活断層だったことを認めた。活断層の過小評価は、耐震設計の信頼性を根底から揺るがす事態だ。

 活断層が過小評価されていた例は他にもある。今年3月の能登半島地震では、北陸電力が三つに分かれているとしていた断層が一体となって動いて発生した。同社はこのうち1本については「活断層ではない」としていたが、専門家からは「通常なら1本のつながった活断層として評価する」との声が上がっていた。中国電力島根原発を巡っても、同社が長さ10キロとする原発近くの宍道断層について、広島工業大の中田高教授が「長さは20キロ」との調査結果を発表している。

 毎日新聞が昨年、全国の原発周辺にある活断層のうち、国の地震調査研究推進本部(推本)の調査対象になった17断層について、電力会社の調査結果と比較したところ、15断層で電力会社の方が想定地震を小さく見積もっていた。柏崎刈羽原発に近い長岡平野西縁断層帯についても、推本の調査ではマグニチュード(M)8の巨大地震が想定されたが、東京電力の想定はM6.9だった。

 原発が想定外の揺れに襲われる事態は、東北電力女川原発で03年と05年の2回、能登半島地震で志賀原発、中越沖地震で柏崎刈羽原発と、既に4回に達した。各電力会社は今、昨年9月に改定された国の原発の耐震指針に基づき、耐震性のチェックを進めているが、活断層の過小評価を繰り返すことは許されない。十分に安全側に判断して耐震性の評価を進めない限り、国民の原発の耐震性への不安は解消できない。【鯨岡秀紀】
RL:http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20071206k0000m040108000c.html

1205 東京電力、活断層過小評価 中越沖地震主因の可能性 [朝日]

2007年12月05日21時56分
 東京電力は5日、新潟県の柏崎刈羽原発建設のために70~80年代に調査した沖合の海底断層について、活断層ではないとしていた当時の評価から一転、活断層だったことを認め、その長さも実際には約3倍であることを明らかにした。この日開かれた経済産業省の総合資源エネルギー調査会作業部会で報告した。この活断層は新潟県中越沖地震を引き起こした可能性が指摘されている。東電は、評価し直した結果でも「耐震設計の想定内」としているが、中越沖地震では想定を超える揺れが原発を襲った。設計当時の東電の評価や国の審査が適切だったか、議論を呼びそうだ。

 問題の断層は原発から北西に19キロ離れた海底断層。東電は、原発建設のため79年から85年にかけて実施した調査で長さ7~8キロとし、最近動いておらず活断層ではないと評価。原発の耐震設計をする上で、考慮する必要がないと判断していた。国の審査でも、東電の評価が妥当との判断を示していた。

 また、03年にこれまでの調査結果から地層のゆがみなどを再評価、従来より長い20キロとし、活断層である可能性を認識していたことも明らかにした。それでも、設計の想定内の地震の揺れに収まるとし、これまで公表していなかった。

 今回、中越沖地震を受けて、東電は周辺の海域を従来より深い範囲まで再調査し、評価しなおした。その結果、この断層が活断層であると断定。改めて、断層の長さも20キロに及ぶことを確認したという。

 記者会見した、東電原子力設備管理部の酒井俊朗マネジャーは「活断層ではないとしたのは、設計当時の知見からは妥当な評価だった」と話している。

 原子力安全・保安院原子力発電安全審査課の森山善範課長は「現在の知見からいえば、当時の評価は甘かったといえる。今後、東電からの報告を厳しく審査したい」と話している。

 一方、中越沖地震を受けて、設計時の東電の調査資料を検証した広島工業大の中田高教授(地形学)は「東電自身の調査で過小評価が裏付けられた格好だ。当時の調査だけでも20キロ程度の活断層と評価できたはずで、建設時に対策をとれたはずだ」と指摘している。
URL:http://www.asahi.com/science/update/1205/TKY200712050326.html

1128 柏崎市と刈羽村に計41億円追加交付 経産省 [朝日]

2007年11月28日06時38分

 経済産業省は27日、7月の新潟県中越沖地震に伴い、今年度の電源立地地域対策交付金について、柏崎刈羽原子力発電所がある同県柏崎市に25億9000万円、刈羽村に15億3000万円を追加する特例措置を発表した。同交付金は発電施設への地元の理解を促すためのものだが、甘利経産相は同日の記者会見で「(原発の)運転再開は別問題」と述べ、早期再開を狙った地元対策との見方を否定。安全性の確認を重視する方針を示した。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1128/TKY200711280002.html

1127 浜岡原発のプルサーマル受け入れに同意 静岡・御前崎市

2007年11月27日18時53分

 中部電力が浜岡原子力発電所4号機で計画中のプルサーマル計画について、地元の静岡県御前崎市議会は27日、全員協議会を開き、受け入れへの同意を14対1の賛成多数で決めた。同市と周辺の掛川、菊川、牧之原3市でつくる浜岡原発安全等対策協議会のうち、受け入れ同意は初めて。

 石原茂雄市長はすでに受け入れを表明しており、この日の議決で最終的に市として同意することになった。中電は2010年度中の実施を目指しており、残る3市の同意も取り付けたい考え。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1127/TKY200711270314.html

1126 放射性廃棄物のガラス固化装置に故障 青森・六ケ所村 [朝日]

2007年11月26日20時18分

 青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で、放射性レベルが極めて高い廃棄物のガラス固化体を製造する装置が故障したと、工場を運営する日本原燃(本社・六ケ所村)が26日発表した。ガラス固化体の製造は今月5日に始まり、製造工程での故障が明らかとなったのは初めて。部品の交換などで、製造再開まで7~10日間ほどかかるという。

 同社によると、故障が見つかったのは放射性の高い廃液をガラスと混ぜて容器に入れ、ふたを溶接する工程。ふたを押さえて安定させる装置の部品が外れているのが、17日と24日に別々の個所で見つかった。

 製造直後のガラス固化体は、すぐ近くに約20秒間立っていれば、100%の人が死に至るとされるほど、強い放射線を出す。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1126/TKY200711260275.html

1115 浜岡原発、原子炉を手動停止 冷却系に異常 [朝日]

2007年11月15日22時55分

 静岡県御前崎市の中部電力浜岡原発4号機(沸騰水型炉、113.7万キロワット)で15日夜、原子炉冷却材浄化系の異常を示す警報が点灯し、原子炉を手動停止した。外部への放射能漏れやけが人などはないという。

 4号機は9月から定期点検のため運転を停止していたが、14日午前10時から調整運転を開始。中電によると、15日午後8時8分ごろ、4号機の原子炉冷却材浄化系の異常を示す警報が点灯、同系が自動停止した。また、異音がしたため、中電は原子炉を手動で停止し、原因を調べている。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1115/TKY200711150373.html

1114 柏崎刈羽原発の変圧器火災は事故対象外 原子力保安院 [朝日]

2007年11月14日00時00分

 経済産業省原子力安全・保安院は13日、新潟県中越沖地震発生時に柏崎刈羽原発で起きた3号機の変圧器火災について、国際原子力事象評価尺度(INES)に基づく評価の対象外としたと発表した。放射能漏れとは直接関係ないためとしている。同原発では4件が審査されたが、評価対象としたのは6号機の微量の外部への放射能漏れと、原子炉建屋内に使用済み燃料プールがあふれ出た件の2件のみ。いずれも「0マイナス」(尺度以下で安全に影響を与えない事象)とした。

 北海道電力泊原発1号機で9月に発生した非常用ディーゼル発電機が2台とも故障したトラブルについては、「1」(逸脱)とした。

 「2」(異常事象)以上のトラブルや事故は国際原子力機関(IAEA)に報告する。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1113/TKY200711130472.html

1114 原発の監視強化へ 中越沖教訓に保安院 [朝日]

2007年11月14日11時51分

 経済産業省原子力安全・保安院は、新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発が被災したことを教訓に、全国の原発の原子炉の運転状況をいつでも監視できるよう、態勢を整備することにした。地震発生時に、新潟県などへ十分な情報提供ができなかったことを踏まえた。14日開かれる総合資源エネルギー調査会の作業部会で報告する。

 現在、各発電所には原子炉の運転状況を一元的に把握する「緊急時対応情報表示システム」(SPDS)、さらにこれらの情報を遠隔地で表示する「緊急時対策支援システム」(ERSS)が東京・霞が関の原子力安全・保安院や全国各地の緊急事態応急対策拠点施設(オフサイトセンター)にある。原子炉の圧力や温度、核分裂の状態や、発電所周囲の放射能測定データを監視できる。

 だが中越沖地震では、柏崎刈羽原発のSPDSが非常用電源に接続されていなかったために、停電で作動しなかった。また、ERSSはこれまで、放射能漏れといった原子力災害時にしか使われておらず、地震発生の際には活用されてこなかった。

 このため保安院では、震度6弱以上の地震が発生した場合に、ERSSをいつでも作動できる状態にして、原子炉の運転データを収集。地震発生時に、原発のある地元自治体に情報を提供することにした。

 また、ERSSは一度に1基の運転状況を表示する仕組みだが、中越沖地震では柏崎刈羽原発で7基が被災している。今後は、複数の運転データを同時にみられるように、保安院にあるシステムを改良する。

 SPDSも、緊急時に活用できるよう、電力会社に対策の検討を指示する。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1113/TKY200711130471.html

1112 核燃料棒、引き抜けず警報 柏崎刈羽原発5号機 [朝日]

2007年11月12日18時39分

 東京電力は12日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発5号機で、原子炉内にあった核燃料集合体を点検のため移動させようとしたところ、引き抜けずに警報が鳴ったと発表した。764本ある集合体のうち1本が、支えの格子板にひっかかって抜けなかった。燃料棒を覆う筒が変形したとみられる。

 東電によると、筒に中性子があたって数ミリ程度変形した可能性が高い。ただ、地震による影響も否定できないとして、今後調べる。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1112/TKY200711120205.html

1108 ステンレス製の内張に穴 柏崎刈羽原発7号機 [朝日]

2007年11月08日12時02分

 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所7号機の使用済み燃料プールの付近で微量の放射性物質を含む水漏れがあった問題で、東電は7日、水漏れの原因となったとみられる穴が、核燃料の出し入れ時に使うプール(原子炉ウェル)内で2カ所見つかったと発表した。

 二つの穴は、原子炉ウェルと使用済み燃料プールとをつなぐ接続部付近のステンレス製の内張の溶接部にあった。いずれも微小で顕微鏡などを使って大きさを調べる。

 使用済み燃料プールと原子炉ウェルは、コンクリート製のブロックで仕切られている。東電は、そのブロックが地震の揺れで動き、プールとウェルの接続部付近の内張を傷つけた可能性があるとしている。

 また、引き抜けなくなっていた7号機の制御棒1本については、駆動装置を点検したところ異常が見つからなかった。今後制御棒に変形がないか調べる。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1108/TKY200711080205.html

1024 作業ミスで大気中に放射性物質 大飯原発4号機 [朝日]

2007年10月24日21時32分

 関西電力は24日、大飯原発4号機(福井県、加圧水型)で、作業ミスによって、通常よりやや高い値の放射性物質が排気筒から大気中に放出されたと発表した。国の規定に比べると780万分の1と微量で、発電所周辺の観測モニターでも異常は見られないという。

 関電によると、同日午前9時20分ごろ、1次冷却水の水質調査をしていた作業員が、冷却水を採取した後に弁を閉め忘れた。このため、水が3時間40分間にわたり、流し台に流れっ放しになっていた。流れ出た量は320リットル。この冷却水に含まれていた放射性物質が、大気中に放出されたという。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1024/TKY200710240584.html

1021 原発協力へ寄付 相手自治体を公表 中国電力 [朝日]

2007年10月21日23時46分

 中国電力(本社・広島市)が、原子力発電所の新設や増設に協力する市町に多額の寄付をする際の「匿名要望」をやめたことがわかった。同社は「企業行動の透明性を高めるため」としており、昨秋以降に発電施設のデータ改ざんなどの不祥事が相次いだことが背景にあるとみられる。

 中国電力は原発が立地したり、隣接したりしている市町に寄付を続けてきた。3基目の「島根原発3号機」を建設中の島根県内に限っても、30年余りで総額50億円を超えるとみられる。

 「企業PRが目的でない」として寄付先や金額を明らかにせず、各自治体も寄付主を公開していなかった。今回の方針転換により、山口県上関町の町議会で9月11日、8月に3億円の寄付があったことが明らかにされた。同社広報室は「匿名によって憶測を生むのは本意ではなく、社会情勢の変化を踏まえて対応を決めた」とし、過去の寄付分については明らかにしないという。

 朝日新聞の調べでは、原発がない沖縄を除く電力9社のうち、北海道と四国を除く7社が、過去5年間で協力金などの名目で寄付をしている。北陸、中部、九州の3社は原則公表だが、中国、東北、東京、関西の4社が匿名要望をしていた。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1020/TKY200710200179.html

1019 強度、基準の6割以下も ふげんの耐震強度 [朝日]

2007年10月19日21時20分

 日本原子力研究開発機構は19日、新型転換炉ふげん(福井県敦賀市)の建屋の壁12カ所のうち3カ所の耐震強度が設計基準を下回っていたと発表した。強度が基準の6割以下の部分もあったが、原子力機構は「建物全体の耐震安全性には問題はない」と説明している。

 問題の建物は、中央操作室やポンプ、タンクなどが入っている原子炉補助建屋。12の壁から計36本のコンクリート試験片を採取したところ、10本が基準以下だった。壁ごとの平均値では、三つの壁で基準を下回った。

 中でも、原子炉計器修理室の壁では、耐震診断基準値の58%ほどしか強度がなかった。ただ、原子力機構は、地震で建物が倒壊しないことを確認したという。

 基準を下回った理由について原子力機構は「施工不良も考えられる」という。経済産業省原子力安全・保安院は「強度を下回るのは通常は考えられない」として、12月までに詳しい解析結果を報告するよう求めた。

 ふげんは03年に運転を終え、廃炉の準備中。昨年度の調査で設計基準を下回る壁があったが、調査そのものに不備があった可能性もあるとして、別の調査機関に再調査を依頼していた。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1019/TKY200710190428.html

1014 原発被ばく:リンパ腫死の労災不認定、見直しも…厚労省 [毎日]

 原発で被ばくし、労災認定基準に対象疾患として例示されていない悪性リンパ腫で死亡した沖縄県うるま市の喜友名(きゆな)正さん(当時53歳)について、淀川労働基準監督署(大阪市)が遺族の認定申請へ不支給を決定したのに対し、厚生労働省が「慎重に本省が検討する事項にあたる」として、決定の見直しも含めて協議を始めたことが分かった。不支給決定後の本省協議は異例。リンパ腫の労災認定例はないが、類縁の病気である白血病の認定基準に照らすと3倍以上の放射線を被ばくしていた。広島・長崎の原爆症認定や米国の核実験被ばく者の補償制度はリンパ腫を対象にしており、厚労省の判断が注目される。

 喜友名さんは97年、原発の機器などを傷つけず、放射線や超音波などで検査する「非破壊検査」会社の下請け会社(大阪市東淀川区)に入社。会社の被ばく記録では97~04年の6年4カ月間、全国の加圧水型原発(泊、伊方、高浜、大飯、敦賀、美浜、玄海)や青森県六ケ所村の再処理工場で検査業務に携わり、計99.76ミリシーベルトの放射線を浴びた。白血病であれば、同期間に31.7ミリシーベルト以上が認定基準になる。

 また、喜友名さんの99~03年度の5年間の被ばく量は80.46ミリシーベルトで、全国の放射線業務従事者10万7201人のうち、被ばく量上位36人(0.03%)に入る。

 喜友名さんは04年1月に体調不良となり退職。同年5月に悪性リンパ腫と診断され、抗がん治療などを受けたが、05年3月に死亡した。妻末子さん(56)が労災申請したが、淀川労基署は06年9月、不支給を決定。末子さんが不服として審査請求した後、支援者が厚労省に慎重な判断の必要性を訴えていた。

 悪性リンパ腫は、白血病と同様のリンパ系腫瘍(しゅよう)の一つ。被ばく関連病に詳しい阪南中央病院(大阪府松原市)の村田三郎医師によると、リンパ腫を巡っては、広島・長崎の被爆者で被ばく線量が増加すると発症率が上昇するなど、放射線と発症の因果関係を示す複数の疫学データがある。原爆症の補償制度では現在までに2人が補償認定を受けたほか、却下処分になった別のリンパ腫患者を名古屋地裁が今年1月、原爆症と認定し、国に処分取り消しを命じている。

 厚労省職業病認定対策室は「一定量の被ばくをしたリンパ腫での労災請求は過去10年見当たらず、異例だが、本省協議が必要と判断した。放射線医学などの専門家を呼び、検討会を開きたい」と話している。

 被ばく者支援団体などによると、原発・核燃料施設労働者の労災申請は喜友名さんを含め18件把握され、9件が認定された。うち5件が白血病、3件が茨城県東海村の核燃料加工会社の臨界事故による急性放射線症、1件が多発性骨髄腫という。【大島秀利】

毎日新聞 2007年10月14日 3時00分
URL:http://mainichi.jp/select/science/news/20071014k0000m040103000c.html

1009 原子炉上部の設備に破損 柏崎刈羽原発で地震被害 [朝日]

2007年10月09日23時28分

 新潟県中越沖地震で激しい揺れに見舞われた東京電力柏崎刈羽(かりわ)原発7号機(新潟県)で、原子炉上部の設備に破損が生じているらしいことが分かった。東電が9日、発表した。原子炉に直接つながる設備で破損が見つかるのは初めて。他号機の点検はこれから。補修も相当長期にわたりそうで、復旧作業に大きな影響を与える見通しだ。

 この設備は核燃料の出し入れ時に使うプール(原子炉ウェル)で直径13メートル、深さ8メートル。原子炉停止時に原子炉のふたを開けて燃料を取り出し、隣接する使用済み燃料プールへ移す際に通る。コンクリートにステンレス(厚さ6ミリ)を内張りした構造になっており、ステンレスの溶接部などに亀裂などができて、放射性物質を含むプール内の水が漏れたらしい。

 プール内張りからの水漏れを検知するシステムで、8日正午に1時間あたり0.5リットルの漏れが見つかった。9日も続いているという。微量の放射性物質が含まれているが、現時点で外部にまで漏れて環境に影響を与える恐れはないという。

 今後、すべての燃料を炉内から取り出して、炉内の点検をした後、漏れの原因を究明する方針だが、作業は11月以降にずれ込む見通しだ。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1009/TKY200710090494.html

1009 柏崎刈羽原発被災の未公開写真676点 市民団体が請求 [朝日]

2007年10月09日10時35分

 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発の被災状況を経済産業省原子力安全・保安院が詳細に記録した未公開画像676点が明らかになった。岡山県の市民団体が情報公開請求し、9月末、開示された。東京電力が事実としては公表しているものの、画像で初めて明らかになる被災状況もあり、原発の安全性を検証する重要な資料となる。

固体廃棄物貯蔵庫では、転倒したドラム缶から低レベル放射性廃棄物が床に飛び出していた=7月18日、原子力安全・保安院撮影

4号機の燃料プールで、使用済み核燃料ラックに落下した水中作業台(中央)。点検で使用する機材などを仮置きするため、壁面にフックなどで固定していたが、6メートルほど下に落ちた=7月19日撮影

海に近い構内道路上に置かれていた、海水からゴミを取り除く除塵機(じょじんき)の部品が揺れによる陥没で大きく傾いていた=7月23日撮影

1号機の原子炉複合建屋では消火用の配管が破損し、地下5階では土で濁った水が深さ約48センチまでたまった。最大約2千立方メートルの水漏れがあったという=7月17日撮影

2号機の主排気筒につながるダクトが上下にずれ、ベローズと呼ばれる蛇腹の部分が傾いた=7月17日撮影

 請求したのは、市民団体代表、石尾禎佑さん(63)。同保安院が7月16日の被災以降、約10日間かけて撮影した画像で、同原発の施設ごとに被災個所や状況がわかるように分類されている。

 東電が公表していない画像も多い。固体廃棄物貯蔵庫では、倒れたドラム缶から使用済みの手袋や作業着のほか、洗濯廃液を濾過(ろか)する際に用いた活性炭が床に飛び出していた。

 4、7号機の使用済み燃料プール内では、フックで固定されていた約210キロのアルミ製作業台が使用済み核燃料を格納しているステンレス製ラックの上に落下した。

 また、3号機の原子炉建屋の壁にあるブローアウトパネル(4メートル四方)の留め金が揺れではずれて開き、建屋内部から空が見えていた。建屋は放射能汚染が建物外に拡大しないように遮断されているが、パネルは建物内の蒸気圧などが高まり、爆発の危険性がある場合にだけ開く仕組みになっている。

 原発施設に詳しい京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんは今回の画像について「ドラム缶が3段重ねで高く積まれていたり、耐震性の低い水中作業台をプール内に置いたままにしたりしており、安全性に問題がある」と指摘する。

 一方、同原発の調査・対策委員会の委員長も務める班目(まだらめ)春樹・東京大教授は「これほど多くの画像記録を国が詳細に分類していたことを初めて知った。原発への信頼を高めるためにも、国民と被災情報を共有することが望ましい」と話す。

 東電広報部は「ホームページなどを通じて当社が公表している事例を裏付ける現場画像と理解している。安全上重要な設備の損傷は確認されていない」としている。
URL:http://www.asahi.com/national/update/1008/OSK200710070041.html

0930 原発推進派の柏原氏再選 山口・上関町長選 [朝日]

2007年09月30日22時11分

 中国電力が原子力発電所の建設計画を進める山口県上関町の町長選が30日、投開票され、原発推進派で現職の柏原重海(しげみ)氏(58)=無所属=が、反対派で農業などを営む新顔の山戸孝氏(30)=同=を破って再選を果たした。原発の是非を争点にした町長選は、計画が表面化して以降の25年間で8度目。過去7回は推進派が6割弱の得票率で制したが、今回の柏原氏の得票率は66.9%に上った。

 選挙戦で柏原氏は、町の人口が25年間で45%減少したことを背景に、「急速に進む過疎・高齢化に歯止めをかけるには原発関連の交付金や中電の協力金に頼らざるをえない」と主張。推進派町議や建設業者らの組織戦で支持基盤を固めた。

 山戸氏は「原発のカネに頼るのではなく、環境保全型の農水産業で『一流の田舎』を目指そう」と訴えたが及ばなかった。

 原発の着工は09年度に予定されており、柏原氏は「今回で原発論争には決着がついた」と位置づける。ただ、土地の権利関係をめぐって反対派が起こした訴訟が係争中のため、中電が予定地周辺で実施している詳細調査は一部中断しており、予定通り着工できるかは不透明だ。

 当日有権者数は3423人、投票率は88.08%(前回89.92%)。得票数は柏原氏1999票、山戸氏990票だった。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0930/SEB200709300014.html

0927 新潟知事、県議会で「廃炉もありうる」 柏崎刈羽原発 [朝日]

2007年09月27日23時21分

 新潟県中越沖地震で大きな被害を受けた東京電力柏崎刈羽原子力発電所について、泉田裕彦知事は27日、県議会の代表質問に対し、今後の調査の推移次第で「廃炉もあり得る」との考えを示した。知事に廃炉を決定する権限はないが、立地県の反対を押し切って東電が再開させることは事実上難しい。

 知事は、原発への今後の県の対応について問われ、「原子炉本体の被害状況の点検調査が始まったところで、今後については白紙」としつつ、「無論、調査結果によっては廃炉はあり得ると思う」と答えた。

 また、「地域とのコンセンサスができなければ、議論のテーブルには載せられない」と発言。地域の了解を得られないうちは、原発の運転再開を認めないことを強調した。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/0927/TKY200709270658.html

0927 原発2基、建設許可申請 米電力大手がテキサス州に [朝日]

2007年09月27日10時08分

 米電力大手NRGエナジーはテキサス州に原発2基を新設すると、米原子力規制委員会(NRC)に建設・運転一括許可(COL)を申請した。改良型沸騰水型炉(ABWR)を採用し、14~15年の稼働を目指す。米仏の共同企業体「ユニスター」が7月、米国で約30年ぶりとなる申請をしたのに続いた。

 NRGの24日付申請によると、原発2基が稼働中のサウステキサス・プロジェクト原発に3、4号機を新設する。出力は各135万キロワット。

 ABWRは米ゼネラル・エレクトリックと東芝などが共同開発した最新鋭原発で、新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発6、7号機もこのタイプだ。今回の2基の建設では東芝が中核となり、運転実績を持つ東電も技術協力する。NRCは08年末までに計29基前後の建設許可申請があると見込んでおり、米国の「原発復興」の動きが本格化してきた。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0927/TKY200709270037.html

0927 原子炉内の機器が変形 柏崎刈羽原発1号機 [朝日]

2007年09月27日23時43分

 東京電力は27日、新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発1号機(沸騰水型)で、原子炉内の蒸気と水を分ける気水分離器(重さ69トン)の脚が曲がっていたと発表した。気水分離器は地震発生時、定期検査中だったために炉内から取り外し、隣接する燃料プールに移してあった。

 曲がったのは、気水分離器をプール内に設置する際に使う脚4本(直径76ミリ・長さ30センチ、ステンレス製)とガイドピン2本(直径89ミリ・長さ25センチ、同)。

 東電によると、地震でこの分離器がプール内で揺れたため、脚が曲がったらしい。原子炉内から取り出していたとはいえ、本来炉内にある構造物で破損が見つかったのは初めて。曲がったままでは炉内に戻せないため、修理法を今後検討するとしている。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0927/TKY200709270662.html

0925 原発の不具合、福井で相次ぐ [朝日]

2007年09月25日23時06分

 関西電力は25日、定期検査で運転停止中の美浜原発2号機(加圧水型、福井県)の蒸気発生器の溶接部にひびが見つかったと発表した。国の基準を満たさないことから、近く補修する。また、調整運転中の日本原子力発電の敦賀原発1号機(沸騰水型、同)では再循環ポンプの不良に伴い、26日に原子炉を止める。

 関電によると、美浜原発でひびが見つかったのは1次冷却水が蒸気発生器に入る口の溶接部。内側に13カ所あり、最大で長さ17ミリ、深さ13ミリ。厚さ81ミリの配管にひびが入った結果、国の基準の75ミリを下回った。冷却水の漏れはない。冷却水の出口側やもう一つの蒸気発生器ではひびは見つかっていないことから、溶接時の施工不良の可能性もあるとみて調べている。

 一方、日本原電によると、敦賀原発の再循環ポンプで、モーターの軸部分から冷却水が漏れるのを防ぐ高圧注入水の漏れが9日ごろから増え始めた。漏れの量は1時間に6.5リットルで、警報が鳴る値の10分の1だが、念のため止めて修理する。水を封じる部分が、何らかの理由で弱くなっているらしいという。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0925/TKY200709250427.html

0918 核兵器千発分のプルトニウム、民生用に 米国が表明 [朝日]

2007年09月18日10時17分

 ボドマン米エネルギー長官は17日、国際原子力機関(IAEA)の年次総会で演説。米国が核兵器1000発分を上回る兵器用の余剰プルトニウム9トンを処理し、民生用原子炉の燃料にすることを明らかにした。米当局者によると、米国内に建設中の燃料加工施設が2016年に稼働開始の予定で、余剰プルトニウムはプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料に加工されるという。

 米国とロシアは00年、核兵器の解体などによって取り出される余剰プルトニウムを34トンずつ処理し、民生利用することで合意していた。ただし、双方ともプルトニウムの処理はまだ始まっていない。米当局者は今回の9トンが00年合意の米国側の34トンの一部として処理されるか、34トンとは別枠の追加措置となるかどうかは、はっきり決まっていないとしている。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0918/TKY200709180068.html

0917 米提唱の原子力協力 16カ国が署名 [朝日]

2007年09月17日06時44分

 ブッシュ米大統領が提唱した「国際原子力パートナーシップ」(GNEP)の閣僚級会議が16日、ウィーンで開かれた。核燃料サイクルを中心に原子力の民生利用拡大を図り、核拡散防止を目指す「GNEP原則に関する声明」に日米など16カ国が署名。安定的な核燃料供給の枠組みづくりをはじめ、不拡散の目的にもかなう先進的な再処理技術の開発などでの協力推進を確認した。

 GNEPは5月の閣僚級会議で、日米仏ロ中の5カ国が共同声明を発表。今回は東欧諸国を中心に11カ国が新たに加わった。
URL:http://www.asahi.com/international/update/0917/TKY200709170001.html

0902 安全審査「誤り」 上申書を提出へ 柏崎原発訴訟原告団 [朝日]

2007年09月02日23時57分

 新潟県にある東京電力柏崎刈羽原子力発電所1号機の原子炉設置許可の取り消しを地元住民が求めている訴訟で、上告中の原告団は「中越沖地震により、安全審査の誤りが明らかになった」とする上申書を今月中に最高裁に提出することを決めた。

 上申書では、(1)地震の揺れが想定していた限界地震を大幅に超えたことで、設置当時の安全審査の誤りが明らかになった(2)地震を引き起こす活断層を過小評価したことが審査の不備につながった――という2点を主に指摘する。さらに、最新の科学的知見を主張する弁論を開くことも求める。

 この訴訟は、地元住民らが79年、「安全審査は不十分で事故の恐れがある」として国を相手取って提訴。94年の一審、05年の二審ともに住民側が敗訴し上告している。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0902/TKY200709020133.html

0831 原子力機構、放射性物質ずさん管理 法令違反37件 [朝日]

2007年08月31日21時06分

 日本原子力研究開発機構は31日、茨城県東海村の原子力科学研究所などで国の認可を得ずに、改良工事をして15年間運転を続けたり、ウラン燃料92キロを輸送容器で約13年間保管したりするなど、不適切な処理・事例が60年ごろから今年7月まで計49件あったと発表した。うち37件が原子炉等規制法などに違反していた。文部科学省は三つの実験施設について、安全が確認されるまで運転停止命令を出した。

 今年6月に同研究所近くの側溝で放射性物質が検出された、という告発を受け調査していた。

 原子力機構によると、問題の実験棟以外に放射線管理区域でない施設内の3カ所で汚染が見つかったのに国に報告していなかった。さらに、新たに4カ所で汚染が見つかった。外部に放射能漏れの恐れはないという。

 さらに、高速臨界実験炉の核燃料制御安全装置については、90年度から05年度にかけて国の認可を受けずに工事、運転していた。また、ウラン92キロを一時保管用の輸送容器で13年前から保管していたが、一時保管の許可しか受けていなかった。

 調査のきっかけは告発だったが、原子力機構の調査で工事責任者の廃止措置課長代理が「こんな作業をさせられていることをよそで話さないでほしい」と言っていたことがわかった。ただ、作業員が「口止めとは受け取っていない」と証言したことから、隠蔽(いんぺい)工作はなかったと結論づけた。

 岡崎俊雄理事長は「今回の事態の原因は安全意識や法令順守の欠如によるもの。深く反省し再発防止に取り組みたい」とコメントを発表した。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0831/TKY200708310359.html

0820 MOX燃料の大間原発着工を延期 Jパワーが表明 [朝日]

2007年08月20日11時21分

 Jパワー(電源開発)の中垣喜彦社長は20日、青森県大間町を訪れ、今月に予定していた大間原発(改良型沸騰水型、138.3万キロワット)の着工を延期すると表明した。新潟県中越沖地震により東京電力の柏崎刈羽原発が被害を受けた影響で、国の許可がおりる見通しが立たないためと見られる。Jパワーは、着工を延期しても、12年3月としている運転開始時期は当面変更せず、工程の見直しで対応したいとしている。

 大間原発は、すべての燃料にMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)を使用する世界初の原発となる。許可されれば、新耐震指針に基づいて建設される原発の第1号となる予定だった。当初は06年8月の着工を予定していた。昨年9月に国が原発関連施設の耐震指針を改訂したことにより、耐震性を再評価するため、着工時期を今年8月に延期していた。これ以前にも、炉心位置の変更などで着工が16回延期されていた。

 中垣社長は、20日に開かれた金沢満春町長や議員らに対する説明会で、「安全性向上のため対応すべきものは対応し、早期着工に努力したい」と語った。

 同町の建設予定地では、すでに敷地造成などの準備工事が進んでいる。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0820/TKY200708200073.html

0818 放射能漏れ公表遅れを批判、柏崎刈羽原発でIAEA [朝日]

2007年08月18日12時00分

 国際原子力機関(IAEA)は17日、新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発の調査結果をまとめた報告書を日本政府に提出、公表した。報告書は、今回の地震によって得られた教訓を生かし、原発の安全性を再評価する必要性を強調。特に周囲の活断層が原発に与える影響について慎重に検討するよう求めた。調査団長のフィリップ・ジャメ原子力施設安全部長は記者会見で、今後必要なデータが集まれば、最終評価のために、改めて現地を訪れる意向を示した。

 「予備的な調査結果および教訓」と題した報告書は「原子炉は安全に停止し、目に見える深刻な損傷はなかった」とし、緊急時の安全機能が正常に働き、被害は予想を下回るものだったとしている。だが一方で、時間的制約から施設を歩いて見て回る程度の限られた現地調査だったと指摘。最終的な結論は、なお今後の詳細な調査結果を待つ必要があるという。

 特に報告書は、今回の地震の教訓や新たな基準や方法をもとに、原発の安全性の再評価が必要になると指摘。現時点で顕在化していない亀裂やゆがみなどが長期的に運転に支障を与える可能性について警告した。また周辺の活断層について、原発直下に及んでいないか、特に注意して調査する必要があるとした。会見に出席した調査団メンバーは「原子炉の安全運転に影響を与えるような活断層があるかどうかを慎重に見きわめるべきだ」と述べた。

 また原子炉圧力容器や炉心、核燃料など、原発の安全にかかわる核心部分についての、東京電力や国の詳細な調査はまだ最終結論が出ていないことを指摘。事故の際に、安全機能が正常に作動するか、施設の老朽化が予想以上に進んでいないかなどについても、運転再開前に検査・分析する必要があるとした。

 微量の放射能を含んだ水が海に排出された事実の報告が遅れたことについては、「たとえ重大な放射能漏れでなくとも、情報伝達はより迅速に行われるべきだった」と批判した。消火設備の不備も指摘された。

 ジャメ調査団長は、原発の再開時期について、詳細な調査・分析に必要な時間や現場の状況から、「1年以上かかる」との見通しを示した。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0818/TKY200708180068.html

0815 「被害は予想下回る」IAEA、柏崎原発の調査結果発表 [朝日]

2007年08月15日10時52分

 国際原子力機関(IAEA)は14日、新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原発の調査結果についてプレスリリースを発表、被害は予想を下回るものだったが、地震が原子炉や施設全体に与えた影響については、今後の詳細な調査が必要だとしている。報告書は数日中に公表される。

 IAEAのエルバラダイ事務局長は「調査結果と日本側の分析は、世界中の原発に対し、肯定的な面も、否定的な面も含め、重要な教訓を含む内容だ」と述べた。

 IAEAは現地調査を4日間行い、地震時の記録などを分析。今回の被害は原子炉本体や原子炉の安全に関するシステムに影響を与えない部分に限られていたようだとし、緊急時の安全機能も正常に働いたとの結論に達した。放射能漏れについては、東京電力の記録や分析を調べた結果、健康や環境に影響が出る量をはるかに下回る量だったとする日本側の結論が裏付けられたという。

 この結果、IAEAは「被害は予想を下回るものだった」としている。ただ一方で、IAEA調査団は原子炉内部の状態などを確認しておらず、東京電力、さらに経済産業省原子力安全・保安院が進めている調査や詳細な分析が重要だと指摘。原子炉格納容器、炉心、燃料棒等の精密検査はまだ進行中であるとして、判断を保留した。

 また地震が施設に与えた影響については、施設の一部に、長期的な安全操業に影響がでる可能性もあるとしている。問題となりうる部分については、施設の交換を早めに行う必要があるかどうかを決めるため、今後、追加的な工学的分析を行うことを考慮すべきだとしている。
URL:http://www.asahi.com/national/update/0815/TKY200708150087.html

■原発07Ⅱ より続く

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